第57回(R4) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題86~90】

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86 FIMについて正しいのはどれか。2つ選べ。

1.見当識を評価する。
2.社会的交流を評価する。
3.見守りが必要な場合は4点と判定する。
4.更衣は上半身と下半身を分けて評価する。
5.杖を使用して歩行が自立すれば完全自立と判定する。

解答2・4

解説

1.× 見当識の評価項目はない。評価の項目は、①運動項目(食事、整容、清拭・入浴、更衣(上・下)、トイレ動作、排尿・排便、移乗、歩行、階段昇降など)と②認知項目(理解・表出、社会交流、問題解決、記憶)である。
2.〇 正しい。社会的交流を評価する。FIMの社会的交流とは、相手に迷惑をかけているかどうか、自分の言動が人にどう思われているかがわかるという事である。病室や訓練室、自宅、地域のなかで他人と折り合い、集団に参加して行く能力が含まれる。これは自分の要求とともに、他人の要求をどう処理するかも評価の対象になるという事である。
3.× 見守りが必要な場合は、4点ではなく「5点(要監視)」と判定する。
4.〇 正しい。更衣は、上半身下半身を分けて評価する。それぞれ7点として評価項目は別々となっている。
5.× 杖を使用して歩行が自立すれば、完全自立(7点)ではなく「修正自立(6点)」と判定する。なぜなら、杖は歩行補助具に該当するため。

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【OT/共通】FIMについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

87 アキレス腱断裂について正しいのはどれか。

1.つま先立ちは可能である。
2.受傷好発年齢は10歳代である。
3.高齢者では日常活動での受傷が多い。
4.術直後から患側の足関節可動域訓練を行う。
5.ステロイド注射はアキレス腱断裂を予防する。

解答

解説

1.× つま先立ちは、可能ではなく「困難」である。アキレス腱断裂の場合、Thompson sign(トンプソン サイン)は陽性となる。被検者の腓腹筋を検者がつまみ、足関節底屈するかどうかをみる検査である。
2.× 受傷好発年齢は、10歳代ではなく「30〜40歳代」である。アキレス腱断裂は、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作で下腿三頭筋が急激に収縮した時や、着地動作などで急に下腿三頭筋が伸ばされたりした時に発生する。したがって、スポーツ愛好家に多く、レクリエーション中の受傷が多いのが特徴である。
3.〇 正しい。高齢者では日常活動での受傷が多い。一方、若年層は主にスポーツ活動中のジャンプやダッシュなどでアキレス腱に強い力がかかったときに起こる。
4.× 患側の足関節可動域訓練を行うのは、術直後からではなく「1~2週目」である。なぜなら、術直後は「ギプス固定で荷重なし」となっているため。ギプス固定を外して装具での全荷重へと移行するのが「1~2週目」である。
5.× ステロイド注射は、アキレス腱断裂を予防するものではない。ステロイド注射は、強力な抗炎症作用鎮痛効果が期待できることから、炎症に伴う腫れや痛みが激しい場合に検討されている。効果は、数週間~数か月持続するといわれており、痛みの改善に関してはヒアルロン酸よりも高い改善効果が期待できるという報告もある。

 

 

 

 

88 骨形成不全症で正しいのはどれか。

1.遺伝性疾患ではない。
2.聴覚障害を合併する。
3.四肢・体幹の変形は少ない。
4.骨折の頻度は小児期より思春期で高い。
5.出生1.000人あたり1~2人の割合である。

解答

解説

骨形成不全症は?

骨形成不全症は、易骨折性・進行性の骨変形などの骨脆弱性を示す病状に加え、様々な程度の結合組織の病状を示す先天性の疾患である。具体的な症状として、易骨折性、骨変形などの長管骨の骨脆弱性と脊椎骨の変形に加え、成長障害、青色強膜、歯牙(象牙質)形成不全、難聴、関節皮膚の過伸展などがみられる。さらに、脊柱変形による呼吸機能障害、心臓弁(大動脈弁、僧帽弁に多い)の異常による心不全などが引き起こされることがある。ちなみに、骨折は、乳児期や歩行の不安定な1~2歳ごろと運動をする機会が増える小学生で多いとされている。

1.× 遺伝性疾患である。常染色体優性遺伝の場合もあれば、常染色体劣性遺伝の場合もある。
2.〇 正しい。聴覚障害を合併する。具体的な症状として、易骨折性、骨変形などの長管骨の骨脆弱性と脊椎骨の変形に加え、成長障害、青色強膜、歯牙(象牙質)形成不全、難聴、関節皮膚の過伸展などがみられる。さらに、脊柱変形による呼吸機能障害、心臓弁(大動脈弁、僧帽弁に多い)の異常による心不全などが引き起こされることがある。
3.× 四肢・体幹の変形は少ないのではなく「多い」。特に、二次的に側弯症を発症しやすい。その後、脊柱変形による呼吸機能障害、心臓弁(大動脈弁、僧帽弁に多い)の異常による心不全などが引き起こされる。
4.× 逆である。骨折の頻度は、思春期より小児期で高い。骨折は、乳児期や歩行の不安定な1~2歳ごろと運動をする機会が増える小学生で多いとされている。したがって、骨折や骨変形は、長管骨に多く見られる。
5.× 出生1.000人あたり1~2人の割合ではなく、「出生1.000人あたり0.05人」とされている。つまり、約2万人に1人といわれている。

 

 

 

 

 

89 原発性骨粗鬆症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。
2.海綿骨の減少を伴う。
3.喫煙は危険因子である。
4.低カルシウム血症を伴う。
5.骨折好発部位は尺骨である。

解答2・3

解説

骨粗鬆症について

①原発性骨粗鬆症とは、閉経後や高齢者にみられる骨粗鬆症のことである。

②続発性骨粗鬆症とは、結果として二次的な骨量喪失が起こる骨粗鬆症のことをいう。例えば、骨代謝に影響を及ぼすホルモンやサイトカイン異常、不動など骨への力学的負荷の減少、骨構成細胞や物質の異常、全身的および血管障害などの局所的栄養障害などによって起こる。これら骨粗鬆症は原疾患に基づいて発症する続発性骨粗鬆症であるため、原疾患の適切な治療により正常化することが期待しうるが、骨代謝の正常化を期待するには不十分であることが多く、また先天性異常では改善は望めず、多くの症例で骨量喪失に対する治療を要することが多い。

1.× 男性ではなく、「女性」に多い。閉経後の女性が、約8割を占める。
2.〇 正しい。海綿骨の減少を伴う。なぜなら、閉経後のエストロゲンの減少により骨吸収が骨形成を上回るため。骨には、①外側(皮質骨)と②内側(海綿骨)がある。骨粗鬆症では、まず初めに骨の内側(海綿骨)がもろく弱くなっていく特徴がある。
3.〇 正しい。喫煙は危険因子である。危険因子とされている理由として、タバコは胃腸の働きを抑え、食欲をなくし、カルシウムの吸収を妨げるため。また、女性では骨から血液中へのカルシウムの流出を防ぐ女性ホルモンの分泌を防ぐなどといった機序を持つ。したがって、喫煙の他にも、生活習慣(食事、運動、アルコールなど)が発症に大きく影響する。
4.× 低カルシウム血症を伴わない。なぜなら、骨吸収が促進され、骨から血中にカルシウムが移動するため。つまり、血中のカルシウム濃度が上昇する。
5.× 骨折好発部位は、尺骨ではなく「椎体(圧迫骨折)」である。骨折好発部位は、女性は椎体が多いが、男性は長管骨(特に大腿骨頸部骨折や橈骨)である。

 

 

 

 

90 脳梗塞の発生部位と出現する症状の組合せで正しいのはどれか。

1.Broca領域:遂行機能障害
2.右小脳半球:左上下肢の運動失調
3.右内包後脚:左上下肢の運動麻痺
4.左前頭葉:左半側空間無視
5.左放線冠:感覚性失語

解答

解説

1.× Broca領域の障害は、遂行機能障害ではなく「運動失語(Broca失語)」を伴う。ちなみに、遂行機能障害は前頭葉障害で生じる。
2.× 右小脳半球は、左ではなく「右(同側)」上下肢の運動失調が伴う。小脳半球(新小脳)は、四肢(特に上肢)の協調運動を司っている(失調性歩行、企図振戦、構音障害など)。失調性歩行は、ワイドベースや酩酊歩行、よろめき歩行ともいう。
3.〇 正しい。右内包後脚は、左上下肢の運動麻痺を伴う。運動麻痺は、錐体路(大脳皮質運動野-放線冠-内包後脚-大脳脚-延髄-錐体交叉-脊髄前角細胞)で生じる。
4.× 左半側空間無視は、左前頭葉ではなく「右頭頂葉後方」の障害で伴いやすい。
5.×感覚性失語(Wernicke失語)は、左放線冠ではなく「左側頭葉(Wernicke野)」の障害で伴いやすい。

 

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