第48回(H25) 理学療法士国家試験 解説【午前問題11~15】

 

11 60歳の男性。10年前にParkinson病と診断された。日常生活は自立している。
 すくみ足のため自宅で頻回に転倒するようになった。
 この患者に対する指導で適切なのはどれか。

1.スリッパを履くよう勧める。
2.足関節に重錘バンドを装着する。
3.T字杖歩行を指導する。
4.車椅子での移動を指導する。
5.自宅での手すり設置の場所を指導する。

解答5

解説

1.× スリッパを履くことで、すり足歩行を助長する。そのため、さらなる歩行不安定となり転倒助長するため不適切である。
2.× 足関節に重錘バンドを装着するのは、小脳障害に適応となる。
3.× T字杖歩行を指導するのは、脳血管障害による片麻痺患者に適応となる。Parkinson病の場合、突進現象や小刻み歩行によりT字杖などの歩行補助具は不要である。
4.× 車椅子での移動を指導するのは、時期尚早である。なぜなら、本症例は自宅で頻回に転倒するようになってはいるが、歩行可能であるため。
5.〇 正しい。自宅での手すり設置の場所を指導する。なぜなら、固定された手すりを設置することで、歩行障害・姿勢反射障害によるふらつきを手すり把持での立て直しが可能であるため。Parkinson病は、上肢の引っ張りによる転倒防止の方法を取りやすいため、T字杖などは適さないが、手すりの設置は有効である。

 

 

 

 

 

12 48歳の女性。2年前に多発性硬化症と診断された。これまで日常生活はおおむね自立していたが、1週前から視力の低下、両側下肢の脱力が増悪し入院となった。薬物治療後に理学療法が開始されたが、視力の低下、両側下肢の筋力低下および軽度のしびれが残存している。
 この時点の深部感覚障害の程度を適切に検査できるのはどれか。

1.運動覚試験
2.Romberg試験
3.内果での振動覚試験
4.自動運動による再現試験
5.非検査側を用いた模倣試験

解答1?

解説

 本症例は、①視力の低下、②両側下肢の筋力低下、③軽度のしびれが残存している。それらがあっても正確な評価ができるものを選択する。厚生労働省の解答は1であるが、疑問が残る問題である。詳しく分かる方は、コメント欄にて教えてください。

1.〇? 運動覚試験は、患者の患肢関節を動かすと同時に口頭試問に答えさせるか他側肢で模倣させる。筋力の低下があり、運動覚障害があるのか、筋力低下により模倣ができないかがわかりにくい。適切に判断できない).
2.× Romberg試験は、深部感覚障害を評価する。両下肢に筋力低下があるため不適切である。
3.△? 内果での振動覚試験は、骨突出部へ音叉を当てる。自動運動は必要なく、筋力低下でも適切な判断が可能である。ただし、厚生労働省の解答では×となっている。
4~5.× 自動運動による再現試験/非検査側を用いた模倣試験は、筋力低下があり自動運動が困難であるため不適切である。深部感覚障害のためか、筋力低下のせいかであるかの適切な判断が困難である。

 

 

 

 

 

13 28歳の女性。生来健康であったが、1週前に急に回転性のめまいが出現した。良性発作性頭位眩暈症と診断され、理学療法が開始された。初回評価時には座位は可能であるが立位の保持は不安定であった。非注視下での眼振を認め、姿勢変換時にめまい感が増悪する。
 この障害を改善するための理学療法で適切なのはどれか。

1.背臥位での他動的関節可動域運動
2.外力を加えた座位姿勢の保持練習
3.座位での頸部回旋運動による前庭刺激
4.眼振が出現しない姿勢での基本動作練習
5.杖を用いた歩行練習

解答3

解説

 良性発作性頭位眩暈症は、特定の頭位をとったときにごく短時間の激しい眩暈(めまい)が生じる疾患である。理学療法にて改善が見込める疾患である。具体的に、姿勢を変化させながら耳石を移動させる方法(エプリー法)や、眩暈を誘発させて眩暈に慣れさせることで症状を計ることができる。したがって、選択肢3.座位での頸部回旋運動による前庭刺激が正しい。

 

1.× 背臥位での他動的関節可動域運動は、改善にはならない。主に拘縮関節可動域制限に適応となる。
2.× 外力を加えた座位姿勢の保持練習は、改善にはならない。主に体幹の筋力低下姿勢保持障害に適応となる。
4.× 眼振が出現しない姿勢での基本動作練習は、改善にはならない。眼振の出現する姿勢で行う。
5.× 杖を用いた歩行練習は、改善にはならない。主に脳血管障害による歩行障害などに適応となる。

 

 

 

 

 

14 62歳の女性。両側の変形性膝関節症で、膝関節に軽度の伸展制限と中等度の内反変形とがみられ、Mikulicz線は膝関節中心の内側に偏位している。
 運動療法で適切でないのはどれか。

解答4

解説

 Mikulicz線(ミクリッツ線)とは、成人の立位荷重線であり、大腿骨頭中心から足関節中心を結んだ線である。この線は、正常成人では、膝関節の中心を通過するが、大腿骨頸部の頚体角が大きい場合や、変形性膝関節症で内反変形があると、膝関節中心の内側を通過する。つまり、本症例はO脚変形しているということである。

 

1~2.〇 正しい。大腿四頭筋の筋力強化である。膝関節の安定性が増す。
3.〇 正しい。自動介助運動での膝関節伸展の関節可動域訓練である。膝関節軽度伸展制限の軽減を図れる。
4.× 内転筋の筋力強化である。O脚の悪化につながるため不適切である。
5.〇 正しい。ハムストリングスの筋力強化である。膝関節の安定性が増す。

 

 

 

 

 

15 45歳の女性。40 歳で関節リウマチを発症し、寛解と増悪を繰り返している。両手関節の腫脹と疼痛が顕著である。歩行は可能であるが、左膝関節の疼痛と変形が強いため人工関節置換術を検討している。
 術前に使用する歩行補助具として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.T字杖
2.ロフストランド杖
3.プラットホーム杖
4.松葉杖
5.四輪式歩行器

解答3/5

解説

 関節リウマチは、手関節・手指関節の関節破壊により、変形・拘縮を引き起こす。そのため、関節保護の原則に基づいて歩行補助具を選択する。

 

1.4.× T字杖/松葉杖は、手関節・手指に負担がかかるため不適切である。
2.× ロフストランド杖も、T字杖同様に手関節・手指に負担がかかるため不適切である。痙直型両麻痺などに適応となる。
3.〇 正しい。プラットホーム杖は、前腕に体重をかけられるため手関節・手指を保護できるため正しい。
5.〇 正しい。四輪式歩行器は、前腕で支持するタイプがある。それらは、前腕に体重をかけられるため手関節・手指を保護できるため正しい。

 

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