第51回(H28) 理学療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

 

41 心筋梗塞の再発危険因子として誤っているのはどれか。

1. 加齢
2. 肥満
3. 高血圧
4. 身体活動量の低下
5. 高HDLコレステロール血症

解答5

解説

1~4.〇 加齢/肥満/高血圧/身体活動量の低下/は、心筋梗塞の危険因子である。その中でも、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙は、4大冠危険因子といわれている。
5.× 誤っている。HDLコレステロール(善玉コレステロール)とは、末梢から肝臓にコレステロールを運搬する作用がある。心筋梗塞の危険因子となるのは、高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)血症、低HDLコレステロール血症である。

心筋梗塞の危険因子

身体的因子:高血圧・糖尿病・血清脂質異常・肥満など。
生活習慣因子:喫煙・運動不足・飲酒など。

 

 

 

 

 

 

42 呼吸機能検査で求められる値について正しいのはどれか。

1. %肺活量 = 肺活量 ÷ 全肺気量
2. 肺活量 = 予備吸気量 + 予備呼気量
3. 1秒率 = 予測値に対する1秒量の割合
4. 機能的残気量 = 残気量 + 予備吸気量
5. 最大吸気量 = 予備吸気量 + 1回換気量

解答5

解説

1.× %肺活量 = 肺活量 ÷ 全肺気量ではなく、%肺活量 = 肺活量(実測値) ÷ 肺気量(予測値)×100である。つまり、%肺活量とは、年齢や性別から算出された予測肺活量(基準値)に対しての、実測肺活量の比率である。ちなみに、残気量は、肺活量の測定で最大限の呼息を行っても肺内に残っている空気のことであり、肺活量に残気量をプラスした量が全肺気量となる。
2.× 肺活量 = 予備吸気量 + 予備呼気量ではなく、肺活量 =最大吸気量(一回換気量 + 予備吸気量) + 予備呼気量である。
3.× 1秒率 = 予測値に対する1秒量の割合ではなく、1秒率 = 1秒量 ÷ 努力肺活量 × 100である。1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。
4.× 機能的残気量 = 残気量 + 予備吸気量ではなく、機能的残気量 = 残気量 + 予備呼気量である。
5.〇 正しい。最大吸気量 = 予備吸気量 + 1回換気量である。

 

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

 

 

 

 

 

43 血液透析中の慢性腎臓病(CKD)の生活指導で適切なのはどれか。

1. 有酸素運動を行う。
2. 蛋白質の摂取は制限しない。
3. カリウムの摂取は制限しない。
4. ナトリウムの摂取は制限しない。
5. シャント側の手の運動は禁忌である。

解答1

解説

慢性腎不全(CKD)とは?

 慢性腎不全(慢性腎臓病とも)は、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。

慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。
①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。
②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リン・カリウム・ナトリウムの制限。

1.〇 正しい。有酸素運動を行うことは、血液透析中の慢性腎臓病(CKD)の生活指導である。慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要であり、①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなどがあげられる。体調管理目的のラジオ体操やウォーキングなどの負荷の軽い運動が適している。
2.× 蛋白質の摂取は、「制限しない」のではなく制限する。なぜなら、蛋白質の分解により生じる窒素化合物(BUN)の濾過をうまく行えないため。食事療法としては、十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リン・カリウム・ナトリウムの制限することが望ましい。
3.× カリウムの摂取は、「制限しない」のではなく制限する。なぜなら、腎不全によりカリウムが排泄できず、体内に留まり血中濃度が上昇するため。
4.× ナトリウムの摂取は、「制限しない」のではなく制限する。なぜなら、ナトリウムの摂取は腎臓への負荷を強めるため。
5.× シャント側の手の運動は、「禁忌」ではなく無理のない運動を推奨する。なぜなら、シャント側の手を動かさずにいると、シャント部分が狭窄・閉塞してしまうおそれがあるため。ただし、血圧測定による血流の阻害や持続的に重たいものを持つ(等尺性収縮による血流圧迫)は控えるように指導する。

 

 

 

 

 

 

44 成人に対する喀痰の吸引について適切なのはどれか。

1. 理学療法士は行わない。
2. 吸引圧は最大で20 kPa とする。
3. 1回の吸引は20 秒以上かけて行う。
4. 吸引カテーテルは気管分岐部まで挿入する。
5. 吸引カテーテルは吸引圧をかけながら素早く挿入する。

解答2

解説

1.× 理学療法士は「行わない」のではなく医師の指示のもと喀痰吸引が可能である。平成22年4月30日より理学療法士・作業療法士等が喀痰吸引行為をすることが合法化され、呼吸リハビリテーションを積極的に行うことが可能となった。
2.〇 正しい。吸引圧は最大で20 kPa(150mmHg)とする。なぜなら、高圧吸引を行うと、線毛上皮細胞も吸引されてしまい、気道粘膜損傷が生じるため。また、空気を多量に吸引し、無気肺、低酸素血症を助長する恐れがあるため。
3.× 1回の吸引は「20秒以上」かけて行うのではなく10秒以内に留めるべきである。なぜなら、吸引中は無呼吸になり、無気肺、低酸素血症を助長する恐れがあるため。
4.× 吸引カテーテルは「気管分岐部まで」ではなく、カテーテル先端が気管分岐部に当たらない位置まで挿入する。気管チューブは、気管分岐部から3~5cm上に先端が来るように留置されている。深く挿入すると無気肺や出血、肉芽形成を合併する恐れがある。
5.× 吸引カテーテルは「吸引圧をかけながら素早く」挿入するのではなく、挿入中は吸引を止めゆっくり挿入する。なぜなら、吸引カテーテルで口腔など傷つけないため。

 

 

 

 

 

 

45 ICFで身体構造・心身機能の第一評価点(小数点1桁)が示すのはどれか。

1. 障害の程度や大きさ
2. 阻害因子の有無
3. 障害された範囲
4. 時間的な経過
5. 実行状況

解答1

解説

1.〇 正しい。障害の程度や大きさがICFで身体構造・心身機能の第一評価点である。
2.× 阻害因子の有無は、環境因子の第一評価点である。
3.× 障害された範囲は、身体構造の第評価点である。
4.× 時間的な経過は、ICFにこのような項目はない。
5.× 実行状況は、活動と参加の第一評価点である。

(図引用:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」厚生労働省様HPより)

 

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