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31.歩行において下腿義足の初期内転角が不足しているときに生じる現象はどれか。
1.断端外側遠位部に圧迫感が生じる。
2.断端内側遠位部に圧迫感が生じる。
3.踵接地時に義足足部が回旋する。
4.義足の足部外側が浮き上がる。
5.歩隔が広い。
解答:1
解説
初期内転角が不足していると、ソケットが外側に傾き足底の内側が床面から浮き上がる。言い換えると、ソケットの外壁にゆるみが生じている。そのため、5°程度の生理的な内転角をつける。
1.〇 正しい。断端外側遠位部に圧迫感が生じる。ソケットの内転角が不足している場合は、義足の立脚期に義足が外側に傾き、足底の内側が床面から浮き上がる現象が起こる。
2.× 断端内側遠位部に、「圧迫感」ではなくゆるみが生じる。つまり、圧迫感は断端内側近位部に生じる。
3.× 踵接地時に義足足部が回旋するのは、①ヒール(足部の後方バンパー)が硬すぎる場合や②足部の位置がソケットに対して内側過ぎる場合に起こる。
4.× 義足の足部「外側」ではなく内側が浮き上がる。ソケットの内転角が不足している場合は、義足の立脚期に義足が外側に傾き、足底の内側が床面から浮き上がる現象が起こる。
5.× 歩隔は、「広く」なるのではなく狭くなりやすい。歩隔とは、歩く時の両足間の横の幅のことである。ちなみに、歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
32.関節リウマチの脊椎病変で最も多いのはどれか。
1.黄色靭帯骨化
2.環軸椎亜脱臼
3.後縦靭帯骨化
4.脊柱側弯
5.腰椎椎間板ヘルニア
解答:2
解説
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
関節リウマチで代表的な関節破壊と変形は、環軸椎亜脱臼、肩関節可動域制限、肘関節屈曲拘縮、手関節尺側偏位、手指変形、股関節屈曲拘縮、膝関節内外反変形・屈曲拘縮、足・足趾変形などである。よって、選択肢2.環軸椎亜脱臼が正しい。環軸椎亜脱臼は、環椎と軸椎歯突起の結合が環椎横靭帯の炎症や歯突起の変形により緩むことで生じる。関節リウマチの死因となることもある。
1.× 黄色靭帯骨化は、黄色靭帯骨化症でみられる。
3.× 後縦靭帯骨化は、後縦靭帯骨化症でみられる。
4.× 脊柱側弯は、側弯症でみられる。
5.× 腰椎椎間板ヘルニアが起こりやすい場合は、①椎間板の加齢に伴う退行変性、②重量物を持ち上げる、③スポーツなどの椎間板の圧迫などである。
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33.膝前十字靭帯損傷と合併して損傷しやすい部位はどれか
1.外側側副靭帯
2.後十字靭帯
3.後半月大腿靭帯
4.膝蓋腱
5.内側半月板
解答:5
解説
前十字靭帯損傷は、前十字靭帯に過大な力がかかり靭帯が伸びる・切れるなどの損傷で起こる。受傷時は「膝くずれ」「亜脱臼」が引き起こされる。タイプとして①接触型(タックルなどを受けたとき)、②非接触型(ジャンプ、ストップ、方向転換時)に分けられる。内側側副靭帯や内側半月板損傷を合併して発症することが多い(複合型損傷)。よって、選択肢5.内側半月板が正しい。
1.× 外側側副靭帯は、後十字靭帯損傷の際に障害されやすい。
2.× 後十字靭帯は、半月板損傷・外側側副靭帯/前十字靭帯損傷の際に障害されやすい。
3.× 後半月大腿靭帯は、後十字靭帯損傷の際に障害されやすい。
4.× 膝蓋腱は、膝蓋骨下端の剥離骨折(はくりこっせつ)の際に障害されやすい。
34.多発性硬化症において、頸部を前屈すると項部から下肢まで電撃痛が放散する微候はどれか。
1.Gowers微候
2.Lhermitte徴候
3.Patrick徴候
4.Tinel徵候
5.Uhthoff徴候
解答:2
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
1.× Gowers微候(ガワーズ徴候:登はん性起立)とは、筋ジストロフィーで認められる。床から起きるときに、床→膝→大腿と手をついて支えながら立ち上がる。
2.〇 正しい。Lhermitte徴候(レルミット徴候)とは、多発性硬化症で認められる。頸部を前屈すると項部から下肢まで電撃痛が放散する微候である。
3.× Patrick徴候(パトリック徴候)は、仙腸関節・股関節の変形性疾患や炎症性反応を示す。背臥位で患側側部を反対側の膝の上に置き、股関節屈曲・外転・外旋の肢位をとらせ、患側膝の内側部を背側に圧迫した時に、仙腸関節・股関節に痛みが出る所見である。
4.× Tinel徵候(チネル徴候)は、末梢神経の再生の程度を見る検査である。末梢神経が損傷されている際、軸索再生の先端部付近を軽く叩くと「ビーン」と激しい放散痛が生じる現象である。主に、手根管症候群で認められる。
5.× Uhthoff徴候(ウートフ徴候)は、多発性硬化症患者の入浴・温熱などで体温が上昇すると既存の症状(視力障害・麻痺症状など)が一過性に悪くなることである。そのため、過度な運動は避けた方がいい。
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【PT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」
35.慢性閉塞性肺疾患の身体所見でみられやすいのはどれか。
1.乾性咳嗽
2.呼吸音低下
3.肺野打診での濁音
4.胸郭柔軟性の増加
5.胸部聴診での捻髪音
解答:2
解説
1.× 乾性咳嗽(空咳)とは、痰を伴わない乾いた咳のことである。慢性閉塞性肺疾患では湿性咳嗽・気道分泌の貯蔵(痰と咳)が症状である。
2.〇 正しい。呼吸音低下は、慢性閉塞性肺疾患の身体所見でみられやすい。なぜなら、慢性閉塞肺疾患では、エアートラッピング(空気とらえ込み:最大吸気位から最大呼息をしたときに肺内に空気が残る現象)のため。
3.× 肺野打診は、「濁音」ではなく鼓音が起こりやすい。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患は肺の過膨張が起こりやすいため。
4.× 胸郭柔軟性は、「増加」ではなく低下する。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患は肺の過膨張が起こりやすいため。
5.× 胸部聴診での捻髪音(高くて細かい断続音のこと)は、肺線維症・間質性肺炎・喘息・過敏性肺炎などで見られる。慢性閉塞性肺疾患で見られるのは、息をする時にヒューヒュー(笛音)やウーウー(いびき音)という連続性副雑音である。慢性閉塞性肺疾患のように、気管支、細気管支に炎症が起こると、咳や痰の症状がみられるようになり、気管支に痰が溜まって空気の通り道が狭くなるため。
32の選択肢と解説で「脱臼」のはずのところが「脱白」になっています
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。
問題31で、正式な問題では、歩幅ではなく歩隔ではないでしょうか?
間違っていたらすみません。
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。
35.慢性閉塞性肺疾患の身体所見でみられやすいのはどれか。
という問題の解説で慢性閉塞性肺疾患では水疱音が見られるとありますが、COPDでは笛音やいびき音が見られると思ったのですが…。
水疱音は肺水腫や肺炎などの疾患で見られるのではないのかなと思いました。
私の考えが違ったら正しい答えを教えていただきたいです!
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。