第45回(H22) 作業療法士国家試験 解説【午前問題31~35】

 

31 外傷性脳損傷後の障害と援助との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.記憶障害:抽象的な情報の提供を多くする。
2.感情爆発:訓練環境では興奮させる刺激を除去する。
3.遂行機能障害:複雑な工程で新規の課題を繰り返す。
4.意欲・発動性の低下:意欲が回復するまで観察する。
5.欲求のコントロール低下:必要な具体的行動を本人・家族と共有する。

解答2・5

解説
1.× 記憶障害に対し、「抽象的な情報」ではなく「具体的な情報」の提供を多くする。なぜなら、具体性の伴った情報は覚えやすいため。
2.〇 正しい。感情爆発(易刺激性)に対し、訓練環境では興奮させる刺激を除去する。
3.× 遂行機能障害に対し、「複雑な工程で新規の課題を繰り返す」ではなく「単純な工程慣れ親しんだ課題から始め、それが達成出来たら徐々に複雑・新規の課題」へ移行する。遂行機能障害とは、目的を持った一連の動作を有効に行う機能が障害されることである。前頭葉機能の障害である。
4.× 意欲・発動性の低下に対し、「意欲が回復するまで観察する」のではなく「適度な刺激を与え積極的に介入する」。意欲・発動性の低下は外界からの刺激や環境に影響されるものが多く、単に観察しているだけでは変化は起こりにくい。
5.〇 正しい。欲求のコントロール低下に対し、必要な具体的行動を本人・家族と共有する。欲求のコントロール低下(目の前にある食べ物を全部食べてしまう、所持金をすべて使い切ってしまうなどといった行動)は、自分自身ではなかなかコントロールが難しい。こうした場合、患者を単に注意したり、叱責しても行動はやまないので、食べ物を目の届かないところに置いたり、また金銭は1日ごとに必要と考えられる額を決めてその都度手渡すなど必要な具体的行動を本人・家族と共有する。

 

 

 

 

 

 

32 Yahrの重症度分類ステージⅢのParkinson病に対する作業療法で正しいのはどれか。

1.日中もポータブルトイレを使わせる。
2.道具使用の手順に関する記憶は良好である。
3.構音では流涎が問題となることはまれである。
4.歩行訓練では歩幅を制限して姿勢の動揺を減らす。
5.起き上がりは視覚的手がかりによって体幹回旋を導く。

解答

解説

Hoehn&Yahr の重症度分類ステージ

ステージⅠ:片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ:両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。
ステージⅢ:歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLの一部に介助が必要になる。
ステージⅣ:日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ:寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。

1.× 日中もポータブルトイレを使わせる優先度は低い。なぜなら、できるだけ現在の機能を維持するため。ステージⅢは、歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLの一部に介助が必要になる状態であるが、廃用症候群の予防などのため、可能な限りトイレにて排泄が行えるよう、環境調整や動作の工夫を指導する。
2.× 道具使用の手順に関する記憶は良好であるとはいいがたい。なぜなら、パーキンソン病は健常者と比較すると、4~6倍認知症になりやすいという報告があるため。認知機能の障害は高率に合併するため、道具使用に関する記憶には問題が起こる可能性は高い。
3.× 構音では流涎が問題となることは、「まれ」ではなく「みられやすい」。なぜなら、無動による顔面筋の動かしにくさ、仮面様顔貌などを伴うため。
4.× 歩行訓練では歩幅を制限して姿勢の動揺を減らす必要はない。むしろ、歩幅を制限するとより小刻み歩行やすくみ足歩行の助長が考えられる。下肢を高く持ち上げ、歩幅を大きく取るよう指導する。ちなみに、歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
5.〇 正しい。起き上がりは視覚的手がかりによって体幹回旋を導く。パーキンソン病の歩行練習として、聴覚刺激(かけ声や、メトロノームを用いたリズム音)や視覚刺激(床の上の横棒を踏み越える)を用いることが多い。起き上がりも同様に外部刺激を手がかりとした訓練は有効である。

 

 

 

 

 

33 手指屈筋腱損傷者への術後のKleinert法で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.指を自動伸展させる。
2.MP関節は屈曲位に固定する。
3.手関節は軽度背屈位に固定する。
4.爪とスプリントとをピアノ線で結ぶ。
5.3週間固定後に自動運動を開始する。

解答1・2

解説

Kleinert法とは?

Kleinert法(クライナート法)は手指の屈筋腱に対する代表的な早期運動開始療法である。

1~2.〇 正しい。指を自動伸展させる/MP関節は屈曲位に固定する。手関節45°掌屈位、MP関節20°屈曲位、IP関節伸展位にし、指の他動的屈曲および自動伸展運動を行う。ゴムバンドによって指の屈筋腱は固定されている。したがって、指の屈筋腱を弛緩させたまま、虫様筋により手指を伸展させることが可能なため、自動伸展を行うことが可能である。
3.× 手関節は、軽度背屈位ではなく「45°掌屈位」に固定する。
4.× 爪とスプリントとを「ピアノ線」ではなく「ゴムバンド」で結ぶ。
5.× 3週間固定後ではなく「術直後」に自動運動を開始する。それがKleinert法である。

 

 

 

 

 

 

34 Zancoliの頸髄損傷分類と機能している筋との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.C5A:上腕筋
2.C6B1:上腕三頭筋
3.C6B2:深指屈筋
4.C6B3:長母指伸筋
5.C7B:指伸筋

解答1・5

解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

1.〇 正しい。C5Aは、上腕筋上腕二頭筋が機能している。Aの場合は、腕橈骨筋の機能がない。
2.× C6B1は、上腕三頭筋ではなく「長・短橈側手根伸筋」が機能している。ちなみに、上腕三頭筋が残存となるのはC6B3である。
3.× C6B2は、深指屈筋ではなく「長・短橈側手根伸筋、円回内筋」が機能している。ちなみに、深指屈筋が残存となるのは、C7である。
4.× C6B3は、長母指伸筋ではなく「長・短橈側手根伸筋、円回内筋、橈側手根屈筋、上腕三頭筋」が機能している。ちなみに、長母指伸筋が残存となるのは、C8である。
5.〇 正しい。C7Bは、指伸筋小指伸筋尺側手根伸筋が機能している。

 

 

 

 

 

 

35 Duchenne型筋ジストロフィーのステージ(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類による)と自立できる日常生活動作との組合せで正しいのはどれか。

1.4b:椅子に座った姿勢での洗面動作
2.5:洋式トイレでの排泄動作
3.6:浴槽への出入り動作
4.7:かぶりシャツの更衣動作
5.8:臥位姿勢による尿器を使用した排尿動作

解答

解説
1.〇 正しい。4bは、椅子に座った姿勢での洗面動作が可能である。ステージ4は、歩行可能、イスからの立ち上がり不能(4A:独歩で5m以上歩行ができる)(4B:一人では歩けないが、モノにつかまれば歩ける。)である。
2.× ステージ5で洋式トイレでの排泄動作は難しい。ステージ5は、歩行不能、四つ這い可能である。排泄動作に伴う起立動作が困難である。
3.× ステージ6で浴槽への出入り動作は難しい。ステージ6は、四つ這い不能だが、いざり移動可能である。浴槽の出入りには、体を浴槽以上に持ち上げる必要があるため困難である。
4.× ステージ7でかぶりシャツの更衣動作は難しい。ステージ7は、這うことはできないが、自力で坐位保持可能である。かぶりシャツの更衣動作は上肢機能を必要とするため困難である。
5.× ステージ8で臥位姿勢による尿器を使用した排尿動作は難しい。ステージ8は、ベッドに寝たままで体動不能、全介助である。自力で尿器を使用には上肢機能を必要とするため困難である。

厚生省「筋萎縮症」対策研究会による障害段階分類

ステージ1 歩行可能 介助なく階段昇降可能(手すりも用いない)
ステージ2 階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とする
ステージ3 階段昇降不能 平地歩行可能 通常の高さのイスからの立ち上がり可能
ステージ4 歩行可能 イスからの立ち上がり不能
(A:独歩で5m以上歩行ができる)
(B:一人では歩けないが、モノにつかまれば歩ける。)
ステージ5 歩行不能 四つ這い可能
ステージ6 四つ這い不能だが、いざり移動可能
ステージ7 這うことはできないが、自力で坐位保持可能
ステージ8 ベッドに寝たままで体動不能 全介助

 

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