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46. 人工呼吸器管理中に生じる呼吸器合併症でみられやすいのはどれか。
1. 胸水
2. 肺炎
3. 喘息
4. 肺線維症
5. 慢性閉塞性肺疾患
解答2
解説
人工呼吸管理中に起こる合併症には、大きく分けて3つある。
①陽圧換気や高濃度酸素の投与によるもの(肺障害、酸素中毒、その他臓器などへの影響)
②換気のための気道確保の方法である人工気道によるもの(人工呼吸関連肺炎、粘膜損傷、気道クリアランスの低下)
③体動制限や臥床によるもの(荷重肺障害)など。
1. ×:胸水とは、胸腔に液体が異常にたまることや、その液体自体のことをいう。原因としては、感染症、外傷、腫瘍、外傷、心不全、肝不全、肺の血管に詰まった血栓(肺塞栓症)、薬物など、数多くある。人工呼吸器管理中の合併症では頻度が高いとはいえない。
2. 〇:正しい。人工呼吸管理中に起こる合併症として、肺炎がある。人工呼吸関連肺炎(VAP)とは、人工換気開始後48時間以降に発症する肺炎のことである。口腔内細菌や胃内容物の逆流などが原因である。
3. ×:喘息(気管支喘息)とは、気道の炎症である。喘息の人の気道は、症状がないときでも常に炎症をおこしており、健康な人に比べて気道が狭くなって空気が通りにくくなっている。炎症がおこっている気道は、とても敏感になっていて、正常な気道ならなんともないホコリやタバコ、ストレスなどのわずかな刺激でも狭くなり、発作がおきてしまう。人工呼吸器管理とは関連しない。
4. ×:肺線維症とは、肺胞の周りの間質の壁が炎症により厚くなり、線維化している状態のこと。原因としては、職業上の粉塵吸入やペット飼育などの住環境、薬剤や健康食品(薬剤性肺障害)、関節リウマチ他の膠原病などさまざまなものが考えられる。人工呼吸器管理とは関連しない。
5. ×:慢性閉塞性肺疾患は、息をするときに空気の通り道となる気管支や肺に障害が起きている状態である。肺の生活習慣病で、喫煙と深い関わりがある。人工呼吸器管理とは関連しない。
47. 糖尿病の運動療法で正しいのはどれか。
1. 食後すぐに開始する。
2. 運動強度はBrog指数17前後で行う。
3. インスリン治療中の患者は禁忌である。
4. 尿中ケトン体陽性の場合は有酸素運動を行う。
5. 増殖性網膜症がある場合、強い等尺性収縮は推奨されない。
解答5
解説
1. ×:「食後すぐ」に開始するのではなく、バランスのとれた食事をとった1~2時間後に20分以上の運動を週3回行う。なぜなら、食後の血糖値の上昇は、1~2時間後にピークとなるため。運動療法を行い、血糖値を一定に保つようにするため。
2. ×:運動強度は、Brog指数「17前後」ではなく13以下に設定して行う。
3. ×:インスリン治療中の患者は、「禁忌」ではなく運動を提供する時間の調整が必要なだけである。運動により血流が増加するとインスリンが吸収されやすくなる。そのため、インスリン投与後すぐの運動は、インスリンの吸収をさらに高めることになり、低血糖を引き起こす可能性がある。したがって、インスリン投与後の運動は1~2時間以上経ってから行う必要がある。インスリンによる治療が始まっていても、食事療法・運動療法は継続する必要がある。
4. ×:尿中ケトン体陽性の場合は、運動療法自体が禁忌にあたる。代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値≧250mg/dLまたは尿ケトン体中等度以上陽性)は運動療法を禁止したほうがよい場合(運動療法の絶対的禁忌)となる。
5. 〇:正しい。増殖性網膜症がある場合、強い等尺性収縮は推奨されない。なぜなら、強い等尺性収縮は血圧の上昇を促し、眼底出血を呈する可能性などが考慮されるため。したがって、無酸素運動も行うべきではない。増殖性網膜症がある場合は、運動強度を軽くする必要がある。
1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。運動療法の目的を以下に挙げる。
①末梢組織のインスリン感受性の改善(ぶどう糖の利用を増加させる)
②筋量増加、体脂肪・血中の中性脂肪の減少。(HDLは増加する)
③摂取エネルギーの抑制、消費エネルギーの増加。
④運動耐容能の増強。
【糖尿病患者に対する運動療法】
運動強度:一般的に最大酸素摂取量の40~60%(無酸素性代謝閾値前後)、ボルグスケールで『楽である』〜『ややきつい』
実施時間:食後1〜2時間
運動時間:1日20〜30分(週3回以上)
消費カロリー:1日80〜200kcal
運動の種類:有酸素運動、レジスタンス運動(※対象者にあったものを選択するのがよいが、歩行が最も簡便。)
【運動療法の絶対的禁忌】
・眼底出血あるいは出血の可能性の高い増殖網膜症・増殖前網膜症。
・レーザー光凝固後3~6カ月以内の網膜症。
・顕性腎症後期以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)。
・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある場合。
・高度の糖尿病自律神経障害がある場合。
・1型糖尿病でケトーシスがある場合。
・代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値≧250mg/dLまたは尿ケトン体中等度以上陽性)。
・急性感染症を発症している場合。
(※参考:「糖尿病患者さんの運動指導の実際」糖尿病ネットワーク様HP)
48. 喚語困難と迂言を呈し、発語は流暢で良好な理解と復唱を特徴とする失語症はどれか。
1. 健忘失語
2. 伝導失語
3. Wernicke失語
4. 超皮質性運動失語
5. 超皮質性感覚失語
解答1
解説
1. 〇:正しい。健忘失語とは、簡単な物品の呼称が困難となって、なかなか物の名前が出てこないが、その他の点ではおおむね言語機能は保たれているものをいう。つまり、発話の流暢性・言語理解・復唱は可能である失語症である。
2. ×:伝導失語は、物品呼称の障害と復唱の障害が顕著であるが、その他の点で言語機能はおおむね保たれているものをいう。つまり、発話の流暢性・言語理解は可能だが、復唱が困難である失語症である。
3. ×:Wernicke失語は、聴覚および視覚の両者による言語の理解が障害されたもので、自発語に流暢さはあるが、自分で喋っていることに対する理解がないので、内容は理解のしにくい意味不明のものが多く、錯語、錯文法が目立ち、ジャルゴンになることもある。復唱も困難となる。つまり、発話の流暢性は可能だが、言語理解・復唱が困難である失語症である。
4. ×:超皮質性運動失語は、言語表出障害に比べて、復唱はよくできる場合のことをいう。つまり、発話の流暢性は困難だが、言語理解・復唱は可能である失語症である。
5. ×:超皮質性感覚失語は、言語理解の悪さに比べて、復唱はオウム返し的ではあるが、とにかく復唱できることをいう。つまり、発話の流暢性は可能・言語理解は困難・復唱は可能である失語症である。
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【PT/OT/共通】失語ついての問題「まとめ・解説」
49. 地域包括支援センターへの配置が義務付けられている職種はどれか。
1. 看護師
2. 理学療法士
3. 作業療法士
4. 言語聴覚士
5. 主任介護支援専門員
解答5
解説
地域包括支援センターの人員基準は、「第1号被保険者(65歳以上の高齢者)3000人~6000人ごとに、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(準ずる者を含む)を最低限それぞれ各1人」である。つまり、職種としては、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(準ずる者を含む)が必要である。ちなみに、地域包括支援センターとは、介護保険法に基づき各市町村によって設置されており、地域の高齢者の医療・福祉・介護・虐待など様々な事柄に関する相談窓口となっている。
つまり、選択肢5.主任介護支援専門員が正しい。
50. 介護保険制度における福祉用具貸与で、要支援1の者が給付対象となる福祉用具はどれか。
1. T字杖
2. 手すり
3. 車椅子
4. 特殊寝台
5. 移動用リフト
解答2
解説
①手すり(工事不要で設置できる手すり、任意の場所に置いて使用できる手すりなど)
②スロープ(段差解消のための工事不要の設置・撤去できるものやダイヤスロープなど)
③歩行器(固定型歩行器や四輪歩行車など。※シルバーカーは対象外)
④歩行補助つえ(サイドウォーカー、松葉づえ、多脚杖、ロフストランド・クラッチなど。※T字杖のステッキなどは対象外)
⑤自動排泄処理装置(ベッドに寝たままの状態で排せつを処理する装置で、排尿、排便をセンサーで感知し、吸引・洗浄・乾燥を自動的に行うもの。※レンタル対象は本体のみ)
となっている。
1. ×:T字杖は、対象外である。杖の場合、多点杖であれば対象となる。
2. 〇:正しい。手すりは、工事不要で設置できる手すり、任意の場所に置いて使用できる手すりなどであれば対象である。
3. ×:車椅子は、対象外である。要介護2~5で対象となる。
4. ×:特殊寝台は、対象外である。要介護2~5で対象となる。
5. ×:移動用リフトは、対象外である。要介護2~5で対象となる。
はじめましてこんにちは。
現在理学療法学専攻の大学に通う者です。
とても解説がわかりやすく、国試に向けての勉強で使わせて頂いております。
お忙しいと思いますが、48回より前の解説もできたらお願いしたいです。
45回から47回を希望してます。出来る範囲でいいのでご検討の方よろしくお願いいたします。
はじめましてこんにちは。
とても励みになるコメントありがとうございます。
現在、5年分のOT専門の解説を書いているところでして・・・。
45~47回の解説もその次に作成しますが、今年の国家試験には間に合いそうにありません。
お力になれず申し訳ありません。
国家試験応援しています!!