第59回(R6) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題61~65】

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61 末梢神経のC線維で正しいのはどれか。

1.有髄線維である。
2.骨格筋を支配する。
3.受容器は筋紡錘である。
4.B線維より直径が小さい。
5.Aα線維より伝導速度が速い。

解答

解説

1.× 「有髄」ではなく無髄線維である。
2.× 骨格筋を支配するのは、Aα線維である。
3.× 受容器は筋紡錘であるのは、Aγ線維である。
4.〇 正しい。B線維より直径が小さい
5.× Aα線維より伝導速度が、「速い」ではなく遅い。なぜなら、神経は直径が太ければ太いほど伝導速度が速い性質を持つため。これは、大きな直径を持つ神経は、完全な髄鞘を持つため、跳躍伝導が行えるからである。

 

 

 

 

 

62 交感神経の節前線維で直接支配されるのはどれか。

1.肝臓
2.心臓
3.気管支
4.唾液腺
5.副腎髓質

解答

解説
1~4.× 肝臓/心臓/気管支/唾液腺は、交感神経・副交感神経の2重支配を受けている。自律神経系は、支配器官に至るまでの間に必ず1回ニューロンを変える。神経節とは、ニューロン交代の場をいう。節前線維とは、神経節より中枢側の神経線維の場合、節後線維とは、末梢側の神経線維をいう。
5.〇 正しい。副腎髓質は、交感神経の節前線維で直接支配される。副腎は、交感神経節前線維によって直接支配される例外的な臓器である。副腎とは、腎臓の上端に位置する臓器でホルモンを分泌する役割を担っている。副腎髄質から、①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンという。

(※図引用:「自律神経系|神経系の機能」看護roo!様HPより)

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63 呼吸の生理で正しいのはどれか。

1.呼気時に横隔神経の活動電位が生じる。
2.迷走神経が亢進すると気道抵抗は低下する。
3.肺コンプライアンスが増加すると機能的残気量は減少する。
4.pHが上昇すると酸素はヘモグロビンから解離しやすくなる。
5.呼吸商は単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。

解答

解説
1.× 「呼気時」ではなく吸気時に横隔神経の活動電位が生じる。なぜなら、横隔膜は安静吸気に活動するため。横隔膜の支配神経は、横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。横隔神経は、頸神経(C3-C5)の枝から構成されている。
2.× 迷走神経が亢進すると気道抵抗は「低下」ではなく増加する。なぜなら、気道が狭くなるため。血管迷走神経反射とは、様々な刺激により副交感神経の亢進交感神経の抑制が起きることをいう。主な症状は血圧低下、徐脈が中心で、重度の場合は失神に至る。
3.× 肺コンプライアンスが増加すると、機能的残気量は「減少」ではなく増加する。なぜなら、肺の過膨張により、息が吐きづらく、肺にたくさんの空気が残るため。肺コンプライアンスとは、肺の膨らみやすさの指標である。肺、胸郭にはたえず縮まろうとする性質(弾性)があり、コンプライアンスは弾性の逆数で表される。肺が線維化して固くなる疾患では肺コンプライアンスは低下し、逆に肺の過膨張をきたす肺気腫等の疾患では上昇する。一方、機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。
4.× pHが上昇(アルカローシス)すると、酸素はヘモグロビンから解離「しにくくなる」。【酸塩基平衡】血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05である。
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
5.〇 正しい。呼吸商は、単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。呼吸商は、栄養素によって異なり、ブドウ糖が1.0、タンパク質は約0.8、脂質が0.7である。

呼吸運動について

①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。

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64 各臓器と血流量の局所性調節の組合せで正しいのはどれか。

1.骨格筋:乳酸の蓄積が血管を収縮
2.心臓:低酸素が冠細動脈を収縮
3.脳:二酸化炭素分圧上昇が細動脈を収縮
4.肺:低酸素が細動脈を収縮
5.皮膚:交感神経亢進が細動脈を拡張

解答

解説

循環調節とは?

循環調節とは、循環調節機構ともいい、身体活動や低酸素、出血など身体の需要に応じて血流量を正常に保つための調節機構である。

①酸素量が多い時:血管が収縮(二酸化炭素が低い時)
②酸素量が少ない時:血管が拡張(二酸化炭素が高い時)

1.× 骨格筋において、乳酸の蓄積が血管を「収縮」ではなく拡張させる。なぜなら、骨格筋の活動が高まる(CO2や乳酸などが増加)と、代謝性血管拡張を起こすため。平たく言えば、より酸素・乳酸を循環させるため。乳酸とは、カラダを動かすエネルギーを作るため糖を分解している際にできる生成物で、その名の通り酸性である。したがって、筋疲労時には乳酸が蓄積し、筋形質中のpHは低下する。
2.× 心臓において、低酸素が冠細動脈を「収縮」ではなく拡張させる。なぜなら、心臓が低酸素や労作などの際は、心筋酸素消費量が増加するため。冠動脈とは、冠状動脈ともいい、心臓を栄養する終動脈(細動脈で吻合をもたない血管)である。心臓自身を栄養するために、心拍出量の約1/20(250mL/分)の血液が冠動脈へ流れている。
3.× 脳において、二酸化炭素分圧上昇が細動脈を「収縮」ではなく拡張させる。なぜなら、脳の活動が高まる(二酸化炭素分圧上昇)と、より酸素を循環させるため。
4.〇 正しい。肺において、低酸素が細動脈を収縮させる。なぜなら、肺の活動が低下する(低酸素)と、より酸素を循環させるため。細動脈を収縮させ、ガス交換を効率よく進める。肺動脈とは、 心臓から肺に血液を送るための血管である。肺動脈は、脱酸素化された血液を運ぶ唯一の動脈である。一方、肺静脈は、酸素化された血液を運ぶ唯一の静脈である。
5.× 皮膚において、交感神経亢進が細動脈を「拡張」ではなく収縮させる。なぜなら、運動筋への血流を増加させるため。ただし、運動によって体温が上昇すると、皮膚の交感神経拡張刺激により血管が拡張する。これを皮膚血流調節という。体温を抑制するために起こる反応である(※参考:「運動時の循環反応」東邦大学様HPより)。

 

 

 

 

 

65 ワルファリンの抗凝固作用に拮抗するのはどれか。

1.ビタミンA
2.ビタミンC
3.ビタミンD
4.ビタミンE
5.ビタミンK

解答

解説
1.× ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があり、暗いところでの視力を保つ働きがある。ビタミンA欠乏は、眼球乾燥症夜盲症を生じる。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。
2.× ビタミンCとは、抗酸化作用をもち、多くのホルモン合成や薬物代謝に関わる。ビタミンC欠乏は、壊血病を生じる。壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。
3.× ビタミンDとは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDの欠乏によりくる病をきたす。
4.× ビタミンEとは、脂質の酸化防止に関わる。ビタミンE欠乏は、溶血性貧血や神経障害の原因となる。溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。
5.〇 正しい。ビタミンKは、ワルファリンの抗凝固作用に拮抗する。ビタミンKとは、血液凝固のほかに骨形成(骨をつくる骨芽細胞の働き)を促進する作用と骨吸収(骨を壊す破骨細胞の働き)を抑制する作用がある。骨粗鬆症における骨量(骨の材料であるカルシウムとリンの量)の減少を抑えたり痛みを和らげる効果がある。

新生児ビタミンK欠乏性出血症とは?

新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、出生後7日以内に起きるビタミンK欠乏に基づく出血性疾患である。出血斑や注射・採血など皮膚穿刺部位の止血困難、吐血、下血が認められ、重度の場合は頭蓋内出血など致命的な出血を呈する場合もある。特に第 2~4生日に起こることが多いものの出生後24時間以内に発症することもある。合併症をもつ新生児やビタミンK吸収障害をもつ母親から生まれた新生児、妊娠中にワルファリンや抗てんかん薬などの薬剤を服用していた母親から生まれた新生児では、リスクが高くなる。また、新生児でビタミンK欠乏状態に陥るのは、①母乳中のビタミンK含量が少ないこと、②ビタミンKは経胎盤移行性が悪いこと、③出生時の生体内の蓄積量が元々少ないうえ、腸内細菌叢が十分には形成されていないことが理由として考えている。

 ビタミンK欠乏性出血症の予防には、出生直後および生後1週間(産科退院時)ならびに生後1か月の3回、ビタミンK2シロップ1mL(2mg)をすべての合併症のない成熟新生児に投与する方式が普及している。

 

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