第56回(R3) 理学療法士国家試験 解説【午後問題46~50】

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46 廃用症候群について正しいのはどれか。

1.小児ではみられない。
2.フレイルと同義である。
3.起立性低血圧がみられる。
4.一次性サルコペニアの原因である。
5.加齢とともに症状の進行が遅くなる。

解答

解説

廃用症候群とは、長期臥床や安静によって生じる全身の機能低下、臓器の退行性の変化や臨床症状をきたしている状態である。

1.× 小児においても、長期臥床や安静によって廃用症候群を発症する
2.× 廃用症候群とフレイルは同義ではない。フレイルとは、健康な状態から要介護状態に至るまでの過程にある、身体的・精神的・心理的・社会的生活を含む広範囲の高齢者の状態を指す(日本老年医学会により提唱されている)。つまり、加齢に伴い脆弱性が増加した状態のことである。一方、廃用症候群は、長期臥床安静によって生じる全身の機能低下、臓器の退行性の変化や臨床症状をきたしている状態である。
3.〇 正しい。廃用症候群の症候の一つとして起立性低血圧がみられる。長期臥床・不動による循環血液量低下と血管運動調節機能障害、心身機能の低下などが原因で引き起こされる。
4.× 一次性(原発性)サルコペニアの原因ではない。サルコペニアとは、ギリシャ語で「サルコ(sarco)=筋肉」と喪失を意味する「ペニア(penia)=喪失」をあわせた造語である。加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下し、身体能力が低下した状態と定義されている。一次性サルコペニアと二次性サルコペニアに分類され、一次性(原発性)は加齢による筋肉量減少が原因とされるものである。一方で、二次性サルコペニアは、活動・栄養・疾患に関するもののことをいう。つまり、廃用症候群は、低活動が原因であるため二次性サルコペニアに分類される。
5.× 廃用症候群は、加齢により症状の進行が速くなる。なぜなら、加齢により身体機能や予備機能が低下しているため。短期の安静臥床や活動の低下の影響が表れやすい。ちなみに、筋断面積は80歳で、30歳の1/3に減少するといわれている。

 

 

 

 

 

 

47 摂食嚥下障害に対するリハビリテーション手技と目的の組合せで正しいのはどれか。

1.Shaker法:舌骨上筋群の強化
2.ハフィング〈huffng〉:食道入口部の開大
3.バルーン拡張法:誤嚥物の喀出
4.ブローイング:喉頭挙上の強化
5.Mendelsohn手技:鼻咽腔閉鎖の強化

解答

解説
1.〇 正しい。Shaker法(シャキア法)とは、舌骨周囲の嚥下筋(特に舌骨上筋群)の強化を目的とする。仰向けに寝た状態から頭を持ち上げつま先を見る(30秒キープ)。これを3回繰り返す。次いで、1秒毎に頭を挙げたり下げたりを30回繰り返す。
2.× ハフィング(huffng)とは、排痰法のひとつである。ハフィングと咳により、喉元にあがってきた痰を体外へ出す際に行う。「ハッ!ハッ!」と声を出さずに勢いよく息を吐く方法で、痰を一気に押し上げる働きをする。ちなみに、食道入口部の開大を目的に行うのは、選択肢3.バルーン拡張法である。
3.× バルーン拡張法とは、嚥下障害に対し、食道入口部の拡張を目的に行う治療法の一つである。食道入口部の最も狭い部分でバルーンの収縮と膨張を繰り返し、狭窄部を拡張する方法である。輪状咽頭筋の機能を改善させることを目的としている。ちなみに、誤嚥物の喀出を目的に行うのは、選択肢2.ハフィング(huffng)である。
4.× ブローイングとは、息を吹く動作(水に入れたコップにストローでブクブクと息を吹き込む動作)により、鼻咽喉が反射的に閉鎖されることを利用して、鼻咽喉閉鎖に関わる神経や筋群の機能を改善させる手法である。ちなみに、喉頭挙上の強化を目的に行うのは、選択肢5.Mendelsohn手技(メンデルソン手技)である。
5.× Mendelsohn手技(メンデルソン手技)とは、喉頭挙上訓練のひとつである。喉頭挙上を患者自身に意識させ、喉頭が最も挙上した位置で保持させる方法である。舌骨・喉頭の挙上量の拡大、挙上持続時間の延長、咽頭収縮力の増加を目的として行う。ちなみに、鼻咽腔閉鎖の強化を目的に行うのは、選択肢4.ブローイングである。

Shaker法(頭部挙上訓練)とは?

【目的】
喉頭挙上筋群の筋力強化を行い、喉頭の前上方運動を改善して食道入口部の開大を図る。食道入口部の食塊通過を促進し、咽頭残留(特に下咽頭残留)を少なくする効果がある。

【やり方】
背臥位に横になり、肩を床につけたまま頭だけを足の指が見えるまで挙上する。疲れない程度で30秒程度持続し、休憩を入れながら5~10回繰り返す。施行中、口を閉じて行う。

 

 

 

 

 

 

48 地域包括ケアシステムにおける支援の互助の説明として正しいのはどれか。

1.高齢者が生活保護を受ける。
2.高齢者が毎日ウォーキングする。
3.住民ボランティアが要介護者宅の庭を掃除する。
4.要介護者が通所リハビリテーションを利用する。
5.要介護者が自費で外出サービスを利用して買物に行く。

解答

解説

地域包括ケアシステムとは?

地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものである。この地域包括ケアシステムが効果的に機能するために、「4つの助(自助・互助・共助・公助)」の考え方が連携し、課題解決に向け取り組んでいく必要がある。

「公助」は税による公の負担。
「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担。
「自助」には「自分のことを自分でする」ことに加え、市場サービスの購入も含まれる。
「互助」は相互に支え合い、費用負担が制度的に裏づけられていない自発的なものである。

1.× 高齢者が生活保護を受ける事は、自助・互助・共助では対応できないこと(困窮等)に対して最終的に必要な生活保障を行う社会福祉制度を活用している。これは、「公助」にあたる。「公助」は税による公の負担のことである。
2.× 高齢者が毎日ウォーキングすることは、自発的に自身の生活課題を解決しようとする「自助」にあたる。
3.〇 正しい。住民ボランティアが要介護者宅の庭を掃除することは、「互助」にあたる。
4.× 要介護者が通所リハビリテーションを利用することは。「共助」にあたる。「共助」とは、制度化された相互扶助のことであり、医療、年金、介護保険、社会保険制度など被保険者による相互の負担で成り立つ。
5.× 要介護者が自費サービスを受けることは「自助」にあたる。

 

 

 

 

 

 

49 松葉杖の使用について正しいのはどれか。

1.ロフストランド杖より歩行時に体幹を伸展位に保持しやすい。
2.腋窩と脇当ては4~5cm程度の距離を設ける。
3.肘関節完全伸展位で握りを把持する。
4.階段昇段時は杖を先に出す。
5.T字杖よりも免荷が少ない。

解答

解説
1.× 逆である。ロフストランド杖は、松葉杖より歩行時に体幹を伸展位に保持しやすい。なぜなら、松葉杖は手部と腋窩下(体幹)で支持して使用するため。自然と体幹軽度屈曲位となる。一方で、ロフストランド杖は、前腕支持カフとグリップで支持し、松葉杖と比較すると歩行時の自然な腕振りが行えるため体幹を伸展に保持しやすい。
2.〇 正しい。腋窩と脇当ては、2,3横指程度(4~5cm程度)の距離を設ける。
3.× 肘関節は、「完全伸展位」ではなく、約20~30度屈曲位の状態で握りを合わせる。
4.× 階段昇段時は、先に出すのは「杖」ではなく、健側下肢である。「健側下肢→杖→患側下肢」の順番で行う。なぜなら、上の段に杖がくると脇が突き上げられてバランスを崩す要因となるため。ちなみに階段降段時は、「→患側下肢健側下肢」の順番で行う。

5.× T字杖よりも松葉杖の方が免荷量は大きい。両松葉杖で完全免荷が可能である。

免荷

1/2~1/3部分免荷:両松葉杖

2/3~3/4部分免荷:片松葉杖

3/4部分荷重以上:T字杖

 

 

 

 

 

 

50 標準予防策〈standard precautions〉において、正しいのはどれか。

1.手洗いは温水で行う。
2.汗に触れるときは手袋を着用する。
3.感染のある患者のみを対象とする。
4.目の粘膜汚染を防ぐためのゴーグルは眼鏡で代用できる。
5.創傷皮膚に触れてしまったときは、他の部位に触れる前に手洗いをする。

解答

解説

標準予防策〈standard precautions〉とは?

標準予防策〈standard precautions〉とは、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有無に関わらず入院患者すべてに適用される予防対策であり、患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚などは感染の恐れがあるとみなして、対応、行動する方法である。

1.× 手洗いは、冷水か温水であるかどうかは問わない。特に温水である必要はないが、流水で行い患者に触れる前や後など、日常のケア場面において実施される。
2.× 汗に触れるときは、手袋を着用する必要はない汗以外の体液(唾液、鼻汁、喀痰、尿、便、腹水、胸水、涙、母乳など)に触れる場合、手袋を着用する。
3.× 感染症の有無に関わらず、すべての患者に対し普遍的に適用される予防策である。
4.× 目の粘膜汚染を防ぐため、ゴーグルを着用する必要がある。眼鏡では代用できない。標準予防策では、手袋・サージカルマスク・ガウン・フェイスシールド・ゴーグルなどが使用される。
5.〇 正しい。創傷皮膚に触れてしまったときは、感染の恐れがあるため、他の部位に触れる前に手洗いをする。創傷皮膚は湿性生体物質であるため感染の可能性があるものとして扱う。

 

 

※問題の引用:第56回理学療法士国家試験、第56回作業療法士国家試験の問題および正答について(厚生労働省HPより)

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