第58回(R5) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題66~70】

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66.排尿に関与する神経はどれか。2つ選べ。

1.陰部神経
2.下腹神経
3.上殿神経
4.閉鎖神経
5.迷走神経

解答1・2

解説

MEMO

排尿中枢は、仙髄(S2~4)にあり、膀胱壁が拡張するとその知覚が排尿中枢に伝えられる。普段は大脳から蓄尿の指令が出ているが、排尿の命令が出ると陰部神経を介して外尿道括約筋が弛緩し、副交感神経を介して排尿筋が収縮する。

1.〇 正しい。陰部神経は、排尿に関与する神経である。陰部神経は、蓄尿時に作用する体性運動で、陰部神経が排尿中枢からの指令を受けて外尿道括約筋を収縮させることで蓄尿が可能となる。
2.〇 正しい。下腹神経は、排尿に関与する神経である。下腹神経は、排尿・排便・生殖器に関わる自律神経(交感神経)で、内尿道括約筋を支配しており、不随意に尿を止める。
3.× 上殿神経は、大腿筋膜張筋・小殿筋・中殿筋を支配する運動神経である。
4.× 閉鎖神経は、外閉鎖筋・長内転筋・短内転筋・小内転筋・大内転筋・薄筋の支配神経である。また、大腿内側の皮膚感覚を支配している。
5.× 迷走神経とは、感覚神経・運動神経の一つである。嚥下運動や声帯の運動、耳介後方の感覚などに作用する。内臓(胃、小腸、大腸や心臓、血管など)に多く分布し、体内の環境をコントロールしている。刺激すると徐脈、咳、嘔吐などを生じる。強い痛みや精神的ショックなどが原因で、迷走神経が過剰に反応すると、心拍数や血圧の低下、失神などを引き起こす(迷走神経反射)。

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67.血糖を上昇させる作用のあるホルモンはどれか。2つ選べ。

1.アドレナリン
2.アルドステロン
3.カルシトニン
4.グルカゴン
5.パラトルモン

解答1・4

解説
1.〇 正しい。アドレナリンは、血糖を上昇させる作用のあるホルモンである。アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質から分泌されるホルモンである。【対象】血圧低下心肺蘇生、アナフィラキシーショック、【作用】血圧上昇作用や心拍数増加作用、【副作用】過量投与で血圧の過剰な上昇、動悸など。
2.× アルドステロンとは、腎臓に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や低カリウム血症、筋力低下などがみられる。副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。
3.× カルシトニンとは、甲状腺から分泌され、骨吸収を抑制する働きを持つ。
4.〇 正しい。グルカゴンは、血糖を上昇させる作用のあるホルモンである。主に膵臓α細胞から分泌される。膵臓の主な働きは①食べ物を消化する消化酵素(膵酵素)を作る、②血糖値を下げるホルモン(インスリン)や血糖値を上げるホルモン(グルカゴン)などのホルモンを作る働きを持つ。
5.× パラトルモン(副甲状腺ホルモン)は、副甲状腺から分泌され、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。

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68.女性生殖器で誤っているのはどれか。

1.原始卵胞は新生児にある。
2.成人の卵巣の重さは約6gである。
3.原始卵胞の成熟は思春期に始まる。
4.卵細胞は始原生殖細胞に由来する。
5.黄体ホルモン上昇により排卵が誘発される。

解答

解説
1.〇 正しい。原始卵胞は新生児にある。原始卵胞とは、休眠している卵胞のことである。排卵に向けて活性化すると一次卵胞、二次卵胞へと成長し最終的には卵子として排卵するか、発育途中で閉鎖卵胞として消失する。原始卵胞は新生児期には、約200万個存在する。
2.〇 正しい。成人の卵巣の重さは約6gである。大きさは親指ほどの約2~3cmである。一方、男性の精巣は、人種により異なり、アフリカ系では左右合わせて約50g、白人では約40g、アジア系では約20gである。
3.〇 正しい。原始卵胞の成熟は思春期に始まる。原始卵胞は、胎生期につくられると出生後新たに産生されることはなく、排卵や閉鎖卵胞になることによって減少していく。したがって、月経が始まるまでに約180万個が消失し、思春期・生殖年齢に達すると約20〜30万個まで減少する。
4.〇 正しい。卵細胞は始原生殖細胞に由来する。始原生殖細胞は、将来生殖細胞になる根本の細胞を指す。胚発生初期に形成される最初の細胞群であり、性細胞の前駆細胞として機能する。女性の場合、始原生殖細胞は卵原細胞になり、その後卵母細胞を経て卵子に分化する。卵巣にある始原生殖細胞が分化して卵子を形成する過程を卵巣分化と呼ぶ。一方、男性の場合は、始原生殖細胞は精原細胞になり、精母細胞、精細胞を経て、精子に分化する。
5.× 「黄体ホルモン(プロゲステロン)」ではなく、黄体形成ホルモン<LH>の上昇により排卵が誘発される。排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。黄体形成ホルモンは卵子の放出(排卵)を促すが、排卵は通常、両ホルモンの急激な増加が始まってから16~32時間後に起こる。この時期にはエストロゲンの血中濃度は低下し、プロゲステロンの血中濃度が上昇し始める。ちなみに、排卵後の卵胞は黄体へと変化して黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌する。黄体ホルモン(プロゲステロン)は妊娠の準備のため基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きがある。また栄養や水分を体にたくわえようとするため浮腫や体重増加しやすい。妊娠が成立しなければ、排卵の1週間後くらいから黄体ホルモン(プロゲステロン)は減り始め、さらに1週間くらい経つと子宮内膜がはがれ月経が始まる。

 

(※画像引用:日本医師会様HPより)

月経周期

・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。

第二次性徴とは

二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。

平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。

 

 

 

 

 

69.肺活量算出に最低限必要な肺気量分画はどれか。2つ選べ。

1.予備吸気量
2.予備呼気量
3.1回換気量
4.全肺気量
5.残気量

解答4・5

解説

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

肺活量とは?

肺活量は、「全肺気量-残気量」で算出される。

1.× 予備吸気量とは、正常1回換気量を超えて吸気可能な最大空気量である。
2.× 予備呼気量とは、安静時呼息位から強制呼息によって呼出できる量のことをいう。
3.× 1回換気量とは、一回の呼吸運動(呼気と吸気)で気道・肺に出入りするガスの量のことを指す。単位はmL。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が「有効換気量(350mL)」であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分は、「死腔換気量(150mL)」である。したがって、有効換気量+死腔換気量で健康な成人の1回換気量を求めることができる。
4.〇 正しい。全肺気量は、肺活量算出に必要である。全肺気量とは、肺活量と残気量の合計が全肺気量である。
5.〇 正しい。残気量は、肺活量算出に必要である。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。

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70.足部内側縦アーチの維持に最も関与するのはどれか。

1.三角靭帯
2.長足底靭帯
3.後脛骨筋
4.足底筋
5.第三腓骨筋

解答

解説

縦アーチ

内側縦アーチ:踵骨・距骨・舟状骨(要石)・内側楔状骨・第1中足骨。
靭帯:底側踵舟靭帯、距踵靭帯、楔舟靭帯、足根中足靭帯など
筋:「土踏まず」を形成し、歩行時の衝撃吸収に重要な役割を持っている。外返しで低くなり、内返しで高くなる。つまり、前・後脛骨筋、長趾・長母趾屈筋、母趾外転筋が内側縦アーチに関与する。

外側縦アーチ:踵骨・立方骨・第5中足骨。
靭帯:長足底靭帯・立方靭帯・足根中足靭帯が関与する。
筋:長・短腓骨筋、小趾外転筋が関与する。

1.× 三角靭帯は、足関節内側にある靭帯で、外返し捻挫時に損傷しやすい。①前脛距靭帯、②脛舟靭帯、③脛踵靭帯、④後脛距靭帯の4つの靭帯から構成されている。
2.× 長足底靭帯は、外側縦アーチの保持に関与している。他にも、底側踵舟靱帯や短足底靭帯も関与する。底側踵舟靱帯は、踵骨の載距突起の前縁下面と内側縁から起こり、舟状骨の底面、内側縁と上面の内側部にかけて拡がる強い靱帯である。
3.〇 正しい。後脛骨筋は、足部内側縦アーチの維持に最も関与する。後脛骨筋の作用は、足関節底屈、内返しである。ちなみに、【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底である。
4.× 足底筋の作用は、下腿三頭筋の働きを助ける。ちなみに、【起始】大腿骨外側上顆および膝関節包、【停止】踵骨隆起である。
5.× 第三腓骨筋の作用は、足関節背屈、外返しである。ちなみに、【起始】前下腿筋間中隔の下部、腓骨の前縁、【停止】第5中足骨底背側である。

 

5 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
今年から、設定を「手動広告」から「自動広告」に切り替えました。極力、広告数は変わらないよう最大広告数を「半分」に制限し調整したと思っております。ここからは推測ですが、「ページを離脱される前に広告を見せよう」と機能している結果、ページの序盤で広告詰め詰めになっているものと思われます。ページの中盤~終盤は、概ねいつもの広告数で閲覧できると思います。

こちらでもアナリティクスを使用し、各指標(ユーザー数や平均エンゲージメント時間、ユーザーあたりのページ数など)を先週・去年と比較して、ユーザー様に影響が出ていないか確認しております。現時点ですと、毎年の有料記事を無料公開した影響もあってか、各指標は毎年更新されています。今後も、各指標を参考にしながら、しばらくはこのまま様子を見させていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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匿名

いつも国試勉強で使わせていただいてます。細かくわかりやすい解説ありがとうございます。
68番の解説が開けないためコメントさせていただきました。
お忙しいと思いますが、対応のほどよろしくお願いいたします。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
一件落着したそうで良かったです。
今後ともよろしくお願いいたします。

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