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36.自律神経過反射で生ずる症状はどれか。2つ選べ。
1.頻脈
2.頭痛
3.顔面紅潮
4.血圧低下
5.発汗抑制
解答2/3
解説
自律神経過反射は、T5~6以上の脊髄損傷患者において、損傷部以下の臓器からの刺激によって起こる自律神経の異常反射である。内臓神経の抑制が解除されるため、主に骨盤内臓器が緊張する促通刺激が原因となり誘発される。原因は①膀胱刺激、②直腸刺激、③内臓刺激、④皮膚刺激などが挙げられる。生命の危険を伴い合併症を伴う。自律神経過反射の症状は、高血圧、ガンガンする頭痛、顔面紅潮、損傷レベルより上部での発汗、鼻詰まり、吐き気、脈拍60以下の徐脈、損傷レベルより下部の鳥肌である。
1.× 「頻脈」ではなく徐脈がみられる。血圧が上昇する結果、脈拍60以下の徐脈になることが多い。
2〜3.〇 正しい。頭痛/顔面紅潮は自律神経過反射で起こる。
4.× 血圧は、「低下」ではなく上昇する。なぜなら、内臓神経の抑制が解除されるため、主に骨盤内臓器が緊張する促通刺激が原因となり誘発されるため。
5.× 発汗は、「抑制」ではなく亢進する。ちなみに、神経が保たれている障害レベルより上位でみられる。
37. 1歳児よりも3歳児で計測値が減少するのはどれか。2つ選べ。
1.歩隔(cm)
2.歩行率(歩/分)
3.1歩行周期(秒)
4.単脚支持期(秒)
5.重複歩距離(cm)
解答1/2
解説
12ヶ月ごろ歩き始める。主な特徴として、①上肢挙上位、②足底全体接地、③歩隔が大きい(股関節外転位)である。小児は、身体の重心位置が相対的に高位で不安定なため、支持基底面の拡大で安定性を確保する。歩行率は年齢とともに減少し、歩幅は年齢とともに増加する。ちなみに、歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
1.〇 正しい。歩隔(cm)は、1歳児よりも3歳児で減少する。なぜなら、支持基底面の拡大で安定性を確保するため。歩隔とは、歩く時の両足間の横の幅のことである。
2.〇 正しい。歩行率(歩/分)は、1歳児よりも3歳児で減少する。なぜなら、成長に伴い歩幅が下肢長に比例するためである。歩行率(歩調、ケイデンスとも)とは、単位時間内(1分間)の歩数を表す。歩行率=歩数(歩)÷歩行時間(秒)で示され、一般的に幼児で高く(ヨチヨチ歩きで歩数が多いため)、年齢が高くなるにつれて減少していく。
3.× 1歩行周期(秒)は、1歳児よりも3歳児で増加する。なぜなら、年齢とともに歩幅が増加し、ゆっくり歩くことができるようになるため。
4.× 単脚支持期(秒)は、1歳児よりも3歳児で増加する。なぜなら、年齢とともに歩行の安定性が増すため。
5.× 重複歩距離(cm)は、1歳児よりも3歳児で増加する。なぜなら、年齢とともに歩幅が増加するため。ちなみに、重複歩距離とは、踵接地から同側の踵が再び接地するまでの距離である。
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【PT専門】歩行周期についての問題「まとめ・解説」
38.小児のADL評価法はどれか。
1.DDST(Denver Developmental Screening Test)
2.GMFM(Gross Motor Function Measure)
3.MAT(Motor Age Test)
4.PEDI(Pediatric Evaluation of Disability Inventory)
5.WISC-R(Wechsler Intelligence Scalefor Children-Revised)
解答4
解説
1.× DDST(Denver Developmental Screening Test:デンバー式発達スクリーニング検査)は、発達に障害のある可能性の高い児をみつけることを目的とする。
2.× GMFM(Gross Motor Function Measure:粗大運動能力尺度)は、日常生活を送る上で基盤となる能力(座ること、歩行、寝返りなど)の変化を捉え、治療効果を判定するための評価的尺度である。
3.× MAT(Motor Age Test:運動年齢検査) は、運動発達の評価法である。運動年齢と暦年齢との比較を指数として表したものである。
4.〇 正しい。PEDI(Pediatric Evaluation of Disability Inventory:リハビリテーションのための子供の能力低下評価法)は、小児のADL評価法である。ちなみに、小児のADL を評価するには他に、FIMの子ども版のWeeFIMがある。
5.× WISC-R(Wechsler Intelligence Scalefor Children-Revised:ウエクスラー式知能検査)は、小児の知能検査法のひとつである。
子ども(生後6か月から7歳半)を対象とした包括的機能評価表である。
評価は、【機能的スキル】と【複合活動】からなる。
それぞれ、①セルフケア、②移動、③社会的機能の3領域に分類される。
機能的スキル:197項目。
複合活動:20項目。
個々の項目では、特定の動作について両親や児をよく知る者に質問して能力を評価する。
介護者による援助尺度や、補助具等の使用についての調整尺度も設定されている。
39.慢性閉塞性肺疾患の呼吸理学療法で正しいのはどれか。
1.運動中の息こらえを避ける。
2.上肢のトレーニングは避ける。
3.酸素吸入が必要な運動は避ける。
4.嫌気的代謝能を優先して向上させる。
5.運動中のSpO2は80%を保持できればよい。
解答1
解説
慢性閉塞性肺疾患には肺気腫、慢性気管支炎の2疾患がある。40歳以上の喫煙者(男性)に多い。症状としては慢性的な咳・痰や軽度の運動でも生じる労作性呼吸困難などがある。慢性閉塞性肺疾患に対する理学療法としては、呼吸訓練 (口すぼめ呼吸、 腹式呼吸など)、 呼吸筋の筋力増強、正しい排痰法による気道浄化、歩行訓練などが挙げられる。
1.〇 正しい。運動中の息こらえを避ける。なぜなら、呼吸への負担を軽減するため。筋収縮は息を吐きつつ行うように指導する。
2.× 上肢のトレーニングを避ける必要はない。なぜなら、上肢の筋は、間接的に呼吸に関与しているため。また、下肢による全身持久力トレーニングに上肢の筋力トレーニングを加えると、上肢を挙上させたときの酸素消費量が低下し、日常動作に伴う呼吸困難感はより軽減することが報告されている。
3.× 酸素吸入が必要な運動を避ける必要はない。特に入浴に関して、酸素吸入しながら実施するよう指導することが多い。ただし、運動・入浴中のSpO2は90%以上を保持するよう、その際には酸素流量をやや増やすことが多い。
4.×優先して向上させるのは、「嫌気的代謝能」ではなく好気的代謝能である。好気的代謝能を向上させるために、運動療法では有酸素運動を行う。ちなみに、嫌気的代謝能とは、無酸素下にて、筋細胞でエネルギーを生成する。早い反応が特徴である。
5.× 運動中のSpO2は、「80%」ではなく90%以上に保持する必要がある。運動中でも80%は呼吸不全状態である。
40.胸髄完全損傷患者の運動で広背筋の作用でないのはどれか。
1.プッシュアップを容易にする。
2.骨盤をコントロールする。
3.呼吸運動を促進する。
4.肩甲帯を固定する。
5.体幹を固定する。
解答3
解説
【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角
【停止】上腕骨の小結節稜
【作用】肩関節内転、伸展。多少内旋。
広背筋は、頸髄・胸髄損傷において、プッシュアップで骨盤を挙上するときに体幹を前屈させ、骨盤を後方へ引き上げる働きをする。
1.〇 プッシュアップを容易にする。広背筋は、頸髄・胸髄損傷において、プッシュアップで骨盤を挙上するときに体幹を前屈させ、骨盤を後方へ引き上げる働きをする。
2.〇 骨盤をコントロールする。広背筋は、上肢と骨盤をつないでいる。
3.× 広背筋は、「呼吸運動を促進する」のではなく実際に行っている筋である。健常者において、広背筋が深い吸気の間、そして咳やくしゃみなどの強力な呼吸機能で活動している報告がされている。ちなみに、呼吸運動の調節は、中枢を流れる血液の温度、成分によって影響され、①血液の温度上昇、②二酸化炭素の増加、③pHの減少によって中枢が興奮し、呼吸運動が促進される。
4.〇 肩甲帯を固定する。肩甲骨の安定化機構としてローテーターカフがあるが、肩甲骨の固定は、僧帽筋下部線維、広背筋が主に働く。
5.〇 体幹を固定する。ただし、広背筋の主な作用は、肩関節内転、伸展・多少内旋である。現在、広背筋が脊椎の伸展、側屈、または回転にどの程度の影響を与えるかについての報告は定まっていない。