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96. 統合失調症の患者が「不気味な何かが起こりそうだ」と不安緊迫感を訴えた。この症状はどれか。
1. 考想伝播
2. 作為体験
3. 妄想気分
4. 妄想知覚
5. 連合弛緩
解答3
解説
1. ×:考想伝播は、自分の考えが他人に伝わってしまうという自我障害である。
2. ×:作為体験は、自分の行動が誰かに操られているという自我障害である。
3. 〇:正しい。妄想気分は、なんとなく不気味な気分「不気味な何かが起こりそうだ」という一次妄想である。一次妄想は、その生じ方が心理的に了解できないのに対して、二次妄想は妄想の発生が(なんとか)了解・可能なものとなる。つまり、妄想気分とは、周りがいつもと違い、何か不気味で大変なことが起こりそうだという不安に襲われる状態のことである。
4. ×:妄想知覚は、知覚したことに特別の意味が感じられること「猫が通ったのを見て“母親が死んだ”と確信する」という一次妄想である。
5. ×:連合弛緩は、個々のアイディアに論理的な結びつきがなくなって話の脈絡にまとまりがない状態のことで、思考障害である。
97. てんかんで正しいのはどれか。
1. 常にけいれんを伴う。
2. 発症率は30歳代が70歳代よりも高い。
3. West症候群の発症のピークは3~5歳である。
4. 高齢発症の症候性てんかんの原因疾患としては脳血管障害が最も多い。
5. てんかんによる突然死のリスクは、強直間代発作よりも欠神発作の方が高い。
解答4
解説
てんかんには、大きく分け部分性てんかんと全般性てんかんがある。そのなかにもいくつかに分けられるので、ひとつひとつ覚えておく。
1. ×:種類によっては(例えば、欠神発作や複雑部分発作)は、けいれんを伴わないものもある。
2. ×:てんかんの好発年齢は、小児期~思春期および老年期(60歳以降)である。
3. ×:West症候群(点頭てんかん)の発症のピークは、「3~5歳」ではなく乳幼児(4か月~12か月)である。3~5歳がピークなのはレノックス症候群である。
4. 〇:正しい。高齢発症の症候性てんかんの原因疾患としては脳血管障害が最も多い。ちなみに、症候性てんかんの約7割が側頭葉転換である。
5. ×:逆である。てんかんによる突然死のリスクは、欠神発作より強直間代発作の方が高い。強直間代発作の症状として、呼吸停止し眼球上転、咬舌、転倒による外傷がある。一方、欠神発作では突然意識が減損し活動を中断するが、すぐに元の状態に戻る特徴を持つ。
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【共通のみ】てんかんについての問題「まとめ・解説」
98. 器質性精神障害の急性期の症状として最もみられるのはどれか。
1. 失語
2. せん妄
3. 知能低下
4. 性格変化
5. 健忘症候群
解答2
解説
器質性精神障害とは、精神疾患のうち、内分泌疾患などの結果として脳機能に影響を与えるものや脳外傷や脳梗塞などのように、直接脳そのものを障害するものがあり、これらをまとめて器質性精神障害とよぶ。原因となる疾患が多種(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、脳梗塞、脳出血、脳炎、多発性硬化症、脳腫瘍、てんかんなど)であるため症状も多様であるが、最もよく見られるものは選択肢2.せん妄である。せん妄とは、高齢者に多く発症する一種の意識精神障害で、一過性で症状としては突然暴れだしたり、意味不明なことを口走るなどである。
ちなみに、選択肢1.3~5. 失語/知能低下/性格変化/健忘症候群は、慢性期の症状である。
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99. うつ病のリワークプログラムで正しいのはどれか。
1. 集団療法として位置づけられる。
2. 精神科医療機関では実施されない。
3. 診断や就労状況などで対象者は限定されない。
4. 実施に当たり主治医との情報共有は制限される。
5. 急性期からプログラムに参加することが推奨される。
解答1
解説
リワークとは、「return to work」の略語。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムである。復職支援プログラムや職場復帰支援プログラムともいう。
1. 〇:正しい。集団療法として位置づけられる。主な概要は、プログラムに応じて決まった時間に施設へ通うことで会社へ通勤することを想定した訓練を行う。また仕事に近い内容のオフィスワークや軽作業、復職後にうつ病を再発しないための疾病教育や認知行動療法などの心理療法が行われ、初期には久しぶりの集団生活になれるための軽スポーツやレクレーションが行われることがある。
2. ×:精神科医療機関でも実施される。実施主体は、①医療機関、②地域障害者職業センター、③企業内が主に上げられる。
3. ×:診断や就労状況などで対象者は限定される。病状がある程度安定し安全に通所できる方、基本的には休職中の身分で参加できる。
4. ×:実施に当たり主治医だけでなく、多職種の医療専門職(看護師、精神保健福祉士、作業療法士、心理職など)との情報共有・リハビリテーションを行う。つまり、主治医と情報を共有し、再給食を予防する。
5. ×:うつ病の急性期は、症状が休養や薬物療法により安定後させることが大切である。リワークは、回復期〜維持期にかけての復職支援・日内リズムを整える・職場復帰などが必要な時などで推奨される。
100. 成人のパーソナリティ障害への治療介入で正しいのはどれか。
1. 薬物療法は有効である。
2. 家族との連携を控える。
3. 早期に診断して患者に告知する。
4. 秩序を乱した行動に対して何も言わない。
5. 自傷行為などが頻回な場合は電気けいれん療法を行う。
解答1
解説
パーソナリティ障害の治療では、患者との間で明確な治療目標を設定し、その目標達成に向けて、双方が協力して粘り強く治療に取り組むことが重要である。現在、パーソナリティ障害それ自体に対して保険適用のある薬物はないが、対症療法的に、気分安定化薬や抗精神病薬が使用されることがある。
パーソナリティ障害は概して加齢に伴って目立たなくなったり軽快したりする傾向がある。反社会性および境界性パーソナリティ障害でこの傾向がよく当てはまるが、一方、強迫性および統合失調型パーソナリティ障害は、この傾向はあまり当てはまらない。境界性パーソナリティ障害において、その症状はしばしば一生続きますが、治療的介入を受けた場合は治療開始1年以内に改善し始めることもある。
1. 〇:正しい。薬物療法は有効である。現在、パーソナリティ障害それ自体に対して保険適用のある薬物はないが、対症療法的に、気分安定化薬や抗精神病薬が使用されることがある。
2. ×:家族との連携を控える必要はない。むしろ重要である。なぜなら、パーソナリティ障害には、主に①個人精神療法、②集団精神療法、③家族療法と3つあるため。パーソナリティ障害では、家族関係がうまくいっていないケースも少なくないため、家族との関係を捉え直し、問題を解決していく治療法がとられることもある。
3. ×:早期発見・早期治療は精神疾患でも大切であるが、患者に告知するのは慎重でなければならない。
4. ×:秩序を乱した行動は、非社会性パーソナリティ障害に見られる症状である。行動に対して「何も言わない」のではなく、冷静さを維持して挑発には乗らず、中立な立場で接する。
5. ×:電気けいれん療法の主な適応は、「成人のパーソナリティ障害」ではなくうつ病である。中でも中高年以降の微小妄想(罪業、貧困、心気妄想)伴い、また拒食、拒薬、自殺念慮がつよい重症の症例に行い、90%以上症例で十分な効果が得られている。他の疾患では統合失調病緊張型 遅発性緊張病、疼痛性障害などでも有効である。
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【共通のみ】パーソナリティ障害についての問題「まとめ・解説」
※問題の引用:第54回理学療法士国家試験、第54回作業療法士国家試験の問題および正答について
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
ありがとうございました。
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