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36.平衡機能障害において、後索性や小脳性に比べ前庭性に最も関連する異常はどれか。
1.眼振
2.構音障害
3.深部感覚障害
4.耳鳴り
5.Romberg試験陽性
解答:4
解説
1.× 眼振は、小脳性に最も関連する異常である。ちなみに、眼振とは自分の意思とは関係なく眼球が動く現象である。
2.× 構音障害は、小脳性に最も関連する異常である。小脳性の構音障害を失調性構音障害(失調言語)といい、断綴性(だんてつせい:発音が刻まれるように聞こえる)・爆発性と表現される。ちなみに、構音障害は発音が正しくできない症状をいう。小脳障害の他にも、舌咽神経・迷走神経・舌下神経の障害などでみられる。
3.× 深部感覚障害は、後索性(脊髄後索)に最も関連する異常である。小脳性の障害は閉眼と開眼時の身体の動揺に差がない。ちなみに、深部感覚障害とは、位置感覚・運動感覚・振動感覚・重量感覚・抵抗感覚など筋・腱・関節に関係する感覚が障害されることである。
4.〇 正しい。耳鳴りは、前庭性に最も関連する異常である。耳鳴りは外耳から中耳・内耳・大脳の聴覚中枢までのどこの障害でも生じる。
5.× Romberg試験陽性(ロンベルグ試験陽性)は、後索性(脊髄後索)に最も関連する異常である。後索性は、閉眼時動揺が増加する。
37.フレイルの高齢者の特徽について正しいのはどれか。
1.筋量が増加する。
2.FBSが低値になる。
3.TUG時間が短くなる。
4.長座位前屈距離が短くなる。
5.運動負荷時のBorg指数が低値となる。
解答:2
解説
フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態のことをいう。多くは、「健康状態」→「フレイル」→「要介護状態」と経過する。
定義:加齢とともに心身の活動(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態。
1.× 筋量が、「増加」ではなく低下する。
2.〇 正しい。FBS(Functional Balance Scale)が低値になる。FBS(Functional Balance Scale)は、高齢者の転倒リスクのスクリーニングや脳卒中患者のバランス機能評価に用いる。
3.× TUG時間は、短くなるのはなく、延長する。TUG時間は、椅子から3m離れたところにコーンを置き、被験者が椅子から立ち上がりコーンを回って再び椅子に座るまでの時間である。運動器不安定性の指標となっている。
4.× 長座位前屈距離は、変化しないことが多い。なぜなら、長座位前屈距離はハムストリングスや股関節の柔軟性の指標であるため。一般的に加齢とともに柔軟性は低下するが、フレイルの高齢者の特徴には当てはまらない。
5.× 運動負荷時のBorg指数(主観的運動強度)は、「低値」ではなく高値となる。なぜなら、数値が高いほど主観的に「きつい」状態を示すため。
①体重減少(6か月間で2~3㎏以上)
②易疲労感
③歩行速度の低下
④握力の低下
⑤身体活動量の低下
・3項目以上該当で「フレイル」
・1~2項目該当で「プレフレイル」
38.寒冷療法が痙縮を低下させる機序はどれか。
1.筋組織の代謝の増大
2.毛細血管透過性の増大
3.γ神経線維の伝導導速度の低下
4.δ神経線維の伝導速度の低下
5.筋絲鍾からの求心性放電の増大
解答:3
解説
冷却を10~30分実施した場合、①痙縮患者の一部では痙縮とクローヌスの一時的な減少、②アキレス腱反射の減弱、③他動運動に対する抵抗感の減少が観察されている。冷却によってα運動ニューロンが活性化する反面、γ運動ニューロンが抑制され筋紡錘の感受性が減弱することで筋緊張が減少する。
1.× 筋組織の代謝は、「増大」ではなく低下する。他にも酸素消費量・消費エネルギーが低下する。
2.× 毛細血管透過性は、「増大」ではなく低下する。したがって、急性浮腫を抑制できる。
3.〇 正しい。γ神経線維の伝導導速度の低下する。痙縮には、γ神経線維の亢進が関与しているため、γ神経線維の伝導速度を低下させることで痙縮が低下する。
4.× δ神経線維の伝導速度の低下は、寒冷療法の機序としては正しい。しかし、Aδ神経線維は、痛覚伝導に関与する神経線維である。したがって、設問の痙性を低下させる機序とは無関係であるため不適切である。
5.× 筋絲鍾からの求心性放電は、「増大」ではなく低下する。
39.虚血性心疾患に対する運動療法が禁忌となるのはどれか。2つ選べ。
1.安定狭心症
2.代償性心不全
3.活動性の心筋炎
4.Ⅰ度房室ブロック
5.コントロールされていない不整脈
解答:3,5
解説
【絶対的禁忌】
①2日以内の急性心筋梗塞
②内科治療により安定していない不安定狭心症
③自覚症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良
④症候性の高度大動脈弁狭窄症
⑤コントロール不良の症候性心不全
⑥急性の肺塞栓または肺梗塞
⑦急性の心筋炎または心膜炎
⑧急性大動脈解離
⑨意思疎通の行えない精神疾患
【相対的禁忌】
①左冠動脈主幹部の狭窄
②中等度の狭窄性弁膜症
③電解質異常
④重症高血圧
⑤頻脈性不整脈または徐脈性不整脈
⑥肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄
⑦運動負荷が十分行えないような精神的または身体的障害
⑧高度房室ブロック
(引用:「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」)
1.× 安定狭心症は、②に満たないため実施可能である。安定狭心症とは、強い運動負荷時(階段昇降時)や強いストレスを感じた時などに決まったタイミングで発作が起こり、明確な増悪傾向が見られないものである。運動療法により、虚血徴候の軽減が期待できる。一方、不安定性狭心症(②)は、発作の発症様式が変化・増悪(発作の頻度が増加したり、安静時に発作が出現したりするなど)し、急性心筋梗塞に移行する可能性が高く運動療法は禁忌である。
2.× 代償性心不全(慢性心不全)は、どれにも当てはまらないため実施可能である。むしろ、代償性心不全(慢性心不全)は運動療法により心機能改善が期待される。一方で、コントロール不良の症候性心不全(⑤)を示す症例では、運動療法は禁忌である。
3.〇 正しい。活動性の心筋炎(⑦)に対する、虚血性心疾患に対する運動療法は、禁忌となる。
4.× Ⅰ度房室ブロックは、実施可能である。徐脈性不整脈では、Ⅱ度以上の房室ブロック(モビッツⅡ型房室ブロック、MobitzⅡ型房室ブロック)で中止となる。
5.〇 正しい。コントロールされていない不整脈(③)に対する、虚血性心疾患に対する運動療法が禁忌となる。
40.認知症の周辺症状であるBPSD (behavioral and psychological symptoms of dementia)はどれか。
1.失行
2.失認
3.妄想
4.見当識障害
5.遂行機能障害
解答:3
解説
①中核症状:神経細胞の障害で起こる症状
(例:記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、失語・失行など)
②周辺症状:中核症状+(環境要因や身体要因や心理要因)などの相互作用で起こる様々な症状
(例:徘徊、幻覚、異食、せん妄、妄想、不安など)
1~2,4~5.失行/失認/見当識障害/遂行機能障害/は、中核症状である。
3.正しい。妄想は、周辺症状である。