第47回(H24) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題96~100】

 

96 前頭側頭型認知症(Pick病)に特徴的な症状はどれか。2つ選べ。

1.幻視
2.考え無精
3.替え玉妄想
4.時刻表的行動
5.物盗られ妄想

解答2/4

解説

前頭側頭型認知症(Pick病)とは?

 病理所見として、前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する特徴を持つ認知症である。脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。発症年齢が50~60代と比較的若く、初発症状は人格障害・情緒障害などがみられるが、病期前半でも記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。働き盛りの年代で発症することが多いことで、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないことが多い。その後、症状が進行するにつれ、性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなどの抑制のきかない反社会的な行動)、滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)、食行動の異常(毎日同じものを食べ続ける常同行動)などがみられる。治療は、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法はなく、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われている。

(参考:「前頭側頭型認知症」健康長寿ネット様HPより)

1.× 幻視は、 Lewy小体型認知症でみられる。
2.〇 正しい。考え無精は、前頭側頭型認知症(Pick病でみられる。考え無精は、検査に真面目に取り組まず、①いいかげんな回答をする、②複雑な質問に対しては「わからない」と即答する状態である。脱抑制のひとつである。
3.× 替え玉妄想は、主に頭部外傷統合失調症でみられる。替え玉妄想とは、身近な人物が姿は同じなのに別人のように思える妄想である。
4.〇 正しい。時刻表的行動は、前頭側頭型認知症(Pick病でみられる。決められた時間に決められたことをするようになり、それを妨害すると激しく怒ることが特徴である。常同行動の一種である。
5.× 物盗られ妄想は、主にアルツハイマー型認知症の特徴である。物盗られ妄想は、実際に置いた場所を忘れ、自分の持ち物、お金、大切な書類などが、他人(身近な家族が対象となることも多い)に盗られてしまうという妄想である。記銘力の低下が原因である。

 

 

 

 

 

 

97 統合失調症で現れにくいのはどれか。

1.幻声
2.思考奪取
3.被影響体験
4.解体した会話
5.夜間の意識変容

解答5

解説
1.〇 幻声は、統合失調症で現れやすい。幻声では、考想化声(自分の考えが他人の声となって聞こえてくる)が特徴的である。他にも幻聴もみられやすい。
2.〇 思考奪取は、統合失調症で現れやすい。思考奪取とは、自分の考えを誰かに抜き取られるというものである。統合失調症の思考・自我意識の異常の一種である。
3.〇 被影響体験は、統合失調症で現れやすい。被影響体験(させられ体験)とは、「今、自分がしていることは他人によってさせられている」と感じるものである。統合失調症の自我意識の異常の一種である。
4.〇 解体した会話は、統合失調症で現れやすい。解体した会話(滅裂思考)とは、頻繁に会話の筋道が脱線をしたり、内容が支離滅裂になるものである。統合失調症の思考の異常の一種である。
5.× 夜間の意識変容(せん妄)は、統合失調症では現れにくく、術後せん妄・ICUせん妄・アルコール離脱期のせん妄状態などでみられる症状である。ちなみに、意識変容とは、意識混濁に不安・興奮・幻覚・妄想などが加わった状態である。一日の中でも意識の清明度が著しく変化し、夜に悪化することが多い。

 

 

 

 

98 うつ病でみられやすい訴えはどれか。

1.「テレビカメラで見張られている」
2.「何か恐ろしいことが起こりそうだ」
3.「新しいアイデアが次々と湧いてくる」
4.「自分の考えがみんなに知れ渡っている」
5.「取り返しのつかない罪を犯してしまった」

解答5

解説

うつ病にみられる主な微小妄想

①貧困妄想:お金がない、自分は貧乏だと思い込む妄想。
②心気妄想:自分が病気にかかっているのではないかと強く思い込む妄想。
③罪業妄想:自分が取り返しのつかない罪を犯してしまった、自分は罪深い存在であると思い込む妄想。

1.× 「テレビカメラで見張られている」は、注察妄想である。統合失調症によくみられる症状である。
2.× 「何か恐ろしいことが起こりそうだ」は、妄想気分である。統合失調症によくみられる症状である。
3.× 「新しいアイデアが次々と湧いてくる」は、観念奔逸である。躁病によくみられる症状である。
4.× 「自分の考えがみんなに知れ渡っている」は、考想伝播である。統合失調症によくみられる症状である。
5.〇 正しい。「取り返しのつかない罪を犯してしまった」は、罪業妄想である。うつ病によくみられる。

 

 

 

 

 

 

99 小児の精神障害で正しいのはどれか。

1.吃音は行為障害に分類される。
2.児童期に恐怖症を発症することはない。
3.虐待を原因として反応性愛着障害が起こる。
4.小児自閉症は約半数が統合失調症に移行する。
5.選択性緘黙は脳の器質的病変を原因とすることが多い。

解答3

解説
1.× 吃音(きつおん:発語時に言葉が連続して発せられたり、一瞬または一時的に無音状態が続くなど話し言葉が流暢に話せない状態のこと)は、行為障害ではなく、流暢性の障害に分類される。いわゆる「どもる」のことである。
2.× 児童期でも恐怖症を発症することがある。恐怖症とは、普通は危険ではない状況や対象によって不安が引き起こされ、これらの状況や対象を避けようとするものである。
3.〇 正しい。虐待を原因として反応性愛着障害が起こる。反応性愛着障害とは、虐待やネグレクト(養育拒否)などを受けた子どもが、世話をしてくれる人を警戒して甘えられなかったり、過度に愛想がよく誰にでもなれなれしいなど、対人関係が未熟で障害されている状態をいう。
4.× 小児自閉症は、約半数が統合失調症に移行するといったことはなく、後に統合失調症を併発することはあるがである。
5.× 選択性緘黙(かんもく:特定の生活領域でのみ自発的な言語が困難になる状態)は、脳の器質的病変ではなく、心因性の発達障害を原因とすることが多い。健常な言語能力を有し、家庭などでは話すことが出来るにもかかわらず、特定の社会状況では一貫して話すことができないものである。

 

 

 

 

 

 

100 悪性症候群の原因となる可能性が最も高いのはどれか。

1.抗うつ薬
2.抗不安薬
3.気分安定薬
4.抗精神病薬
5.抗てんかん薬

解答4

解説

悪性症候群とは?

悪性症候群とは、抗精神病薬の使用初期や、抗精神病薬・抗Parkinson病薬の急激な中断により、発熱(ときに40℃以上)、錐体外路症状(特に筋強剛)、自律神経症状(頻脈・発汗・流涎)、精神症状(昏迷、意識障害)、高CK血症などを来すものである。

1.× 抗うつ薬の副作用には、抗コリン作用による口渇や便秘、尿閉などがある。
2.× 抗不安薬の副作用にはふらつき、依存形成などがある。
3.× 気分安定薬の副作用には中毒、眠気、消化器症状がある。
4.〇 正しい。抗精神病薬は、悪性症候群の原因となる可能性が最も高い。悪性症候群とは、抗精神病薬の使用初期や、抗精神病薬・抗Parkinson病薬の急激な中断により、発熱(ときに40℃以上)、錐体外路症状(特に筋強剛)、自律神経症状(頻脈・発汗・流涎)、精神症状(昏迷、意識障害)、高CK血症などを来すものである。
5.× 抗てんかん薬の副作用には眠気、眩暈、小脳失調がある。

 

 

※問題の引用:第47回理学療法士国家試験、第47回作業療法士国家試験の問題および正答について(厚生労働省HP様より)

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

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