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76.訓練開始時に熱感があり、体温は38.5℃であった。胸部を聴診したところ右下肺野に水泡音が聞かれた。この患者の胸部エックス線写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
1.喘息
2.大葉性肺炎
3.特発性肺線維症
4.慢性閉塞性肺疾患
5.びまん性汎細気管支炎
解答:2
解説
右下肺野に透過性の低下を認める。38.5℃の発熱があり、水泡音も聴取されることから肺炎が想起される。
1.× 喘息(喘息発作時)は、気道が狭窄するため、高音性連続性ラ音である笛様音が聴取できる。一般的に、喘息では肺機能が正常な場合、非発作時には特に異常所見はみられない。
2.〇 正しい。大葉性肺炎の痰貯留部では、荒い断続性ラ音が聴取できる。他にも、気管支拡張症や進行した肺水腫などで呼気の初期に聴取される。大葉性肺炎とは、肺の一葉以上を占める肺炎のことである。感染力が強く、重症化する。
3.× 特発性肺線維症では、断続性ラ音の捻髪音が聴取できる。他には、間質性肺炎、過敏性肺臓炎で聞き取れる。特発性肺線維症では下肺野を中心に輪状・網状影を認める。
4.× 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、呼吸の音の減弱となる。一概にそうとも言えず、高音性連続性ラ音である笛様音も聞こえるケースがある。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺野の透過性亢進を認める。
5.× びまん性汎細気管支炎も荒い断続性ラ音が聴取できる。だが、びまん性汎細気管支炎では両肺野にびまん性粒状影を認める。
77.ショックの発症初期に徐脈がみられるのはどれか。
1.アナフィラキシー反応
2.血管迷走神経反射
3.重症熱傷
4.大量出血
5.敗血症
解答:2
解説
ショックとは、体液の喪失、心臓機能の低下、血管系虚脱などにより組織への酸素供給が障害され、放置すれば進行性に全身の臓器還流障害から急速に死に至る重篤な病態である。頻度的に最も多いのは出血性ショックである。
アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。主にⅠ型アレルギー反応の結果、血管拡張や血管透過性の亢進による血漿漏出が生じ、循環血液量の減少をきたすことで起こる。症状として、皮膚(かゆみ、全身の発疹・発赤、口唇や舌の腫れ)、呼吸器(咳、呼吸困難、喘鳴)、消化器(腹痛、吐き気・嘔吐)、循環器(頻脈、血圧低下)、神経(意識障害)などが生じる。
1.× アナフィラキシー反応、選択肢5.敗血症は、血液分布異常性ショックに分類される。蕁麻疹様皮疹、気管支喘息様症状、血圧低下、痙攣の症状が出る。アナフィラキシー反応では、通常、組織の肥満細胞や好塩基球からIgE抗体を介してヒスタミンなどの化学物質が大量に体内に放出される。その結果として血管透過性が亢進し、ショック状態となる。したがって、頻脈となる。
2.〇 正しい。血管迷走神経反射は、ショックの発症初期に徐脈がみられる。血管迷走神経反射は、様々な刺激により副交感神経の亢進と交感神経の抑制が起きることをいう。症状は血圧低下、徐脈が中心で、重度の場合は失神に至る。
3.× 重症熱傷では、血管透過性が亢進し、血管内ボリューム(容量)が減少しショックに至る。代償的に頻脈となる。低容量・血液量減少性ショックに分類され、脱水などに陥る。
4.× 大量出血では、循環血漿量が低下することで血管内ボリュームは減少し、代償的に頻脈となる。低容量・血液量減少性ショックに分類され、脱水などに陥る。
5.× 敗血症、選択肢1.アナフィラキシー反応は、血液分布異常性ショックに分類される。初期症状は、高心拍出状態で悪寒戦慄、発熱、暖かく湿った皮膚、チアノーゼ、精神錯乱などが特徴的である。肺血症も、血管透過性が亢進し、血管内ボリューム(容量)が減少しショックに至る。代償的に頻脈となる。低容量・血液量減少性ショックに分類され、脱水などに陥る。
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【共通のみ】ショックについての問題「まとめ・解説」
78.Eriksonによる発達段階で学童期に獲得すべき課題はどれか。
1.勤勉性
2.積極性
3.自律性
4.親密性
5.同一性
解答:1
解説
1.〇 学童期に獲得すべき課題は、勤勉性で正しい。
2.× 積極性は、幼児後期である。
3.× 自律性は、幼児前期である。
4.× 親密性は、成人期である。
5.× 同一性は、青年期である。
乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望
79.中学生の心理発達における特徴はどれか。
1.性の相違を理解する。
2.自我同一性が完成する。
3.教師や指導者に従順である。
4.第二次性徴への戸惑いがある。
5.友人関係より親子関係を重視する。
解答:4
解説
中学生という時期は、青年期(11~20歳)の前半、思春期(11~14歳)に相当する。性的成熟と親からの精神的自立が始まる時期である。フロイト(Freud)の発達論を理解しておくとスムーズに問題を解ける。
1.× 性の相違を理解するのは、幼児期である。
2.× 自我同一性が完成するのは、青年期を通して完成していく。
3.× 教師や指導者に従順であるのは、中学生は第二次反抗期にあたり、自我確立の過程で親・教師・権威に強い反抗を示す。勤勉の段階であるのは児童期である。
4.〇 正しい。第二次性徴への戸惑いがある。中学生では、第二次性徴に伴い性的衝動が生じ、そのコントロールの過程で様々な問題に直面する。
5.× 友人関係より親子関係を重視するのは、児童期・学童期である。中学生は親などの権威に反抗を示す時期である。一方で同世代には仲間として承認されたいという欲求が高まる。
80.訓練療法でないのはどれか。
1.森田療法
2.シェイピング
3.認知行動療法
4.系統的脱感作法
5.来談者中心療法
解答:5
解説
1.〇:森田療法は、神経症理解に基づいて考案された訓練療法である。森田療法は、目的・行動本位の作業を繰り返すことにより、症状にとらわれず、症状をあるがままに受け入れながら生活できるようにする方法である。
2.〇:シェイピング(逐次接近法)はバラス・スキナーによって開発された。オペラント条件づけにおいて、偶然の反応の生起が低い行動を形成するために行われる強化と消去を組み合わせた訓練法である。目的とする行動の変化にたどりつくために、その方向において取り組みやすいところから始め、徐々に目的に近づけていくやり方でもある。
3.〇:認知行動療法は、ベックによって精神科臨床に適応された精神療法(訓練療法)である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知のゆがみと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。
4.〇:系統的脱感作法は、ウォルビにより創始された古典的条件つけに基づく行動療法である。
5.×:来談者中心療法は、ロジャーズによって考案され、患者の話に対して傾聴姿勢をとることで患者自身の気付きによって問題解決する治療法である。非指示療法ともいう。
79.中学生の心理発達における特徴はどれか。の解説について。
5問目の解説なのですが、友人関係より親子関係を重視するのは、児童期・学童期である。と、友人関係より親子関係を重視するのは、乳児期である。はどちらでも見られるという事でしょうか?
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。