理学療法士の学生なら、一度は運動量に悩むことがありますよね(笑)
実際に、病院で働いているPTの中には、筋トレを単位を取るための時間稼ぎだったり・・・(笑)
あまり考えずに、10回を2セットでルーチン化している人も多いと思います。
見学するだけ時間の無駄ですよね(笑)

 

 

整形外科疾患、あるいはその他の疾患においても、筋力増強訓練可動域訓練などはよく行われている理学療法です。
しかし、あまりに日常的な理学療法であるため、その原則を忘れ、非効率的な方法になりやすくなっているのも事実だと思っています。

 

 

そこで、ここでは実際に使える筋力増強訓練に必要な基本的訓練方法について説明します。
学生さんのレポートを書くのに、手助けになればと思います。

 

 

専門用語が飛び交うので、一般の人は「6の一般的な筋力増強の原則」だけ読んでいただければ、理解できるようにしておきました。

 

筋力増強の基本原則

(1)最大数の運動単位が同時に働く。
(2)遠心性インパルスが同期する。
(3)運動単位の活動リズムが同期化する。

 

つまり、一度に参加する筋線維の数を増すことが重要なんです。
(最大筋力に相当する負荷が必要)。

 

最大筋力に満たない負荷では、すべての運動単位が参加しているわけではありません。
参加している一部の運動単位が疲労すると他の運動単位に交替します。
運動を持続的に行えることが起きますが、これは持久力の強化となります。

 

 

なので、最大筋力に相当する負荷が必要なのです。
一方で、最大筋力を発揮するような負荷を与えることは困難です。
理由として、最大筋力の発揮には、集中力と筋活動の統合を必要としますが、臨床で目の前にいる患者さんに要求するのは、難易度が高いのです。

 

 

また、高齢者に最大負荷は、筋肉や関節の損傷を伴うこともあり、危険なのです
そこで、最大筋力に近い負荷を繰り返し与える方法が使われています

 

 

 

繰り返し反復することで、個々の筋線維は徐々に張力を低下していきます。
最終的には、全運動単位が参加しなくては負荷に抗することができなくなります。
これにより、最大筋力を発揮したのと同じ現象が起こります。
しかし、負荷が少なすぎると運動単位は疲労し、遠心性インパルスの同期が乱れるので、あまりにも低負荷の運動を高反復するのは好ましくありません。

 

では、運動量と抵抗量をどれぐらいに設定していけばよいのでしょうか?

 

 

どれぐらいの抵抗を、どれくらいの量行えばよいのか?(等尺性筋力増強訓練)

等尺性収縮での抵抗量

 

最大筋力の40%以上、効率よく筋力を増強しようとすれば60%以上の負荷が必要といわれています。
必要な筋収縮の持続時間は、負荷の量が減少するにつれて延長していきます。
例えば、40%の負荷では20秒程度の収縮時間を必要とした場合、これだけの時間、集中して訓練するのは困難ですよね。
そのため、強い負荷量を、短い時間集中して行う方が効率がいいのです。

 

 

しかし、長期臥床していた患者が立ったり、座位をとったりした場合は、自然とこのような負荷がかかることが多く、筋活動に伴う局所の栄養状態の改善も相まってある程度は自然に筋力は回復していきます。
高齢者に対する負荷量は、これに限られたことではありません。

 

 

以下の図は、等尺性筋力増強訓練の強度と時間をしましたものです。
参考になれば幸いです。

最大筋力に対する負荷量(%) 必要な筋収縮時間(秒)
40~50 15~20
60~70 6~10
80~90 4~6
100 2~3

(Hettinger,1952)

 

 

どれぐらいの抵抗を、どれくらいの量行えばよいのか?(等張性筋力増強訓練)

等張性筋力増強訓練では、1RM (1回しか行えない最大負荷) を基準とし、約60%以上の負荷が必要とされています。
効率よく筋力を増強するためには、さらに高い負荷が必要ともいわれています。

 

 

では、自分が今行っている訓練が、本当にそれだけの負荷になっているのか見分けられますか?
10回×2セットなんて、おかしな筋トレをしていませんか?
見学している学生は、なぜその負荷量でやっているのか質問してあげましょう(笑)

 

 

では、よく施行される徒手抵抗の場合は、どうすればよいのでしょうか?
考えていきましょう。

 

 

下の表は、1RMに対する負荷量と可能反復回数を示しています。

1RMに対する負荷量(%) 反復回数
100 1
95 2~3
90 4~5
85 6~7
75~80 8~10

(Bührle,m.:die lehre der leich-tathletik,4,verlag bartels und wer-nitz KG,1971より改変)

そこで、80%以上の負荷を与える場合をもとに考えてみましょう。
これは約8~10回、何とか反復することができるだけの負荷と言い換えることができます。
つまり、
11回以上繰り返すことができるなら、負荷が少なすぎるということです。

 

 

また、10回を越えることのできる運動負荷では、筋疲労よりも先に精神疲労が生じるといわれています。
そのため、負荷量の判定に用いるのも困難なため避けるべきですね。

 

 

つまり、臨床上よく見る10回×2セットの運動は、80%の運動負荷を与えていれば、ぎりぎり効果ができる程度なのです。
筋力増強訓練になっていないことを指摘してあげましょう(笑)

 

 

運動強度と運動エネルギー


少ない負荷で、多くの回数を行うほうが、楽そうな印象はありませんか?
運動強度と反復回数を掛け合わせると、使用する運動エネルギーが計算できます。

 

 

 

1RMの運動エネルギーを100%とすると、
3RMならば、95%の負荷が3回で285%となります。
5RMならば、90%の負荷が5回で450%にもなります。

 

 

 

臨床では積極的な筋力増強といいながら、結局のところ数をこなす訓練を行っています。
つまり、そのトレーニングは筋力を増強訓練させているのではなく、疲労を蓄積させているだけなのです。
多少の筋の持久力もつくでしょうが・・・。

運動強度 運動エネルギー
1RM 100×1=00
3RM 95×3=285
5RM 90×5=450
10RM 80×10=800

 

等尺性収縮訓練について


等尺性収縮訓練は、等張性収縮訓練のような動的トレーニングより効果が少ないと言われている。
その効果も運動開始後、平均6~8週間で頭打ちとなり、以後は逆に低下していく研究結果があります。
(動的なトレーニングは12週)。

 

 

また、動的な運動と比べて、神経-筋調整機構の働きが大きく異なり静的トレーニングと動的トレーニングの間に相関はみられていません。
つまり、等尺性収縮訓練により鍛えられた筋では、
日常生活で使用されるような関節運動を伴うような動作には、あまり役立たないということです。
したがって、その使用範囲は補助的手段にとどめるべきということが言われています。

 

 

 

ただこれには異論が多いのも事実です。
特に、理学療法士の大好きな「
クアドセッティング」が日常生活動作において役に立たないと言われているようなものですから(笑)

 

 

なので、大腿四頭筋では効果的であったという報告も出しています。

 

 


私個人的には、誰にでもクアドセッティングをやるのは間違いだと思っています。
もっと効率の良い方法を模索してほしいと思っています。

 

 

 

適応となるのは、特定の角度での筋力が発揮できない場合や、骨折後のギプス固定や関節の運動が禁止されている場合などで手段を選択して行っていただければと思っています。

 

まとめ「一般的な筋力増強の原則」

  • 高負荷少ない回数しか行うことのできない負荷を与える。
  • 1セットの訓練では十分な刺激量を与えにくいので、数回のセットを組むこと。一般的に3~4セット5セットを越えると乳酸が蓄積しはじめ、十分な張力を得ることが困難。
  • セット間の休憩時間を30秒から1分程度とる。筋中のクレアチンリン酸によるATPの再合成は、30秒で約半分補充されることから、これぐらいの休憩時間が必要。
  • 最大伸長位から最大短縮位に及ぶ運動にすること。これにより多くの筋線維に刺激を与えることが可能。

 

いかがだったでしょうか。
ただ回数だけ行う筋力トレーニングをやっていると、疲労しか貯まらないので注意してくださいね。
少しでも患者さんの状態が良くなることを願っています。

 

本日は読んでくださってありがとうございました。
他の記事もぜひ読んでください。
コメント、TwitterやFacebookの拡散・フォローお待ちしています。

 

参考文献)
ここがポイント!整形外科疾患の理学療法 改訂第2版 監修:冨士 武史  P10~12