第57回(R4) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題81~85】

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81 質問紙法によって行われるのはどれか。2つ選べ。

1.MMPI
2.WCST
3.YG性格検査
4.バウムテスト
5.Rorschachテスト

解答1・3

解説

性格検査の種類

①投影法:多義的で曖昧な刺激を提示しそこから得られる反応から個人の性格特性を把握しようとする手法。
②質問紙法:あらかじめ定められた質問項目に回答してらうことにより、データを得る方法のこと。
③作業検査法:簡単な作業を行わせて、その結果から性格特性を捉える方法である。

1.〇 正しい。MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の項目にyes/noで答えさせ(自己記入式)、10の臨床尺度および4の妥当性尺度により被験者の人格プロフィールを表す。
2.× WCST(Wisconsin Card Sorting Test:ウィスコンシンカード分類テスト)は、前頭葉の機能を調べる検査であり、主に高次脳機能障害の評価に用いられる。あえて分類すると作業検査法である。4つの色と形が描かれた4枚のカードがあらかじめ並べられていて、被験者が手元にあるカードを分類カテゴリーに従って順次並べていくものである。
3.〇 正しい。YG性格検査は、質問紙法による性格検査の1つである。120項目で12の性格特性を測定する。また、測定結果で5つの類型に分類することも可能である。はい、いいえ、どちらでもない、の3件法である。
4.× バウムテストとは、「実のなる木」を1本自由に描いてもらう描画検査(投影法の人格検査)である。コッホによって開発された。「バウム(Baum)」がドイツ語で「木」という意味である。
5.× Rorschachテストは、投影法による性格検査の一つである。被験者にインクのしみを見せて何を想像するかを述べてもらい、その言語表現を分析することによって被験者の思考過程やその障害を推定するものである。

代表的な質問紙法による心理検査
  • MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory )
  • YG性格検査
  • MPI(モーズレイ人格目録)
  • EPPS(Edwards Personal Preference Schedule )
  • SDS(Self-rating Depression Scale)
  • HRSD(Hamilton Rating Scale for Depression)
  • エゴグラム(TEG)

 

 

 

 

 

82 ASIAの評価法における脊髄髄節とそのkey muscleとの組合せで正しいのはどれか。

1.C5:肘関節屈筋群
2.C6:肘関節伸筋群
3.C7:小指外転筋
4.L2:膝関節伸筋群
5.L3:足関節背屈筋群

解答

解説

(※図引用:ASIA AMERICAN SPINAL INJURY ASSOCIATIONより)

ASIAとは?

ASIA(American Spinal Injury Association:米国脊髄損傷協会)の脊髄損傷の神経学的・機能的国際評価法は、運動機能スコアと知覚機能スコアの得点結果から、①神経損傷高位、②機能障害スケール、③臨床症状分類を判断できるように構成されている。

1.〇 正しい。C5は、肘関節屈筋群(上腕二頭筋や上腕筋)である。
2.× 肘関節伸筋群は、C6ではなく「C7(上腕三頭筋)」である。ちなみに、C6は手関節背屈である。
3.× 小指外転筋は、C7ではなく「T1」である。
4.× 膝関節伸筋群は、L2ではなく「L3(大腿四頭筋)」である。ちなみに、L2は股関節屈筋群である。
5.× 足関節背屈筋群は、L3ではなく「L4(前脛骨筋)」である。

 

 

 

 

83 フレイルの指標とサルコペニアの評価で共通する項目はどれか。2つ選べ。

1.握力低下
2.体重減少
3.歩行速度低下
4.主観的疲労感増大
5.日常生活活動減少

解答1・3

解説

フレイルとサルコペニア

【フレイルとは?】

フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態のことをいう。多くは、「健康状態」→「フレイル」→「要介護状態」と経過する。
定義:加齢とともに心身の活動(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態である。
診断基準に含まれるのは【①体重減少、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。

【サルコペニアとは?】

サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量と骨格筋力の低下によって身体的な障害やQOLの低下を招いている状態のことをいう。サルコペニアの診断には、四肢骨格筋量の低下があることに加えて身体機能(歩行速度)の低下または、筋力(握力)の低下、下腿周径、5回椅子立ち上がりテストがある。

1.3.〇 正しい。握力低下/歩行速度低下は、フレイルの指標とサルコペニアの評価で共通する項目である。
2.4.5.× 体重減少/主観的疲労感増大/日常生活活動減少は、フレイルの診断基準に含まれる。

フレイルの基準

体重減少(6か月間で2~3㎏以上)
易疲労感
歩行速度の低下
握力の低下
身体活動量の低下

3項目以上該当で「フレイル」

1~2項目該当で「プレフレイル」

 

 

 

 

 

84 前骨間神経麻痺と後骨間神経麻痺に共通するのはどれか。

1.感覚は正常である。
2.尺骨神経の分枝である。
3.肘部管のTinel徴候が陽性である。
4.中・環・小指の伸展動作が困難である。
5.母指と示指のつまみ動作が困難である。

解答

解説

前骨間神経と後骨間神経について

前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。両者とも触覚に異常がないのが特徴である。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じる。

【前骨間神経】
・肘の辺りで正中神経から分岐して主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配している。
→涙のしずくが陽性。

【後骨間神経】
・肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している。
→下垂指(drop finger)となる。

1.〇 正しい。感覚は正常である。前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。両者とも触覚に異常がないのが特徴である。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じる。
2.× 尺骨神経の分枝ではない。前骨間神経は正中神経、後骨間神経は橈骨神経の分岐である。
3.× 肘部管のTinel徴候が陽性となるのは尺骨神経である。前骨間神経は正中神経、後骨間神経は橈骨神経の分岐である。ちなみに、Tinel徴候とは、手根部や肘部の神経圧迫部位を叩打すると支配領域に放散痛が生じる現象をいう。肘部管症候群は、尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側骨手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞拒性障害である。尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。
4.× 中・環・小指の伸展動作が困難であるのは、尺骨神経麻痺(鷲手)の特徴である。
5.× 母指と示指のつまみ動作が困難であるのは、前骨間神経麻痺の特徴である。

 

 

 

 

85 言語発達で正しいのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.喃語は6か月ころからみられる。
2.有意味語の発語は8か月ころからみられる。
3.言語的意味理解は10か月ころからみられる。
4.2語文の発話は1歳ころにみられる。
5.言語獲得の臨界期は3歳ころである。

解答1・3(複数の選択肢を正解として採点する)
理由:複数の正解があるため。

解説

1.〇 正しい。喃語は6か月ころからみられる。6か月以前の「アー」という母音だけの状態から、一音一音明確に発音できるまでになった音を「喃語」という。つまり、「アーウー」や、「バ・バ・バ」というような音のことである。
2.× 有意味語の発語は、8か月ころではなく「1歳ごろ」からみられる。有意味語は、ある特定の対象や事象を表わすための特定の語である。つまり、ごはんや母親を「マンマ」とよぶといった語である。
3.〇 正しい。言語的意味理解は10か月ころからみられる。遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表によると、9か月で「いけません」と言うと、ちょっと手を引っ込めるしぐさがみられる。
4.× 2語文(わんわんきた)の発話は、1歳ころではなく「2歳ごろ」にみられる。1歳ころは、2語言える程度である。
5.× 言語獲得の臨界期は、3歳ころではなく「12〜15歳」といわれている。臨界期とは、ある年齢を過ぎると言語の習得が不可能になる時期のことである。多くの場合、子どもが思春期に達する前後の12〜15歳が臨界期の終わりと考えられているが、これに対しては一致した結論はまだ出ていない。

 

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