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41 スワンネック変形で過伸展となるのはどれか。
1.遠位指節間関節
2.遠位橈尺関節
3.近位指節間関節
4.手根中手関節
5.中手指節間関節
解答3
解説
スワンネック変形とは、MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節屈曲する変形をいう。したがって、選択肢3.近位指節間関節(PIP)がスワンネック変形で過伸展となる。
42 急性期の肩手症候群への理学療法としで正しいのはどれか。
1.CI療法
2.Codman体操
3.肩関節周囲筋の再教育
4.BFOによる良肢位の保持
5.肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動
解答3
解説
肩手症候群は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の1つと考えられており、脳卒中後片麻痺に合併することが多い。他にも骨折や心臓発作などが誘因となる。症状は、肩の灼熱性疼痛と運動制限、腫脹などを来す。それら症状は、自律神経障害によるものであると考えられている。
第1期:症状が強い時期。
第2期:痛みや腫脹が消失し、皮膚や手の萎縮が著明になる時期。
第3期:手指の拘縮と骨粗懸症が著明になる時期の経過をとる。
治療目的は、①疼痛緩和、②拘縮予防・軽減である。
治療は、①星状神経節ブロック、②ステロイド治療、③アームスリング装着を行う。
リハビリは、①温熱療法、②マッサージ、③関節可動域訓練(自動他動運動)、④巧級動作練習を行う。
『脳卒中治療ガイドライン2009』では、「麻痺の疼痛・可動域制限に対し、可動域訓練は推奨される(グレードB:行うよう勧められる)」としている。
1.× CI療法(constraint-induced movement therapy)は、脳卒中による片麻痺患者に対して、健側肢の働きを制限することで患側肢の運動を誘導する治療法である。また、CI療法の適応には、①血圧の安定や認知機能が正常であること、②施設や病院に入所しておらず自宅で生活していること、③麻痺側手関節の随意的伸展が20°以上可能である(母指を含めた3本指のIP/MP関節の随意的伸展が10°以上可能)ことが条件である。
2.× Codman体操(コッドマン体操)は、肩関節周囲炎の炎症期に使用する運動であり、肩関節回旋筋腱板の強化や肩関節可動域拡大を目的に使用する。患側の手に1~1.5㎏の重錘を持ち、振り子運動を行う。肩甲骨と上腕骨の間に関節の遊びを作ることで、痛みや障害を予防する。
3.〇 正しい。肩関節周囲筋の再教育は、急性期の肩手症候群に対し行う。神経筋再教育は、脳血管疾患等による片麻痺などで神経の伝達障害から脆弱化した筋に刺激を行い、一時的に損失した筋収縮力を再教育し回復を図る方法である。単なる筋力トレーニングでは回復に対応できないような運動麻痺による脆弱化が生じた筋に対して行われ、筋収縮力機能を再生するために行う手技である。肩手症候群の場合、痛みが発生しないよう自動介助運動による筋の再教育を行うことが多い。
4.× BFO(balanced forearm orthosis:非装着式上肢装具)による良肢位の保持は、第4〜5頸椎レベル損傷の場合に用いる。BFO(balanced forearm orthosis:非装着式上肢装具)は、前腕を支持することにより、上肢の重さを軽減させ、弱い力で上肢の動きを引き出す自助具である。
5.× 肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動は実施しない。なぜなら、肩手症候群に対し、肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動はさらなる症状の増悪につながるため。積極的な他動伸張運動は疼痛、腫脹、熱感を増悪させることに加え、次の期に生じる関節拘縮を悪化させることにもつながりやすい。
43 ポストポリオ症候群で正しいのはどれか。
1.疼痛を伴うことは少ない。
2.発症年齢は10歳以下が多い。
3.罹患筋の運動単位数は減少している。
4.非麻痺側に新たな筋力低下は起こらない。
5.MMT3レベル以下の新たな筋力低下に対して筋力増強運動を行う。
解答3
解説
ポストポリオ症候群は、ポリオの後遺症として60歳前後で筋力低下や手足のしびれ、疼痛などの症状が現れる障害である。ポリオウイルスによる急性灰白髄炎によって小児麻痺を生じた患者が、罹患後、数十年を経て新たに生じる疲労性疾患の総称であり、急性灰白髄炎後の症状には、筋力低下、筋萎縮、関節痛、呼吸機能障害、嚥下障害などの症状を呈する。筋力低下は急性期の小児麻痺で障害をみられなかった肢にも比較的高頻度で生じる。診断基準は、①ポリオの確実な既往があること、②機能的・神経学的にほぼ完全に回復し、15年以上も安定した期間を過ごせていたにも関わらずその後に疲労や関節痛、筋力低下などの症状が発現した場合である。Halstead(ハルステッド)の診断基準を使用されることもある。
1.× 疼痛を伴う。ポストポリオ症候群は、ポリオの後遺症として60歳前後で筋力低下や手足のしびれ、疼痛などの症状が現れる障害である。
2.× 発症年齢は、10歳以下ではなく「ポリオの後遺症として60歳前後」が多い。
3.〇 正しい。罹患筋の運動単位数は減少している。運動単位とは、1つのα運動ニューロンが神経支配する筋線維の集まりをいう。急性灰白髄炎後の症状には、筋力低下、筋萎縮、関節痛、呼吸機能障害、嚥下障害などの症状を呈する。
4.× 非麻痺側にも新たな筋力低下が「起こらない」のではなく「起こる」。筋力低下は、急性期の小児麻痺で障害をみられなかった肢にもみられる。
5.× MMT3レベル以下の新たな筋力低下に対して筋力増強運動を行う優先度が低い。なぜなら、MMT3レベル以下の新たな筋力低下は、筋力増強運動により過用性筋力低下を生じるリスクがあるため。また、Halstead診断基準によると、普通でない疲労や関節痛、筋肉痛、新たな筋萎縮も見られる項目がある。
1.麻痺性ポリオの確実な既往
2.部分的または完全な神経学的・機能的回復
3.少なくとも15年間の神経学的・機能的安定期間
4.安定期間を経過した後に,以下の健康問題が2つ以上発生
・普通でない疲労
・関節痛/筋肉痛
・麻痺側または非麻痺側の新たな筋力低下
・機能低下
・寒冷に対する耐性の低下
・新たな筋萎縮
5.以上の健康問題を説明する他の医学的診断がない
44 脊髄損傷(第7頸髄節まで機能残存)患者で自立が最も困難なのはどれか。
1.自動車の運転
2.車椅子のキャスター上げ
3.車椅子で5cmの段差昇降
4.床面から車椅子への乗り移り
5.ベッドから車椅子までの側方移乗
解答4
解説
(Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)
主な動作筋は、上腕二頭筋と橈側手根屈筋である。移動は車椅子駆動で、自動車の運転も可能となる。プッシュアップとベッドの側方移動が可能となり、車椅子にて日常生活のほとんどが自立まで至る。
1.× 自動車の運転は、C6レベルの機能残存が必要である。ハンドル旋回装置や手動装置を利用することで、自動車の運転が可能になる。
2〜3.× 車椅子のキャスター上げ(瞬間的に持ち上げる)/車椅子で5cmの段差昇降は、C7レベルの機能残存が必要である。瞬間的なキャスター上げは、約5cmの段差昇降を可能にする。ちなみに、キャスター上げの保持(持続的なキャスター上げ、キャスターを上げたままの移動)は、手指屈筋群が機能するC8レベル以下の機能が必要になる。
4.〇 正しい。床面から車椅子への乗り移りは、自立が最も困難である。床面から車椅子への乗り移りは、C8レベルの機能残存が必要である。C7レベルまでの残存は、プッシュアップは可能にはなるものの、プッシュアップで殿部を40cm程度後方に体幹を安定させ、全身を引き上げる強い上肢の筋力まで至らない。
5.× ベッドから車椅子までの側方移乗は、C7レベルまでの残存で可能である。
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45 Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸管理について正しいのはどれか。
1.非侵襲的陽圧換気療法〈NPPV〉の適応ではない。
2.舌咽呼吸は強制的に吸気する最大量を得るのに有効である。
3.咳最大流量〈cough peak flow〉は咳介助を行う目安にならない。
4.呼吸管理の適応になる時期は機能障害度ステージⅣからである。
5.排痰補助装置による咳介助は徒手による咳介助に優先して行われる。
解答2
解説
ステージ1 歩行可能 介助なく階段昇降可能(手すりも用いない)
ステージ2 階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とする
ステージ3 階段昇降不能 平地歩行可能 通常の高さのイスからの立ち上がり可能
ステージ4 歩行可能 イスからの立ち上がり不能
ステージ5 歩行不能 四つ這い可能
ステージ6 四つ這い不能だが、いざり移動可能
ステージ7 這うことはできないが、自力で坐位保持可能
ステージ8 ベッドに寝たままで体動不能 全介助
筋ジストロフィーは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。
1.× 非侵襲的陽圧換気療法〈NPPV〉の適応である。Duchenne型筋ジストロフィーは、病気の進行に伴い、 呼吸筋の筋力低下により呼吸障害を呈するため。20歳頃には、呼吸障害や心不全で死亡する。非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉療法は、気管切開することなくマスクを介して換気を行う治療法である。高二酸化炭素血漿を伴う呼吸不全(Ⅱ型呼吸不全)が対象となる。非侵襲的陽圧換気は、挿管をせずに鼻・口にマスクを使用した陽圧換気法で、患者にとって負担の少ない補助換気法である。気管内挿管が不要であるため患者は、苦痛が少ないが、挿管をして換気を行う侵襲的陽圧換気法の方が気道確保や換気は確実である。
2.〇 正しい。舌咽呼吸(舌咽頭呼吸、カエル呼吸)は、強制的に吸気する最大量を得るのに有効である。最大強制吸気量のための肺内への送気に利用されることが多い方法である。筋萎縮性側索硬化症患者やDuchenne型筋ジストロフィーに適応となる。使用目的は、①人工呼吸器の離脱や呼吸維持、②効果的な咳の維持、③会話時の声量増加・リズム正常化、④肺実質の拡張性維持と微小な無気肺の予防である。舌咽呼吸の指導は、ガイドラインによるとC1(行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない)であり、バッグバルブマスク(救急蘇生用バッグ)による送気や非侵襲的陽圧換気療法(従量式調節換気に限る)などの代替手段も増えてきている。
3.× 咳最大流量〈cough peak flow〉は、咳介助を行う目安となる。なぜなら、咳最大流量〈cough peak flow〉は、気道分泌物喀出能力の参考ともなるため。咳介助には、①徒手によるもの、②機械によるものがある。徒手による咳介助は、患者の胸郭下部に介助者の両手を置き、咳に合わせて圧迫し、呼気流速を高めて排痰をしやすくする手技である。咳最大流量は、ピークフローメーターや電子式診断用スパイロメータにて測定できる。
4.× 呼吸管理の適応になる時期は、機能障害度ステージⅣではなく「ステージⅤ」からである。ステージⅤは、歩行不能、四つ這い可能な状態である。つまり、車椅子座位時間が長時間になる。したがって、脊柱の変形が急速に進行し、呼吸筋の筋力低下により呼吸機能は低下する。ステージの進行に伴い、人工呼吸管理が必要となるため、車椅子座位時間が増えるこの時期に呼吸機能の定期的な検査は重要であり、呼吸管理の適応になる時期である。
5.× 逆である。徒手による咳介助は、排痰補助装置による咳介助に優先して行われる。なぜなら、排痰補助装置による咳介助は呼吸機能障害により咳が弱く、排痰が困難な場合に用いられるため。徒手による介助咳では、予防的な観点と排痰が困難となった場合でも有効とされている。
非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉療法は、気管切開することなくマスクを介して換気を行う治療法である。高二酸化炭素血漿を伴う呼吸不全(Ⅱ型呼吸不全)が対象となる。非侵襲的陽圧換気は、挿管をせずに鼻・口にマスクを使用した陽圧換気法で、患者にとって負担の少ない補助換気法である。気管内挿管が不要であるため患者は、苦痛が少ないが、挿管をして換気を行う侵襲的陽圧換気法の方が気道確保や換気は確実である。
【睡眠時のNPPVの適応】
①慢性肺胞低換気(肺活量が60%以下の場合はハイリスク)
②昼間に酸素飽和度以下(94%以下)または高二酸化炭素血症(45mmHg以下)
③睡眠時SpO2モニターで、apnea-hypopnea index(AHI)が10/時間以上、SpO2が92%未満になることが4回以上か、全睡眠時間の4%以上
【睡眠時に加えて覚醒時のNPPVの適応】
①呼吸困難に起因する嚥下困難
②ひと息に長い文章を話せない
③慢性肺胞低換気症状を認め、昼間に酸素飽和度以下(94%以下)または高二酸化炭素血症(45mmHg以上)
(引用:NPPVガイドライン改訂第2版より)
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