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46. 脊髄損傷による対麻痺患者に対して立位・歩行練習を行う目的として誤っているのはどれか。
1. 痙縮の減弱
2. 褥瘡の予防
3. 異常疼痛の抑制
4. 骨粗鬆症の予防
5. 消化管運動の促進
解答3
解説
脊髄損傷者の歩行練習は、実用的な歩行となると少なくとも胸髄下位(Th12)の機能残存レベルが必要である。それより高位の髄節での脊髄損傷では、理学療法プログラムとして循環の改善やモチベーションの向上、下肢への体重負荷を目的に行う。
1. 〇:正しい。立位練習による持続的伸張法(ストレッチ効果)で、痙縮の減弱が見込める。
2. 〇:正しい。立位練習による除圧・体位変換で、褥瘡の予防が見込める。
3. ×:異常疼痛の抑制は、主に温熱療法などによる物理療法や薬物療法を行う。異常疼痛は、脊髄損傷後の神経障害性疼痛として現れる。障害部位より遠位である下肢への刺激で疼痛コントロールすることは困難であり、治療には三環系抗うつ薬などが用いられる。
4. 〇:正しい。立位練習により、骨への荷重(リモデリング作用)で、骨粗鬆症の予防が見込める。
5. 〇:正しい。立位練習や座位練習により、抗重力下となり消化管運動は促進される。
47. アテトーゼ型脳性麻痺に残存しやすい原始反射はどれか。
1. 吸啜反射
2. 手掌把握反射
3. 陽性支持反射
4. 交叉性伸展反射
5. 対称性緊張性頸反射
解答5
解説
アテトーゼ型は、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。筋緊張は低緊張と過緊張のどちらにも変化する。他にも、特徴として不随意運動が主体であることや、原始反射・姿勢反射が残存しやすいことがあげられる。
1. ×:吸啜反射(キュウテツ反射)は、陽性の場合(残存した場合)は、前頭葉障害・両側大脳の広範な障害を疑う。吸啜反射(キュウテツ反射)とは、口唇を刺激すると唇を閉じて吸い付く反射である。反射は2~3か月頃に消失する。
2. ×:手掌把握反射は、陽性の場合(残存した場合)は、障害の反対側の前頭葉障害を疑う。手掌把握反射は、手掌に指先を押し付けると握りしめる反射である。この反射が1~2か月頃に消失すると、自由に物をつかんだり離したりできるようになる。
3. ×:陽性支持反射の残存は、「アテトーゼ型」ではなく、下肢に緊張が入りやすい痙直型に起こりやすい。陽性支持反射とは、足底が床に触れると下肢筋の同時収縮が起こり、下肢全体が伸展パターンとなる反射である。
4. ×:交叉性伸展反射の残存は、「アテトーゼ型」ではなく、下肢に緊張が入りやすい痙直型に起こりやすい。交叉性伸展反射とは、背臥位で一側の下肢を屈曲し他側を伸展させ、伸展側の下肢を能動的に屈曲すると非刺激側下肢が屈曲位から伸展する反射である。
5. 〇:対称性緊張性頸反射は、アテトーゼ型脳性麻痺に残存しやすい原始反射である。対称性緊張性頸反射は、頭部を屈曲させた場合に上肢屈曲・下肢伸展する反射(その逆もある)のことである。6~8か月に消失するが、残存している場合はアテトーゼ型脳性麻痺を疑う。また、これの他にも、ガラント反射の消失が遷延している場合も、アテトーゼ型脳性麻痺である可能性が高い。
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48. 閉塞性動脈硬化症で正しいのはどれか。
1. 冷汗はない。
2. 安静時痛はない。
3. しびれ感はない。
4. 間欠性跛行は体幹前傾で改善する。
5. 好発部位は大腿動脈から膝窩動脈である。
解答5
解説
閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気である。下肢の慢性虚血による間欠性跛行が発症症状であることが多く、虚血が進行すると壊死に至る。50~70歳代の男性、糖尿病症例に多くみられる。太ももの付け根(大腿動脈)や足の甲(足背動脈)を触診し、脈が触れないことで診断し、確定診断には血管造影検査を行う。
【病期】
Ⅰ期:「しびれ」「冷感」。
Ⅱ期:「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」。一定距離を歩くと脚が傷み、休むとまた歩けるようになる。
Ⅲ期:「安静時疼痛」。安静にしていても脚に痛みが生じる。
Ⅳ期:「潰瘍」「壊疽」。血液が足の先に行かないので、足に潰瘍ができ、ついには足が腐ってしまう。
【治療】
まず動脈硬化の原因である糖尿病・高血圧・脂質異常症の治療を行う。喫煙者は禁煙する。初期の手足の冷感やしびれには血管拡張薬や血液を固まりにくくする薬(抗血小板剤)を用いる。また歩くことによって、側副血行路が発達し血行の流れの改善をはかる。
(※参考:「閉塞性動脈硬化症」厚生労働省HPより)
1. ×:冷汗を感じる。
2. ×:安静時痛を認める。
3. ×:しびれを伴う。
4. ×:閉塞性動脈硬化症(ASO)では間欠性跛行がみられる。間欠性跛行とは、歩行を続けると下肢の痛みと疲労感が強くなり、足を引きずるようになるが、休むと再び歩けるというものである。「体幹前傾」ではなく休むと改善する。ちなみに、体幹前傾で改善するのは腰部脊柱管狭窄症である。
5. 〇:正しい。好発部位は大腿動脈から膝窩動脈である。バージャー病は下腿の中小動脈である。
49. 廃用症候群で正しいのはどれか。
1. 加齢による影響は少ない。
2. 二次性サルコペニアを認める。
3. 筋萎縮は上肢に強く見られる。
4. 進行しても摂食嚥下機能は保たれる。
5. 高齢者では高アルブミン血症を認める。
解答2
解説
廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
1. ×:加齢による影響は大きく、特に高齢者は顕著に出現する。
2. 〇:一次性サルコペニアとは、原因がはっきりせず、骨格筋・筋肉が減少していることである。加齢以外の原因で起こる二次性サルコペニアは、活動に関連するもの、疾患に関連するもの、栄養に関連するものに分類される。つまり、廃用症候群により、二次性サルコペニアを認める。
3. ×:筋萎縮は、「上肢」ではなく下肢に強く見られる。
4. ×:廃用症候群の進行に伴い、摂食嚥下機能も低下する。そのため、誤嚥性肺炎となるケースがある。
5. ×:廃用症候群の高齢者では、「高アルブミン血症」ではなく低アルブミン血症になるケースが多い。
50. 身体的フレイルの特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 疲労感が増す。
2. BMIが増加する。
3. 動作が緩慢になる。
4. 寝たきり状態である。
5. Barthel Indexのスコアが高くなる。
解答1,3
解説
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間の状態である。定義として、「加齢とともに身体の活動(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態」とされている。近年、高齢者は、健常な状態から要介護状態になるまでに、「フレイル」という中間的な段階を経ていると考えられるようになった。フレイルの状態や兆候で、その後の身体的・精神心理的・社会的に不健康になることを予測し、予防しやすくなる。
1. 〇:正しい。疲労感が増す。
2. ×:BMIが、「増加」ではなく低下する。
3. 〇:正しい。動作が緩慢になる。
4. ×:「フレイル」とは、健常な状態から要介護状態になるまでの中間的な段階であるため、寝たきり状態の前である。
5. ×:Barthel Indexのスコアが、「高く」のではなく、低くなる。
- 体重減少(6か月間で2~3㎏以上)
- 易疲労感
- 歩行速度の低下
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
3項目以上該当で「フレイル」
1~2項目該当で「プレフレイル」