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46 てんかんの複雑部分発作の特徴で正しいのはどれか。
1.自動症がみられる。
2.短い意識消失が突然生じる。
3.強直間代けいれんが起こる。
4.自律神経症状が10秒から数分続く。
5.けいれんが手から腕、足へと移動する。
解答1
解説
てんかん発作は、大脳皮質における神経細胞の異常な興奮によって痙攣などの症状が出現する。発作型を大きく大別すると①部分発作(脳の一部分が過剰興奮して始まる)と、②全般発作(両側大脳半球が同時に過剰放電する)に分けられる。作業療法の場面では、意識消失・けいえん・無目的な行動(自動症)に注意する。
1.〇 正しい。自動症がみられる。自動症とは、口をもぐもぐしたり、無意識に歩きまわったり、その場に適応しない異常行動を生である。「複雑部分発作における精神運動発作(側頭葉てんかん)」でみられる。
2.× 短い意識消失(10秒以内)が突然生じるのは、全般性発作の特発性全般発作に分類される「欠神発作」である。
3.× 強直間代けいれんが起こるのは、全般発作の特発性全般発作に分類される「大発作」である。全般発作は、特発性全般発作(①強直間代発作、②欠神発作、③ミオクロニー発作)と続発性全般発作(①点頭てんかん、②レノックス症候群)に分類され意識消失を伴う。
4.× 自律神経症状が10秒から数分続くのは、部分性発作の単純部分発作に分類される「自律神経発作」にみられる。自律神経発作は、学童期に発症し意識障害を伴わない。知能は正常であるが、発作時に自律神経症状(腹痛、頭痛、嘔吐、頻脈、発汗など)を伴う。
5.× けいれんが手から腕、足へと移動するのは、部分性発作の単純部分発作に分類される「焦点発作(Jackson発作)」にみられる。焦点発作(Jackson発作)は、知能は正常で好発年齢・意識障害はないが、運動を司る大脳の一部が過剰に興奮することによって手や足が痙攣し、次第に全身の痙攣に発展してゆく発作である。
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【OT専門のみ】てんかんについての問題「まとめ・解説」
47 精神科長期入院患者の退院を支援するケア会議(カンファレンス)を行うことになった。
会議の実施方法で最も望ましいのはどれか。
1.退院時に1回行う。
2.患者本人も出席する。
3.過去の病歴を検討する。
4.司会は主治医に固定する。
5.参加メンバーを固定する。
解答2
解説
ケア会議とは、具体的な治療・援助対象ケースについて、その支援にかかわる多職種の専門職が一堂に会し、今後の在り方について専門的見地から意見交換をすることである。ケア会議を行うことで他職種との連携・協力が深まり、情報の共有と今後の方向性について明確な相互理解が得られ関係者間での情報および目標の共有、理解を深めることができる。
1.× 退院時に、「1回」と決まっているわけではなく、退院まで何度も行う。なぜなら、患者の状態に応じて、しばしば退院を支援する方法も変更となる可能性もあるため。
2.〇 正しい。患者本人も出席する。患者本人も会議に参加することで情報の共有と今後の方向性について明確な相互理解が得られることが期待できる。
3.× 過去の病歴を検討する優先度が低い。なぜなら、本症例の場合「退院を支援するケア会議(カンファレンス)」であるため。また、精神科長期入院患者の過去の病歴は、参加スタッフはすでに知っている可能性が高い。
4.× 司会は主治医に固定する必要はない。なぜなら、主治医の急遽不参加になった場合、会議が回らなくなる可能性もあるため。
5.× 参加メンバーを固定する必要はない。なぜなら、患者の退院に向けて多職種の連携が必要となってくるため。カンファレンスの内容に応じて必要なメンバーが参加する。
48 精神科作業療法室(オープンスペース)の使い方で誤っているのはどれか。
1.A:生活歴の聴取
2.A:作業遂行の援助
3.B:緊張緩和目的の卓球
4.C:相談の傾聴
5.C:質問紙を用いた面接
解答1
解説
1.× 生活歴の聴取をする場合、Aより「C」が適している。なぜなら、Aの場面では他の患者がおり、生活歴というプライバシーが保たれないため。患者の病歴、相談、心理検査などは、オープンスペースから隔離された環境で行う。
2.〇 Aは、作業遂行の援助ができる。作業療法士が他の患者の様子を観察でき、患者同士で交流も可能である。
3.〇 Bは、緊張緩和目的の卓球ができる。緊張緩和目的にはオープンスペースにある卓球台のほうが良い。
4~5.〇 Cは、相談の傾聴/質問紙を用いた面接ができる。なぜなら、患者は集中しやすく、プライバシーが保たれているという状況を作れるため。患者の病歴、相談、心理検査などは、オープンスペースから隔離された環境で行う。
①対面法:机を間に挟んでカウンセラーとクライエントが向かい合い(対面かつ真正面)座る方法である。顔や目線から読み取ることのできる情報が非常に多くクライアントの感情と表情の連動などを洞察することが可能であるが、クライエントが緊張し対話しにくくなる特徴を持つ。
②直角法:カウンセラーとクライエントが机の角を間に挟んで、直角になるような状態で座る方法である。視線が直接合わない。したがって、クライエントが緊張せずに対話することが出来る。対面法と比べるとどうしても視線や目の動きなどの表情を洞察することが難しくなる。
③平行法:カウンセラーとクライエントが横に並んで座る方法である。視線が直接合わない。クライエントが緊張せずに対話することが出来る。お互い真横で距離が近くなり、親近感を持って対話できる。カウンセラーがクライエントの作成した作品を一緒に見るという描画療法などの場合に用いられる。
49 統合失調症患者の退院直後の訪問時評価で優先度が高いのはどれか。
1.服薬管理
2.行動範囲
3.対人交流
4.金銭管理
5.余暇活動
解答1
解説
1.〇 正しい。服薬管理は、統合失調症患者の退院直後の訪問時評価で優先度が高い。なぜなら、維持期の目標として、①再発の防止、②患者がより良い生活を獲得することがあげられるため。服薬管理は、再発防止の観点で重要である。
2~5.× 行動範囲/対人交流/金銭管理/余暇活動は、優先度は低い。維持期の目標として、②患者がより良い生活を獲得することがあげられるが、生命維持や身の危険という観点から、優先度は服薬管理よりも劣る。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
50 評価者と対象者との関わりの期間が1か月以上必要とされる評価法はどれか。
1.カナダ作業遂行測定(COPM)
2.機能の全体的評定尺度(GAF)
3.作業に関する自己評価(OSA)
4.精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)
5.精神障害者ケアアセスメント(日本作業療法士協会版)
解答4
解説
1.× カナダ作業遂行測定(COPM:Canadian Occupational Performance Measure)は、クライエント中心の評価法で、CMOP(Canadian Model of Occupational Performance:カナダ作業遂行モデル)の理論をもとに、 クライエントが希望する「作業」の①重要度(セルフケア、生産活動、レジャーなど)、②遂行度(出来栄え)、③満足度をクライエント自身が主観的に評価する。その後に、再評価が続くが、初回の評価は1回の質問紙への記入で行うため、現時点の評価であり、それ以前の評価者と対象者の関わりの期間はいらないとしない。
2.× 機能の全体的評定尺度(GAF:Global Assessment of Functioning)は、理・社会・職業的機能について0~100の数字で評価する方法である。評価は過去1週間の最低レベルを評点とする。数字が大きいほど健康度が高い。
3.× 作業に関する自己評価(OSA:Occupational Self Assessment)は、人間作業モデルの作業に関する自己評価を行うための方法である。質問紙により、患者が現在の自分自身の作業機能状態を評価し、改善したい項目の優先度を記す。これに基づいて、患者が作業療法士と協働して作業機能を高めていくものである。その後に、再評価が続くが、初回の評価は1回の質問紙への記入で行うため、現時点の評価であり、それ以前の評価者と対象者の関わりの期間はいらないとしない。
4.〇 正しい。精神障害者社会生活評価尺度(LASMI:Life Assessment Scale for the Mentally ill)は、評価者と対象者との関わりの期間が1か月以上必要とされる評価法である。日常生活、対人関係、労働または課題遂行能力、持続性・安定性、自己認識の5つの大項目からなる評価尺度である。ちなみに、評価は過去1ヶ月間の行動について、0~4点の5段階で評価する。
5.× 精神障害者ケアアセスメント(日本作業療法士協会版)は、主訴、健康管理、生活エピソード、人的支援状況、経済面、生活習慣および介護状況、住宅環境、福祉機器、身体・日常生活能力、精神機能活動の各項目について、ケア必要尺度と社会的不利尺度により、地域生活維持に必要な能力を評定するものである。評価時期は、現時点での評価となる。