第45回(H22) 作業療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

 

41 依存性薬物で耐性が少ないのはどれか。

1.LSD
2.コデイン
3.コカイン
4.モルヒネ
5.アンフェタミン

解答

解説
1.× LSD(幻覚剤)は、身体依存(−)、精神依存(+)、耐性は一過性である。離脱症状として、①幻視(色彩異常、変形視など)が特徴的である。②種々の自律神経症状、精神異常が出現する。
2.4.× コデイン/モルヒネは、身体依存(+++)、精神依存(++)、耐性(+++)である。禁断後、数時間で離脱症状が出現する。①精神症状(被刺激性、苦悶、不安、興奮など)、②痙攣発作、③あくび、流涙、鼻汁、発汗、不眠、食欲不振など。
3.〇 正しい。コカインは、依存性薬物で耐性が少ない。身体依存(−)、精神依存(+++)、耐性(−)である。身体依存がないため離脱症状は見られないが、急性中毒の場合は、多幸→酩酊→抑制→せん妄→意識混濁を呈する。
5.× アンフェタミン(覚醒剤)は、身体依存(−)、精神依存(+++)、耐性(++)である。交感神経作用が強い。疲労回復、気分高揚、眠気消失をもたらすため、精神依存が強く生じる。耐性形成が強く、使用量が次第に増加する。

 

 

 

 

 

 

42 統合失調症患者が作業中に立ったり座ったりする、そわそわと落ち着かない行動はどれか。

1.パーキンソニズム
2.ジスキネジア
3.アカシジア
4.ジストニア
5.チック

解答

解説
1.× パーキンソニズムは、固縮・振戦・無動・姿勢反射障害などパーキンソン病様の症状をいう。抗精神病薬などの治療薬が原因の場合、薬剤性パーキンソニズムという。
2.× ジスキネジアは、顔面をゆがめたり口をもぐもぐさせたりなどの不随意運動のことをいう。抗精神病薬の長期服用による副作用である。
3.〇 正しい。アカシジア(鎮座不能症)は、統合失調症患者が作業中に立ったり座ったりする、そわそわと落ち着かない行動である。ムズムズした感覚が下肢を中心に起こり、じっと座っていることができない。抗精神病薬の副作用である。
4.× ジストニアは、筋の不随意収縮による呈舌(舌を出すこと)や四肢・体幹の捻転運動をいう。他にも眼球上転、発生に障害が生じる。抗精神病薬内服開始後、数日以内に起こる副作用である。
5.× チックは、不規則で突発的な体の動きや発声が、本人の意思とは関係なく繰り返し起きてしまう。根本的な原因は解明されていない。

 

 

 

 

 

 

43 統合失調症の早期作業療法における面接の場で図Aと比べた図Bの特徴はどれか。2つ選べ。

1.集中しやすい。
2.緊張感が高まる。
3.安全感が保たれる。
4.秘密が語られやすい。
5.日常的な雰囲気がある。

解答3・5

解説
1.2.4.× 集中しやすい/緊張感が高まる/秘密が語られやすいのは、A:面接室(個室)の特徴である。なぜなら、閉鎖的で静かな環境である面接室の方が、作業療法士と「1対1の関係」という意識が強くなるため。面接室の方が会話を他者に聞かれる心配が少ないが、逃げ場がなく緊張感が高まる。
3.〇 正しい。安全感が保たれるのは、B:作業療法室のキッチンコーナーの特徴である。なぜなら、業療法室のキッチンコーナーは、開放的であり、いつでもその場から逃げられるため。
5.〇 正しい。日常的な雰囲気があるのは、B:作業療法室のキッチンコーナーの特徴である。A:面接室(個室)は、部屋の中に机があるだけである。一方、B:作業療法室のキッチンコーナーは、キッチンだけでなく食器棚、机など日常生活に必要な物品が揃っており、日常的な雰囲気が感じられる。

 

 

 

 

 

 

44 他の世代のうつ病に比べ、老年期うつ病に特徴的なのはどれか。

1.焦燥感
2.意欲減退
3.易刺激性
4.日内変動
5.精神運動制止

解答

解説

老年期のうつ病

①身体的訴えが多く、不安・焦燥が強くみられる。
②集中力や記憶力・判断力の低下もみられるため、あたかも認知症のようにみえることがある。
③再発することが多く、自殺にも注意が必要である。
④気分の変調や悲しみの感情よりも身体症状として表面にあらわれることがあるので、その身体的変調の背後にうつ状態が隠れていないか、十分に留意する必要がある。

1.〇 正しい。焦燥感は、老年期うつ病に特徴的である。身体的訴えが多く、不安・焦燥が強くみられる。
2.4〜5.× 意欲減退/日内変動/精神運動制止は、うつ病の特徴である。気分の日内変動は、朝の気分が最悪で夕方は少し楽になる。精神運動制止とは、何事をやるのもおっくうで、動きが少なくなる状態をいう。
3.× 易刺激性とは、些細な刺激に反応して興奮しやすい状態をいい、躁うつ病でみられる。

うつ病の症状について

感情面:抑うつ、不安、焦燥。

意欲面:意欲低下(日内変動があり特に朝が悪い)、自殺念慮。

思考面:微小妄想(罪業、貧困、心気)、思考抑止、離人。

身体面:不眠(早期覚醒が多い)、頭重感、めまい、倦怠感。

 

 

 

 

 

 

45 うつ病患者への対応で適切なのはどれか。

1.積極性を促す。
2.集団参加を促す。
3.早期の退職を勧める。
4.自殺の話題は扱わない。
5.認知の特徴を把握する。

解答

解説

うつ病の対応

かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。

うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。

①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。

【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)

【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。

1.× 積極性を促す優先度が低い。なぜなら、積極性を促したり激励したりすると、それがかえって心理的な負担となるため。
2.× 集団参加を促す優先度が低い。なぜなら、集団参加により周りと比較して考えて、それがかえって自信喪失につながるため。
3.× 早期の退職を勧める優先度が低い。なぜなら、自己判断能力が低下しているため。重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
4.× 自殺の話題は「扱わない」のではなく「扱う」。なぜなら、自殺念慮への配慮のため。自殺しないように約束してもらう。
5.〇 正しい。認知の特徴を把握する。認知行動療法とは、ベックによって精神科臨床に適応された治療法である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。認知行動療法の中に、系統的脱感作法がある。系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。

 

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