第54回(H31) 作業療法士国家試験 解説【午後問題31~35】

 

31 小児の知能検査で用いられるのはどれか。2つ選べ。

1. MAS
2. GMFM
3. WeeFIM
4. WISC-Ⅲ
5. K-ABC 心理・教育アセスメントバッテリー

解答4.5
解説
1.× MAS(Modified Ashworth Scale:修止アシュワーススケール)は、痙縮の評価指標である。痙縮(筋の過緊張のため手足が突っ張っている状態)は、脳血管疾患や頚髄損傷の後遺症、小児では脳性麻痺などに用いられる。
2.× GMFM(Gross Motor Function Measure:脳性麻痺児の相大運動能力尺度)は、脳性麻痺児の運動発達の変化を捉えることを目的に考案された、粗大運動能力の評価尺度である。
3.× WeeFIM(Functional Independence Measure for children:子供のための機能的自立度評価法)は、日常活動の自立度を測定するものであるが、特に介護負担度の評価に用いられる.
4.〇 正しい。WISC-Ⅲ(Wechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition:児童用ウェクスラー式知能検査第3版)は、5~16歳11カ月までに適応可能な知能検査であり、学習障害の評価にも用いられる.
5.〇 正しい。K-ABC 心理・教育アセスメントバッテリー(Kaufman Assessnent Battery for Children)は、子どもの知的能力を、認知処理過程と知識・技能の習得度の両面から評価するものである。他にも、知能検査として、WPPSI(Wecheler Preschool and Primary Scale of Intelligence)グッドイナフ人物画検査などがある。

 

 

 

 

32 椅子座位で高齢者が食事をする際に誤嚥のリスクを高める動作はどれか。

1. 頰杖
2. 顎をひく
3. 上を向く
4. うなずく
5. 横を向く

解答
解説
1.× 頰杖をつくと、顎が前方突出する。すると、食道入口部を随意的に開大することができ、食塊の通過が容易となり誤嚥のリスクを下げる。「鵜呑み法」とも呼ぶ。頬杖をつきながらの食事は、お行儀は悪いが・・・。

2.4.× 顎をひく・うなずくと(頸部屈曲:Chin down)、位は前頸部の緊張をゆるめ、喉頭蓋谷を広げるため、嚥下しやすくなる。つまり誤嚥のリスクを下げる。ただし、頭部と頸部双方を屈曲させる複合屈曲位ではかえって飲み込みにくいことがあるため、頸部を屈曲させたまま、頭部をやや突出させる方法が推奨されている。
3.〇 正しい。上を向くと咽頭と気管が直線になり、さらに食道入口部は圧迫され、口から入ったものは気道に流れ込みやすくなるため、誤嚥のリスクが高まる。
5.× 横を向いて嚥下すること自体では、誤嚥のリスクを高めることはない。片麻痺があり咽頭機能に左右差がある場合は、頭部を麻痺側に回旋させることにより、嚥下機能低下側の喉を狭くし、食塊の誤嚥を防ぐ方法もある。

 

 

 

 

33 ボツリヌス毒素を用いた治療で、効果の一般的な持続期間はどれか。

1. 1〜2日間
2. 1〜2週間
3. 3〜4か月間
4. 2〜3年間
5. 4年以上

解答
解説

 ボツリヌス毒素療法は、四肢の症縮顔面けいれんに対して有効とされている。ボツリヌス毒素 (神経筋接合部で神経終末からのアセチルコリン放出を抑制する)を筋肉内に数ヵ所注射し、筋収縮を抑制する(以前、私が勤めていた病院でも、ボツリヌス毒素療法を行っていた。上肢にボツリヌス毒素療法を行う場合、OTに「どの動きを回復して欲しいか?」「何筋にうつか?」など聞くことがあっりました。)。

 効果持続は、3~4ヵ月であるため、数ヵ月ごと(半年に1回程度)に再投与が必要である。短期間での再投与は、ボツリヌス毒素に対する抗体をつくりやすくしてしまうというデメリットもある。よって、選択肢3. 3〜4か月間が正しい。

 

 

 

 

34 車椅子とベッドとの移乗動作の練習方法で正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 疲労度を同程度に保って練習するのは恒常練習である。
2. 車椅子からの立ち上がりのみ練習するのは部分練習である。
3. 動作手順を正しく言えるように練習するのは全体練習である。
4. アプローチ角度やベッドの高さを変えて練習するのは多様練習である。
5. 車椅子のブレーキ操作と移乗に区切って練習するのは分散練習である。

解答2.4
解説
1.× 恒常練習は、疲労度を同程度に保って練習するのではなく、同じ動きを繰り返して練習する方法である。疲労度を同程度に保って練習する運動学習の方法の名前を知っている方はコメント欄にて教えてください( ;∀;)
2.〇 正しい。車椅子からの立ち上がりのみ練習するのは部分練習である。部分練習は、一つの動作をそれぞれの相に分けて一相ずつ練習していく方法である。
3.× 全体練習は、動作手順を正しく言えるように練習するのではなく、ひとつの動作を始めの相から最後の相まで続けて練習していく方法である。動作手順を正しく言えるように練習する運動学習の方法の名前を知っている方はコメント欄にて教えてください( ;∀;)
4.〇 正しい。アプローチ角度やベッドの高さを変えて練習するのは多様練習である。多様練習は、運動を様々に変化させて行う練習方法である。他にも、ベッドを変えて(リハ室のベッドと病室のベッド)の移乗練習などのことをいう。
5.× 車椅子のブレーキ操作と移乗に区切って練習するのは、分散練習ではなく、部分練習である。分散練習は、1回の練習を短く、 試行回数を少なくして、練習回数を増やす練習方法のことである。例えば、縄跳びを朝昼晩に30回ずつとんで練習するといったことである。

 

 

 

 

35 Parkinson病のHoehn&Yahr の重症度分類でステージⅢの患者に対する作業療法で使用するのはどれか。

1. メトロノーム
2. 座位保持装置
3. バランスボード
4. ユニバーサルカフ
5. ポータブルスプリングバランサー

解答
解説

 Hoehn & Yahr の重症度分類のステージⅢでは、歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLに一部介助に一部介助が必要になる段階である。自助具や環境設定、家屋改造が適応となるのは、ステージVからである。

1.〇 正しい。Hoehn & Yahr の重症度分類のステージⅢでは、歩行障害に対するアプローチが求められる。メトロノームなどのリズム音刺激を用い、Parkinson病の歩行障害にアプローチしていくのが適切である。
2.× 座位保持装置はまだ必要ではない。姿勢保持反射障害がみられるものの、立位や座位の保持、歩行は可能であるためである。ステージⅤから座位保持装置が必要になる。
3.× バランスボードは、姿勢保持反射障害が出現しているので、危険であるため不必要である。
4.× ユニバーサルカフは、指の届曲の障害、ものが掴めない・握れないなどの動作を補助する自助具である。頚椎損傷やリウマチなどに適応となる。パーキンソン病で適応になるのか分かりませんでした。コメント欄にて教えてください。また適応になるのであれば、ステージも併せて教えてください。
5.× ポータブルスプリングバランサーは、上肢の麻痺や上肢を支える筋力が著しく低下したときに腕を支える補助力となる自助具である。適応疾患としては、高位脊髄損傷・筋ジストロフィー・腕神経叢麻痺などである。パーキンソン病で適応になるのか分かりませんでした。コメント欄にて教えてください。また適応になるのであれば、ステージも併せて教えてください。

Hoehn&Yahr の重症度分類でステージ

ステージⅠ片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ

両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。

ステージⅢ歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLに一部介助に一部介助が必要になる。
ステージⅣ日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。

 

 

 

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