第46回(H23) 作業療法士国家試験 解説【午後問題41~45】

 

41 摂食障害患者に対する作業療法導入時の活動で適切なのはどれか。

1.耐久性を高める反復作業
2.集中して楽しめる手工芸
3.食事摂取のロールプレイ
4.行動制限を補う有酸素運動
5.対人交流をひろげるグループ活動

解答

解説

摂食障害とは?

摂食障害には、①神経性無食症、②神経性大食症がある。共通して肥満恐怖、自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤の使用抑うつの症状がみられる。作業療法場面での特徴として、過活動、強迫的なこだわり、抑うつ、対人交流の希薄さ、表面的な対応がみられる。患者の性格として、細かい数値へのこだわり(①体重のグラム単位での増減、②この食べ物はあの食べ物より〇カロリー多いなど)がみられる。

【摂食障害の作業療法のポイント】
①ストレス解消、②食べ物以外へ関心を向ける、③自身の回復(自己表出、他者からの共感、自己管理)、④過度の活動をさせない、⑤身体症状、行動化に注意する。

1.× なぜなら、耐久性を高める反復作業の優先度は低い。なぜなら、耐久性を高める反復作業は、ストレスがかかりやすいため。また、作業療法場面での特徴として、強迫的なこだわりもみられるため、反復作業では過剰になりやすく、疲労感を増す恐れもある。
2.〇 正しい。集中して楽しめる手工芸は、摂食障害患者に対する作業療法導入時の活動である。摂食障害患者は、食べ物への強い執着があり、食べ物のことが頭から離れなくなってしまう。このため、この症状を和らげるような作業療法を選択する必要がある。その際、導入時ということを考慮し、体力が消耗しないようにする。
3.× 食事摂取のロールプレイの優先度は低い。なぜなら、摂食障害患者は、食べ物への強い執着があり、食べ物のことが頭から離れなくなってしまうため。
4.× 行動制限を補う有酸素運動の優先度は低い。なぜなら、もともと体重減少のため過活動傾向がみられるため。有酸素運動は、摂食障害ではやりすぎて体力を消耗する可能性が高い。
5.× 対人交流をひろげるグループ活動の優先度は低い。なぜなら、摂食障害の患者は、導入時にグループ活動を行うと、より痩せているメンバーと競って痩せようとする可能性が高いため。

 

 

 

 

 

 

42 統合失調症の作業療法で、患者が最も混乱しやすいのはどれか。

1.担当者の識別
2.作業の手順
3.活動の時間
4.作業の場所
5.道具の用途

解答

解説

統合失調症の行動特性

統合失調症患者は、認知機能の障害により、物事を順序立てて考えることが難しい。したがって、一度にたくさんの課題に直面すると混乱する。一つの作業を繰り返すことは可能なことが多いが、複雑な工程や同時並行で作業を進めることは困難である。

【統合失調症の行動特徴】
①柔軟性がない、②計画性がない、③慣れがない、④同時並行ができない、⑤作業量に変動がある。

1.× 担当者の識別の混乱は少ない。しかし、柔軟性がないのが特徴で、担当者側の事情で交代があったときは、混乱することもある。
2.〇 正しい。作業の手順は、患者が最も混乱しやすい。統合失調症患者は、認知機能の障害により、物事を順序立てて考えることが難しい。したがって、一度にたくさんの課題に直面すると混乱する。一つの作業を繰り返すことは可能なことが多いが、複雑な工程や同時並行で作業を進めることは困難である。
3.× 活動の時間の混乱は少ない。しかし、計画性がないのが特徴で、今後の予定とすることは混乱することもある。
4~5.× 作業の場所/道具の用途の混乱は少ない。情報処理能力・遂行能力の低下により作業量に変動があるのが特徴である。

 

 

 

 

 

 

43 統合失調症維持期の作業療法の課題で適切でないのはどれか。

1.休息援助
2.資源利用
3.生活維持
4.再発防止
5.就労支援

解答

解説

統合失調症の経過

前駆期:身体症状(睡眠障害・頭重感・倦怠感など)、非特異的な精神症状(不安・抑うつ・集中困難・思考力の低下・知覚過敏など)、軽微な陽性症状(錯覚・奇異な思考など)。

急性期:幻覚(幻聴が多い)、妄想、自我障害(させられ体験、思考吹入、思考察知)、自閉、興奮。

消耗期:抑うつ、疲労感、意欲低下、感情の平板化、引きこもり。

回復期:周囲への関心、意欲の増加

維持期:再発の防止、患者がより良い生活を獲得する。

1.× 休息援助は、急性期から消耗期にかけての課題である。
2~5.〇 資源利用/生活維持/再発防止/就労支援は、統合失調症維持期の作業療法の課題である。

 

 

 

 

 

 

44 小児自閉性障害(自閉症)の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.てんかんが約25%に合併する。
2.精神遅滞が約25%に合併する。
3.3歳までに発症することはない。
4.常同的で反復的な運動が目立つ。
5.発症率は女児が男児の2倍である。

解答1・4

解説

①人間関係の樹立が困難、②意思伝達の障害、③常同的な反復行動、④男子に多い。

1.〇 正しい。てんかんが約25%に合併する。強直間代発作が多い。
2.× 精神遅滞は、約25%ではなく「約70%」に合併する。
3.× 3歳までに発症することが診断基準となっている。
4.〇 正しい。常同的で反復的な運動が目立つ。興味は限定され、行動はワンパターン化しそれを何度も繰り返す。
5.× 逆である。発症率は女児より男児の方が多い。女児の3~4倍である。

Asperger症候群(アスペルガー症候群)とは?

Asperger症候群(アスペルガー症候群)の特徴(小児自閉性障害と異なる点)
 ①言語発達の遅れはない、②知能は正常であることが多い、③対人接触に無関心というよりはむしろ常軌を逸し一方的に接近しようとする、などのことが挙げられる。
 また、興味・関心の幅が狭いので新たな作業の導入には抵抗が強く、その一方で同じ作業を続ける力はもともと(こだわりが)ある。作業や通所が続かなくなる理由には、対人関係技能が低下しているために、困っていても援助を求める方法を知らないため、本人の無理のない範囲でコミュニケーション能力をつけていく作業療法が必要である。

 

 

 

 

 

 

45 注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.女児に多い。
2.気が散りやすい。
3.会話時に視線を合わせない。
4.順番を待つことができない。
5.症状は小学校に入学してから現れることが多い。

解答2・4

解説

注意欠陥多動性障害(ADHD)とは?

注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、発達障害の一つであり、脳の発達に偏りが生じ年齢に見合わない①注意欠如、②多動性、③衝動性が見られ、その状態が6ヵ月以上持続したものを指す。その行動によって生活や学業に支障が生じるケースが多い。治療として、①まず、行動療法を行う。②改善しない場合は、中枢神経刺激薬による薬物療法を用いる。中枢を刺激して、注意力・集中力を上げる。※依存・乱用防止のため、徐放薬が用いられる。

1.× 女児ではなく「男児」に多い。男女比はおよそ3:1である。
2.〇 正しい。気が散りやすい。①注意欠如がみられる。
3.× 会話時に視線を合わせないのは、小児自閉性障害(自閉症)に特徴的である。
4.〇 正しい。順番を待つことができない。②多動性、③衝動性がみられる。
5.× 症状は、「小学校に入学してから」ではなく「6歳以前から」現れることが多い。ただし、幼稚園や小学校などの集団で秩序だった生活が求められる時期に明らかになることが多い。

 

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