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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
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PT専門
第50回PT 午前26問
26 脳卒中で小脳皮質から上小脳脚に病巣がある場合にみられやすい症状はどれか。
1. 感覚障害
2. 運動麻痺
3. ジストニア
4. 動作時振戦
5. パーキンソニズム
解答4
解説
上小脳脚の主体をなす線維は、小脳視床路と小脳赤核路である。とはいえ、本問題は選択肢の中から一般的な小脳の働きを選択できれば正解となる。
1.× 感覚障害は、主に視床・脊髄視床路・大脳感覚野の障害などでみられるため不適切である。
2.× 運動麻痺は、主に錐体路の障害で起こるため不適切である。
3.× ジストニアとは、筋緊張の異常亢進による体幹・頚部の捻転などが起こる症状である。大脳基底核の障害でみられるため不適切である。
4.〇 正しい。動作時振とは、カップを口まで持ち上げるなどの随意運動時に生じるふるえである。小脳障害の典型的な症状である。
5.× パーキンソニズムは、黒質・大脳基底核の障害などでみられる。
一般的に、企図振戦や眼振、筋トーヌス低下、運動失調、体幹動揺、構音障害、大字症などがみられる。
小脳半球が障害されると主に運動失調症状が現れ、虫部が障害されると平衡覚障害が現れる。
第52回PT 午後2問
2 図1の検査で異常がみられた場合、図2の脊髄横断面の模式図において損傷が考えられる部位はどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤
解答:5
解説
図1:振動覚の検査である。
図2:脊髄横断面の模式図であり、深い溝(前正中裂)がある方が腹側、浅い溝(後正中溝)がある方が背側である。
振動覚、位置覚の経路は、「後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野」となる。よって、5. ⑤が正しい。後索である。後索を通る触覚と深部感覚の障害が主体となり、温度覚・痛覚が温存された解離性知覚脱失を伴う。
1.× ①は前索である。前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)が通り、その経路は「感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野」となる。
2.× ②は前角である。錐体路が通り、その経路は「大脳皮質運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→延髄→(錐体交叉)→脊髄側索→脊髄前角細胞」となる。
3.× ③は(外側)脊髄視床路である。外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)の経路は、「感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野」となる。
4.× ④は外側皮質脊髄路である。外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)の経路は、「大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索」となる。脊髄では、前脊髄動脈が脊髄の前2/3を支配しており、①~④は前脊髄動脈症候群で障害される部位である。前脊髄動脈症候群では、脊髄視床路や錐体路が障害され、感覚・運動のいずれも障害を受ける。後索に由来する深部感覚である振動覚や位置覚および表在感覚である触覚は温存される。
第56回PT 午前24問
24 感覚機能について正しいのはどれか。
1.聴覚路は上側頭回に至る。
2.視覚路は内側膝状体を通る。
3.深部覚は脊髄視床路を上行する。
4.痛覚は脊髄内で後索を上行する。
5.味覚は副神経を経由して伝わる。
解答1
解説
1.〇 正しい。聴覚路は、「上側頭回(ウェルニッケ野)」ではなく、側頭葉の聴覚野(上側頭回の上面)に至る。聴覚刺激は、内耳のラセン器で受容され、双極細胞の末梢性突起を経て、中枢性突起に伝えられる。そして蝸牛神経として橋に入り、蝸牛神経核に達し、ニューロンを交代する。蝸牛神経核から起こる線維が交差し台形体をつくる。その後、外側毛帯となり橋の背側部を上行→中脳下丘→視床後端にある内側膝状体に至る。ここで中継され、内包後脚のレンズ下部を通り、側頭葉の聴覚野(上側頭回の上面)に達する。
2.× 視覚路は、「内側膝状体」ではなく、外側膝状体を通る。視覚路とは、網膜で受容される視覚刺激が、大脳皮質の視覚野に達するまでの経路である。視覚情報は網膜→視神経→視索を経て、視床後端にある外側膝状体に入る。そして内包後脚のレンズ下部を通り、側頭葉内を走り、後頭葉の内側面にある視覚野に達する。ちなみに、内側膝状体は、視床に属する神経核群であり、中脳下丘と大脳皮質聴覚野の間に位置する聴覚伝導路の中継核である。
3.× 深部覚は、「脊髄視床路」ではなく、主に脊髄後索路を上行する。非意識型深部感覚では、主に後脊髄小脳路、または前脊髄小脳路を上行する。
4.× 痛覚は、脊髄内で「後索」ではなく、側索を上行する(外側脊髄視床路)。痛覚の伝導路は、末梢の受容器→脊髄神経節→後根→後角→白交連を通って反対側に交叉→側索→外側脊髄視床路→脳幹→視床→内包→大脳皮質中心後回(感覚野)である。
5.× 味覚は、「副神経」ではなく、顔面神経(舌前2/3)と舌咽神経(舌後1/3)を経由して伝わる。副神経とは、僧帽筋や胸鎖乳突筋など、首を動かす筋肉に分布する運動神経である。
OT専門
第50回OT 午前24問
24 温度覚検査について誤っているのはどれか。
1.痛覚としてとらえていないか注意する。
2.10℃が判別できると冷覚は正常である。
3.50℃が判別できると温覚は正常である。
4.温かいか冷たいかで応答させる。
5.温覚計は垂直に10秒間当てる。
解答5
解説
1.〇 正しい。痛覚としてとらえていないか注意する。なぜなら、外側脊髄視床路は温・痛覚を伝えるため。温かさに対し過敏だと、同じ神経である痛覚も同時に伝え、「ビリビリ感のような痛み」が起こることもある。他の感覚を誘発している場合には、その様子を記載するとよい。
2~3.〇 正しい。10℃が判別できると冷覚は正常である。/50℃が判別できると温覚は正常である。温度覚検査は、10℃の冷覚と50℃の温覚を感じることができれば正常である。一般的に冷覚は5~10℃、温覚は40~45℃である。これらを感じない場合には、0℃と60℃で検査を行い、感じることができれば鈍麻、感じることができなければ脱失と判定する。
4.〇 正しい。温かいか冷たいかで応答させる。
5.× 温覚計は、垂直に「10秒間」ではなく1秒間当てる。
第56回OT 午前4問
4 身体図のような感覚障害を呈する場合に考えられる脊髄の障害部位はどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤
解答2
解説
①障害部レベルの全感覚消失。
②それ以下の左側の深部感覚消失・痙性麻痺。
③右側の温痛覚消失。
→Brown-Sequard 症候群(ブラウン・セカール症候群:脊髄半側症候群)は、損傷髄節よりも下位の反対側に温痛覚障害が生じ、同側に触覚の低下・痙性麻痺・深部感覚障害が生じる。
1.× ①(右半側の障害)の場合は、①障害部レベルの全感覚消失、②障害部レベル以下の右側の深部感覚消失・痙性麻痺、③左側の温痛覚消失がみられる。
2.〇 正しい。②(右半側の障害)の場合、身体図のような感覚障害を呈する。Brown-Sequard 症候群(ブラウン・セカール症候群:脊髄半側症候群)は、損傷髄節よりも下位の反対側に温痛覚障害が生じ、同側に触覚の低下・痙性麻痺・深部感覚障害が生じる。
3.× ③(後半側の障害)の場合は、①両側の触覚と深部感覚の障害、②温度覚・痛覚が残存する。解離性知覚脱失ともいう。
4.× ④(前半側の障害)の場合は、①損傷部位以下の運動麻痺、②損傷部位以下の温度覚・痛覚障害・膀胱直腸障害など。③両側の触覚と深部感覚は残存する。前脊髄動脈閉塞症候群、後縦靭帯硬化症でみられる。
5.× ⑤(中心性の障害)の場合は、①下肢よりも上肢に強い運動麻痺、②感覚障害(触覚、深部感覚は保たれるが温痛覚が障害)が生じる。脊髄空洞症の初期でみられる。また、頭の急激な過伸展が原因で起こるものは中心性損傷が多い。
共通問題
第46回共通 午前53問
外側皮質脊髄路が交叉するのはどこか。
1.放線冠
2.内包
3.中脳
4.延髄
5.脊髄
解答4
解説
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索
1~3.5.× 放線冠/内包後脚/中脳大脳脚/脊髄は、外側皮質脊髄路(錐体路)であるが交叉しない。
4.〇 正しい。延髄で外側皮質脊髄路が交叉する(錐体交叉)。
第46回共通 午後53問
温痛覚の伝導路はどれか。
1.前皮質脊髄路
2.後脊髄小脳路
3.前脊髄小脳路
4.前脊髄視床路
5.外側脊髄視床路
解答5
解説
温痛覚は感覚神経→脊髄後角→外側脊髄視床路→後外側腹側核(視床) →後脚→大脳皮質体性知覚野へと伝わっていく。
1.× 前皮質脊髄路は、錐体路の一部である。
2.× 後脊髄小脳路は、下肢の筋固有覚と関節覚を伝える。
3.× 前脊髄小脳路は、下肢の深部感覚を伝える.
4.× 前脊髄視床路は、粗大な触覚・圧覚を伝える。
5.× 外側脊髄視床路は温痛覚を伝える。
第47回共通 午前64問
外側皮質脊髄路について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.後索を通る。
2.延髄で交叉する。
3.運動前野からの投射線維を含まない。
4.脊髄で前角細胞にシナプス結合する。
5.上肢に対応する線維は下肢に対応する線維よりも外側にある。
解答2,4
解説
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索
1.× 後索は通らない。後索は、深部感覚と精密な触覚の伝導路である。振動覚、位置覚の経路は、「後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野」となる。
2.〇 正しい。延髄で交叉する。これを錐体交叉という。その後、対側の側索を下行する。
3.× 運動前野からの投射線維を含む。運動前野は、一次運動野に情報を与える。
4.〇 正しい。脊髄で前角細胞にシナプス結合する。脊髄で前角細胞にシナプス結合し二次ニューロンへ接続する。
5.× 逆である。下肢に対応する線維は、上肢に対応する線維よりも外側にある。上肢に対応する線維は、脊髄の内側に走行しているため、中心性脊髄損傷が生じると上肢優位の麻痺が生じる。
第47回共通 午前54問
64 障害を受けた場合に右同名半盲を生じ得る部位はどれか。2つ選べ。
1.右視神経
2.左外側膝状体
3.右内側膝状体
4.左視放線
5.右後頭葉
解答2/4
解説
障害視野:両眼の視野の右半部。
障害部位:左視索、左外側膝状体、左視放線、左後頭葉など。
1.× 右視神経障害で、右眼のみ見えなくなる。
2~4.〇 正しい。左外側膝状体/左視放線障害で、右同名半盲が生じる。他にも、左視索、左後頭葉が障害されると起こる。
3.× 右内側膝状体は、聴覚に関与する。ちなみに、聴覚の伝導路は、【蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回】である。
5.× 右後頭葉障害で、「右」ではなく左同名半盲になる。
第47回共通 午後63問
63 脊髄後索の損傷によって生じるのはどれか。2つ選べ。
1.部位覚障害
2.位置覚障害
3.温痛覚解離
4.振動覚障害
5.Babinski 徴候
解答2/4
解説
【深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路】
後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野
1.× 部位覚障害は、複合感覚に属する。複合感覚とは、二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚といった知覚を含む高度な感覚である。刺激の局在部位を識別する感覚である。
2.4.〇 正しい。位置覚障害/振動覚障害は、脊髄後索の損傷によって生じる。なぜなら、脊髄後索は、深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路に含まれるため。ちなみに伝導路は、後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野である。
3.× 温痛覚解離は、脊髄側索の前方を上行する。
5.× Babinski 徴候は、錐体路障害でみられる。錐体路は、大脳皮質運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→延髄→(錐体交叉)→脊髄側索→脊髄前角細胞という経路をたどる。
第48回共通 午前55問
下行性の神経線維が通るのはどれか。
1.薄束
2.錐体
3.楔状束
4.内側毛帯
5.外側毛帯
解答2
解説
1.3.× 薄束/楔状束は、脊髄後索にある。後索は、身体の振動覚・位置覚・微細な触覚の上行路である。
2.〇 正しい。錐体は、錐体路のひとつで延髄にある。錐体路は外側皮質脊髄路ともいい、運動の指令を大脳から全身に伝える経路である。つまり、錐体路は下行路である。
4.× 内側毛帯は、橋にある。内側毛帯は、意識できる深部感覚(位置覚・振動覚)の上行路である。
5.× 外側毛帯は、聴覚の伝導路のひとつで上行路である。
第48回共通 午後55問
視覚の伝導路はどれか。
1.外側膝状体
2.レンズ核
3.放線冠
4.脳弓
5.下丘
解説1
視神経→視交叉→視索→外側膝状体→視放線→後頭葉(視覚野)
1.〇 正しい。外側膝状体は、視床の一部で視覚の中継核である。
2.× レンズ核(被殻と淡蒼球)とは、大脳基底核である。
3.× 放線冠は、内包を通る投射線維である。
4.× 脳弓は、海馬から乳頭体に至る有髄線維束である。
5.× 下丘は、中脳にある。聴覚の伝導路の一部である。
第51回共通 午前55問
55 痛覚の脊髄神経路で正しいのはどれか。
1. 薄束
2. 楔状束
3. 赤核脊髄路
4. 外側脊髄視床路
5. 外側皮質脊髄路
解答4
解説
1~2.× 薄束/楔状束は、後索の上行路である。これらは、深部感覚(位置覚・振動覚)に関する神経路である。
3.× 赤核脊髄路は、側索を通る外側皮質脊髄路と錐体外路系(赤核脊髄路・オリーブ脊髄路)であり、運動系の神経路である。
4.〇 正しい。外側脊髄視床路は、痛覚の脊髄神経路として正しい。側索に存在する。
5.× 外側皮質脊髄路は、運動系の神経路である。
第51回共通 午後56問
56 後脊髄小脳路が通るのはどれか。
1. 大脳脚
2. 内側毛帯
3. 上小脳脚
4. 中小脳脚
5. 下小脳脚
解答5
解説
後脊髄小脳路は、主として下半身の深部感覚を伝える線維である。脊髄に入り後索をやや上行したのち、あるいは直接に後角の胸髄核に達する。ここでニューロンを代えて、同側の側索の後外側部の表層を後脊髄小脳路として上行し、下小脳脚を経て小脳に至る。(非交叉性)姿勢の調節運動における個々の筋の精密な協調のために必要な情報である。よって、選択肢5.下小脳脚が正しい。
1.× 大脳脚は、錐体路を形成する線維が通る。
2.× 内側毛帯は、触圧覚を伝える線維が通る。
3.× 上小脳脚は、小脳の主たる出力経路である。主に歯状核に起始し、赤核・視床へとつながる遠心性線維から構成され、ほかに前脊髄小脳路から小脳前葉に至る求心性線維の一部も含まれている。
4.× 中小脳脚は、最大の小脳脚で、すべて橋核より起始する遠心性線維からなり、大脳新皮質の感覚野・運動野からの下行路の一部である。
第52回共通 午後62問
四肢からの感覚神経伝導路について正しいのはどれか。
1. 触覚の線維は中脳で交叉する。
2. 圧覚の線維は脊髄視床路を通る。
3. 温度覚の線維は脊髄節で交叉する。
4. 一次ニューロンの細胞体は後角にある。
5. 痛覚の伝導路は延髄で二次ニューロンになる。
解答3
解説
1.× 触覚の線維は、中脳ではなく、脊髄で交叉する(白交連)。触覚は延髄で交叉(毛帯交叉)する経路(識別のある触覚と識別のない触覚の一部)と脊髄で交叉する経路(前脊髄視床路、識別のない触覚の一部)がある。
2.× 圧覚の線維は、脊髄視床路ではなく、前脊髄視床路を通る。脊髄視床路には、前脊髄視床路と外側脊髄視床路の2つがある。外側脊髄視床路は、温痛覚の線維の経路である。(問題文が不適当である)
3.〇 正しい。温度覚の線維は脊髄節で交叉する。温痛覚は、脊髄に入ってからすぐに対側へ交叉し、外側脊髄視床路を上行する。
4.× 一次ニューロンの細胞体は、後角ではなく、脊髄後根神経節(脊髄神経節)にある。
5.× 痛覚の伝導路は、延髄ではなく、脊髄後角で二次ニューロンになる。
第53回共通 午後55問
視神経から視覚野に至る視覚伝導路の順で正しいのはどれか。
1.視索→視交叉→視放線→外側膝状体
2.視索→視放線→外側膝状体→視交叉
3.視交叉→視索→外側膝状体→視放線
4.視放線 →視交叉→視索→外側膝状体
5.視交叉→外側膝状体→視索→視放線
解答:3
解説
視覚伝導路は、「視神経―視交叉―視索―外側膝状体―視放線―視覚野」となる。
よって、答えは選択肢3.視交叉→視索→外側膝状体→視放線となる。
第55回共通 午前52問
52 錐体路を含むのはどれか。
1.脳梁
2.大脳脚
3.上小脳脚
4.中小脳脚
5.下小脳脚
解答2
解説
錐体路は、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。よって、選択肢2.大脳脚が正しい。
1.× 脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束である。左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路である。小脳は、3対の脳脚により脳幹と結合している。それぞれの小脳脚は上小脳脚・中小脳脚・下小脳脚と呼ばれる。結合は上小脳脚で中脳と、中小脳脚で橋と、下小脳脚で延髄と結合している。
3.× 上小脳脚は、主に歯状核に起始し、赤核、視床へとつながる遠心性線維から構成されている。
4.× 中小脳脚は、大脳新皮質の感覚野・運動野からの下降路が橋核を介して小脳へ入力する線維が大半を占めている。
5.× 下小脳脚は、深部感覚を伝える上行伝導路である後脊髄小脳路が通る。
第56回共通 午後82問
82 左小脳半球梗塞で生じやすい症状はどれか。
1.右半身感覚障害
2.右上下肢失調症
3.左片麻痺
4.聴覚障害
5.構音障害
解答5
解説
・小脳半球(新小脳)は、四肢(特に上肢)の協調運動を司っている(失調性歩行、企図振戦、構音障害など)。失調性歩行は、ワイドベースや酩酊歩行、よろめき歩行ともいう。
・小脳虫部は、体幹と下肢の協調運動、片葉小節葉を含む古小脳は身体のバランス維持と頭頸部の協調運動を司る(主に体幹失調)。
1.× 左右に関係なく小脳梗塞では、感覚障害は生じない。ちなみに、感覚障害は、主に視床・脊髄視床路・大脳感覚野の障害で見られる症状である。
2.× 上下肢失調症は、「右上下肢」ではなく左上下肢に起こる。小脳半球の障害では、病巣と同側の上下肢に運動失調を呈する。
3.× 左右に関係なく小脳梗塞では、運動麻痺は生じない。ちなみに、運動麻痺は、錐体路(大脳皮質運動野-放線冠-内包後脚-大脳脚-延髄-錐体交叉-脊髄前角細胞)で生じる。
4.× 聴覚障害は生じない。なぜなら、聴覚を司る内耳神経核は橋〜延髄にかけて存在するため。ちなみに、聴覚障害は、①内耳孔付近の障害で聴覚を司る内耳神経が障害された場合(聴神経鞘腫など)は難聴となり、②一次聴覚野、聴覚野周辺の障害では、聴覚聾(ちょうかくろう:極めて重度の難聴)、環境音失認(動物の鳴き声が認識できないなど)が起こる。
5.〇 正しい。小脳障害では構音障害が生じる。流暢に話すことができず発語が不明瞭であったり、爆発性言語が聞かれる。
第57回共通 午後55問
55 脊髄について正しいのはどれか。
1.体性感覚神経の一次ニューロンの細胞体は後根神経節に存在する。
2.白質はその大部分を神経細胞の細胞体が占める。
3.運動神経細胞は後角にある。
4.深部感覚は前索を上行する。
5.温痛覚は後索を上行する。
解答1
解説
1.〇 正しい。体性感覚神経の一次ニューロンの細胞体は、後根神経節に存在する。体性感覚性神経系には、触覚・固有覚(位置覚と振動覚)を伝える後索・内側毛帯路と、温痛覚(温度覚と痛覚)を伝える脊髄視床路の二つの伝導路がある。どちらの伝導路も、感覚受容器から大脳皮質に情報が伝わるまでに3種類のニューロンがかかわっている。このニューロンを末梢から順に一次・二次・三次ニューロンという。①一次ニューロンは、侵害受容器から、細胞体がある脊髄後根神経節を経由し、二次ニューロンとシナプスする後角の手前までのことをいう。②二次ニューロンは、二次ニューロンの細胞体が主に存在する後角から脊髄を経由し、三次ニューロンとシナプスする視床の手前までのことをいう。③三次ニューロンは、視床から頭頂葉の中心後回(ブロードマンの脳地図の3,1,2野)にある感覚野までをいう。(参考:Wikiより)。
2.× 大部分を神経細胞の細胞体が占めるのは、「白質(髄質)」ではなく「灰白質(皮質)」である。脳の白質(髄質)は、有髄神経線維で髄鞘が存在する。一方、灰白質(皮質)は、神経細胞の細胞体があり無髄神経線維である。
3.× 運動神経細胞は、後角ではなく「前角」にある。運動神経細胞は、筋を直接支配し収縮を引き起こす遠心性の神経線維である。ちなみに、後角は、前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)や外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)が通る。
4.× 深部感覚は、前索ではなく「後索」を上行する。振動覚、位置覚の経路は、「後根→後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる)→延髄(後索核)→毛帯交叉→内側毛帯→視床後外側腹側核→感覚野」となる。
5.× 温痛覚は、後索ではなく「側索」を上行する。外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)の経路は、「感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野」となる。
第58回共通 午後52問
52.下行神経路はどれか。
1.後脊髄小脳路
2.前脊髄視床路
3.前脊髄小脳路
4.外側脊髄視床路
5.外側皮質脊髄路
解答5
解説
1.× 後脊髄小脳路は、上行神経路である。後脊髄小脳路は、非意識型深部感覚を伝える。脊髄に入り後索をやや上行したのち、あるいは直接に後角の胸髄核に達する。ここでニューロンを代えて、同側の側索の後外側部の表層を後脊髄小脳路として上行し、下小脳脚を経て小脳に至る。(非交叉性)姿勢の調節運動における個々の筋の精密な協調のために必要な情報である。
2.× 前脊髄視床路は、上行神経路である。前脊髄視床路は、粗大な触覚・圧覚を伝える。感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野となる。
3.× 前脊髄小脳路は、上行神経路である。前脊髄小脳路は、下肢の深部感覚を伝える。前脊髄小脳路は、上小脳脚を通って、後脊髄小脳路は下小脳脚を通って小脳に入る。
4.× 外側脊髄視床路は、上行神経路である。外側脊髄視床路は、温痛覚・粗大触圧覚を伝える。感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野となる。
5.〇 正しい。外側皮質脊髄路は、下行神経路である。外側皮質脊髄路(錐体路)は、運動を伝える。大脳皮質→放線冠→内包後脚→中脳の大脳脚→橋縦束→延髄で錐体交叉→脊髄の側索となる。
第59回共通 午後54問
54 温痛覚の経路はどれか。
1.脊髄小脳路
2.皮質脊髄路
3.前脊髄視床路
4.網様体脊髄路
5.外側脊髄視床路
解答5
解説
錐体外路とは、錐体路以外の運動指令を行うための経路を総称したものである。錐体外路中枢や、大脳基底核、視床腹部、脳幹などと微調整しながら姿勢や運動に対する指令を骨格筋へ伝える。
1.× 脊髄小脳路は、前・後あるが、いずれにしても非意識型深部感覚を伝える。
2.× 皮質脊髄路は、前・外側あるが、いずれにしても錐体路(もしくは一部)で運動を伝える。
3.× 前脊髄視床路は、粗大な触覚・圧覚を伝える。感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野
4.× 網様体脊髄路は、外側・内側あるが、いずれにしても錐体外路(もしくは一部)で姿勢制御に寄与する。外側路は主に四肢の制御に、内側経路は主に体幹・姿勢制御に寄与する。
5.〇 正しい。外側脊髄視床路は、温痛覚の経路である。温痛覚のほかに粗大触圧覚も伝え、伝導路は【感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野】である。
覚えておこう!!
【伝導路一覧】
・聴覚伝導路:蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回
・視覚伝導路:視神経―視交叉―視索―外側膝状体―視放線―視覚野
・外側皮質脊髄路 (錐体路・運動):大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索
・前皮質脊髄路(錐体路の一部・運動):大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束—延髄—交叉せずに脊髄前索を下降(10~25%程度)
重要事項:①延髄で交差せずに同側に下降すること、②支配はL2まで。
・前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚):感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野
・外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚):感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野
さらに詳しくまとめた記事になります。
48回の問54の2は錐体路交差ではないでしょうか?
コメントありがとうございます。
第48回の問54は、このページで紹介していません。
他の問題のことでしょうか?
また質問文をもう少し詳細を書いていただけたら幸いです。
第48回の問54の選択肢2が「錐体路交差」で書き間違えているのでしょうか?