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71 頭頚部の屈曲と伸展の両方に作用する筋はどれか。
1．前斜角筋
2．前頭直筋
3．頭板状筋
4．胸鎖乳突筋
5．脊柱起立筋
解答４
解説
1．× 前斜角筋の【起始】第3～7頸椎の横突起前結節、【停止】第1肋骨の前斜角筋結節、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる（吸息）。肋骨を固定すれば頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。【神経】頸神経前枝である。
2．× 前頭直筋の作用は、両側が働けば頸椎を前方に曲げ、片側時は同側に曲げる。
3．× 頭板状筋の作用は、片側が働けば頭と頚をその側に回転し、かつその方向に傾ける。両側が同時に働けば頭と頚を後ろに反らせる（背屈）。
4．〇 正しい。胸鎖乳突筋は、頭頚部の屈曲と伸展の両方に作用する。胸鎖乳突筋の【起始】胸骨部：胸骨柄前面、鎖骨部：鎖骨の胸骨端、【停止】乳様突起、後頭骨の上項線の外側部、【作用】両側が同時に作用すると首をすくめて顎を突き出す。片側が働けば顔面を対側に回す。吸息の補助、【支配神経】副神経外枝、頸神経叢筋枝（C2,C3）である。
5．× 脊柱起立筋の作用は、両側が作用すると脊柱を反らせ、肋骨を引き下げる。片側が働けば体を同側に曲げる。
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72 健常者の股関節で正しいのはどれか。2つ選べ。
1．鞍関節である。
2．頚体角は120～130度である。
3．恥骨大腿靭帯は伸展運動で緊張する。
4．大腿骨の垂直軸に対する運動軸は約15度である。
5．大腿骨頭の前方は寛骨臼に完全に被覆されている。
解答２・３
解説
1．× 「鞍関節」ではなく臼状関節である。臼状関節は、股関節のみである。ちなみに、鞍関節は、母指手根中手関節、胸鎖関節である。
2．〇 正しい。頚体角は120～130度である。頚体角とは、①大腿骨頭中心と頚部の中心を通る頚部軸と、②大腿骨幹部の長軸がなす角度である。
3．〇 正しい。恥骨大腿靭帯は、伸展運動で緊張する。伸展時には、他にも、坐骨大腿靱帯・腸骨大腿靭帯・坐骨大腿靭帯が緊張する。
4．× 大腿骨の垂直軸に対する運動軸は、「約15度」ではなく約7°である。これを下肢機能軸（Mikulicz線：ミクリッツ線）といい、成人の立位荷重線で、大腿骨頭中心から足関節中心を結んだ線である。
5．× 大腿骨頭の前方（後方も）は、寛骨臼に完全に被覆「されていない」。ただ、前方より後方のほうが被覆されている。ちなみに、関節窩には骨頭の2/3が入っている。さらに、先天性股関節脱臼では関節窩に入っている骨頭の割合が低くなっている。
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73 立位姿勢が安定しているのはどれか。
1．支持基底面が狭い。
2．重心の位置が高い。
3．重心線は膝関節中心の前方を通る。
4．床と足底の接触面の摩擦抵抗が小さい。
5．重心線の位置が支持基底面の中心から離れている。
解答３
解説
静止立位時の重心動揺面積は、測定値が小さい場合にバランス機能が良好であると判断できる。
重心動揺面積に加え、重力動揺軌跡長の値が小さいほど、立位姿勢が安定していることを示す。
支持基底面が広い。
重心線が支持基底面を通る。
重心が低い。
作業対象が小さくまとまっている。
接触面の摩擦抵抗が大きい。
自分の重心と対象の重心が近い。
1．× 支持基底面が狭いと、立位姿勢は不安定になる。なぜなら、支持基底面が広いほど、重心線がその内部に収まりやすくなるため。例えば、支持基底面が狭いつま先立ちや片足立ちはバランスを崩しやすく不安定である。
2．× 重心の位置が高いと、立位姿勢は不安定になる。なぜなら、物体の重心が地面に近いほど、位置エネルギーが少ないため。例えば、背が高い建物や長い棒立ちは、同じ傾きでも転倒しやすい。
3．〇 正しい。重心線は、膝関節中心の前方を通る。なぜなら、適度に前方にあることで、足関節や膝の伸展筋群が働いてバランスを維持しやすいため。
・理想的な重心線は、①乳様突起（耳垂のやや後方）→②肩峰（肩関節の前方）→③大転子→④膝蓋骨後面（膝関節前部）→⑤外果前方を通る。
4．× 床と足底の接触面の摩擦抵抗が小さいと、立位姿勢は不安定になる。なぜなら、摩擦抵抗が大きいと、足が地面に滑ることなく、体を支えることができるため。
5．× 重心線の位置が支持基底面の中心から離れていると、立位姿勢は不安定になる。なぜなら、重心線が支持基底から外れると、新たに支持基底面を作成するステップ反応が必要となるため。
74 正常歩行で正しいのはどれか。
1．立脚相の後半は抑制期である。
2．重心は立脚中期で最も側方へ移動する。
3．前額面において遊脚側の骨盤は上方傾斜する。
4．歩行速度が速くなると遊脚相の比率は低下する。
5．遊脚相で下肢が体幹の後方にある時期を減速期という。
解答２
解説
1．× 立脚相の「後半」ではなく前半は、抑制期である。抑制期とは、踵接地から足底接地までのことである。推進期とは、立脚中期からつま先離地までである（※参考：「歩行分析の基礎」著：吉田ももこ様ら）。
2．〇 正しい。重心は、立脚中期で最も側方へ移動する。重心の振幅は3cm、踵接地期が中心（±0cm）である。
3．× 前額面において遊脚側の骨盤は、「上方」ではなく下方傾斜（ほぼ水平）する。なぜなら、正常歩行では、支持脚側の殿筋群（特に中殿筋）が働くことで、遊脚側の骨盤はほぼ水平（下方にわずかに傾く）に保たれるため。支持側の中殿筋が低下している場合、その現象が顕著（トレンデレンブルグ徴候）となる。
4．× 歩行速度が速くなると遊脚相の比率は、「低下」ではなく増加する。なぜなら、走行の場合、立脚期は短く、両脚支持期は無くなり、その分が遊脚期の延長に寄与するため。
5．× 遊脚相で、下肢が体幹の後方にある時期を「減速期」ではなく加速期という。ちなみに、遊脚相は、加速期のほか、体幹の直下にある遊脚中期、体幹の前方に振り出す減速期の3つのサイクルからなる。
【立脚期】
1． 初期接地（Initial Contact；以下，IC）：観測肢の接地の瞬間
2． 荷重応答期（Lording Response；以下，LR）：IC から対側爪先離地まで
3． 立脚中期（Mid Stance；以下，MSt）：対側爪先離地から対側下腿下垂位まで
立脚中期前半：対側爪先離地から両下腿の交差まで
立脚中期後半：両下腿交差から対側下腿下垂位まで
4． 立脚終期（Terminal Stance；以下，TSt）：対側下腿下垂位から対側 IC まで
5． 前遊脚期（Pre Swing；以下，PSw）：対側 IC から観測肢爪先離地まで
【遊脚期】
6． 遊脚初期（Initial Swing；以下，ISw）：観測肢爪先離地から両下腿の交差まで
7． 遊脚中期（Mid Swing；以下，MSw）：両下腿交差から下腿下垂位まで
8． 遊脚終期（Terminal Swing；以下，TSw）：下腿下垂位から IC まで
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75 疾病発症の外因のうち、物理的要因はどれか。
1．鉛
2．喫煙
3．紫外線
4．肺炎球菌
5．アルコール
解答３
解説
病因とは、病気の原因をといい、①内因と②外因に分けられる。
①内因とは、生体側の因子で，病気にかかりやすい準備状態を指す。内因のみでは病気は発現しない。内因は素因ともいう。
例：①生理的素因（年齢、人種、性など）、②病理的素因（個人的素因：皮膚癌を生じやすい紅皮症、アレルギー体質、糖尿病の易感染性など）
②外因とは、外部から生体に対し障害性に働くものをいう。
例：①栄養的外因（蛋白質過剰による痛風、ビタミンB1欠乏による脚気など）、②物理的外因（外傷、熱傷、放射線障害など）、③化学的外因（重金属中毒、医薬品、体内で産生されるエンドトキシン、アンモニア、アセトンなど）、④病原微生物（ウイルス、細菌、原虫など）
1．× 鉛/喫煙/アルコールは、化学的外因である。
3．〇 正しい。紫外線は、物理的要因である。紫外線は皮膚や目に損傷を与え、皮膚がんや白内障などの病気の原因となる。
4．× 肺炎球菌は、病原微生物である。ウイルス、細菌、原虫などが該当する。
