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41 介護保険制度の特定福祉用具販売に係る給付対象品目はどれか。
1.スライディングボード
2.移動用リフトの吊具
3.ロフストランド杖
4.ベッド用手すり
5.歩行器
解答2
解説
介護保険制度とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができる。
【基本理念】
自己決定の尊重
生活の継続
自己支援(残存能力の活用)
1.3~5.× スライディングボード/ロフストランド杖/ベッド用手すり/歩行器は、貸与の対象である。
2.〇 正しい。移動用リフトの吊具は、介護保険制度の特定福祉用具販売に係る給付対象品目(購入の対象)である。移動用リフトの吊具とは、移動用リフト本体に設置する専用器具で、 体を包むようにして支えるつり具とリフト本体をセットで用いることにより、寝たきりの方や自力での移動が難しい方を安全に移動させられるようになる。お風呂から上がったときやトイレへの移動の際など、直接身体に触れたり、汚染されやすいものであるため、購入対象と規定されている。
【貸与の対象】
①車椅子
②車椅子付属品
③特殊寝台
④特殊寝台付属品
⑤床ずれ防止用具
⑥体位変換器
⑦手すり
⑧スロープ
⑨歩行器
⑩歩行補助杖
⑪認知症老人徘徊感知機器
⑫移動用リフト(つり具の部分を除く)
⑬自動排泄処理装置
(※赤文字は要介護2~5の貸与対象である)
【購入の対象】
①腰掛け便座
②自動排泄処理装置の交換可能部分
③入浴補助用具
④簡易浴槽
⑤移動用リフトの吊り具の部分
42 アキレス腱炎でみられるアライメント異常の組合せで適切なのはどれか(※不適切問題:採点除外)。
1.骨盤:後傾位
2.下腿:内旋位
3.踵骨:底屈位
4.立方骨:上方偏位
5.ショパール関節:外転位
解答3(※採点除外:解なし)
理由:問題として適切であるが、受験者レベルでは難しすぎるため。
解説
アキレス腱炎の症状は、アキレス腱が踵に付着する部分から上方に2〜6cmの部分に炎症症状がみられる。運動機能障害として、アキレス腱に伸張ストレスが加わる足関節背屈の際に痛みが増す。また、足関節底屈(つま先立ち)にて荷重や負荷をかけると痛みが増す。基本的な治療として、通常2~6週間の安静である。スポーツを再開した際にも、再発予防のために少しずつ負荷を戻していく。
1.× 骨盤が後傾位になると断言しにくい。なぜなら、運動連鎖によって骨盤に影響があるとはいえ、アキレス腱(足関節)から膝・股関節と2つの関節をまたぐため。ただし、アキレス腱の伸張ストレスを軽減するため、足関節底屈位、膝関節屈曲位、股関節屈曲に対して、患者が骨盤後傾型の戦略をとる場合もあり得る。他の選択肢のほうが、優先的に選択されるものがあるが、起こりえる可能性は十分ある。
2.× 下腿が内旋位になると断言しにくい。なぜなら、下腿内旋位になるまでの期間や根拠を考えると、他の選択肢のほうが、優先的に選択されるものがあるため。例えば、アキレス腱の伸張ストレスを軽減するため、足関節底屈位、膝関節屈曲位となる。その結果、膝関節の最終伸展時に脛骨の外旋が起こる終末強制回旋運動(スクリューホームムーブメント)が不十分の発揮となり、下腿が内旋位になりやすくなる。とはいえ、仮定の域であり、終末強制回旋運動(スクリューホームムーブメント)が不十分の発揮となりえるのは、変形性膝関節症においてである。
3.〇 正しい。踵骨が底屈位になる。なぜなら、アキレス腱に伸張ストレスが加わる足関節背屈の際に痛みが増すため。この選択肢を否定する理由もなく、アキレス腱は踵骨に付着するため、最も影響も大きいと考えられる。
4.× 立方骨は、「上方」ではなく下方偏位になる。なぜなら、扁平足が背景にアキレス腱炎が起きやすいため。アキレス腱炎の原因には、扁平足や加齢、靴の形状、過剰回内(踵骨回内)、過度な運動などがあげられる。内側縦アーチは、踵骨・距骨・舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨からなる。外側縦アーチは、踵骨・立方骨・第5中足骨からなる。
5.× ショパール関節は、「外転位」ではなく中間位もしくは内転位になる。なぜなら、荷重時においてショパール関節は、背屈に伴い外転するため。つまり、アキレス腱炎により足関節背屈に支障をきたすため、ショパール関節の外転する頻度・角度が減り、ショパール関節の外転可動域制限をきたす可能性が高い。ちなみに、ショパール関節(横足根関節)は、踵骨—距骨—舟状骨—立方骨の間の関節のことである。
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43 Parkinson病の治療で適切でないのはどれか。
1.リズム刺激
2.ドパミン作動薬
3.脳深部刺激療法
4.経頭蓋磁気刺激法
5.ボツリヌス毒素療法
解答5
解説
パーキンソン病は、黒質線条体系のドパミン不足による慢性の進行性の錐体外路疾患である。四大徴候として①安静時振戦、②筋固縮、③無動、④姿勢保持反射障害が挙げられる。患者への対応としては、安静時振戦や無動などの症状から運動範囲の狭い机上作業などよりも、身体を大きく使うような粗大運動が適切である。
1.〇 正しい。リズム刺激は、Parkinson病として適応である。外的リズム刺激は、メトロノームなどで聴覚を利用する。矛盾性運動(逆説的運動)とは、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。すくみ足の症状があっても、床の上の横棒をまたぐことができること、リズムをとったり、視覚的な目標物を踏み越えてもらうと、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。ちなみに、階段昇降もこれに含まれ、平地歩行に比べて障害されにくい。
2.〇 正しい。ドパミン作動薬は、Parkinson病として適応である。なぜなら、パーキンソン病では脳内のドパミンが不足することで手足の震えや筋肉のこわばりなどがおこっているため。ドパミンは、中脳黒質から線条体に投射している中枢神経系に存在する神経伝達物質である。大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。
3.〇 正しい。脳深部刺激療法は、Parkinson病として適応である。脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)とは、脳の特定の部位に細い電極を挿入し、電気刺激することにより適応疾患の症状を改善させるものを指す。わが国では、難治性疼痛、不随意運動疾患(パーキンソン病、本態性振戦、ジストニア)に限られている。一方、海外では,強迫性障害やトゥーレット症候群、うつ病といった精神疾患に対しても行われ、良好な治療効果が報告されている(※参考:「脳深部刺激療法 (Deep Brain Stimulation; DBS) 」北海道大学病院より)
4.〇 正しい。経頭蓋磁気刺激法は、Parkinson病として適応である。経頭蓋磁気刺激法(Transcranial Magnetic Stimulation:TMS)とは、うつに大きく関わる背外側前頭前野を含む前頭葉に対し、コイルを当て、「磁気刺激」を実施する治療法である。磁場の変化により、脳が刺激されることで、①脳血流のバランスを整え、脳の機能を調整する、②集中力・思考力・意欲などを向上させる、③扁桃体の過活動を抑制するなどの治療効果が期待できる。前頭葉に当てることにより、うつ病の改善が、一次運動皮質などを含めることでパーキンソン病の症状に対しての効果も有効だという報告もある(※参考:「パーキンソン病に対する反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の有効性評価」公益財団法人大阪難病研究財団HPより)。
5.× ボツリヌス毒素療法は、Parkinson病の治療で適切でない。なぜなら、痙性麻痺に対して行うため。ボツリヌス療法は、脳・脊髄疾患などによる痙性麻痺に対して有効とされている。ボツリヌス毒素を筋肉内に数か所注射し、筋収縮を抑制する。効果持続は、3~6か月のため、数か月ごとに再投与が必要である。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。なお、アセチルコリンの合成や貯蔵、神経伝導には影響を及ぼさない特徴を持つ。
痙縮は、錐体路の上位運動ニューロン障害による損傷高位以下の脊髄前角細胞(下位運動ニューロン)の活動性が亢進し、麻痺筋の筋紡錘からの求心性刺激が増強することによって生じる。その結果、意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手や足が勝手につっぱったり曲がってしまったりしてしまう状態となる。このため、前角細胞以下の障害では痙縮は出現しない。脳卒中の後遺症として起こる痙縮の治療にはボツリヌス毒素が用いられる。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。
44 重症筋無力症患者のQMG score〈Quantitative Myasthenia Gravis score〉に含まれる評価はどれか。2つ選べ。
1.意識状態
2.嚥下機能
3.感覚障害
4.眼球運動
5.排尿機能
解答2・4
解説
QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score:定量重症筋無力症スコア)は、重症筋無力症の症状の重さを評価するための尺度である。評価は、患者の筋力(握力)、疲労度、%FVC(努力肺活量/予測肺活量×100)、その他の症状に基づいて行われる。
※図:QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score:定量重症筋無力症スコア)
1.3.5.× 意識状態/感覚障害/排尿機能は、QMG scoreの評価に含まれない。重症筋無力症患者の症状からでもおおむね評価項目が推測できる。
2.〇 正しい。嚥下機能は、重症筋無力症患者のQMG score〈Quantitative Myasthenia Gravis score〉に含まれる評価である。100㏄の水の飲み込みで評価する。
4.〇 正しい。眼球運動は、重症筋無力症患者のQMG score〈Quantitative Myasthenia Gravis score〉に含まれる評価である。右方視、左方視時の複視出現までの時間(秒)で評価する。
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
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45 フレイルの判定要件でないのはどれか。
1.疲労感
2.筋力低下
3.体重減少
4.身体活動低下
5.歩行距離減少
解答5
解説
フレイルとは、「虚弱」「脆弱」という意味であり、加齢するにつれて体力や活力が弱まっている状態のことを指す。診断基準に含まれるのは【①体重減少(6か月間で2~3㎏以上)、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。
1~4.〇 正しい。疲労感/筋力低下(握力の減弱)/体重減少(6か月間で2~3㎏以上)/身体活動低下は、フレイルの判定要件である。他にも、主観的疲労度なども含まれる。
5.× 「歩行距離減少」ではなく歩行速度である。歩行速度が1m/秒未満であれば要件に当てはまる。
サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量と骨格筋力の低下によって身体的な障害やQOLの低下を招いている状態のことをいう。サルコペニアの診断には、四肢骨格筋量の低下があることに加えて身体機能(歩行速度)の低下または、筋力(握力)の低下、下腿周径、5回椅子立ち上がりテストがある。