第56回(R3) 作業療法士国家試験 解説【午後問題16~20】

 

16 55歳の男性。営業部の部長職に就いていたが、物や人の名前や地名が出てこないことを自覚し、その後は部下を同伴して仕事を継続していた。好きな日曜大工で使用していた工具を目の前にしてもそれを呼称できなくなり妻同伴で物忘れ外来を受診した。WAIS-Ⅲでは言語性IQが79、動作性IQは131、全検査IQは103であった。その後も徐々に言いたいことが言葉にならず、仕事で著しく疲弊するようになり退職した。徐々に誰に対してもなれなれしくなり、節度を失うような人格変化も認められるようになった。
 この患者の受診当初のMRI 画像で予想される脳の萎縮部位はどこか。

1. 側頭葉内側部
2. 前頭葉眼窩面
3. 頭頂連合野
4. 側頭葉前部
5. 後頭葉

解答4

解説
1.× 側頭葉内側部
2.× 前頭葉眼窩面
3.× 頭頂連合野
4.〇 正しい。側頭葉前部
5.× 後頭葉

 

 

 

 

 

 

 

17 50歳の男性。妻と二人暮らし。1年前に支店長に昇進してから仕事量が増え、持ち前の几帳面さと責任感から人一倍多くの仕事をこなしていた。半年前に本社から計画通りの業績が出ていないことを指摘され、それ以来仕事が頭から離れなくなり、休日も出勤して仕事をしていた。か月前から気分が沈んで夜も眠れなくなり、1か月前からは仕事の能率は極端に低下し、部下たちへの指揮も滞りがちとなった。ある朝、「自分のせいで会社が潰れる、会社を辞めたい、もう死んで楽になりたい」と繰り返しつぶやいて布団にうずくまっていた。心配した妻が本人を連れて精神科病院を受診し、同日入院となった。入院後1週間が経過した時に気分を聞くと、返答までに長い時間がかかり、小さな声で「そうですねえ」と答えるのみであった。
 作業療法士の対応として適切なのはどれか。

1. 退職を勧める。
2. 気晴らしを勧める。
3. 十分な休息を勧める。
4. 自信回復のために激励する。
5. 集団認知行動療法を導入する。

解答3

解説
1.× 退職を勧める。
2.× 気晴らしを勧める。
3.〇 正しい。十分な休息を勧める。
4.× 自信回復のために激励する。
5.× 集団認知行動療法を導入する。

 

 

 

 

 

 

 

18 23歳の男性。中学生の頃から対人緊張が強く、人前での食事で発汗や赤面、緊張が強まることがあった。大学進学後も実習の発表時に緊張が強く、動悸や発汗を苦にしていた。卒業後に病院で作業療法士として働いていたが、通勤中のバスに停留所から同僚が数人乗り込んでくると、動悸、振戦、発汗が生じるようになった。車内に知り合いがいなければ不安や自律神経症状を生じることはない。
 考えられるのはどれか。

1. 解離性障害
2. 強迫性障害
3. パニック障害
4. 社交(社会)不安障害
5. PTSD<外傷後ストレス障害>

解答4

解説
1.× 解離性障害
2.× 強迫性障害
3.× パニック障害
4.〇 正しい。社交(社会)不安障害
5.× PTSD<外傷後ストレス障害>

 

 

 

 

 

 

 

19 8歳の男児。幼児期より落ち着きがなくじっとしていられず、家族で外出した際にはよく迷子になり、両親も養育に困難を感じていた。小学校に入学してからは、授業中に勝手に席を立って歩き出したり、順番を守ることも難しく、日常的に忘れ物や落とし物も多く、うっかりミスをして教師に注意されるが、その後も同じミスを繰り返していた。授業中は周囲の雑音に注意を削がれて勉強に集中できず、最近では学業不振が目立ち始めたため放課後等デイサービスで作業療法士が対応することになった。
 作業療法士の対応として適切でないのはどれか。

1. 感覚統合療法を実施する。
2. ペアレントトレーニングを実施する。
3. 社会生活技能訓練<SST>を実施する。
4. 学校を訪問して授業の様子を観察する。
5. 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。

解答5

解説
1.〇 正しい。感覚統合療法を実施する。
2.〇 正しい。ペアレントトレーニングを実施する。
3.〇 正しい。社会生活技能訓練<SST>を実施する。
4.〇 正しい。学校を訪問して授業の様子を観察する。
5.× 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。

 

 

 

 

 

 

 

20 32歳の男性。統合失調症。これまで院内の外来作業療法に参加していたが、友人の就労を契機に本人も就労希望を口にするようになった。
 担当の作業療法士が院内のカンファレンスで、この患者の就労移行支援事業所利用を提案するにあたって最も重要なのはどれか。

1. 罹病期間
2. 幻聴の頻度
3. 病識の程度
4. 就労への意欲
5. 統合失調症の病型

解答4

解説
1.× 罹病期間
2.× 幻聴の頻度
3.× 病識の程度
4.〇 正しい。就労への意欲
5.× 統合失調症の病型

 

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