第45回(H22) 作業療法士国家試験 解説【午前問題36~40】

 

36 慢性閉塞性肺疾患に対する指導で正しいのはどれか。

1.呼気よりも吸気に時間をかける。
2.両上肢を挙上して呼吸を促通させる。
3.動作中に息こらえをして換気量を増大する。
4.ろうそく吹きによって肺胞内の空気を効率的に吐く。
5.作業中は胸式呼吸パターンが維持できるようにする。

解答

解説
1.× 逆である吸気よりも呼気に時間をかける。なぜなら、呼気をゆっくり行うことで、気道の虚脱を防ぎ、1回の換気量を増やすことができるため。呼吸法として、①腹式呼吸や口すぼめ呼吸を習得する。
2.× 呼吸を促通させるためには、両上肢を挙上しないほうが良い。なぜなら、労作時呼吸困難が特徴としてあり、上肢挙上や反復動作、前かがみなどで呼吸は増悪するため。
3.× 動作中は「息こらえ」をするのではなく、「呼吸」をして換気量を増大する。なぜなら、息を止めてしまうと呼吸困難を生じるため。
4.〇 正しい。ろうそく吹きによって肺胞内の空気を効率的に吐く。ろうそく吹き(口すぼめ呼吸)で気道の虚脱を起こりにくくし、呼吸数を減少させて1回換気量を増やすことができる。
5.× 作業中は、「胸式呼吸パターン」ではなく「腹式呼吸パターン」が維持できるようにする。なぜなら、腹式呼吸は吸気時に横隔膜を下げるため。呼気時に横隔膜が上方に戻り、呼気が行いやすくなる。

 

 

 

 

 

 

37 摂食・嚥下障害で正しいのはどれか。

1.液体の誤嚥は少ない。
2.認知機能の影響は受けない。
3.むせなければ誤嚥なしと判断する。
4.梨状窩は咽頭残留の好発部位である。
5.頸部前屈位は嚥下反射を遅延させる。

解答

解説
1.× 液体の誤嚥は「少ない」のではなく「多い」。なぜなら、液体より固形のほうが誤嚥が少ない理由として、①食塊が均一、②凝集性が高い、③付着性が低い、④適度な粘性、⑤咽頭通過時に変形しやすいため。したがって、一般的に嚥下しやすい食品は、ゼリー、 ゼラチン、 プリンなどである。
2.× 認知機能の影響は「受けない」のではなく「受ける」。なぜなら、知機能の低下が見られた場合、①先行期(飲食物の形や量、質などを認識する期)〜②準備期(口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする期)において、特に障害を受けやすいため。
3.× むせなければ誤嚥なしと判断することはできない。なぜなら、むせ(咳嗽反射)が低下している可能性も考えられるため。また、むせ(咳嗽反射)がなくとも気管内流入により誤嚥性肺炎を起こすこともある。ちなみに、むせや湿性嗄声、呼吸変化がなければ安全な嚥下と判断する。
4.〇 正しい。梨状窩は咽頭残留の好発部位である。梨状窩は、声門の両側のくぼみのことをいう。咽頭機能に左右差があり梨状窩の残留、誤嚥を防ぐには、病巣側への頸部回旋位とする。重力を利用して健側に食塊の経路を形成できる。
5.× 頸部前屈位は嚥下反射を「遅延させる」のではなく「促進させる」。頸部屈曲位(前屈位)、姿勢は30° リクライニング位が推奨される。ちなみに、嚥下反射を遅延させるのは頸部伸展位(後屈位)である。

嚥下の過程

①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。

 

 

 

 

 

 

38 介護保険制度で正しいのはどれか。

1.第1号被保険者は75歳以上である。
2.保健所の窓口で介護認定審査を受ける。
3.サービスの利用にはケアプランを作成する。
4.第2号被保険者は施設サービスを利用できない。
5.要介護に認定されると身体障害者手帳が交付される。

解答

解説

(※画像引用:「要介護認定の流れ」厚生労働省様HPより)

1.× 第1号被保険者は、「75歳以上」ではなく「65歳以上」である。ちなみに、第2号被保険者は、40〜64歳までである。
2.× 介護認定審査を受けるのは、「保健所の窓口」ではなく「各市町村が設ける介護認定審査会」である。まず、要介護認定の申請が市町村に行われると、調査員が訪問調査を行い、併せてかかりつけ医等から医学上の意見を収集する(主治医意見書)。 それらの情報に基づいて各市町村が設ける介護認定審査会が審査を行う。審査会委員は、保健、医療、福祉に関する学識経験者から市町村長が任命する。
3.〇 正しい。サービスの利用にはケアプランを作成する。介護支援専門員(ケアマネージャー)は、介護サービス計画(ケアプラン)を作成する。ただ、ケアプラン作成は、被保険者自らが作成することも可能である。
4.× 第2号被保険者も施設サービスを利用できる。第2号被保険者は、医療保険に加入している40〜64歳までで、特定の疾病によって介護が必要となった場合に要介護認定審査会で認定されると介護保険の各種サービスを利用できる。施設サービスは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」に入所した要介護状態にある高齢者に対して提供されるサービスである。ただし、要支援者と認定された場合、施設サービスを利用できない。
5.× 要介護に認定されても、身体障害者手帳が交付されることはない。老化に起因する疾患でなくとも交付される。

特定疾病(16種)

がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗しょう症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

 

 

 

 

 

39 認知症で前頭側頭型に特徴的な行動はどれか。

1.散歩に出かけて道に迷う。
2.人前で見知らぬ異性に抱きつく。
3.ささいなことで怒りっぽくなる。
4.洗濯物をきれいにたためなくなる。
5.鏡に映った自分の姿に向かって話しかける。

解答

解説

前頭側頭型認知症(Pick病)とは?

 病理所見として、前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する特徴を持つ認知症である。脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。発症年齢が50~60代と比較的若く、初発症状は人格障害・情緒障害などがみられるが、病期前半でも記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。働き盛りの年代で発症することが多いことで、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないことが多い。その後、症状が進行するにつれ、性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなどの抑制のきかない反社会的な行動)、滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)、食行動の異常(毎日同じものを食べ続ける常同行動)などがみられる。治療は、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法はなく、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われている。

(参考:「前頭側頭型認知症」健康長寿ネット様HPより)

1.× 散歩に出かけて道に迷う(地誌的見当識障害)は、主にアルツハイマー型認知症にみられる。
2.〇 正しい。人前で見知らぬ異性に抱きつく(性的逸脱行為)は、認知症で前頭側頭型に特徴的な行動である。
3.× ささいなことで怒りっぽくなる(易怒性)は、主にアルツハイマー型認知症にみられる。
4.× 洗濯物をきれいにたためなくなるのが、視覚認知障害の一つの症状であれば、主にレビー小体型認知症でみられる。主に頭頂葉の障害でみられやすい。
5.× 鏡に映った自分の姿に向かって話しかける(鏡現象)は、主にアルツハイマー型認知症にみられる。人物の見当識障害と考えられる。

 

 

 

 

 

 

40 認知症患者に対する作業療法の導入期で適切なのはどれか。

1.新しい活動を用意する。
2.活動内容に変化をもたせる。
3.時間を要するものから始める。
4.得意であったものを取り入れる。
5.能力を少し上回る活動を提供する。

解答

解説

認知症の作業療法

①自信や安心感を取り戻せる。
②リハビリと感じにくいもの。
③馴染みの作業(混乱・困惑を防ぐ)。

1.× 新しい活動ではなく「馴染みの作業」を用意する。
2.× 活動内容に変化をもたせる優先度が低い。なぜなら、自信や安心感を取り戻せるものを優先するため。変化が多いとできなかったときの自信喪失や不安増大につながりかねない。
3.× 時間を要するものから始める優先度が低い。なぜなら、耐久性が低下していることも考えられるため。短時間で終わり、小さな達成感を味わうことで自身の獲得につながる。
4.〇 正しい。得意であったものを取り入れる。得意かつ馴染みの作業は、混乱・困惑を防ぎ、自信や安心感を取り戻せる。
5.× 能力を少し上回る活動を提供する優先度が低い。なぜなら、能力を少しでも上回る活動を提供すると、上手くできないことにより作業療法に対して苦手意識が生まれたり、自尊心が傷つけられる可能性があるため。

認知症の患者に対する対応

認知症の患者に対する対応では、バリデーションという考え方を用いると良いとされている。
バリデーションを構成する要素
・傾聴する(相手の言葉を聞いて、反複する。)
・共感する(表情や姿勢で感情を汲み取り、声のトーンを合わせる)
・誘導しない(患者にペースを合わせる。)
・受容する(強制しない、否定しない)
・嘘をつかない、ごまかさない

 

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