第47回(H24) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題91~95】

 

91 Duchenne型筋ジストロフィーについて正しいのはどれか。

1.横隔神経麻痺を生じる。
2.閉塞性換気障害を生じる。
3.側弯症は呼吸機能に影響しない。
4.呼吸障害ではPaCO2 が上昇する。
5.呼吸不全は5歳以下から生じることが多い。

解答4

解説

筋ジストロフィーは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。

1.× 横隔神経麻痺を生じない。病気の進行に伴い、 呼吸筋の筋力低下により呼吸障害を呈する。ちなみに、横隔神経麻痺の原因は、横隔神経への直接的な圧迫や浸潤(多発神経炎、頸髄疾患、肺腫瘍、心臓手術時の局所冷却等など)であるが、特発性の症例も多い。
2.× 閉塞性換気障害ではなく、拘束性換気障害を生じる。なぜなら、呼吸筋の筋力低下のため。呼吸筋によって肺を膨らませることができない状態となる。
3.× 側弯症は、呼吸機能に影響を生じる。なぜなら、側弯症が高度になると、気管や気管支などの気道の狭窄が起こるため。
4.〇 正しい。呼吸障害ではPaCO2上昇する。なぜなら、拘束性換気障害を生じ肺胞低換気状態となるため。
5.× 呼吸不全は、5歳以下からではなく、20歳頃より生じることが多い。呼吸不全・心不全が本疾患の主な死因である。ちなみに、5歳頃より床からの立ち上がりに登攀性起立がみられ、9歳頃より歩行困難に、15歳ごろより座位保持困難となりやすい。

 

 

 

 

 

92 左心不全の症状はどれか。

1.高血圧
2.肝脾腫
3.起坐呼吸
4.下腿浮腫
5.頸静脈怒張

解答3

解説

心不全

心不全は心臓のポンプ機能低下のため末梢組織の酸素需要に見合った血液量を供給できない状態である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全、体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。

左心不全:呼吸困難(起座呼吸)、尿量減少など。
右心不全:頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など。

1.× 高血圧ではなく低血圧となる。なぜなら、左心機能の低下により全身に血液を送れないため。
2.× 肝脾腫は、右心不全により生じる。全身の静脈系のうっ滞をきたし、その結果、諸臓器にうっ血を呈する。ちなみに、肝脾腫とは、何らかの疾患の症状として、肝臓や脾臓が肥大することである。 
3.〇 正しい。起坐呼吸とは、左心不全の症状である。起坐呼吸とは、呼吸困難が臥位で増強し、起坐位(または半坐位)で軽減することをいう。起坐呼吸は、臥位をとると静脈還流が増え血液が肺にたまりやすくなり呼吸困難が増強するためみられる。
4~5.× 下腿浮腫/頸静脈怒張は、右心不全でみられる主な症状である。

 

 

 

 

93 糖尿病で最も眼病変が起こりやすい部位はどれか。

1.角膜
2.網膜
3.視神経
4.水晶体
5.ぶどう膜

解答2

解説

糖尿病の3大合併症

①網膜症、②腎症、③神経障害である。

1.3~5.× 角膜/視神経/水晶体/ぶどう膜は、最も眼病変が起こりやすい部位とはいえない。代表的な眼の合併症に糖尿病網膜症、糖尿病白内障、糖尿病緑内障などがあるが、糖尿病網膜症が最も頻度が高い。
2.〇 正しい。網膜は、糖尿病で最も眼病変が起こりやすい。血糖コントロールが不十分である糖尿病患者は、7~8年程度でほぼ半数以上が糖尿病網膜症を発症する。糖尿病網膜症は、網膜の血管障害により生じ、進行すると視力低下をきたす。また、症状は不可逆性であり、進行した糖尿病網膜症は改善されない。わが国における失明原因の上位を占めている。

 

 

 

 

 

 

94 肺気腫でみられるのはどれか。

1.横隔膜高位
2.1秒率の増加
3.機能的残気量の増加
4.解剖学的死腔の減少
5.心胸郭比(CTR)の増加

解答3

解説

肺気腫とは?

肺気腫は、終末気管支より末梢の気腔が異常に拡大し、肺胞壁の破壊を伴うが、明らかな線維化は認められない状態のことである。慢性閉塞性換気障害を呈する。ちなみに、閉塞性換気障害では何らかの原因により気道が閉塞して気流が制限され、呼気が障害される。

1.× 横隔膜は、高位ではなく低位となる。なぜなら、呼気の排出が障害され機能的残気量は上昇し、肺は過膨張するため。
2.× 1秒率は、増加ではなく低下する。なぜなら、呼気の排出が障害されるため。
3.〇 正しい。機能的残気量は増加する。なぜなら、肺気腫では呼気の排出が障害されるため。
4.× 解剖学的死腔は、減少ではなく増加する。なぜなら、肺胞壁の破壊が起こるため。解剖学的死腔とは、気道のうち、解剖学的に肺胞が存在しないためガス交換には直接関与しない、鼻腔から終末細気管支までのスペースのことである。
5.× 心胸郭比(CTR)は、増加ではなく減少する。なぜなら、心臓は過膨張した肺に圧迫されるため。心臓は、長細い適状心と呼ばれる形になる。ちなみに、心胸郭比(CTR)は、心臓と胸郭の大きさの比である。

 

 

 

 

 

 

95 運動負荷を漸増すべきでないのはどれか。

1.発症後2日のラクナ梗塞患者
2.抗凝固薬投与中の心房細動患者
3.発症後1週以内の労作性狭心症患者
4.在宅酸素療法導入後の慢性閉塞性肺疾患患者
5.下大静脈フィルター留置後の深部静脈血栓症患者

解答3

解説
1.〇 発症後2日のラクナ梗塞患者は、運動負荷を漸増できる。なぜなら、①アンダーソン・土肥の基準に当てはまらないこと、②脳梗塞の症状(意識障害)の増悪がみられないため。ちなみに、アンダーソン・土肥の基準において、心不全、心臓喘息、急性うっ血肝、全身の浮腫、胸腹水のある者などの基準がある。ラクナ梗塞とは、細い脳動脈穿通枝の小さな梗塞であり、意識障害はみられない。
2.〇 抗凝固薬投与中の心房細動患者は、運動負荷を漸増できる。なぜなら、アンダーソン・土肥の基準に当てはまらないため。ちなみに、アンダーソン・土肥の基準において、心房細動以外の著しい不整脈に対する運動療法は推奨されない。
3.× 発症後1週以内の労作性狭心症患者は、運動負荷を漸増すべきでない。アンダーソン・土肥の基準に当てはまる。
4.〇 在宅酸素療法導入後の慢性閉塞性肺疾患患者は、運動負荷を漸増できる。なぜなら、アンダーソン・土肥の基準に当てはまらないため。ちなみに、脈拍数が開始前より30%(老年者では20%)増加し時や呼吸困難の場合は、訓練を中止する必要があるため、評価しながら運動を提供する必要がある。
5.〇 下大静脈フィルター留置後の深部静脈血栓症患者は、運動負荷を漸増できる。なぜなら、運動することで、さらなる血栓を予防できるため。ちなみに、下大静脈フィルターの留置は、深部静脈血栓症のある患者では運動を契機として肺血栓塞栓による突然死をする可能性を予防する。

 

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