第57回(R4) 作業療法士国家試験 解説【午後問題31~35】

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31 Alzheimer型認知症について正しいのはどれか。

1.男性に多い。
2.階段状に増悪する。
3.意味記憶の障害で発症することが多い。
4.人物の見当識より時間の見当識が障害されやすい。
5.軽度認知障害の約80%はAlzheimer型認知症に移行する。

解答

解説

Alzheimer型認知症とは?

Alzheimer型認知症は、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。

1.× 男性ではなく「女性」に多い。男女比は、1:2~3となっている。ちなみに、男性に多いのは血管性認知症である。
2.× 階段状ではなく「緩徐(ゆるやかで徐々に)」に増悪する。ちなみに、階段状に進行するのは血管性認知症である。
3.× 意味記憶の障害ではなく「物忘れや見当識障害」から発症することが多い。ちなみに、血管性認知症は、意味記憶の障害(知識をうまく使えない)や動作緩慢の症状から発症することが多い。
4.〇 正しい。人物の見当識より「時間の見当識」が障害されやすい。また、時間のほかにも場所に対する認識が混乱することが多い。
5.× 軽度認知障害の「約80%」ではなく「約70%」は、Alzheimer型認知症に移行する。認知症で最も多いのは、アルツハイマー型認知症であり、約70%を占める。次に多いのは脳血管性認知症で約20%。次にレビー小体型認知症は4.3%である。

軽度認知障害〈MCI〉とは?

厚生労働省HPによると、2012年の日本の65歳以上の高齢者における、認知症有病率推定値は15%で、認知症有病者数は約462万人と推計されている。軽度認知障害(MCI)の有病率は、13%と推定され、約400万人の軽度認知症の方がいると推計されている。ちなみに、軽度認知障害(MCI)とは、認知症と正常な状態の中間と定義され、時間経過とともにアルツハイマー型認知症を発症すると言われている。軽度認知障害(MCI)とアルツハイマー型認知症の違いは、日常生活を独立して行えるかどうかとされているが、その境界線は曖昧である。

【軽度認知障害〈MCI〉の診断基準】
①本人や家族から認知機能低下の訴えがある。
②認知機能は正常とはいえないが認知症の基準を満たさない。
③基本的な日常生活は正常(複雑な日常生活動作に最低限の障害あり)

また、認知症の有病率は、85歳以上で50%以上、90歳以上で80%である。

 

 

 

 

 

32 切断部位と義手の組合せで正しいのはどれか。

1.上腕骨頸部切断:上腕義手
2.上腕骨70%残存での切断:肘義手
3.橈尺骨35%残存での切断:前腕義手
4.手関節離断:手部義手
5.手根骨レベルの離断:指義手

解答

解説

(※画像引用:国立障害者リハビリテーションセンター様HPより)

1.× 上腕骨頸部切断は、上腕義手ではなく「肩義手」である。
2.× 上腕骨70%残存での切断は、肘義手ではなく「上腕義手」である。
3.〇 正しい。橈尺骨35%残存での切断は、前腕義手である。
4.× 手関節離断は、手部義手ではなく「手義手」である。
5.× 手根骨レベルの離断は、指義手ではなく「手部義手」である。

 

 

 

 

33 脳卒中による片麻痺Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ、手指Ⅲ、下肢IVの患者における治療について正しいのはどれか。

1.緊張性頸反射を利用する。
2.立位時は麻痺側下肢に荷重を促す。
3.長下肢装具使用による歩行訓練を行う。
4.麻痺側上肢では重錘を用いた反復運動を行う。
5.非麻痺側上肢を拘束し麻痺側を強制的に使用させる。

解答

解説
1.× 緊張性頸反射を利用する優先度は低い。緊張性頸反射は、①非対称性緊張性頸反射(ATNR)と②対称性緊張性頸反射(STNR)あり、どちらも原始反射である。原始反射は知覚や姿勢に入力された刺激が大脳の指令を受けずに脊髄や脳幹レベルで処理されることで、無意識下で筋肉が動く現象である。随意運動が発達すると徐々に原始反射は消失する。これは、新生児期の反射中枢は脊髄レベルであり、月齢とともに、脳幹部、中脳、大脳皮質と反射中枢は高次に達するため。
2.〇 正しい。立位時は、麻痺側下肢に荷重を促す。なぜなら、麻痺側下肢に体重を乗せることができると日常生活(歩行)が自立しやすくなるという報告があるため。歩行能力に麻痺側下肢荷重量が関係し、体重比50~60%で屋内歩行が自立するという報告がある。
3.× 長下肢装具使用による歩行訓練を行う優先度は低い。なぜなら、本症例のBrunnstrom法ステージ下肢IVであるため。長下肢装具は、立位訓練開始から装具をつけ、介助下での平行棒な歩行訓練が必要なレベルの麻痺に適応となる。
4.× 麻痺側上肢では重錘を用いた反復運動を行う優先度は低い。なぜなら、本症例のBrunnstrom法ステージ上肢Ⅲであるため。まずは抵抗をかけず、分離運動の獲得を目指す方が優先度は高い。
5.× 非麻痺側上肢を拘束し麻痺側を強制的に使用させる。なぜなら、CI療法の適応外であるため。CI療法の適応には、①血圧の安定や認知機能が正常であること、②施設や病院に入所しておらず自宅で生活していること、③麻痺側手関節の随意的伸展が20°以上可能である(母指を含めた3本指のIP/MP関節の随意的伸展が10°以上可能)ことが条件である。ちなみに、CI療法とは、脳卒中による片麻痺患者に対して、非麻痺側の動きを制限することで麻痺側の運動を誘導する治療法である。

 

 

 

 

 

34 多発性硬化症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。
2.脱髄病変がみられる。
3.発症は70代以上に多い。
4.神経症状の進行は稀である。
5.視力低下が出現する頻度が高い。

解答2・5

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 男性ではなく「女性」に多い。ちなみに、男女比は1:2~3である。
2.〇 正しい。脱髄病変がみられる。多発性硬化症とは、中枢神経系の種々の部位に多発性の脱髄病変を起こし多彩な症状がみられる。
3.× 発症は、70代以上ではなく「15~50歳に多く、約30歳がピーク」に多い。
4.× 神経症状の進行は稀ではなく「寛解・増悪を繰り返す。長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
5.〇 正しい。視力低下が出現する頻度が高い。視覚障害(視神経炎)を合併することが多い。

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【OT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

35 頸髄損傷完全麻痺(第4頸髄節まで機能残存)に使用しないのはどれか。

1.万能カフ
2.電動車椅子
3.透明文字盤
4.環境制御装置
5.食事支援ロボット

解答

解説

第4頸髄節まで機能残存の特徴

第4頸髄節の運動機能は、吸気・肩甲骨挙上が可能である。また、横隔膜の動きは障害されていないため、自発呼吸が行える。したがって、人工呼吸器は不必要である。移動は、下顎などを用いて電動車いすを操作する必要がある。

(写真引用:GIGAZINE様HPより~食事支援ロボット~)

1.〇 万能カフは使用する。「万能カフ」とは、フォークやスプーンに巻きつけて使う補助具である。 握力の弱い方や手指の曲がらない方向けであり、 食事や文字書きが自然な動作でラクになる。C5から用いることが多いが、選択肢の中で最も使用しないといえるものがほかにある。
2.〇 電動車椅子は使用する。下顎などを用いて電動車いすを操作する。
3.× 透明文字盤は使用しない。透明文字盤は上肢が動かせず、発声ができず眼球運動かできないとき、伝えたい文字を相手との視線の中心に来るように動かして使うものである。頸髄損傷完全麻痺(第4頸髄節まで機能残存)は、発声・会話は可能である。
4.〇 環境制御装置は使用する。視線入力装置を介しての環境制御装置の操作が可能である。
5.〇 食事支援ロボットは使用する。用者のジョイスティック操作に従って、ロボットのアームが食卓上の食物を口元へ運ぶ作業を行う。

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