第47回(H24) 作業療法士国家試験 解説【午後問題26~30】

 

26 ADL評価の説明として正しいのはどれか。

1.FIMの項目で3点は中等度介助である。
2.WeeFIMの項目で10点は完全自立である。
3.Barthel Indexで合計50点はセルフケア要監視水準である。
4.障害老人の日常生活自立度判定基準で、ランクAは自立である。
5.認知症老人の日常生活自立度判定基準で、ランクⅠは全介助である。

解答

解説

(※図:認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク)

1.〇 正しい。FIMの項目で3点は中等度介助である。1点:全介助、2点:最大介助、3点:中等度介助、4点:最小介助、5点:監視・準備、6点:修正自立、7点:完全自立である。
2.× WeeFIMの項目で完全自立は、10点ではなく「7点」である。WeeFIMは7歳未満を対象としたFIMの小児版である。WeeFIMは、FIMと同様で各項目は1~7点で評価され、完全自立は7点である。ちなみにWee FIMは小児のADL評価方法である。
3.× Barthel Indexで合計50点は、セルフケア要監視水準ではなく「介助レベル」である。Barthel Indexは10項目からなり、合計点数は100点である。
4.× 障害老人の日常生活自立度判定基準でランクAは、自立ではなく「準寝たきり」ある。準寝たきりは、屋内での生活はおおむね自立しているが介助なしには外出できない。ちなみに、自立はJランクである。
5.× 認知症老人の日常生活自立度判定基準でランクⅠは、全介助ではなく「何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にはほぼ自立している状態」である。ちなみに、常に介助が必要であるのはランクⅣである。

参考にどうぞ↓

理学療法士国家試験 BIについての問題7選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

27 関節リウマチで炎症が初発する部位はどれか。

1.滑膜
2.靱帯
3.骨膜
4.線維膜
5.関節軟骨

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は7:3前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。滑膜は、関節リウマチで炎症が初発する部位である。関節リウマチは、関節の滑膜を障害する自己免疫性(自分の抗体が自分の滑膜を攻撃する)疾患である。合併症として、間接性肺炎、皮下結節(リウマトイド結節)、シェーグレン症候群(唾液・涙液の減少)が起こる。つまり、滑膜での炎症が主体である。滑膜が増殖し、周りの関節を破壊していく。
2.× 靱帯の炎症は初発部位とはいえない。進行に伴い、靭帯も損傷し亜脱臼や変形が生じる。
3.× 骨膜の炎症は初発部位とはいえない。進行に伴い、骨びらん(骨破壊)がみられる。
4.× 線維膜の炎症は初発部位とはいえない。線維膜は、関節包の外側面に存在する。進行に伴い、線維膜にも変性が生じる
5.× 関節軟骨の炎症は初発部位とはいえない。関節リウマチの組織学的な変化としては、滑膜増殖、血管新生、炎症細胞の浸潤、骨・軟骨の破壊が特徴的である。

Steinbrockerの病気分類

Steinbrockerのステージ分類とは、関節リウマチ患者の関節破壊の程度を病期に合わせて分類する方法である。一方、クラス分類とは、関節リウマチの機能障害度をクラス別に分類する方法である。ステージ(クラス)ⅠからⅣの4段階に分類し、進行度を評価する。

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

 

 

 

28 咽頭癌患者が頸部リンパ節郭清術後に麻痺をきたしやすいのはどれか。

1.広背筋
2.僧帽筋
3.肩甲挙筋
4.前斜角筋
5.上腕二頭筋

解答

解説

頸部リンパ節郭清術とは?

リンパ節郭清(りんぱせつかくせい)とは、悪性腫瘍のリンパ行性転移に対する処置としてリンパ節を切除する外科的治療法である。頸部郭清術では、①内頸静脈、②胸鎖乳突筋、③副神経をすべて合併切除する。

1.× 広背筋の支配神経は、胸背神経である。
2.〇 正しい。僧帽筋は咽頭癌患者が頸部リンパ節郭清術後に麻痺をきたしやすい。なぜなら、僧帽筋の支配神経は、副神経(外枝)と頸神経叢の筋枝であるため。頸部リンパ節郭清では副神経も切除するため麻痺をきたす。ちなみに、頸部郭清術は内頸静脈・胸鎖乳突筋・副神経をすべて合併切除する根治的頸部節郭清術といわれる術式が行われる。
3.× 肩甲挙筋の支配神経は、肩甲背神経である。
4.× 前斜角筋の支配神経は、頸神経前枝である。
5.× 上腕二頭筋の支配神経は、筋皮神経である。

 

参考にどうぞ↓

【暗記用】体幹筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

 

29 片麻痺患者の片手動作訓練の初期に用いる作業として適切なのはどれか。

1.編み物
2.籐細工
3.はりこ
4.マクラメ
5.ビーズのれん

解答

解説
1~2.× 編み物/籐細工は、両手を用いる必要がある。藤作為とは、籐のつるを編んで細工すること。
3.〇 正しい。はりこ(張子)は、片手動作訓練の初期に用いる作業である。
4.× マクラメは、両手を用いる必要がある。マクラメは、紐を交差させて結び、結び目で模様を作り装飾品などに細工する作業である。結ぶ動作がメインとなるため、代用手段も少なく高度な手指機能が必要とされる。
5.× ビーズのれんは、両手を用いる必要がある。ビーズを通すのに手指つまみ動作や両手動作が必要になり、巧緻性も必要となるため、片手動作訓練の初期に用いる作業では難易度が高い。

 

 

 

 

 

 

30 手洗いで、最も洗い残しが多い部位はどれか。

1.第一指間腔
2.母指球
3.中指PIP〜DIP間の掌側
4.小指球
5.小指の背側

解答

解説

指間腔とは?

指間腔(interdigital space)とは、指と指の間のことをいう。第1指間腔は、母指と示指の間をいう。尺側に行くに従って第2→第3→第4指間腔と呼ぶ。

1.〇 正しい。第一指間腔は、手洗いで最も洗い残しが多い部位である。なぜなら、指先・指間などは、手と手を合わせて洗う時に隙間ができるため。
2.4.× 母指球/小指球はどちらかというと洗い残しは少ない。なぜなら、母指球/小指球は手掌全体を洗ときに一緒に洗うため。
3.× 中指PIP〜DIP間の「掌側」より「背側」の方が、洗い残しは多い部位である。なぜなら、中指PIP〜DIP間の「掌側」を用い手掌全体を洗うため。
5.× 小指の背側はどちらかというと洗い残しは少ない。なぜなら、小指の背側は手を重ねて洗う際に、重なることが多いため。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)