第58回(R5) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題66~70】

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66.血球とその働きの組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.顆粒球:止血
2.血小板:病原体の貧食
3.赤血球:ヘモグロビンの輸送
4.単球:栄養素の運搬
5.リンパ球:抗体の産生

解答3・5

解説

MEMO

血液中の血球成分は、赤血球、白血球、血小板の3種に分かれ、うち核をもつのは白血球のみである。白血球には主に5種類(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)がある。これらを総称して白血球と呼び、それぞれの割合を示したものを血液像(白血球分画)という。

1.× 顆粒球は、「止血」ではなく免疫(感染予防)である。顆粒球とは、好中球、好酸球、好塩基球、および肥満細胞で構成される不均一な白血球である。自然免疫細胞であり、活性化されると、免疫促進分子を放出してウイルスや寄生虫の感染を撃退する。ちなみに、免疫には、①自然免疫(生まれつきもっている免疫系:好中球やマクロフアージ、NK細胞、補体などによる抗原非特異的防御反応)と②獲得免疫(生後、新たに獲得される免疫)がある。
2.× 血小板は、「病原体の貧食」ではなく止血である。血小板とは、出血の際の一次止血や血液凝固機能に関与する。血液中の細胞成分である。したがって、血小板の数が少なすぎたり、機能に異常があると出血傾向となる。
3.〇 正しい。赤血球は、ヘモグロビンの輸送を行う。赤血球とは、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ちなみに、ヘモグロビンのヘム鉄が、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。
4.× 単球は、「栄養素の運搬」ではなく病原体の貧食である。単球とは、白血球の一種であり、核をもつ。最も大きなタイプの白血球である。マクロファージなどへ分化し、貧食・消化・殺菌などの機能を発揮する。単球は、末梢血白血球の2~9%を占める。ちなみに、マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。
5.〇 正しい。リンパ球は、抗体の産生を行う。リンパ球とは、白血球の成分の1つで、分類として、B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、NK細胞などがある。が、ウイルスなどの病原体やがん細胞などの異物を攻撃する。

リンパ腫とは?

リンパ系腫瘍は、造血器腫瘍の中でリンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)に生じた遺伝子異常によって腫瘍性増殖を来し、白血病や悪性リンパ腫などの病態をとる。リンパ系腫瘍のうち、増殖した腫瘍細胞が末梢血や骨髄中で認められるものをリンパ性白血病といい、腫瘍細胞がリンパ節内やリンパ節外の臓器で腫瘤を形成するものを悪性リンパ腫という。悪性リンパ腫は、リンパ節組織由来の原発性悪性腫瘍であり、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される。成人に好発し、わが国では非ホジキンリンパ腫が90%以上を占めている。リンパ腫のほとんどがリンパ節の腫脹で発症し、全身症状として体重減少、寝汗、発熱を認める場合もある。リンパ節腫大に伴い、顔や四肢など病変の末端側に浮腫を生じることもある。

 

 

 

 

 

67.胃の分泌で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.ヒスタミンは胃酸分泌を抑制する。
2.迷走神経刺激は胃酸分泌を促進する。
3.ガストリンは蛋白質の消化酵素である。
4.内因子はビタミンB12の吸収に関与する。
5.ペプシノーゲンは壁細胞から分泌される。

解答2・4

解説

胃の分泌物

ペプシノゲン(ペプシン):主細胞
胃酸、内因子:壁細胞
粘膜:副細胞

1.× ヒスタミンは胃酸分泌を「抑制」ではなく促進する。胃酸の分泌を促進させる神経伝達物質として主にヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンの3種類があり、これらの伝達物質が胃壁細胞にある各々の受容体に作用することで胃酸分泌への指令が伝わっていく。 ヒスタミンは自身のH2(ヒスタミンH2)受容体に作用し、H2受容体を活性化させ胃酸分泌を促進させる。
2.〇 正しい。迷走神経刺激は胃酸分泌を促進する。なぜなら、迷走神経は副交感神経のひとつで、副交感神経を優位にするため。
3.× ガストリンは、「蛋白質の消化酵素」ではなく胃酸の分泌を促進させる神経伝達物質である。胃酸の分泌を促進させる神経伝達物質として主にヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンの3種類があり、これらの伝達物質が胃壁細胞にある各々の受容体に作用することで胃酸分泌への指令が伝わっていく。ちなみに、蛋白質の消化酵素として、ペプシン(胃)、トリプシン(膵)、ペプチターゼ(膵・小腸)があげられる。
4.〇 正しい。内因子はビタミンB12の吸収に関与する。内因子(胃内因子とも)とは、胃壁細胞によって作られる糖タンパク質で、ビタミンB12の吸収に必要不可欠なものである。
5.× ペプシノーゲンは、「壁細胞」ではなく主細胞から分泌される。胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。

悪性貧血とは?

悪性貧血とは、ビタミンB12または葉酸の欠乏によって生じる巨赤芽球性貧血の中である。最も発生頻度が高いビタミンB12欠乏性の貧血が悪性貧血である。ビタミンB12は胃液中の内因子との結合によって小腸下部で吸収され、葉酸とともに骨髄内での赤血球生成に利用される。悪性貧血は、高度の萎縮性胃炎による内因子分泌の欠乏が一次的原因である。その結果、回腸末端部からのビタミンB12の吸収障害をおこす。欠乏症状として①動悸、②めまい、③耳鳴り、④全身倦怠感、⑤舌炎、⑥悪心、⑦嘔吐、⑧下痢、⑨神経症状として四肢の知覚異常、⑩歩行困難、⑪視力障害などがおこる。時には興奮,軽い意識混濁などの精神障害をきたすこともある。

 

 

 

 

 

68.排便機構で正しいのはどれか。

1.便意は内肛門括約筋の伸張で生じる。
2.大腸内容物の混和は大蠕動で行われる。
3.直腸の収縮はアセチルコリンで促進される。
4.骨盤神経のインパルスは外肛門括約筋を弛緩させる。
5.上行結腸における大腸内容物の性状は半固形状である。

解答

解説
1.× 便意は、「内肛門括約筋」ではなく直腸内壁の伸張で生じる。直腸壁が伸展することで、その重さの刺激は骨盤神経を伝わり、仙髄の排便中枢→大脳に伝わり便意となる。
2.× 大腸内容物の混和は、「大蠕動」ではなく分節運動振り子運動で行われる。消化管は摂取した食物を移送、消化するために運動を行っており、その運動には、①蠕動運動、②分節運動、③振り子運動がある。①蠕動運動(大蠕動)は、大腸内容物の推進運動を行う。分節運動は、一定の間隔で腸管が収縮してくびれ、多数の分節に分けたようになるのが特徴で、腸内容物と消化液とを混合する。③振り子運動は、腸管がジャバラ状に伸縮する運動で食べ物を混ぜ合わせながら移動できる。
3.〇 正しい。直腸の収縮はアセチルコリンで促進される。なぜなら、直腸の収縮は副交感神経で起こるため。
4.× 骨盤神経(副交感神経)のインパルスは、「外肛門括約筋」ではなく内肛門括約筋を弛緩させる。外肛門括約筋は、陰部神経(体性神経支配)である。一方、内肛門括約筋は、下腹神経(交感神経)と骨盤神経(副交感神経)の支配である。
5.× 上行結腸における大腸内容物の性状は、「半固形状」ではなく液状である。なぜなら、大腸で水分の再吸収が行われるため。横行結腸で、半流道状→粥状(じゅくじょう)→半粥状となる。下行結腸で、固形化し、S状結腸を経て、最終的に便は固形となる。

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69.筋と作用の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.足の長指伸筋:足内返し
2.後脛骨筋:足外返し
3.短腓骨筋:足底屈
4.薄筋:膝屈曲
5.縫工筋:膝伸展

解答3・4

解説
1.× 足の長指伸筋の作用は、「足内返し」ではなく第2~5趾の伸展、足関節背屈、外返しである。ちなみに、【起始】腓骨体前面、前下腿筋間中隔、脛骨上端の外側面、下腿骨間膜の下部、【停止】第2~5趾の中節骨、末節骨である。
2.× 後脛骨筋の作用は、「足外返し」ではなく足関節底屈、内返しである。ちなみに、【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底である。
3.〇 正しい。短腓骨筋の作用は、足底屈、(外返し)である。ちなみに、【起始】腓骨外側面、前下腿筋間中隔、【停止】第5中足骨粗面である。
4.〇 正しい。薄筋の作用は、膝屈曲、(股関節内転、膝関節内旋)である。ちなみに、【起始】恥骨結合の外側、【停止】脛骨の内側面。停止腱は鵞足に加わる。
5.× 縫工筋の作用は、「膝伸展」ではなく股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋である。ちなみに、【起始】上前腸骨棘、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)である。

 

 

 

 

 

70.肩甲骨外転・上方回旋を伴い肩関節屈曲位保持に作用するのはどれか。

1.棘下筋
2.広背筋
3.小円筋
4.前鋸筋
5.菱形筋

解答

解説
1.× 棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転である。
2.× 広背筋の【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、伸展、多少内旋である。
3.× 小円筋の【起始】肩甲骨後面の外側部上半、【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端、【作用】肩関節外旋である。
4.〇 正しい。前鋸筋は、肩甲骨外転・上方回旋を伴い肩関節屈曲位保持に作用する。前鋸筋の【起始】第1~8(~10)肋骨前外側面、【停止】第1,2肋骨とその間の腱弓からの筋束は肩甲骨上角。第2,3肋骨からは分散して広く肩甲骨内側縁。第4肋骨以下からは下角。【作用】全体:肩甲骨を前方に引く。下2/3:下角を前に引いて肩甲骨を外方に回旋し、上腕の屈曲と外転を補助。最上部:肩甲骨をやや引き上げる。つまり、前鋸筋の下部筋束が主に、肩甲骨外転・上方回旋を伴い肩関節屈曲位保持に作用する。
5.× (大・小)菱形筋の【作用】肩甲骨を内上方に引く。

 

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