第56回(R3) 作業療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

 

36 評価とその内容の組合せで正しいのはどれか。

1. COPM:作業の運動技能
2. SF-36:介護負担
3. 意志質問紙:生活満足度
4. GBS スケール:認知症の症状
5. 興味チェックリスト:作業の遂行度

解答4

解説
1.× COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)では、作業の運動技能ではなく、対象者の重要視する作業とその作業遂行能力を評価し、それをもとに援助することを目的として行われる。患者が現時点で改善したいと考える活動(①遂行度)と、それらの出来栄え(②重要度)、③満足度をそれぞれ10点満点で、患者が主観的に評価する。ちなみに、運動技能は自分自身や対象物を動かす技能であり、プロセス技能は道具の選び方、使い方などの技能である。これらの技能は、対象者の生活場面での状態を観察することにより日常生活技能を測定する方法であるAMPS(Assessment of Motor and Process Skills)で評価される。
2.× SF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)は、介護負担ではなく、質問紙法によって対象者の健康関連QOLを包括的に評価する尺度である。8つの健康概念【①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康】を測定する。
3.× 意志質問紙は、生活満足度ではなく、作業や活動への取り組み度集中度合いを観察する。14項目に対して各4点満点、計56点満点で評価するものである。
4.〇 正しい。GBSスケール(認知症状評価尺度)は、認知症の症状を評価する。開発者のGottfries・Brane・Steenの頭文字をとって命名された。5項目【①GBS-A (知的機能)、 ②GBS-B (自発性)、③GBS-C (感情機能)、 ④GBS-D(その他の精神症状)、 ⑤GBS-E(運動機能)】で構成され、ある程度量的な測定が可能である。対象者の観察や対象者をよく知るものからの行動観察情報により評価する。
5.× 興味チェックリストは、作業の遂行度ではなく、対象者のニーズを把握するために、各活動項目に対する興味の有無、また興味がある場合は関心の強さについて評価する。

 

 

 

 

 

 

 

37 IADLの項目に含まれるのはどれか。

1. 化粧
2. 義足の装着
3. バスの利用
4. 歩行器を使用した歩行
5. 車椅子からベッドへの移乗

解答3

解説

IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)

IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)は、電話使用、買い物、食事の準備、家事(清掃、身の回りの片づけなど)、洗濯、移動、服薬管理、財産の取り扱い管理が含まれる。日常生活を送るために必要な動作で、基本的ADLよりも複雑で高次な動作をいう。

1.× 化粧は、基本的ADLである。整容に含まれる。
2.× 義足の装着は、基本的ADLである。更衣動作に含まれる。
3.〇 正しい。バスの利用は、IADLに含まれる。
4.× 歩行器を使用した歩行は、基本的ADLである。歩行に含まれる。
5.× 車椅子からベッドへの移乗は、基本的ADLである。移乗に含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

38 小児の四肢切断について正しいのはどれか。

1. 後天性四肢切断は女児に多い。
2. 義手の装着開始時期は4歳ころが適切である。
3. 下腿切断では成長に伴い外反膝変形を生じやすい。
4. 悪性骨腫瘍が原因で切断になる頻度は増加傾向にある。
5. 後天性の切断における幻肢の出現頻度は成人より低い。

解答5

解説

1.× 後天性四肢切断は、女児ではなく男児に多い。男女比は2:1である。理由として、男児は女児より活発であり、怪我をする機会が多いため。
2.× 義手の装着開始時期は、4歳ころではなく、生後6か月が適切である。ちなみに、義足は、生後8~10か月が適切である。
3.× 成長に伴い外反膝変形を生じやすいのは、下腿切断ではなく、ショパール離断である。ちなみに、下腿切断は、膝関節屈曲拘縮が生じやすい。なぜなら、成長に伴い膝伸筋と膝屈筋の不均衡が生じやすいため。
4.× 悪性骨腫瘍が原因で切断になる頻度は、減少傾向にある。なぜなら、治療として、①術前化学療法→②手術→③術後化学療法が確立され、化学療法の進歩と、人工関節などを利用して四肢を温存する方針が増え、患肢温存率が約90%に達している。
5.〇 正しい。後天性の切断における幻肢の出現頻度は成人より低い。なぜなら、小児ではボディ・イメージが十分に形成されていないため。幻肢だけでなく、幻聴や幻肢痛の出現も成人より低い。

幻肢・幻肢痛の特徴

①下肢より上肢、近位部より遠位部に多い。
②幻肢は、6か月~2年で消失することが多い。
③幻肢の大きさは健肢とほぼ同様。
④4~6歳以下の小児切断例では出現しない。
⑤幻肢痛は天候や精神的ストレスに左右される。
⑥幻肢は断端の運動につれて移動する。
⑦幻聴・幻肢痛は断場の状態(神経や癒着など)に関連を持つ場合がある。

※幻視痛は、心因性の要素が関係するため薬物療法以外の治療法 (バイオフィードバック、リラクセーション訓練、認知行動族法、経皮的電気神経刺激法【TENS】 など)も用いられる。

 

 

 

 

 

 

39 高次脳機能障害と脳の障害部位との組合せで正しいのはどれか。

1. 顔の左側の髭を剃り残す。:後頭葉
2. 新しい道順を覚えられない。:前頭葉
3. 何度も同じことを繰り返し聞く。:側頭葉
4. 物事を順序立てて実行することが難しい。:後頭葉
5. 見えていないのに見えているように振る舞う。:頭頂葉

解答3

解説
1.× 顔の左側の髭を剃り残す(左半側空間無視)は、後頭葉ではなく、右頭頂葉で起こる。
2.× 新しい道順を覚えられない(前向性健忘:記銘障害)は、前頭葉ではなく、側頭葉の大脳辺縁系(海馬など)で起こる。ちなみに、前頭葉障害は、ワーキングメモリ(作業記憶)の障害が生じる。
3.〇 正しい。何度も同じことを繰り返し聞く(前向性健忘:記銘障害)は、側頭葉の大脳辺縁系(海馬など)で起こる。
4.× 物事を順序立てて実行することが難しい(遂行機能障害)は、後頭葉ではなく、前頭葉(前頭連合野)で起こる。
5.× 見えていないのに見えているように振る舞う(Anton症候群)は、頭頂葉ではなく、後頭葉(両側の一次視覚野)で起こる。

前頭葉障害の主症状

【前頭葉障害の主症状】
・遂行機能障害
・易疲労性
・意欲・発動性の低下
・脱抑制・易怒性
・注意障害
・非流暢性失語

 

 

 

 

 

 

 

40 軽度の意識障害の評価に重要な検査はどれか。

1. 光トポグラフィー
2. 機能的MRI
3. MMPI
4. 脳波
5. WAIS-Ⅲ

解答4

解説

1.× 光トポグラフィーは、精神科領域(気分障害や統合失調症など)の検査・診断に利用される。光トポグラフィー検査とは、近赤外線光を利用して前頭葉や側頭葉における脳活動の変化を画像化し、反応パターンの違いで、健常者相当、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症などにほぼ分類することが可能である。精神科領域では確定診断の補助として活用されているが、他の領域では研究の側面が強く、限られた施設でのみ利用されている。
2.× 機能的MRI(fMRI:functional MRI)は、研究段階の検査である。神経活動が活発な脳領域の酸素量の増加をBOLD法により計測して、特定の機能を遂行している際の脳の活動部位を非侵襲的に画像化する技術である。
3.× MMPI(Minnesota Multiple Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の質問に対して「あてはまる」「あてはまらない」「どちらでもない」を選択する3件法が用いられている。
4.〇 正しい。脳波は、軽度の意識障害の評価に重要な検査である。脳波検査以外にも、必要に応じて、頭部MRI検査、脳血管撮影、髄液検査等も行われる。脳波は、てんかんの診断・病型分類、意識障害の評価、睡眠異常の診断、脳死判定、特殊な波形による疾患の推定などに用いられる。
5.× WAIS-Ⅲ(Wechsler Adult Intelligence Scale:ウェクスラー成人知能検査)は、質問やイラスト、積み木などの検査キットを用いて、言語性知能尺度・動作性知能尺度から総合の知能指数(IQ)を測定する。16~89歳までが対象となる。

 

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