第46回(H23) 理学療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

 

26.腰痛体操はどれか。2つ選べ。

1.Böhler体操
2.Frenkel体操
3.Klapp体操
4.McKenzie体操
5.Williams体操

解答4/5

解説
1.× Böhler体操(ベーラー体操)は、脊椎伸展運動によって背筋の筋力強化を目的とした体操である。脊椎圧迫骨折後などが対象である。
2.× Frenkel体操(フランクル体操)は、小脳性協調運動障害の治療として用いられる。
3.× Klapp体操(クラップ体操)は、側弯体操のひとつで、葡萄運動を行うものである。
4.〇 正しい。McKenzie体操(マッケンジー法)は、腰痛体操である。腰痛症に対して使用する。ニュージーランドの理学療法士「ロビン・マッケンジー氏」により考案された、腰部の伸展を主に行う運動である。脊柱の生理的前弯の減少に対し、関節可動域を改善することで脊柱前弯を獲得させ、椎間板内の髄核を前方に移動させることを目的に行う。
5.〇 正しい。Williams体操(ウィリアムス体操)は、腰痛体操である。目的は、腰痛症に対して腰部の負担を軽減することである。方法として、腹筋・大殿筋・ハムストリングス・背筋群のストレッチングを行う。

 

 

 

 

 

 

27.Wallenberg症候群において病巣と同側に認めるのはどれか。2つ選べ。

1.下肢麻痺
2.小脳失調
3.声帯麻痺
4.上下肢の触覚低下
5.上下肢の温痛覚脱失

解答2/3

解説

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)とは?

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。

(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)

1.× 下肢麻痺は起こらない。なぜなら、錐体路は障害されないため。
2.〇 正しい。小脳失調は、Wallenberg症候群において病巣と同側に認める。
3.〇 正しい。声帯麻痺は、Wallenberg症候群において病巣と同側に認める。障害側(病巣側)にHorner症候群(額無汗、眼瞼下垂、眼裂の狭小化、縮瞳)や 球麻痺(咀嚼障害、 嚥下障害、 構音障害)などが起こる。
4.× 上下肢の触覚低下は起こらない。なぜなら、精細触覚の伝導路(識別のある触覚)は障害されないため。延髄レベルでは内側毛帯を上行する。
5.× 上下肢の温痛覚脱失は、病巣の反対側に起こる。ちなみに、深部感覚は障害されず、解離性知覚障害となる。

詳しくはこちら↓

神経伝導路を1から分かりやすく解説します。

 

 

 

 

 

28.実用性歩行が可能な脳卒中患者に対する維持期理学療法で最も期待できる効果はどれか。

1.麻痺の重症度の改善
2.下肢痙縮の改善
3.感覚障害の改善
4.持久力の向上
5.認知症の改善

解答4

解説

1~3.× 麻痺の重症度の改善/下肢痙縮の改善/感覚障害の改善/は、主に急性期で期待できる。慢性期や維持期の脳卒中患者に対しての理学療法指導の目的は、転倒等を予防し日常生活を危険なく送ること、寝たきり・認知症の予防、残された運動能力の維持・向上などである。
4.〇 正しい。持久力の向上は、維持期理学療法で最も期待できる。慢性期や維持期の脳卒中患者に対しての理学療法指導の目的は、転倒等を予防し日常生活を危険なく送ること、寝たきり・認知症の予防、残された運動能力の維持・向上などである。
5.× 認知症の改善は難しいことが多い。つまり、認知症自体を改善することは期待できない。本症例は脳卒中後であるため、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)によって生じる脳血管性認知症を呈していると考えられる。多発性ラクナ梗塞が原因の場合、左右の大脳基底核や視床に多数の梗塞巣がみられる。脳の細胞は一度死んでしまうと戻ることはない。脳血管性認知症の記憶障害やその他の認知機能障害を改善させる確実な方法は現在ないため、脳血管障害の再発予防と認知症の症状への対症療法が治療の中心となる。脳血管性認知症は脳血管障害を再発することで悪化していくことが多いため、再発予防が特に重要である。

 

 

 

 

 

 

29.Parkinson病患者に抗Parkinson病薬を長期投与した場合に生じ得る症状で誤っているのはどれか。

1.高血圧
2.on-off現象
3.精神症状の出現
4.wearing-off現象
5.不随意運動の増強

解答1

解説

1.× 高血圧ではなく、低血圧がみられる。初期症状として起立性低血圧がみられることがある。
2.〇 正しい。on-off現象は、抗Parkinson病薬を長期投与した場合に生じ得る。on-off 現象とは、薬効時間の短縮による症状の日内変動のことである。対策としては、服用回数を増やすことがあげられる。
3.〇 正しい。精神症状の出現(幻覚、夜間せん妄など)は、抗Parkinson病薬を長期投与した場合に生じ得る。幻覚は、人・虫が多い。また抑うつも出現しやすい。
4.〇 正しい。wearing-off現象は、抗Parkinson病薬を長期投与した場合に生じ得る。wearing-off 現象とは、薬効不安定さによる突然の症状悪化や軽快することをいう。対策としては、服薬の減量を行う。
5.〇 正しい。不随意運動の増強(口舌ジスキネジー、舞踏様運動など)は、抗Parkinson病薬を長期投与した場合に生じ得る。

 

 

 

 

 

 

30.多発筋炎で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.筋痛に対しては温熱療法を行う。
2.急性期には車椅子自走で移動する。
3.急性期治療時から下肢筋力増強訓練が推奨される。
4.股関節部に疼痛が出現した時は大腿骨頭壊死の合併に注意する。
5.慢性期の運動負荷量の決定には血清CKの推移が参考となる。

解答4/5

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.× 筋痛に対して温熱療法は行えない場合がある。なぜなら、多発筋炎では悪性腫瘍を合併しやすく、悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるため。また、病初期の2~3週(急性期)の場合は、筋炎・筋痛の鎮静化のため安静をとる。したがって、温熱療法は症状が悪化する恐れもある。悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
2.× 急性期には車椅子自走で移動するといった決まりはない。治療開始時の日常生活は、安静が必要であるが、過度の運動は筋障害を悪化させる可能性もあり一定の見解はない。むしろ、車椅子自走は上肢の過用につながる。
3.× 下肢筋力増強訓練が推奨されるのは、急性期治療時ではなく回復期である。日常生活では、治療開始時は安静が必要である。回復が始まってからはリハビリが必要である。ただし、過度の運動は筋障害を悪化させる可能性もあり一定の見解はない。
4.〇 正しい。股関節部に疼痛が出現した時は大腿骨頭壊死の合併に注意する。大腿骨頭壊死は、多発筋炎などの膠原病にみられることがあり、治療に用いられるステロイドが原因と考えられている。
5.〇 正しい。慢性期の運動負荷量の決定には血清CKの推移が参考となる。血清CKは、筋肉に多量に存在する酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たす。 そのため、筋肉に障害があると、血清CKは高値になる。筋炎の鎮静化を確認する指標となる。

 

2 COMMENTS

匿名

46回午前27でWallenberg症候群で、病側と対側の上下肢触覚低下って書いてありますけど、本当ですか?参考文献あったら教えてください。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘どおり間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後とも宜しくお願いいたします。

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