第47回(H24) 作業療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

 

1 脊髄損傷患者(第4頸髄節まで機能残存)に対して、図のようにBFOを設置した。
 BFOを利用して肘関節屈曲の動きを獲得するために、筋力を強化すべきなのはどれか。

1.三角筋
2.肩甲挙筋
3.大菱形筋
4.上腕二頭筋
5.僧帽筋下部

解答

解説

(引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

BFOとは?

BFO(balanced forearm orthosis:非装着式上肢装具)による良肢位の保持は、第4〜5頸椎レベル損傷の場合に用いる。BFOBFO(balanced forearm orthosis:非装着式上肢装具)は、前腕を支持することにより、上肢の重さを軽減させ、弱い力で上肢の動きを引き出す自助具である。

1~4.× 三角筋/肩甲挙筋/大菱形筋/上腕二頭筋は、C5レベルである。
5.〇 正しい。僧帽筋下部は、BFOを利用して肘関節屈曲の動きを獲得するために、筋力を強化すべきである。僧帽筋下部の髄節レベルはC4である。作用は肩甲骨の下制である。C4頸髄損傷の肘関節屈曲動作について、創造菌株の筋の収縮により肩甲骨を下制させる。そうすることで、肩甲骨関節上結節には上腕二頭筋長頭が付着しており、上腕二頭筋を介して肘関節を屈曲することができる。

 

 

 

 

 

 

2 Danielsらの徒手筋力テストで、段階2、1及び0のときに触診する部位で正しいのはどれか。

1.肩甲骨挙上
2.肩関節外旋
3.母指橈側外転
4.股関節外転
5.足関節内がえし

解答

解説
1.× 肩甲骨挙上は、肩甲挙筋や僧帽筋の上部線維を触診する。そもそも設問の図は、肩甲骨下制と内転の評価であり、僧帽筋下部線維を触診している。
2.〇 正しい。肩関節外旋は、棘下筋小円筋を触診する。図は腋窩で小円筋を触診している。
3.× 母指橈側外転の主動作筋は長母指外転筋である。触診は前腕骨間膜、橈骨背面から起こり、母指基節骨底外側で停止する短母指伸筋の橈側で長母指外転筋腱を触診する。設問の図は、長母指伸筋を触診している。
4.× 股関節外転の主動作筋は中殿筋である。そのため、触診は背臥位にて中殿筋である。設問の図は、膝関節屈曲筋である大腿二頭筋腱を触診している。
5.× 足関節内がえしの主動作筋は、前脛骨筋後脛骨筋である。そのため、脛骨上外側面や内果後方にて触診をする。設問の図は、足関節外返しの主動作筋である長・短腓骨筋腱を触診している。

 

 

 

 

 

 

3 正常な小児の発達過程において、図に示す歩行が可能となる時期はどれか。


1.生後8か月
2.生後12か月
3.生後15か月
4.生後18か月
5.生後21か月

解答

解説

歩行直後の上肢の肢位

小児は身体の重心位置が相対的に高位で不安定なため、支持基底面の拡大で安定性を確保する。歩行率は年齢とともに減少し、歩幅は年齢とともに増加する。

ハイガード歩行:12ヶ月頃
ミドルガード歩行:15ヶ月頃
ローガード歩行:18ヶ月頃

1.× 生後8か月は、ハイハイが可能となる。
2.〇 正しい。生後12か月は、ハイガード歩行が可能となる。またひとり立ちやひとり歩行が可能となる。
3.× 生後15か月は、ミドルガード歩行が可能となる。
4.× 生後18か月は、ローガード歩行が可能となる。
5.× 生後21か月は、2足1段で階段も上り下りできる子が増えてくる。2歳になると階段も昇ることができる。

 

 

 

 

 

 

 

4 28歳の男性。交通事故による頭部外傷のため入院した。作業療法が開始され、4か月が経過した。四肢に運動麻痺や感覚障害を認めず、歩行は自立している。日中はボーッとして過ごすことが多いが、促されると日課を行う。今日の日付を聞くと、カレンダーを見てようやく答えることができる。病棟と作業療法室の行き来では、今いる場所や行き先が分からなくなるので見守りが必要である。現時点の頭部CTを下図に示す。
 この患者の状態を評価するのに適切でないのはどれか。

1.TMT
2.MMSE
3.WCST
4.線分抹消検査
5.線分2等分検査

解答

解説

MEMO

・28歳の男性(交通事故による頭部外傷)。
・4か月経過:四肢に運動麻痺や感覚障害を認めず、歩行は自立。促すことで日課を行える。見当識障害あり。

→前頭葉に低吸収域が見られる。脳挫傷を疑われる。脳出血の急性期は白色(高吸収域)で描出されるが、慢性期になってくると血腫が吸収され、黒色(低吸収域)として描出される。

1.〇 正しい。TMT(Trail Making Test)は、一般的な注意障害の評価である。注意の維持と選択、また視覚探索・視覚運動協調性を測定する。ちなみに、TMT-AとTMT-Bがあり、TMT-Aは紙にランダムに記載された1~25の数字を1から順番に線で結び、作業完了までの所要時間を測定する。TMT-Bは紙に記載された1~13の数字と「あ」から「し」のひらがなを1→あ、2→い… といったように数字とひらがなを交互に結び、作業完了までの所要時間を測定する。
2.〇 正しい。MMSE(Mini Mental State Examination)は、認知障害に対するスクリーニング検査である。見当識、記銘力、注意と計算、 想起、言語、組み立ての各項目がある。30点満点のうち、26点以下で軽度認知隊害の疑い、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
3.〇 正しい。WCST(Wisconsin Card Sorting Test:ウィスコンシンカード分類テスト)は前頭葉機能検査法である。計画をたてること・計画を達成するためにとるべき行動を決めること、状況の変化に対応すること、衝動的に行動することを抑えるなどの「前頭葉の実行機能」を調べる検査である。提示されたトランプのようなカードを色・数・形のどれに基づいて分類するかを判断する。高次脳機能障害の検査などにも用いられる。
4.〇 正しい。線分抹消検査は、半側空間無視の検査である。線分抹消検査は、無作為にいくつかの線分が描かれた一枚の紙を提示され、そのすべての線分に印をつけていく検査である。しかし、全般性注意障害の影響を受けやすいので前頭葉の機能も関与する。ちなみに、線分抹消検査のカットオフは、36本の線で、2本見落としがあった時点で異常を判断される。
5.× 線分2等分検査は半側空間無視の検査である。検査用紙に描かれた3本の中央だと思うところにそれぞれ印をしてもらう検査である。ちなみに、異常がある場合、印の位置が右側に偏る場合が多い。

前頭葉障害の主症状

・遂行機能障害
・易疲労性
・意欲・発動性の低下
・脱抑制・易怒性
・注意障害
・非流暢性失語

 

 

 

 

 

 

 

5 13歳の男子。Duchenne型筋ジストロフィー。起立や独歩はできないが、四つ這いは可能である。
 この患者の厚生省筋萎縮研究班の機能障害度分類によるステージはどれか。

1.Ⅱ
2.Ⅲ
3.Ⅳ
4.Ⅴ
5.Ⅵ

解答

解説
1.× Ⅱは、階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とするレベルである。
2.× Ⅲは、階段昇降不能、平地歩行可能、通常の高さのイスからの立ち上がり可能レベルである。
3.× Ⅳは、歩行可能、イスからの立ち上がり不能レベルである。
4.〇 正しい。は、起立や独歩はできないが、四つ這いは可能なレベルである。
5.× Ⅵは、四つ這い不能だが、いざり移動可能レベルである。椅子上ADLで手指動作(食事・書字)以外は要介助となる。

厚生省「筋萎縮症」対策研究会による障害段階分類

ステージ1 歩行可能 介助なく階段昇降可能(手すりも用いない)
ステージ2 階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とする
ステージ3 階段昇降不能 平地歩行可能 通常の高さのイスからの立ち上がり可能
ステージ4 歩行可能 イスからの立ち上がり不能
ステージ5 歩行不能 四つ這い可能
ステージ6 四つ這い不能だが、いざり移動可能
ステージ7 這うことはできないが、自力で坐位保持可能
ステージ8 ベッドに寝たままで体動不能 全介助

 

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