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36.2010年に定められたアメリカリウマチ学会とヨーロッパリウマチ学会との合同による関節リウマチ分類基準に含まれないのはどれか。
1.炎症反応
2.自己抗体
3.羅患期間
4.朝のこわばり
5.腫脹または圧痛のある関節数
解答4
解説
少なくとも1つ以上の明らかな腫脹関節(滑膜炎)があり、他の疾患では説明できない患者がこの分類基準の使用対象となる。
・腫脹または圧痛関節数
・血清反応(自己抗体の検出)
・炎症反応
・罹患期間
※合計6点以上で関節リウマチ診断である。
1~3.5.炎症反応/自己抗体/羅患期間/腫脹または圧痛のある関節数は、関節リウマチ分類基準に含まれている。
4.× 朝のこわばりは、関節リウマチ分類基準に含まれない。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
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37.胸郭出口症候群で陽性となる検査はどれか。
1.Jerkテスト
2.Kempテスト
3.McMurrayテスト
4.Roosテスト
5.Thomsenテスト
解答4
解説
胸郭出口症候群は、胸郭出口付近における神経と動静脈の圧迫症状を総称したものである。症状として、上肢のしびれ、脱力感、冷感などが出現する。胸郭出口は、鎖骨、第1肋骨、前・中斜角筋で構成される。原因として、①前斜角筋と中斜角筋の間で圧迫される斜角筋症候群、②鎖骨と第一肋骨の間で圧迫される肋鎖症候群、③小胸筋を通過するときに圧迫される小胸筋症候群、④頭肋で圧迫される頸肋症候群などがある。
1.× Jerkテスト(ジャークテスト)の陽性は、前十字靭帯損傷を疑う。片方の手で、患者の足首を持ち、もう一方の手で膝を持ち、下腿を内旋しながら伸展すると、膝でクリックを伴う亜脱臼整復感が確認できる。
2.× Kempテスト(ケンプテスト)の陽性は、脊椎管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアを疑う。検者は患者の両肩に手を置き、患者の体幹を回旋しながら左右の斜め後方に伸展させる。
3.× McMurrayテスト(マックマリーテスト)の陽性は、半月板損傷を疑う。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
4.〇 正しい。Roosテスト(ルーステスト)は、胸郭出口症候群で陽性となる検査である。腕を外転90度、外旋90度、肘を90度曲げた状態にし、この状態で指の曲げ伸ばし(グー・パー)を行う。これを3分間続けられなければ、陽性と判断する。
5.× Thomsenテストの陽性は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)を疑う。方法は、握りこぶしにして手関節を背屈させ、検者が掌屈させる。
38.筋力増強運動で正しいのはどれか。
1.等運動性運動は徒手的に行う。
2.等尺性運動は関節運動を伴う。
3.等張性運動では関節運動の速度を調整する。
4.閉鎖性連鎖運動は複数筋の筋力増強に適している。
5.開放性連鎖運動は四肢末端が地面に接した状態で行う。
解答4
解説
1.× 等運動性運動は徒手的に、「行う」のではなく行うことができない。等運動性運動(等速性運動)は、機械を使用しなければ行えない特徴を持つ。なぜなら、等運動性運動とは、関節運動時の角速度が等しくなるように調整された運動のことであるため。
2.× 等尺性運動は関節運動を「伴う」のではなく伴わない。等尺性運動は、関節運動を伴わない筋収縮である。ちなみに、関節運動を伴う運動は等張性運動である。
3.× 等張性運動は、関節運動の速度を調整するものではない。等張性運動は、①遠心性等張性運動、②求心性等張性運動があげられる。遠心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。求心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。ちなみに、関節運動の速度を調整が必要なのは、等運動性運動(等速性運動)である。
4.〇 正しい。閉鎖性連鎖運動は、複数筋の筋力増強に適している。閉鎖運動連鎖(CKC:closed kinetic chain)とは、連動する関節のうち、遠位部の自由な動きが外力によって制限(固定)されているような場合の運動のことを指す。つまり、身体の末端部分が床などに接した状態で、固定された運動のことである。例えば、懸垂、スクワットなどのことである。
5.× 四肢末端が地面に接した状態で行うのは、「開放性連鎖運動」ではなく閉鎖性連鎖運動である。開放性連鎖運動とは、連動する関節のうち、遠位部の関節が自由に動くことができる場合の運動のことをいう。つまり、身体の末端部分(足や手)が固定されていない運動のことである。例えば、ベンチプレスやチェストプレスなどのことである。
①開放運動連鎖(OKC:open kinetic chain)とは?
定義:連動する関節のうち、遠位部の関節が自由に動くことができる場合の運動。つまり、身体の末端部分(足や手)が固定されていない運動のこと。
例:ベンチプレスやチェストプレスなど。
②閉鎖運動連鎖(CKC:closed kinetic chain)とは?
定義:連動する関節のうち、遠位部の自由な動きが外力によって制限(固定)されているような場合の運動。つまり、身体の末端部分が床などに接した状態で、固定された運動のこと。
例:懸垂、スクワットなど
39.健常者に自転車エルゴメータを用いて中等度の運動負荷を20分間行った。
運動開始前と比べて低下するのはどれか。
1.経皮的動脈血酸素飽和度
2.末梢血管抵抗
3.収縮期血圧
4.心拍数
5.体温
解答2
解説
中等度の有酸素運動の運動強度の目安として、①最大酸素摂取量の50%前後、運動時心拍数が50歳未満で100~120拍/分、50歳以降で100拍/分以内とされている。
1.× 経皮的動脈血酸素飽和度は変化しにくい。主に低下する代表的疾患として、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺気腫などがあげられる。運動時に関しては、運動強度が強く、呼吸や心臓の働きで酸素を供給しきれないとき(低酸素状態)に経皮的動脈血酸素飽和度は低下しやすい。
2.〇 正しい。末梢血管抵抗は、運動開始前と比べて低下する。なぜなら、持久力トレーニングにて、末梢血管が開くこと(末梢血管抵抗が低下すること)により、毛細血管から骨格筋への酸素供給効率が良くなる(末梢での酸素供給が潤滑になる)ため。骨格筋の毛細血管密度は増加する。これにより高血圧リスクを低下させる。ちなみに、末梢血管抵抗とは、末梢の血管の血液の流れにくさを表す。
3~4.× 収縮期血圧/心拍数は、わずかに増加する。なぜなら、ベインブリッジ反射が起こるため。ベインブリッジ反射とは、心房に入る血液量が増えることで、心房筋壁が伸展し、①伸展受容器の刺激感知→②延髄の神経中枢→③心臓交感神経の興奮→④心収縮力・心拍数が増加するといったものである。
5.× 体温は上昇する。なぜなら、運動中はたくさんの筋肉を動かすため、エネルギーが必要となり、エネルギー代謝が活発になるため。したがって、体温を低下させるためにも発汗作用が起こる。ちなみに、軽い運動は、血行の増大・体温の上昇を促し、ゲートコントロール理論により疼痛改善効果が得られる。
1) 骨格筋に対する効果
ミトコンドリア量増加
ミオグロビン含有量増加
ATP含有量増加
グリコーゲン含有量増加
毛細血管密度増大
筋血流量増加
2) 心臓に対する効果
毛細血管密度増大
心臓容積増大
全血液量増加
循環血液量増加
一回拍出量増加
安静時末梢血管抵抗低下
心筋活動量の増加
3) 肺に対する効果
呼吸筋筋力増強による一回換気量の増加
肺血流量の増加による肺拡散容量増加
肺容量の増加
肺胞と肺毛細血管との接触面積増加
4) その他
体脂肪の減少
血中コレステロール量の減少
40.手背に生じた慢性期の熱傷後瘢痕拘縮に対する理学療法として正しいのはどれか。2つ選べ。
1.圧迫療法
2.寒冷療法
3.神経筋電気刺激療法
4.コックアップ・スプリント
5.手指屈曲の関節可動域練習
解答1・5
解説
熱傷のリハビリプログラムは、主に①急性期と②慢性期に分けることができる。一般的に、熱傷のリハビリでは急性期においてより、慢性期に比重がおかれるが、リハビリプログラムは熱傷の受傷直後より開始されなければならない。
①急性期:熱傷の程度、部位と範囲が予後に重大な影響を及ぼす。重度熱傷では、ショックに陥るため、蘇生術や心肺機能、腎機能の維持と電解質、体液のバランスが急務となる。また、熱風の吸引などによる気管の損傷は呼吸不全をきたすため、時には気管切開も必要となる。
②慢性期:全身状態が落ち着き、この時期の課題は、疼痛、感染、植皮術、ケロイド、拘縮、ADL、心理的な問題となる。ケロイドとは、皮膚の深いところにある真皮という部分で炎症が続いてしまうことにより生じる疾患である。
(参考:「総合リハビリテーション 7巻4号 (1979年4月発行)熱傷のリハビリテーション」著 千野 直一より)
1.〇 正しい。圧迫療法を実施する。なぜなら、スプリントの圧迫によってケロイド形成を抑制することができるため。ケロイドとは、皮膚の深いところにある真皮という部分で炎症が続いてしまうことにより生じる疾患である。炎症であるため、痒みや痛みを伴う。ケロイドは審美的、機能的に障害を残すため、その予防が必要となり、スプリントの圧迫を実施する。
2.× 寒冷療法の優先度は低い。なぜなら、本症例は慢性期であるため。寒冷療法は主に急性期(炎症)に対して行う。ちなみに、寒冷療法の生理作用には、局所新陳代謝の低下、毛細血管浸透圧の減少、血管収縮とその後の拡張、感覚受容器の閾値の上昇、刺激伝達遅延による中枢への感覚インパルス減少、筋紡錘活動の低下等がある。これらの作用により、炎症や浮腫の抑制、血液循環の改善、鎮痛作用、筋スパズムの軽減が期待される。(引用:「寒冷療法」物理療法系専門領域研究部会 著:加賀谷善教)
3.× 神経筋電気刺激療法の優先度は低い。神経筋電気刺激療法は、主に筋肉や運動神経への電気刺激により筋収縮を起こすことで、筋力増強や筋萎縮の予防、痙縮抑制などを目的に行われる治療法である。
4.× コックアップ・スプリント(手関節固定装具)の優先度は低い。手関節を機能的な位置に保持できないときに適応され、特に橈骨神経麻痺・中枢弛緩性麻痺の拘縮予防に用いられる。手関節背屈装具のことであり、機能的把持動作を可能とする。
5.〇 正しい。手指屈曲の関節可動域練習を実施する。なぜなら、本症例のように熱傷が手背(手)に生じた場合、手内在筋マイナスポジションを取りやすいため。手内在筋マイナスポジションとは、母指内転位、MP過伸展、PIP・DIP関節屈曲位のとなるものを指す。
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