第46回(H23) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題96~100】

 

96.ビタミンB1(チアミン)欠乏によるのはどれか。2つ選べ。

1.脚気
2.痛風
3.ペラグラ脳症
4.Mallory-Weiss(マロリー・ワイス)症候群
5.Wernicke-Korsakoff(ウェルニッケ・コルサコフ)症候群

解答1/5

解説

1.5.〇 正しい。脚気/Wernicke-Korsakoff(ウェルニッケ・コルサコフ)症候群は、ビタミンB1(チアミン)欠乏によって起こる。ビタミンB(チアミン)欠乏症では、①末梢神経の症状として脚気、②中枢神経の症状としてKorsakoff症候群(コルサコフ症候群)である。Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)とは、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話が特徴的な症状である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。
2.× 痛風は、高尿酸血症によって起こる。関節炎をきたす。
3.× ペラグラ脳症は、ニコチン酸欠乏などによって起こる。ペラグラ脳症とは、皮膚・消化管・脳に影響を及ぼし、光線過敏症や皮膚の変色、下痢、錯乱・幻覚といった精神症状をきたす。 
4.× Mallory-Weiss(マロリー・ワイス)症候群の原因は、嘔吐を繰り返すことで腹圧が上がり、食道下部から胃の入り口付近にかけての粘膜に強い圧力がかかることである。嘔吐後に下部食道の裂創が生じ、吐血・下血をきたす。

 

 

 

 

 

 

97.物質依存についての組合せで適切なのはどれか。

1.カフェイン:共依存
2.べンゾジアゼピン:離脱症状
3.トルエン:嫉妬妄想
4.大麻:身体依存
5.覚せい剤:滞続言語

解答2

解説

物質依存(薬物依存)

物質依存(薬物依存)には2種類ある。
①強迫的欲求 (精神依存)「生体が持続的・周期的にその薬物を摂取したい」という状態。
②離脱症状(身体依存)「その物質を急に摂取しなくなると生体が症状を起こす」状態。

1.× カフェインは共依存ではなく精神依存をきたす。共依存とは、援助者と患者との関係に関するあるタイプの依存をいい、患者が援助者に依存する関係を、援助者も無意識に望んでいる(依存している)ような関係をいう。カフェインとは関係がなく、カフェインは、適量では眠気や疲れをとる作用があるが、過量摂取ではいらいら、不
眠を引き起こす。
2.〇 正しい。べンゾジアゼピン(睡眠作用や抗不安作用)は、離脱症状(身体依存)をきたす。中止により、手指のふるえ、冷汗、不安、いらいら、不眠などの離脱症状が出現する。
3.× トルエンとは、無色透明の液体で、水にはきわめて溶けにくい有機化合物である。身体依存はないが強い精神依存がある。使用していないと不安、無気力となる。嫉妬妄想は、アルコール依存症者にみられる。配偶者が不倫をしているのではないかなどと疑う妄想をいう。
4.× 大麻(マリファナ)は、身体依存はないが、精神依存はみられる。精神症状として、高揚感・幻覚・錯覚などがみられ、身体症状として、散瞳・流涙・振戦などがみられる。
5.× 覚せい剤は、身体依存はないが、精神依存はみられる。精神症状として、多幸感・活動性の増大・興奮などがみられ、身体症状として、不眠・食欲減退・頻脈などがみられる。ちなみに、滞続言語は、会話に同じ内容の言葉が繰り返し出現するものである。前頭側頭型認知症(ピック病)に特徴的である。

 

 

 

 

 

 

98.「自分の周辺でただならぬ事件が起こっている気配がして不気味だ」という訴えはどれか。

1.強迫観念
2.社会恐怖
3.妄想気分
4.作為体験
5.支配観念

解答3

解説

1.× 強迫観念は、主に強迫性障害でみられる。ちなみに、強迫観念は、自分では不合理だとわかっていても絶えず頭に浮かんできてしまう考えのことである。
2.× 社会恐怖(症)=社交(社会)不安障害は、対人場面において、過剰な不安や緊張が誘発されるあまり、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現する。
3.〇 正しい。妄想気分は、なんとなく不気味な気分「不気味な何かが起こりそうだ」という一次妄想である。一次妄想は、その生じ方が心理的に了解できないのに対して、二次妄想は妄想の発生が(なんとか)了解・可能なものとなる。したがって、「自分の周辺でただならぬ事件が起こっている気配がして不気味だ」という訴えは妄想気分といえる。
4.× 作為体験(させられ体験)とは、自分が他者に操られ、他者の意のままに行動させられているという体験である。 統合失調症にみられる。
5.× 支配観念とは、強い感情を伴った思考あるいは観念が精神生活全体を支配し、それが長期にわたって持続するものをいう。つまり、ある一つの考えが感情に結びつき、他の思考を押しのけて優先し持続している状態のことをいう。特定の精神疾患に結びつくものではない。

 

 

 

 

 

 

99.パニック発作に関して正しいのはどれか。

1.健忘を残す。
2.予期不安がある。
3.転換症状である。
4.脳波で棘徐波を認める。
5.フラッシュバックを伴う。

解答2

解説

パニック障害とは?

パニック障害とは、突然前触れもなく(誘因なく)、動悸・息苦しさ・めまいなどの症状が出現するパニック発作を繰り返し、そのため「またあの発作が起きたらどうしよう」と過度に心配になって、外出などが制限される病気である。

1.× 健忘は残さない。なぜなら、意識は清明であるため。
2.〇 正しい。予期不安がある。予期不安とは、パニック発作を一度経験して、「あの恐ろしい発作がまた起きるのではないか」という不安感が生じることである。パニック発作にはこの予期不安が必ず伴い、発作を繰り返すごとにこの不安がさらに強くなっていき症状を悪化させていく。
3.× 転換症状はない。転換症状とは、欲求が抑圧されて無意識的な葛藤が生じ、それが感覚系あるいは随意運動系の身体症状(たとえば言や四肢の麻痺)などに置き換えられた(転換された) 症状をいう。解離性(転換性) 障害でみられる。
4.× 脳波で棘徐波(異常脳波)は認めないてんかんでみられる。
5.× フラッシュバックは伴わない。フラッシュバックとは、(心的) 外傷的な出来事に関する苦痛な記憶が侵入的に繰り返し想起される現象である。心的外傷後ストレス障害(外傷後ストレス障害:PTSD)で認められる。

 

 

 

 

 

 

100.摂食障害でみられないのはどれか。

1.徐脈
2.無月経
3.低体温
4.高血圧
5.電解質異常

解答4

解説

摂食障害とは?

摂食障害には、拒食症(神経性無食欲症)と過食症(神経性過食症)がある。思春期~青年期の若い女性に発症しやすい。病的な痩せ願望があり、ゆがんだボディーイメージ(痩せているのに太っていると思い込む)のために極端な食事制限や下剤の乱用を行う。その結果、極端なやせ、月経の停止、うぶ毛の増加などがみられる。性格的には頑固で競争心が強く、活動性も高いため、学業成績は優秀なことであることが多い。

1~3.〇 徐脈/無月経/低体温/は、拒食症(神経性無食欲症)にみられる。なぜなら、低栄養となるため。
4.× 高血圧ではなく、低血圧となる。なぜなら、低栄養となるため。
5.〇 電解質異常は、拒食症(神経性無食欲症)と過食症(神経性過食症)どちらにもみられる。なぜなら、自己誘発性嘔吐のため。機序として、①低クロール血症による代謝性アルカローシスになったり、②利尿剤の使用による低カリウム血症になったりなどである。

摂食障害の治療

 まず患者に対する動機づけが重要。適切な動機づけによって治療に導入し、身体合併症に対しては栄養輸液などを行い、支持的精神療法、家族療法、集団精神療法、認知行動療法、薬物療法などから適宜選択し、組み合わせて治療を行う。
 精神療法では、患者との面接を通して、まずは共感的態度をとりながら患者の語ることを受容し、やがて体重や食事に対する誤った認識のあることを自覚してもらい、身体イメージの障害を徐々に修正していく。
 また、発症には家族内の葛藤が関与していることも多く、家族関係や食生活に治療者が介入する家族療法も有効。このほか、自分の摂食行動と情動の動きについてグループで話し合う集団精神療法、体重・体型についての歪んだ認識を改善するための認知行動療法、SSRIによる薬物療法も有効であるとされる。

 

 

※問題の引用:第46回理学療法士国家試験、第46回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

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