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86 尺骨神経麻痺でみられるのはどれか。
1.Kernig徴候
2.Lasègue徴候
3.Froment 徴候
4.Lhermitte 徴候
5.McMurray徴候
解答3
解説
1.× Kernig徴候(ケルニッヒ徴候)は、膜刺激症状の検査で陽性の場合みられる。方法は、①背臥位にて股・膝関節90°屈曲位に保持する。②他動的に膝関節伸展する。③膝関節に痛みが出たら陽性。膝関節を135°以上伸展できない。
2.× Lasègue徴候(ラセーグ徴候)は、L4/L5、 L5/S1ヘルニアの検査で陽性の場合みられる。方法は、①背臥位で、検査側の膝関節を伸展位に保持させたまま股関節屈曲(下肢挙上:SLR)する。②陽性の場合、70°未満の挙上で、坐骨神経に沿った痛みが出現する。
3.〇 Froment徴候(フローマン徴候)は、尺骨神経麻痺の検査で陽性の場合みられる。方法は、①母指と示指で紙片を保持させる。②検者が引き抜こうとする。③陽性の場合、母指の内転ができないために母指屈曲位をとる。
4.× Lhermitte徴候(レルミット徴候)は、脱髄性疾患(多発性硬化症など)の真髄病変の検査で陽性の場合みられる。背臥位で頚部屈曲時に感電したような痛みや刺すような痛みが、背中から両脚、片方の腕、体の片側へ走ることをいう。多発性硬化症に特徴的な症状であるが、他にも頚髄症、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍なども出現する。
5.× McMurray徴候(マックマリー徴候)半月板損傷の検査で陽性の場合みられる。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
87 成人と比べ、小児の骨折で多いのはどれか。2つ選べ。
1.偽関節
2.過成長
3.若木骨折
4.関節拘縮
5.角状変形の遺残
解答2/3
解説
1.× 偽関節は、成人の骨折で多い。なぜなら、小児の骨は成人の骨より骨癒合能・自家矯正能力が高いため。ちなみに、偽関節とは、骨折部の癒合機転が止まって、異常可動性を示すことをいう。ただし、成長軟骨板の損傷があれば変形や成長障害を起こしやすい。
2.〇 正しい。過成長は、小児の骨折で多い。なぜなら、小児の長管骨の骨幹部骨折では、成長軟骨板の血流量が増加することがあるため。ちなみに、過成長とは折れた骨が過度に成長して長くなってしまうことである。したがって、注意して観察することが大切である。
3.〇 正しい。若木骨折は、小児の骨折で多い。なぜなら、小児は骨膜が厚く弾性に富むため。ちなみに、若木骨折とは、骨の一部に亀裂が生じるが、骨膜が厚いため完全には折れない骨折のことである。
4.× 関節拘縮は、成人の骨折で多い。なぜなら、小児の関節は柔軟で、活動量も活発であるため。
5.× 角状変形の遺残(いざん:本来退化消失すべき組織または器官が存在すること。)は、成人の骨折で多い。なぜなら、転移変形に対する自家矯正能力が強く、成長により自然矯正されること(リモデリング)が多いため。ちなみに、角状変形とは、直線的でなく角度がついた形での骨癒合をいう。
88 深部静脈血栓症の予防法で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.弾性ストッキングの着用
2.足関節の自動運動
3.水分摂取の制限
4.ギプス固定
5.冷却
解答1/2
解説
①下肢挙上し、重力による静脈還流を促す。
②弾性ストッキングや弾性包帯の利用。
③下肢の運動。
1.〇 正しい。弾性ストッキングの着用は、深部静脈血栓症の予防法である。なぜなら、弾性ストッキングは下肢静脈の血液還流を促進する働きがあるため。
2.〇 正しい。足関節の自動運動は、深部静脈血栓症の予防法である。なぜなら、静脈の血流量を促すことができるため。
3.× 水分摂取は、「制限する」のではなく促す。なぜなら、脱水状態(水分が不足する)と血液粘稠度が上昇し、血栓が形成されやすくなるため。
4.× ギプス固定は、むしろ深部静脈血栓症のリスクが高まる。なぜなら、ギプス固定部位の運動性は低下し、静脈血のうっ滞を起こすため。
5.× 冷却より保温を行う。なぜなら、冷却は血液凝固能を高めるため。
89 脊髄小脳変性症にみられにくく、多発性硬化症に特徴的なのはどれか。
1.痙縮
2.運動失調
3.嚥下障害
4.構音障害
5.有痛性痙攣
解答5
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
1.× 痙縮は、脊髄小脳変性症・多発性硬化症、共に同程度みられる症状である。
2~4.× 運動失調/嚥下障害/構音障害は、脊髄小脳変性症に特徴的である。主に小脳の障害により生じている。ただし、少ないものの多発性硬化症でみられることもある。
5.〇 正しい。有痛性痙攣(有痛性けいれん)は、多発性硬化症の特徴的な症状である。下肢を屈曲する刺激が発作を誘発し、痛みやしびれを伴って一側あるいは両側の下肢が強直発作を示す。他にも、レルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
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【共通】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」
90 小児の正常発達で最も早く可能になるのはどれか。
1.高這いをする。
2.橈側手指握りをする。
3.つかまって立ち上がる。
4.背臥位で足を口に持っていく。
5.座位で上肢の後方保護伸展反応が出る。
解答4
解説
1.× 高這いをするのは、約9か月からである(※個人差が大きい)。
2.× 橈側手指握りをするのは、約8か月からである。
3.× つかまって立ち上がるのは、約9か月からである。
4.〇 正しい。背臥位で足を口に持っていくのは、約5か月からである。
5.× 座位で上肢の後方保護伸展反応が出るのは、約7か月からである。