第58回(R5) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題61~65】

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61.細胞内小器官の働きで正しいのはどれか。

1.中心小体は転写を開始する。
2.リソゾームはATPを合成する。
3.粗面小胞体で蛋白質が合成される。
4.Golgi装置で細胞内の物質を分解する。
5.ミトコンドリアは細胞分裂において染色体の分離を担う。

解答

解説
1.× 転写を開始するのは、「中心小体」ではなく転写開始因子である。原核生物の場合、RNAポリメラ-ゼの中心となる酵素に転写開始因子が結合することによって転写が開始される。ちなみに、転写とは、DNAからRNAを合成する段階のことをいう。また、中心小体は、細胞分裂の開始に関わる。細胞分裂を開始する前に中心小体が分裂し、紡錘体を形成するなどの役割を持つ。
2.× ATPを合成するのは、「リソゾーム」ではなくミトコンドリアである。TCAサイクルに関与する。ちなみに、リソゾームは、細胞質内代謝物の消化と貯蔵に関与する。
3.〇 正しい。粗面小胞体で蛋白質が合成される。リボゾーム(粗面小胞体に付着)を含む粗面小胞体は、タンパク質の合成を行う。
4.× 細胞内の物質を分解するのは、「Golgi装置」ではなくリソゾームである。リソゾームは、細胞質内代謝物の消化と貯蔵に関与する。ちなみに、ゴルジ装置(Golgi装置)は、小胞体で合成された物質を細胞膜や分泌小胞に振り分けたり、タンパク質を修飾する。リボソームで生成され送り込まれてきた蛋白質に糖鎖を付け加え、濃縮するなどの修飾をする機能を持つ。
5.× 細胞分裂において染色体の分離を担うのは、「ミトコンドリア」ではなく中心小体である。ちなみに、ミトコンドリアは、DNAを持ち、ミトコンドリア内にあるDNAをミトコンドリアDNAと呼ぶ。細胞に必要なエネルギー産生、細胞呼吸を行う。

 

 

 

 

 

62.深部腱反射で誤っているのはどれか。

1.錘内筋線維が受容器となる。
2.感覚入力はⅠa線維を介する。
3.運動出力はα運動ニューロンを介する。
4.Renshaw細胞はα運動ニューロンから入力を受ける。
5.γ運動ニューロンの興奮により深部腱反射は減弱する。

解答

解説

深部腱反射とは?

 深部腱反射は、骨格筋につながる腱をハンマーなどでたたいた時、筋が不随意に収縮する反射である。筋紡錘が腱の伸びを筋の伸びとして感知したことにより、筋の収縮(緊張)を生み出すことが原因である。単収縮は単一の刺激によって引き起こされる筋収縮である。

伸張反射は、筋紡錘(錘内筋線維)に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。

1~3.〇 正しい。錘内筋線維(筋紡錘)が受容器となる/感覚入力はⅠa線維を介する/運動出力はα運動ニューロンを介する。伸張反射は、筋紡錘(錘内筋線維)に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。
4.〇 正しい。Renshaw細胞は、α運動ニューロンから入力を受ける。Renshaw細胞(レンショウ細胞)とは、脊髄灰白質に認められる抑制性介在ニューロンである。つまり、反回抑制に寄与する。α運動ニューロンの活動が限度を超えた場合に筋伸張反射活動に負のフィードバックをかけて過剰活動を抑制する働きを持つ。
5.× γ運動ニューロンの「興奮」ではなく抑制により深部腱反射は減弱する可能性がある。なぜなら、γ運動ニューロンが抑制されると、筋紡錘の感受性が減弱し筋緊張が減少するため。γ運動ニューロンは、錘内筋線維の両端を支配しており、筋紡錘が正常に働くように調節する機能がある。

 

 

 

 

 

63.消化酵素で正しいのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.αアミラーゼはデンプンをデキストリンに分解する。
2.トリプシンは蛋白質をポリペプチドに分解する。
3.ペプシンはトリグリセリドを脂肪酸に分解する。
4.マルターゼはスクロースをブドウ糖に分解する。
5.ラクターゼは乳糖をマルトースに分解する。

解答1・2(※複数の選択肢を正解とする)
理由:複数の正解があるため。 

解説

1.〇 正しい。αアミラーゼはデンプンをデキストリンに分解する。αアミラーゼは、唾液アミラーゼやプチアリンともいう。
2.〇 正しい。トリプシンは蛋白質をポリペプチドに分解する。トリプシンは、タンパク質分解酵素である。ペプトンやポリペプチドにする。
3.× トリグリセリド(中性脂肪)を脂肪酸に分解するのは、「ペプシン」ではなくリパーゼである。リパーゼとは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素である。ちなみに、ペプシンは、胃液に含まれる蛋白質を基質として分解する酵素である。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。
4.× スクロース(ショ糖)をブドウ糖に分解するのは、「マルターゼ」ではなくサッカラーゼである。腸液に含まれる。ちなみに、マルターゼは、マルトースをグルコースに分解する酵素である。つまり糖を分解する。膵液・腸液に含まれる。
5.× 乳糖をマルトースに分解するのは、「ラクターゼ」ではなくアミラーゼである。ちなみに、ラクターゼは、ラクトースをグルコースとガラクトースに分解する酵素である。つまり糖を分解する。腸液に含まれる。

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64.心臓の刺激伝導系で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.洞房結節は心室中隔にある。
2.房室結節の伝導速度はHis束より速い。
3.房室結節の興奮はHis束より先に生じる。
4.刺激伝導系の細胞は活動電位を生成できる。
5.洞房結節の活動電位持続時間はPurkinje線維より長い。

解答3・4

解説

(※図引用:「看護roo!様 看護師イラスト集」より)

1.× 洞房結節は、「心室中隔」ではなく右心房にある。洞房結節とは、心臓の興奮のペースメーカーの働きをする部位である。ちなみに、心室中隔とは、右心室と左心室の間を隔てる筋肉の壁のことである。
2.× 房室結節の伝導速度はHis束より、「速い」のではなく遅い。房室結節の伝導速度は、著しく遅く、0.1~0.05m/秒の速さで、心房と心室の興奮間隔を大きくしている。他には、脚・プルキンエ線維が速く4m/秒、ヒス束を含む心房筋・心室筋などは1m/秒である。
3.〇 正しい。房室結節の興奮は、His束より先に生じる。心臓の刺激伝導系は、洞房結節→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維となる。
4.〇 正しい。刺激伝導系の細胞は、活動電位を生成できる。洞房結節からの活動電位が心室に全く届かないことを第3度房室ブロックという。この場合、房室結節、ヒス束、心室自体のいずれかによってコントロールされ、代償的なペースメーカー部分による電気刺激は、心臓の正常なペースメーカー部分(洞結節ないし洞房結節)による電気刺激と比べて遅く、不規則になることが多く、安定しない。したがって、心室の拍動数は毎分50回未満となり、ときには毎分30回まで減少することもある。ちなみに、活動電位とは、細胞が脱分極して再分極するまでの電位変化である。
5.× 洞房結節の活動電位持続時間は、Purkinje線維より「長い」のではなく短い。活動電位の持続時間は、洞房結節と房室結節で約200msec、心房筋100msec、プルキンエ線維400msec、心室筋300msecである。骨格筋や神経細胞に比べて100倍以上長い。活動電位持続時間とは、活動電位波形の第0相の急激な脱分極から、第3相の再分極が終了するまでの時間のことをいう。心拍数が増加するにつれてAPDは短縮する。

静止電位の典型的な値

洞房結節-60mV、房室結節-70mV、心房筋-80mV、プルキンエ線維-90mV、心室筋-90mV

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65.Ⅰ型アレルギーに関与する抗体はどれか。

1.IgA
2.IgD
3.IgE
4.IgG
5.IgM

解答

解説

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

1.× IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。
2.× IgDとは、扁桃腺および上気道にある抗体を産生する形質細胞から放出され、呼吸器系の免疫に作用していると考えられている。 IgAやIgGと比較しても微量しか存在していない免疫グロブリンである。
3.〇 正しい。IgEは、Ⅰ型アレルギーに関与する抗体である。IgEとは、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、Ⅰ型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。
4.× IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。
5.× IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。

アナフィラキシーショックとは?

アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。主にⅠ型アレルギー反応の結果、血管拡張や血管透過性の亢進による血漿漏出が生じ、循環血液量の減少をきたすことで起こる。アナフィラキシーショックの症状として(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。

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