【共通のみ】筋の作るくぼみや溝、走行についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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【共通問題のみ】触知部位についての問題「まとめ・解説」

第45回共通  午前55問

55.神経と走行との組合せで正しいのはどれか。

1.正中神経:Guyon管
2.尺骨神経:手根管
3.橈骨神経:肘部管
4.総腓骨神経:腓骨頭下
5.大腿神経:足根管

解答4

解説

1.× 正中神経は、「Guyon管(尺骨神経管)」ではなく手根管を通る。したがって、の絞扼障害(手根管症候群)で起こる。母指球筋萎縮による猿手や、母指の外転・対立障害のほか、母指・示指・中指の掌側面に感覚障害(しびれ・感覚脱失)が出現する。
2.× 尺骨神経は、「手根管」ではなく尺骨神経管(Guyon管)肘部管を通る。
3.× 肘部管は、「橈骨神経」ではなく尺骨神経が通る。ちなみに、肘部管症候群では、小指と環指の小指側半分に痺れが生じる。
4.〇 正しい。総腓骨神経は、腓骨頭下を通る。総腓骨神経は坐骨神経から分かれて、腓骨頭の外側に回り、外側腓腹皮神経を出したあと、浅・深腓骨神経に分かれる。
5.× 大腿神経は、「足根管」ではなく大腿三角を通る。足根管を通るのは①後脛骨筋の腱、②長指屈筋の腱、③後脛骨動脈、脛骨神経、長母指屈筋の腱である。 

スカルパ三角(大腿三角)

①鼠径靭帯、②縫工筋内側縁、③長内転筋外側縁によって囲まれる領域のこと。
外側から、大腿神経→大腿動脈→大腿静脈→リンパ節の順に走行する。

 

 

 

 

第47回共通 午前60問

スカルパ三角で誤っているのはどれか。

1.坐骨神経が通る。
2.大腿動脈が通る。
3.底面に恥骨筋がある。
4.外側は縫工筋で形成される。
5.内側は長内転筋で形成される。

解答1

解説

san

スカルパ三角(大腿三角)

①鼠径靭帯、②縫工筋内側縁、③長内転筋外側縁によって囲まれる領域のこと。
外側から、大腿神経→大腿動脈→大腿静脈→リンパ節の順に走行する。

1.× 坐骨神経ではなく、大腿神経が通る。
2.〇 正しい。大腿動脈が通る。
3.〇 正しい。底面に恥骨筋がある。そこ面は腸恥筋膜に包まれた腸腰筋、恥骨筋、長内転筋で形成される。
4.〇 正しい。外側は縫工筋で形成される。
5.〇 正しい。内側は長内転筋で形成される。

 

 

 

第52回共通 午前32問

鵞足をつくるのはどれか。

1. 大腿二頭筋
2. 内側広筋
3. 半腱様筋
4. 腓腹筋
5. ヒラメ筋

解答3

解説
鵞足は、①縫工筋・②薄筋・③半腱様筋で形成される。よって選択肢3. 半腱様筋が正しい。

 

 

第53回共通 午前53問

外側腋窩隙を構成する筋はどれか。

1.棘上筋
2.棘下筋
3.広背筋
4.大円筋
5.肩甲下筋

解答4

解説

 小円筋と大円筋と上腕三頭筋の長頭と上腕骨で囲まれた四角形の隙き間を外側腋窩隙と呼ぶ。腋窩神経や後上腕回旋動静脈が通る。このすき間が狭くなると、腋窩神経の障害から、支配筋である三角筋の筋力低下が起こり、上腕挙上困難(四辺形間隙症候群)になる。よって、選択肢4.大円筋が正しい。

 ちなみに、小円筋と大円筋と上腕三頭筋の長頭で出来る三角形の隙き間を内側腋窩隙と呼ぶ。肩甲回旋静脈が通る。

 

 

 

第53回共通 午前59問

解剖学的「嗅ぎタバコ入れ」で触診できるのはどれか。

1.月状骨
2.三角骨
3.舟状骨
4.小菱形骨
5.有頭骨

解答3

解説

解剖学的嗅ぎタバコ入れとは?

 手背の母指基部の専用のタバコ粉末を置いて匂いをかぐ楽しみの一つで使用されていた部位であることから、その名がつけられた。手背には長母指伸筋の腱、掌側には短母指伸筋の腱長母指外転筋の腱が並んで走行している。

 解剖学的嗅ぎタバコ入れで、大菱形骨舟状骨を触れることができる。よって、選択肢3.舟状骨が正解である。

 

 

第53回共通 午後60問

60.動脈と脈拍の触知部位との組合せで正しいのはどれか。

1.浅側頭動脈:外耳孔の後方
2.総頸動脈:胸鎖乳突筋の外縁
3.上腕動脈:上腕遠位部の上腕二頭筋腱の外側
4.大腿動脈:鼠径部の腸腰筋の外側
5.足背動脈:足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間

解答:5


解説

1.×:浅側頭動脈は、外耳孔の前方で触診する。
2.×:総頸動脈は、頚部の前外側で触診する。つまり、胸鎖乳突筋の前縁である。
3.×:上腕動脈は、肘関節肘窩(上腕前面の尺側)で触診する。つまり、上腕遠位部の上腕二頭筋腱の内側である。
4.×:大腿動脈は、大腿三角内で触診する。大腿三角とは、鼠径靭帯・縫工筋・長内転筋である。腸腰筋は触診するのは困難である。したがって、縫工筋の内側である。
5.〇:足背動脈は、足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知する。

 

 

第54回共通 午後59問

59. 左頚部側面の様子を別に示す。中斜角筋はどれか。

1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

解答

解説
1. ×:①は、胸鎖乳突筋(胸骨部が起始)である。
2. ×:②は、胸鎖乳突筋(鎖骨部が起始)である。
3. 〇:正しい。③は、中斜角筋である。
4. ×:④は、肩甲挙筋である。
5. ×:⑤は、僧帽筋である。

後頸三角

僧帽筋前縁・胸鎖乳突筋後縁・鎖骨上縁で囲まれた部分

 

 

 

第55回共通 午後60問

60 Scarpa三角の内で触知できる筋はどれか。2つ選べ。

1.大腿直筋
2.恥骨筋
3.腸腰筋
4.内閉鎖筋
5.梨状筋

解答2,3
解説

(※図引用:ながさき整骨院HP様)

 スカルパ三角(Scarpa三角)とは、①鼠径靭帯②縫工筋(内側縁)③長内転筋(外側縁)で囲まれた部分である。よって、選択肢2.3.恥骨筋・腸腰筋が正しい。

 

 

 

第56回共通 午後58問

58 動脈と脈拍の触知部位との組合せで正しいのはどれか。

1.総頚動脈:胸鎖乳突筋の前縁
2.上腕動脈:上腕二頭筋腱の外側縁
3.橈骨動脈:前腕掌側面の内側近位部
4.大腿動脈:鼠径部の腸腰筋の外側
5.足背動脈:外果の後方

解答

解説
1.〇 正しい。総頚動脈は、胸鎖乳突筋の前縁(頚部の前外側)で触知する。
2.× 上腕動脈は、「上腕二頭筋腱の外側縁」ではなく、上腕遠位部の上腕二頭筋腱の内側(肘関節肘窩:上腕前面の尺側)で触知する。
3.× 橈骨動脈は、「前腕掌側面の内側近位部」ではなく、前腕遠位側の橈側で行う。
4.× 大腿動脈は、「鼠径部の腸腰筋の外側」ではなく、大腿三角(Scarpa三角)内の縫工筋の内側で触診する。大腿三角(Scarpa三角)とは、鼠径靭帯・縫工筋・長内転筋である。腸腰筋は触診するのは困難であるが、大腿動脈は腸腰筋内側に位置している。
5.× 足背動脈は、「外果の後方」ではなく、足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知する。

 

 

第57回共通 午前60問

60 右手背部の写真を下に示す。
 矢印が示す腱はどれか。

1.短母指伸筋腱
2.長母指伸筋腱
3.母指内転筋腱
4.短母指外転筋腱
5.長母指外転筋腱

解答

解説

(※画像引用:The Bone Identity ~整形外科医のブログ~様HPより)

 

1.× 短母指伸筋腱ではない。ちなみに、短母指伸筋の【起始】橈骨中部背面、前腕骨間膜の背面、【停止】母指基節骨底背外側部、一部は指背腱膜に加わる。
2.〇 正しい。長母指伸筋腱は、矢印が示す腱である。ちなみに、長母指伸筋の【起始】尺骨体中部背面、前腕骨間膜背面、【停止】母指の末節骨底の背側である。
3.× 母指内転筋腱ではない。ちなみに、母指内転筋の【起始】横頭:第3中手骨掌面の全長
斜頭:有頭骨を中心とした手根骨、第2~3中手骨底の掌側面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜である。
4.× 短母指外転筋腱ではない。ちなみに、短母指外転筋の【起始】舟状骨結節、屈筋支帯の橈側端前面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜である。
5.× 長母指外転筋腱ではない。ちなみに、長母指外転筋の【起始】尺骨と橈骨の中部背側面、前腕骨間膜背面、【停止】第1中手骨底背面外側付近である。

解剖学的嗅ぎタバコ入れとは?

 手背の母指基部の専用のタバコ粉末を置いて匂いをかぐ楽しみの一つで使用されていた部位であることから、その名がつけられた。手背には長母指伸筋の腱、掌側には短母指伸筋の腱と長母指外転筋の腱が並んで走行している。

 

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【共通問題のみ】触知部位についての問題「まとめ・解説」

 

まとめ~筋のつくるくぼみや溝~

①後頸三角(外側頸部)
胸鎖乳突筋後縁、僧帽筋前縁、鎖骨上縁でつくられるくぼみ。この深部を肩甲舌骨筋の後腹、副神経、腕神経叢、鎖骨下動静脈が通る。

②顎下三角
顎二腹筋前腹、後腹、下顎底で囲まれたくぼみ。ここを顔面動静脈が通り顔面に出る。顎下腺を容れる。

③頸動脈三角
胸鎖乳突筋前縁、肩甲舌骨筋上腹、顎二腹筋後腹でつくられるくぼみ。この深部を総頸動脈が上行し、内・外頸動脈に分岐する。頭部出血の際には、この部位を圧迫することにより一時的に止血させることができる。

④三角筋胸筋溝
三角筋前縁と大胸筋外側縁の間の溝。橈側皮静脈が通る。

⑤外側腋窩隙(肩の四角隙)
小円筋、大円筋、上腕三頭筋長頭、上腕骨でつくられる間隙。腋窩神経、後上腕回旋動脈が通過する。

⑥内側二頭筋溝
上腕上部内側の上腕二頭筋と上腕三頭筋のつくる溝。上腕動静脈正中神経、尺骨神経がこの深部を通る。

⑦腰三角
外腹斜筋、広背筋、腸骨稜でつくられるくぼみ。腹壁で抵抗が弱くヘルニアがおこる場所の1つ。

⑧大腿三角
縫工筋、長内転筋、鼠径靱帯でつくられるくぼみ。この深部をほぼ垂直に大腿動静脈が下行する。スカルパ三角ともいう。

⑨斜角筋隙
前斜角筋、中斜角筋、第一肋骨のつくるすきま。腕神経叢と鎖骨下動脈が通過する。

⑩梨状筋上孔・梨状筋下孔
梨状筋が大坐骨孔を上下に分けてできるすきま。梨状筋上孔を上殿神経・動静脈、梨状筋下孔を坐骨神経、下殿神経・動静脈、内陰部動静脈、陰部神経が通過する

2 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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