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96 アルコール離脱症状の後遺症はどれか。
1.Kleine-Levin症候群
2.Korsakoff症候群
3.Lennox-Gastaut症候群
4.Rett症候群
5.悪性症候群
解答2
解説
長年のアルコール飲酒者が急に断酒をしたときに起こる。せん妄は、ほとんどの患者にみられ、意識障害、不安、睡眠障害が起こる。
①飲酒後数時間以内に生じてくる発汗、いらつき、不安、手指振戦、不眠などの症状に始まり、断酒2~3日後に振戦せん妄が生じる。
②症状は、せん妄(様々な程度の意識混濁に見当識障害、不安感、恐怖感などを伴う)と幻視(特に小動物や小人の幻視)である。
③一週間以内に症状が治まることが多いが、回復しないままウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群に移行する場合もある。
1.× Kleine-Levin症候群(クライネ-レビン症候群、反復性過眠症、周期性傾眠症)とは、平均10日間の過眠病相(強い眠気をもよおす状態)が続き、昼夜を問わず、毎日16~20時間も眠り続けるのが特徴的である。このような過眠病相が通常1年に1回以上(平均3ヵ月に1回)続く。原因が不明である。10歳代で好発、女性よりも男性の有病率が約4倍高い。
2.〇 正しい。Korsakoff症候群は、アルコール離脱症状の後遺症である。なぜなら、長期間のアルコール乱用によるビタミンB1(チアミン)欠乏から発症するウェルニッケ脳症の後遺症となるため。Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)の特徴的な症状は、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。
3.× Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)は、3~5歳で発症し、急に四肢が硬くなり脱力発作が起こるてんかん症候群である。続発性全般性発作に分類され、West症候群より移行して起こる。発作は難治性で頻発し、知的障害・精神発達遅延を伴い、重積状態をきたしやすい。
4.× Rett症候群(レット症候群)は、女子のみに発症する進行型の脳障害である。生後5ヶ月までは正常に発達するが、その後は頭部の発達が遅くなり、常同的な手の動き(手を揉む、手を洗うような動作)、歩行困難、対人関係の消失がみられ、会話ができなくなり重篤な精神遅滞を伴う。
5.× 悪性症候群とは、抗精神病薬の使用初期や、抗精神病薬・抗Parkinson病薬の急激な中断により、発熱(ときに40℃以上)、錐体外路症状(特に筋強剛)、自律神経症状(頻脈・発汗・流涎)、精神症状(昏迷、意識障害)、高CK血症などを来すものである。
97.統合失調症の前駆期にみられるのはどれか。
1.自生思考
2.滅裂思考
3.奇異な妄想
4.感情の平板化
5.緊張病症候群
解答1
解説
統合失調症の「前駆期」とは、幻聴や妄想などの明らかな統合失調症の症状が出現する前の時期である。前駆期の症状としては、身体症状(睡眠障害・頭重感・倦怠感など)、非特異的な精神症状(不安・抑うつ・集中困難・思考力の低下・知覚過敏など)、軽微な陽性症状(錯覚・奇異な思考など)がみられる。
1.〇 正しい。自生思考は、統合失調症の前駆期にみられる。自生思考とは、考えが自分の意思と関係なく自然に頭に浮かんでくることである。前駆期には、まだ明確な妄想や著しい思考の乱れは現れず、日常的な論理的思考から逸脱して、独自の連想や不条理な思考が始まることが特徴とされている。
2.× 滅裂思考は、急性期以降にみられる。話のつながりが悪く(連合弛緩)、これが高度になると支離滅裂な思考となる(滅裂思考)となる。
3.× 奇異な妄想は、急性期以降にみられる。なぜなら、奇異な妄想(軽微な陽性症状)は、はっきりとした固定観念や誤った信念が形成された状態であるため。
4.× 感情の平板化は、特に消耗期にみられる。感情の平板化(感情表現の乏しさ)は、発症後の慢性的な症状として現れる場合が多い。
5.× 緊張病症候群は、急性期~消耗期にみられる。なぜなら、緊張病症候群は、重篤な精神病状態や急性の緊張状態を指し、前駆期の穏やかな変化とは性質が異なるため。ちなみに、緊張病症候群とは、①緊張病性興奮、②緊張病性昏迷、③カタレプシー(長い時間そのままの同じ姿勢を保ち続ける状態)、④反響言語・動作、⑤常同、⑥しかめ面などの奇異な表情の症状が含まれる。緊張病症候群は、主に緊張型統合失調症にみられる症状の総称である。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
98 複雑部分発作〈焦点意識減損発作〉を起こして自宅室内を徘徊しているてんかん患者に対して、まず行うのはどれか。
1.救急搬送を要請する。
2.室内に一人きりにする。
3.周囲の危険物を取り除く。
4.身体を押さえて保護する。
5.タオルを噛ませる。
解答3
解説
複雑部分発作〈焦点意識減損発作〉を起こして自宅室内を徘徊しているてんかん
→側頭葉てんかんが疑われる。自動症とは、口をもぐもぐしたり、無意識に歩きまわったり、その場に適応しない異常行動である。発作中の行動は危険なもの以外は無理に抑制せず、周囲に危険物があれば取り除き、意識が回復するまで一定の距離を保って見守るのが良い。
1.× 直ちに、救急搬送を要請する必要はない。なぜなら、基本的に意識が回復するため。重篤な状態が疑われるときは救急搬送が必要であるが、救急搬送の手順としてまず安全確保が最優先である。
2.× 室内に一人きりにするべきとはいえない。なぜなら、発作中は混乱状態にあり事故や怪我のリスクが高いため。転倒したり危険な場所に入ったりするのを防ぐ。
3.〇 正しい。周囲の危険物を取り除く。なぜなら、一緒に移動して、周囲の危険物に注意して体を打撲や怪我を予防できるため。
4.× 身体を押さえて保護するべきとはいえない。なぜなら、身体を押さえ込むと、逆に外傷や骨折などの二次的損傷を引き起こす可能性があるため。安全な環境を整えることが優先される。
5.× タオルを噛ませるべきとはいえない。なぜなら、発作中に口の中に物を入れると、口の中を傷つけたり歯が折れたり、嘔吐を誘発するため。嘔吐後の誤嚥性肺炎となったケースもある。
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99 自閉スペクトラム症〈自閉症スペクトラム障害〉児にみられる特徴はどれか。
1.表情変化に乏しい。
2.共感性が豊かである。
3.図鑑を見るより物語を好む。
4.想像力を必要とする遊びを好む。
5.暗黙のルールの理解が良好である。
解答1
解説
広汎性発達障害とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害、および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴づけられる一群をいう。現在の分類では「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」に含まれている。
広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。
【診断基準の要点】
①「社会及び感情の相互性の障害」「社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害」「発達レベル相応の関係を築き維持することの障害」の3つがすべて込められること。
②行動、興味活動の、限局的で反復的な様式が認められること。
1.〇 正しい。表情変化に乏しい。なぜなら、非言語的コミュニケーションの困難さが挙げられ、表情やジェスチャーが限定的であったり、一様になりやすかったりするため。
2.× 共感性が「豊か」ではなく乏しい。なぜなら、社会的相互作用や感情の理解に課題があり、他者の感情や意図を読み取るのが苦手であるため。
3.× 逆である。「物語」を見るより「図鑑」を好む。なぜなら、特定の詳細な情報やパターンに強い興味を示す傾向があるため。個々の事実や細部に強い関心を持つことが多い。
4.× 想像力を必要とする遊びを「好む」のではなく苦手である。なぜなら、特定の遊びや道順などにこだわりがみられるため。
5.× 暗黙のルールの理解が、「良好」ではなく苦手である。なぜなら、非言語的な合図や背景にある社会的ルールを把握するのに困難があるため。例えば「場の空気を読む」といったことが苦手な傾向にある。
100 注意欠如・多動症〈注意欠如・多動性障害〉に対する心理社会的治療で適切でないのはどれか。
1.指示は1つずつ出す。
2.視覚化した指示を出す。
3.雑談しながら作業をさせる。
4.軽微な症状が出ても許容する。
5.好ましい行動をしたらすぐにほめる。
解答3
解説
1.〇 指示は1つずつ出す。なぜなら、情報量が多いと混乱しやすいため。
2.〇 視覚化した指示を出す。なぜなら、視覚情報は口頭だけの説明よりも分かりやすく、記憶に残りやすいため。例えば、チェックリストや絵文字(ピクトグラム)を使って作業手順を示すと、本人がやるべきことを直感的に把握できる。これは、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)に対しても有効である。
3.× 「雑談しながら」ではなく一つのことを集中して作業をさせる。なぜなら、雑談により、注意がそれやすく、作業効率が低下する恐れがあるため。
4.〇 軽微な症状が出ても許容する。なぜなら、特性上、多少の不注意や多動は避けられないため、過度に批判すると本人の自尊心が損なわれ、治療効果が減退する恐れがあるため。
・対人関係面で周囲との軋轢を生じやすく、大人からの叱責や子どもからのいじめにあうことがある。このため、二次障害として、自信喪失、自己嫌悪、自己評価の低下がみられることがある。そのため、患児の行動特徴を周囲が理解し、適切に支援をしていくことが重要である。
5.〇 好ましい行動をしたらすぐにほめる。なぜなら、即時の肯定的なフィードバックは、良い行動を強化し、本人のモチベーションを高めるため。
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、発達障害の一つであり、脳の発達に偏りが生じ年齢に見合わない①注意欠如、②多動性、③衝動性が見られ、その状態が6ヵ月以上持続したものを指す。その行動によって生活や学業に支障が生じるケースが多い。
①まず、行動療法を行う。𠮟責せずに、個別に近い対応で作業を粘り強く支援していく。②改善しない場合は、中枢神経刺激薬による薬物療法を用いる。中枢を刺激して、注意力・集中力を上げる。※依存・乱用防止のため、徐放薬が用いられる。
※解答の引用:第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について(厚生労働省HPより)