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46 新しい運動を学習するときに患者の手続き記憶に変換される段階はどれか。
1. 患者に理想とする運動パターンを言葉で教示しているとき。
2. 患者に運動課題を提示しつつ説明しているとき。
3. 患者が運動を試行錯誤しているとき。
4. 患者が正しい運動パターンを反復練習しているとき。
5. 患者が実際の生活環境で実践しているとき。
解答4
解説
手続き記憶は、自転車の乗り方・スポーツ技能の習得などに代表される運動を学習するときに利用される記憶である。いわゆる「体で覚える」記憶のことで、言語的表現が困難な記憶である。手続き記憶に変換される段階とは、反復練習による技能の習熟が相当する。よって、選択肢4. 患者が正しい運動パターンを反復練習しているときが正しい。
1~2.× 患者に理想とする運動パターンを言葉で教示しているとき/患者に運動課題を提示しつつ説明しているときは、実際に体を動かしていないため不適切である。手続き記憶は、言語的表現が困難な記憶である。
3.× 患者が運動を試行錯誤しているときは、まだ不慣れであり誤った動作を含んでいると考えられる。したがって、手続き記憶に変換される段階とはいえない。
5.× 患者が実際の生活環境で実践しているときでは、すでに手続き記憶に変換されていると考えられる。
47 地域包括ケアシステムで特に重視されるのはどれか。
1. 自助の軽減
2. 互助の推進
3. 共助の拡充
4. 要介護度の細分化
5. 国が主体の取り組み
解答2
解説
地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものである。この地域包括ケアシステムが効果的に機能するために、「4つの助(自助・互助・共助・公助)」の考え方が連携し、課題解決に向け取り組んでいく必要がある。
「公助」は税による公の負担。
「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担。
「自助」には「自分のことを自分でする」ことに加え、市場サービスの購入も含まれる。
「互助」は相互に支え合い、費用負担が制度的に裏づけられていない自発的なものである。
1.× 自助の「軽減」ではなく、自助の推進をしている。
2.〇 正しい。互助の推進をしている。「互助」は相互に支え合い、費用負担が制度的に裏づけられていない自発的なものである。
3.5.× 共助や公助(国が主体の取り組み)の拡充は、地域包括ケアシステムで特に重視されてはいない。むしろ共助や公助(国が主体の取り組み)は、少子高齢化や財政状況からの観点で、徐々に減らし自助や互助にシフトする流れとなってきている。自助や互助の果たす役割が大きくなることを意識した取り組みが必要である。
4.× 要介護度の細分化は行っておらず、現在でも細分化できているという意見が多い。介護保険の要介護度の認定は大別すると3区分である。①非該当、②要支援、③要介護である。 さらに、「要支援」には2つ、「要介護」には5つの下位区分があり、要介護度は全部で7つの状態区分に細分化されている。
48 我が国の産業衛生について正しいのはどれか。
1. 死亡災害は平成20年以降半減している。
2. メンタルヘルス不調による休職者の復職率は10 %程度である。
3. 4日以上の休業事由で最も多いのは、転倒による死傷災害である。
4. 体調不良であるが出勤する(presenteeism)割合は諸外国に比べて少ない。
5. 職場における腰痛予防対策指針では重量物の扱いの具体的な記載はない。
解答3
解説
1.× 死亡災害は平成20年以降半減とまではいっていない。平成20年は1,268人であり、近年は年間1,000人程度(令和2年は802 人)となっているが半減までとはいかない。(※データ引用:「平成20年における死亡災害・重大災害発生状況等について」「令和2年労働災害発生状況の分析等」厚生労働省HPより)
2.× メンタルヘルス不調による休職者の復職率は10 %程度ではなく、50%強である。一方、メンタルヘルス不調者が長期休職・退職するケースは全体の1割弱である。
3.〇 正しい。4日以上の休業事由で最も多いのは、転倒による死傷災害である。全産業で転倒が23.0%(2244人)と最も多い。(※データ引用:「減少しない死亡災害、休業4日以上の死傷災害は20年間で最多 」厚生労働省HPより)
4.× 体調不良であるが出勤する(presenteeism:プレゼンティズム)割合は諸外国に比べて「少ない」とはいえない。なぜなら、日本人にとって「勤勉は美徳」という風潮がまだ残っているため。職場に出勤はしているものの何らかの健康問題によって仕事のパフォーマンスが落ちている状態のことを指し、このプレゼンティズムは、じつは病欠よりもはるかに経営に損失を与えるといわれている。
5.× 職場における腰痛予防対策指針では重量物の扱いの具体的な記載がある。厚生労働省が発表しており、「人力による重量物の取り扱い」という具体的な記載がある。(※参考:「職場における腰痛予防対策指針」厚生労働省HPより)
49 介入研究に該当するのはどれか。
1. 特定の集団での継続的な治療の観察
2. 通常行われている治療の効果判定
3. 2群に分けた治療の前向き比較
4. 複数データによる横断的比較
5. 過去の治療成績間の比較
解答3
解説
研究の種類には、研究者が調査対象集団に対して何らかの働きかけ(介入)を行うか否かで、介入を行う「介入研究」と、介入を行わない「観察研究」とに大きく分類される。介入研究には、「臨床試験・地域研究」などがある。一方、観察研究には、大きく「①記述疫学・②分析疫学」に大別され、①記述疫学には、横断研究・時系列研究などがある。②分析疫学には、生態学的研究・横断研究・症例対照研究・コホート研究などがある。
1.× 特定の集団での継続的な治療の観察は、観察研究(縦断研究)の説明である。
2.× 通常行われている治療の効果判定は、観察研究の説明である。
3.〇 正しい。2群に分けた治療の前向き比較は、介入研究に該当する。
4/5.× 複数データによる横断的比較/過去の治療成績間の比較は、メタアナリシス(メタ分析、メタ解析)のことである。メタアナリシス(メタ分析、メタ解析)は、複数の研究結果を統合し、一つの結果にまとめ上げる解析方法である。
50 事故・過誤に関連した用語の説明で適切なのはどれか。
1. 有害事象とは生命に直結する事故である。
2. インシデントとは重大な事故の発生である。
3. コンプライアンスとは法令を逸脱する行為である。
4. アクシデントでは医療従事者の過誤の有無を問わない。
5. Heinrichの法則では重篤な事故の数は軽微な事故の数と反比例する。
解答4
解説
1.× 有害事象とは、「生命に直結する事故」ではなく、あらゆる好ましくない・あるいは意図しない徴候や症状を示す。いわゆる薬の副作用であることを薬の有害事象と呼ぶことがある。治験薬や医薬品などの薬物を投与された被験者・患者に生じる、薬物の投与と時間的に関連した、好ましくないまたは意図しないあらゆる医療上の事柄のことである。
2.× インシデントとは、「重大な事故の発生」ではなく、適切な対処がなされなかった場合に事故となる可能性を含んだ事象を示す。ヒヤリ・ハットともいう。
3.× コンプライアンスとは、「法令を逸脱する行為」ではなく、法令や指示に従うこと(法令遵守)である。したがって、「コンプライアンスを守れ」「コンプライアンスを遵守しろ」というのは間違った使い方である。なぜなら、コンプライアンスという意味にすでに、従うことの意味が含まれているため。つまり、二重表現となる。
4.〇 正しい。アクシデントでは、医療従事者の過誤の有無を問わない。なぜなら、転倒など直接の医療行為と関係しないアクシデント(医療事故)も存在するため。
5.× Heinrichの法則では、重篤な事故の数は軽微な事故の数と「反比例する」のではなく、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものである。1930年代、アメリカのハインリッヒ(Heinrich)氏が労災事故の発生確率を調査したもので、「1:29:300の法則」ともいわれる。これは、1件の重症事故の背景には、29件の軽傷の事故と、300件の傷害にいたらない事故(ニアミス)があるという経験則である。また、さらにその背景には、数千、数万の危険な行為が潜んでいたともいう。 つまり、事故の背景には必ず数多くの前触れがあるということである。
※問題の引用:第51回理学療法士国家試験、第51回作業療法士国家試験の問題および正答について
※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。