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46 三次予防に含まれるのはどれか。
1. 早期発見
2. 早期治療
3. 予防接種
4. 健康増進
5. リハビリテーション
解答:5
解説
疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。
一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。
(※健康日本21において)
よって、選択肢5. リハビリテーションが三次予防に含まれる。
1.2. ✖ 早期発見、早期治療は、二次予防である。
3.4. ✖ 予防接種、健康増進は、一次予防である。
47 要介護認定の審査で、要支援2と要介護1の違いを判定する要素はどれか。
1. 歩行速度
2. 対象者の意欲
3. 状態の不安定性
4. 家族の介護負担感
5. 要介護認定等基準時間
解答:3
解説
要支援2と要介護1は、要介護認定訪問調査の一次判定においては「同程度の介護量」である。しかし、分ける2つの基準があり、1つは、認知症の有無である。認知症高齢者の日常生活自立度がⅡ以上かMの場合、「要介護1」に判定される。もう1つは、状態の安定性である。主治医の意見書の記載内容や特記事項なども含めた調査の内容から、半年以内に状態が大きく変わる可能性があると判断される場合、「要介護1」に判定される。よって、選択肢3. 状態の不安定性が正しい。
48 疾患と自助具の組合せで正しいのはどれか。
1. 片麻痺:ボタンエイド
2. 片側上肢の切断:プルトップオープナー
3. 脊髄小脳変性症:リーチャー
4. 両側上肢の切断:台付き爪切り
5. アテトーゼ型脳性麻痺:ソックスエイド
解答:4
解説
1.× ボタンエイドは、関節リウマチ患者(手指の巧緻動作が困難な場合)に使用する。片麻痺では、非麻痺側上肢でボタンのかけ外しができるため不要である。
2.× プルトップオープナーは、関節リウマチ患者に使用する。ちなみに、片側上肢の切断で必要となるのは、ボトルオープナーである。
3.× リーチャーは、関節リウマチ・人工股関節全置換術後の患者(上・下肢や体幹の関節可動域に制限や痛みがある場合)に使用する。脊髄小脳変性症は、測定障害があるため使用が困難である。
4.〇 正しい。台付き爪切りは、両側上肢の切断などの患者に適応となる。他にも、関節リウマチによる手指変形の場合や握力低下時でも弱い力で爪が切れる。
5.× ソックスエイドは、人工股関節全置換術後・痙直型脳性麻痺の患者(足部に手が十分届かない障害)に使用する。アテトーゼ型脳性麻痺の場合、不随意運動があるためうまく使えないことが多い。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
49 Heinrichの法則について正しいのはどれか。
1. 有害事象を6段階で示している。
2. 多くの人が関わると事故が多くなる。
3. 1つの大事故に対して多数の小さな事故が発生している。
4. およそ2割の人の努力で8割の事故を防ぐことができる。
5. 二重の確認によって事故を3割程度減少させることができる。
解答:3
解説
1930年代、アメリカのハインリッヒ(Heinrich)氏が労災事故の発生確率を調査したもので、「1:29:300の法則」ともいわれる。これは、1件の重症事故の背景には、29件の軽傷の事故と、300件の傷害にいたらない事故(ニアミス)があるという経験則である。また、さらにその背景には、数千、数万の危険な行為が潜んでいたともいう。 つまり、事故の背景には必ず数多くの前触れがあるということである。よって、選択肢3.1つの大事故に対して多数の小さな事故が発生している。が正しい。
1.× 有害事象を「6段階」ではなく4段階で示している。
2.× 多くの人が関わると事故が、「多くなる」のではなく少なくなる。なぜなら、多くの人が関わることでエラーの見過ごしが減るため。
4.× およそ2割の人の努力では、8割の事故を防ぐことはできない。全員が関わろうとしなくてはならない。
5.× Heinrichの法則(1:29:300の法則)は、二重の確認によって事故を3割程度減少させることができるという考えではない。インシデントを分析し減らしていくことがアクシデントを減らすことにつながるという考え方である。
50 側方突進が出現する可能性が最も高い病変部位はどれか。
1. 小脳虫部
2. 黒質緻密部
3. 視床内側部
4. 延髄外側部
5. 内包後脚部
解答:4
解説
延髄外側部を障害されると障害側の顔面と健側の頚部以下の温痛覚障害、小脳性運動失調、ホルネル症候群、嚥下障害、めまいなどを来たすWallenberg症候群となる。小脳性運動失調には、病巣側に倒れやすいという特徴があり、側方突進の症状となる。よって、選択肢4. 延髄外側部が正しい。
1.× 小脳虫部が障害されると開脚歩行・酩酊歩行がみられる。なぜなら、小脳中部には室頂核があり、前庭神経系と連絡があるため。
2.× 黒質緻密部が障害されると加速歩行(突進現象)がみられる。黒質緻密部の障害がParkinson病である。
3.× 視床内側部が障害される(内包まで及ぶと)と分回し歩行(片麻痺)がみられる。ちなみに、視床内側部は視床前部と共に情動に関与している。視床内側部の障害では感覚に伴う情動が障害される。したがって、この部分が侵されると強い不安状態に陥る。
5.× 内包後脚部が障害されると分回し歩行(片麻痺)がみられる。内包後脚部には、運動出力線維などの皮質脊髄路(錐体路)が通っている。
Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。
(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)