第56回(R3) 作業療法士国家試験 解説【午後問題21~25】

 

21 感染症のスクリーニング検査の特異度で正しいのはどれか。

1. 感染していない人で検査陽性と判定される割合
2. 感染していない人で検査陰性と判定される割合
3. 感染している人で検査陰性と判定される割合
4. 検査が陰性で感染していない人の割合
5. 検査が陽性で感染している人の割合

解答2

解説

覚えておきたい用語

・疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率を「感度」という。
・疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率を「特異度」という。

・検査陽性者のうち実際に疾病を有する者の割合を「陽性反応的中度(陽性的中率)」という。
・検査陰性者のうち実際に疾病を有さない者の割合を「陰性反応的中度(陰性的中率)」という。

・疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合を「偽陽性率」という。
・疾病ありだが、検査結果は陰性と判定される割合を「偽陰性率」という。

1.× 感染していない人で検査陽性と判定される割合は、「偽陽性率」という。
2.〇 正しい。感染していない人で検査陰性と判定される割合は、「特異度」という。
3.× 感染している人で検査陰性と判定される割合は、「偽陰性率」という。
4.× 検査が陰性で感染していない人の割合は、「陰性的中率」という。
5.× 検査が陽性で感染している人の割合は、「陽性的中率」という。

 

 

 

 

 

 

 

22 橈骨遠位端骨折におけるリハビリテーション治療について正しいのはどれか。

1. ギプス除去後から開始する。
2. 就寝時には高挙するように指導する。
3. 骨癒合後早期にスポーツに復帰させる。
4. 変形治癒は機能回復に影響を及ぼさない。
5. 加齢は機能回復を遅らせる要因とはならない。

解答2

解説

橈骨遠位端骨折

・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。

主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。

1.× ギプス除去後から開始するのではなく、ギプス固定中でもリハビリテーション治療(手指ROMや患部外の筋力トレーニングなど)を実施する。なぜなら、浮腫の軽減や拘縮予防、廃用性症候群の予防につながるため。
2.〇 正しい。就寝時には高挙するように指導する。骨折後は、RISE処置が必要になる。RISE処置とは、R(Rest):安静、I(Ice):冷却、C(Compression):固定
、E(Elevatiom):挙上のことである。高挙することで水分が還流し、浮腫・腫脹の増悪を予防する。
3.× 骨癒合後早期は、スポーツに復帰させるのではなく、日常生活動作から開始する。なぜなら、スポーツは高負荷であり、骨癒合後早期では、十分な癒合が得られているとはいえないため。
4.× 変形治癒は、機能回復に影響を及ぼす。変形治癒とは、骨折した骨が、正常の形態とは異なった形態でくっつく(骨癒合)する場合を変形治癒という。 変形治癒は、交通事故による骨折の場合でもしばしば見受けられ、 外形上の問題にとどまる場合もあれば、機能障害疼痛(痛み)を伴う場合もある。
5.× 加齢は、機能回復を遅らせる要因となる。なぜなら、加齢により創傷治癒の遅延がみられるため。

 

加齢についての変化まとめ↓

理学療法士国家試験 加齢に伴う生理学的変化についての問題7選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

 

23 CMOP<Canadian Model of Occupational Performance>で誤っているのはどれか。

1. 人を身体面と認知面の側面で捉える。
2. COPM を実践するときに必要な基本的な考え方である。
3. 個人と作業と環境が相互に関わりあった結果を説明できる。
4. 作業ニーズを満たすという作業療法の方向性を示している。
5. 環境の要素には物理的、制度的、社会的、文化的に関する要素が含まれる。

解答1

解説

(※図引用:Reha of Passion様HPより「CMOP-E(作業遂行と結びつきのカナダモデル)を理解する。」)

CMOPとは?

CMOP(Canadian Model of Occupational Performance:カナダ作業遂行モデル)は、「人は作業欲求をもち、人が作業を行うことを可能にするためには、人と作業療法士の協業的アプローチが重要である」とする作業療法理論である。

1.× 人を①身体面と②認知面の側面ではなく、①身体面、②認知面、③情緒面の3側面で捉える。
2.〇 正しい。COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)を実践するときに必要な基本的な考え方である。COPM (Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)は、クライエント中心の評価法で、CMOP(Canadian Model of Occupational Performance:カナダ作業遂行モデル)の理論をもとに、 クライエントが希望する「作業」の①重要度(セルフケア、生産活動、レジャーなど)、②遂行度(出来栄え)、③満足度をクライエント自身が主観的に評価する。
3.〇 正しい。個人と作業環境が相互に関わりあった結果を説明できる。CMOP(Canadian Model of Occupational Performance:カナダ作業遂行モデル)は、(クライエントという)、 (クライエントが日常生活で行う)作業、(クライエントを取り巻く)環境が、相互に関わり合った結果を説明できる。
4.〇 正しい。作業ニーズを満たすという作業療法の方向性を示している。CMOP(Canadian Model of Occupational Performance:カナダ作業遂行モデル)における作業遂行とは、クライエント自身が意味のある作業を選択し、自身が納得のいくように行う(作業ニーズを満たす)ことを意味しており、作業療法の方向性を示している。
5.〇 正しい。環境の要素には物理的制度的社会的文化的に関する要素が含まれる。それぞれ①物理的(人間以外の側面)、②制度的(政策・財政・規則・法律など)、③文化的(慣習・信念・ 活動パターン・教育など)、④社会的(配偶者・家族や友人など、クライエントにかかわる重要な個人や社会グループ)に関する要素が含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

24 深部静脈血栓予防について誤っているのはどれか。

1. 水分補給
2. 離床の促進
3. 足関節の自動運動
4. 長時間の座位保持
5. 弾性ストッキングの着用

解答4

解説

深部静脈血栓予防と危険因子

【予防法】
①下肢を挙上し重力による静脈還流を促す。
②弾性ストッキングや弾性包帯の利用。
③下肢の運動(足部の運動、膝の等尺性運動)など。

【危険因子】
①65歳以上、②手術後、③肥満、①静脈血栓症の合併ないし既往、⑤長期臥床、⑥悪性腫瘍、⑦外傷・骨折など。

【血栓形成に関するVirchowの3原則】(※次の場合に血栓が形成されやすい。)
①血液性状の変化(凝固能の亢進、脱水など):溶血時、血液の濃縮(脱水など)
②血管壁の性状の変化(血管内皮細胞障害など):動脈硬化、動脈炎、外傷、カテーテル、糖尿病
③血流の変化(うっ血、乱流など):心房細動、静脈瘤、エコノミークラス症候群
※未治療での運動療法は、肺塞栓症を生じる可能性もある。

1.〇 正しい。水分補給は、深部静脈血栓予防になる。なぜなら、水分補給により、脱水を避けられるため。
2.〇 正しい。離床の促進は、深部静脈血栓予防になる。なぜなら、離床により、うっ血を避けられるため。
3.〇 正しい。足関節の自動運動は、深部静脈血栓予防になる。なぜなら、足関節の自動運動は筋収縮により、うっ血を避けられるため。
4.× 長時間の座位保持は、深部静脈血栓予防にならない。むしろ、静脈血がうっ滞するため深部静脈血栓の危険性が上がる。
5.〇 正しい。弾性ストッキングの着用は、深部静脈血栓予防になる。なぜなら、弾性ストッキングの圧迫によって、血管内の逆流防止弁が正常に作用することになり、血栓予防や血液のよどみ(うっ滞)を回避することができるため。

 

 

 

 

 

 

 

25 知覚機能を評価する検査法はどれか。

1. Romberg test
2. Trail making test
3. Jobsen-Taylor hand function test
4. Rey auditory verbal learning test
5. Semmes-Weinstein monofilament test

解答5

解説

1.× Romberg test(ロンベルグ テスト)は、深部感覚の検査である。被験者に足をそろえ、目を閉じて直立する検査で、陽性(閉眼時)では、脊髄性障害(脊髄癆)では動揺が大きくなる。ちなみに、開眼時・閉眼時ともに動揺がみられる場合は小脳障害を考える。
2.× Trail making test(TMT)は、注意の維持と選択、また視覚探索・視覚運動協調性を測定する検査である。Part Aは、紙面にランダムに配置された1~25の数字を昇順にできるだけ早く一筆書きにたどっていく。Part Bは、ランダムに配置された数字とかなを交互にそれぞれ昇順、五十音順に結んでいく。
3.× Jobsen-Taylor hand function test(JHFT)は、上肢運動機能の評価である。カードめくり、食事の模倣などの7つの課題遂行に要する時間を測定する。
4.× Rey auditory verbal learning test(レイ聴覚性言語学習検査:RAVLT)は、言語性記憶検査である。①意味・関連のない15語よりなる語系列 (リストA) を読み上げる。②直後に呈示頂にかかわらずできる限り多くの単語を口頭で回答させる(即時再生)③次に、これとは異なる15の単語からなるリストBを同様の方法で回答させる。④さらにその後にリストAのうちまだ覚えている単語を口頭で回答させる(遅延再生)。
5.〇 正しい。Semmes-Weinstein monofilament test(静的触覚検査)は、知覚機能を評価する検査法である。最も細い「#1」から最も太い「#20」までの計20本のフィラメントを用いる。ノックしないで4~5秒間でゆっくりと当てて離す部位を指摘させる。

 

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