第46回(H23) 理学療法士国家試験 解説【午前問題31~35】

 

31.ポリオ後症候群において正しいのはどれか。2つ選べ。

1.ポリオ罹患から数十年後に障害の進行がみられる。
2.原因はボリオウイルスによる再燃である。
3.深部感覚障害を合併する。
4.肥満は原因の一つとなる。
5.嚥下障害はきたさない。

解答1/4

解説

ポリオ後症候群とは?

ポリオ後症候群とは、小児期にポリオ(急性灰白脊髄炎:いわゆる小児まひ)に罹患し、いったん十分に機能回復して通常の社会生活を過ごしていた成人に、40歳から50歳代に新たに現れる筋力低下・筋萎縮・疲労・筋痛を主訴とし、寒冷耐性の低下・関節痛・呼吸機能障害・嚥下障害・睡眠障害・認知障害などの多彩な症状を伴う種々の機能障害の総称である。ポリオで傷害を受けた末梢神経を長年酷使することで、神経がダメージを受ける病態であるため、神経に負荷がかかりにくい訓練を実施する。

リハビリテーションのポイントとして過用の防止、廃用の予防、低負荷反復運動、生活習慣の再構築などがあげられている。

1.〇 正しい。ポリオ罹患から数十年後に障害の進行がみられる。ポリオ後症候群とは、小児期にポリオ(急性灰白脊髄炎:いわゆる小児まひ)に罹患し、いったん十分に機能回復して通常の社会生活を過ごしていた成人に、40歳から50歳代に新たに現れる筋力低下・筋萎縮・疲労・筋痛を主訴とし、寒冷耐性の低下・関節痛・呼吸機能障害・嚥下障害・睡眠障害・認知障害などの多彩な症状を伴う種々の機能障害の総称である。
2.× 原因は、ボリオウイルスによる再燃と断定できていない。過用や廃用を原因とする説もあったり、原因はいまだにはっきりとしていない。
3.× 深部感覚障害は伴わない。ちなみに、ポリオウイルスは、脊髄の前角細胞に感染するため運動麻痺がおこる。
4.〇 正しい。肥満は原因の一つとなる。50~60歳前後のポリオ経験者は、後遺症のある手や足に過剰な負担をかけないようにする。この年代で集中的な筋肉トレーニングを行ったり、スキーや登山で足の筋肉を酷使した直後に発現した例がいくつも報告されている。肥満やトレーニングにより、筋肉や関節に余分の負担をかけないようにする。
5.× 嚥下障害をきたす。嚥下に関与する筋萎縮もみられる。

 

 

 

 

 

 

32.外傷と合併しやすい神経麻痺との組合せで正しい

1.上腕骨骨幹部骨折:腋窩神経麻痺
2.尺骨骨折:正中神経麻痺
3.股関節後方脱臼:坐骨神経麻痺
4.大腿骨顆部骨折:大腿神経麻痺
5.脛骨骨幹部骨折:脛骨神経麻痺

解答3

解説
1.× 上腕骨骨幹部骨折は、腋窩神経麻痺ではなく橈骨神経麻痺が合併しやすい。ちなみに、腋窩神経麻痺は肩関節脱臼で合併しやすい。
2.× 尺骨骨折(骨幹部)は、正中神経麻痺ではなく尺骨神経麻痺が合併しやすい。ちなみに、正中神経麻痺は、橈骨遠位端骨折で合併しやすい。
3.〇 正しい。股関節後方脱臼は、坐骨神経麻痺が生じやすい。股関節後方脱臼は、膝および股関節を屈曲させた状態で膝に対して後方に強い力が加わった結果生じる(例:自動車のダッシュボードにぶつかる)。
4.× 大腿骨顆部骨折は、大腿神経麻痺ではなく総腓骨神経麻痺が合併しやすい。ちなみに、大腿神経麻痺の原因として、①神経の過進展、②圧迫を引き起こす体位、③開創拘による圧迫などの手術手技などである。
5.× 脛骨骨幹部骨折は、脛骨神経麻痺ではなく腓骨神経麻痺が合併しやすい。ちなみに、脛骨神経麻痺の原因として、強い外力(①交通事故、②スポーツ中の事故、③仕事中の事故など)で発生することが多い。

 

 

 

 

 

33.骨粗鬆症性骨折が起こりやすいのはどれか。

1.頸椎
2.鎖骨
3.胸椎
4.腓骨
5.踵骨

解答3

解説

骨粗鬆症について

①原発性骨粗鬆症とは、閉経後や高齢者にみられる骨粗鬆症のことである。

②続発性骨粗鬆症発症とは、結果として二次的な骨量喪失が起こる骨粗鬆症のことをいう。例えば、骨代謝に影響を及ぼすホルモンやサイトカイン異常、不動など骨への力学的負荷の減少、骨構成細胞や物質の異常、全身的および血管障害などの局所的栄養障害などによって起こる。これら骨粗鬆症は原疾患に基づいて発症する続発性骨粗鬆症であるため、原疾患の適切な治療により正常化することが期待しうるが、骨代謝の正常化を期待するには不十分であることが多く、また先天性異常では改善は望めず、多くの症例で骨量喪失に対する治療を要することが多い。

 骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。したがって、選択肢3.胸椎が正しい。

 

 

 

 

 

 

34.転移性骨腫瘍で正しいのはどれか。

1.安静により骨折は予防できる。
2.造骨性転移では病的骨折は少ない。
3.虚血で生じる脊髄麻痺は徐々に進行する。
4.骨転移による痛みに対して温熱療法を行う。
5.前立腺癌の骨転移はエックス線写真にて骨吸収像を示す。

解答2

解説

悪性腫瘍について

悪性腫瘍は、上皮性のものを「癌(癌腫)」、非上皮性のものを「肉腫」と呼ぶ。骨肉腫には、他の臓器に発生したがんが骨に転移する「転移性骨腫瘍」と、骨自体からがんが発生する「原発性骨悪性腫瘍」の2種類があり、後者は主に肉腫と呼ばれる腫瘍がほとんどである。

骨に腫瘍が転移する場合、溶骨型 (80%)と造骨型 (20%)がある。原発巣としては乳癌、前立腺癌、胃癌、甲状腺癌、肺癌などが多く、転移部位としては脊椎転移が多い。造骨型は、前立腺癌の骨転移の85%、乳癌の30%などとされる。ちなみに、転移性骨腫瘍では疼痛をコントロールすることが目標となる。骨痛に対しての鎮痛薬、放射線治療、ビスホスホネート系薬剤を用いる。

1.× 安静により、骨折を予防することはできない。なぜなら、悪性腫瘍の骨折は、病的骨折に分類されるため。ちなみに、病的骨折とは、骨の病変による強度低下が基盤となって、通常では骨折を起こすとは考えられない軽微な外力で生じる。
2.〇 正しい。造骨性転移では病的骨折は少ない。なぜなら、造骨性転移の場合、 骨髄内に骨硬化像が出現するため。
3.× 虚血で生じる脊髄麻痺は、徐々に進行するのではなく、比較的急速に進行する。なぜなら、脊椎管内は狭いため。
4.× 骨転移による痛みに対して、温熱療法ではなく薬物療法を中心に行う。そもそも腫瘍に対し温熱療法は禁忌である。
5.× 前立腺癌の骨転移は、エックス線写真にて骨吸収像を示すことはない。造骨型転移とは、骨を造るタイプであるが、造られた骨は正常な骨組織ではない。骨折は少ないが、骨痛を訴えることが多くある。レントゲンやCTでは病巣部が白く映ることが特徴である。

 

 

 

 

 

35.ASIA(American Spinal Injury Association)の運動評価における脊髄レベルとkey muscles(検査筋)との組合せで誤っているのはどれか。

1.C5:肘屈筋群
2.C6:手背屈筋群
3.C7:肘伸筋群
4.C8:指伸筋群
5.T1:小指外転筋

解答4

解説

ASIAとは?

ASIA(American Spinal Injury Association:米国脊髄損傷協会)の脊髄損傷の神経学的・機能的国際評価法は、運動機能スコアと知覚機能スコアの得点結果から、①神経損傷高位、②機能障害スケール、③臨床症状分類を判断できるように構成されている。

1.〇 肘屈筋群(上腕二頭筋)は、C5である。
2.〇 手背屈筋群(橈側手根伸筋)は、C6である。
3.〇 肘伸筋群(上腕三頭筋)は、C7である。
4.× C8は、指伸筋群ではなく手指屈筋である。
5.〇 小指外転筋(骨間筋)は、T1である。

 

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