第52回(H29) 作業療法士国家試験 解説【午後問題41~45】

 

41 神経症性障害患者の作業療法導入時の評価で最も重視すべきなのはどれか。

1. 就労関連技能
2. 身辺処理能力
3. 精神内界の葛藤
4. 基本的な心身機能
5. 症状への対処方法

解答5

解説

 

神経症性障害とは、心因性の機能障害であり、ストレスが原因になり、様々な症状をあらわれる。例えば、恐怖、不安、パニック発作、強迫観念、抑うつ、記憶の喪失などである。神経症性障害患者は、基本的な心身機能や身辺処理能力には問題のない場合が多い。作業療法導入時には、まずは症状に対しての対処法ができているかどうかを評価する。その後、就労の可能性障害の根本的な原因となっている精神内界の評価を行う流れとなる。

1.× 就労関連技能は、導入時には時期尚早である。まずは症状に対しての対処法ができているかどうかを評価する。その後、就労の可能性や障害の根本的な原因となっている精神内界の評価を行う流れとなる。
2.4.× 身辺処理能力・基本的な心身機能は。問題がない場合が多い
3.× 精神内界の葛藤は、神経症性障害の根本の原因である。(そもそも精神内界論とは、心の中に何か問題を起こす実体のようなものがあって、それが原因となるという考え方である。)しかし、この葛藤は容易には解消されない。評価としては、作業療法の最終的な時期に行う。
5.〇 正しい。症状への対処方法は、導入時に評価する必要がある。なぜなら、障害によって起こりうる重大な自傷行為などを防ぐことにつながるため。

 

 

 

 

 

 

42 認知症のBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)はどれか。

1. 失語
2. 失認
3. 徘徊
4. 記憶障害
5. 判断力低下

解答3

解説

BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)とは、「認知症の行動・心理症状」の周辺症状ことである。

1~2.4~5.× 失語・失認・記憶障害・判断力低下は中核症状である(図参照)。中核症状とは、認知症で、”脳の細胞が死ぬ”、”脳の働きが低下する”ことによって直接的に起こる認知機能障害のことをいう。
3.〇 正しい。徘徊は、歩き回っている状態をいう。周辺症状ある。

 

 

 

 

 

 

43 Alzheimer型認知症患者の自尊心の回復を目指した作業療法の目標で優先すべきなのはどれか。

1. 成功体験
2. 見当識の改善
3. 遂行機能の改善
4. 空間認知力の改善
5. 短期記憶力の向上

解答1

解説

1.〇 正しい。成功体験を繰り返す。Alzheimer型認知症患者であっても、作業療法中に成功体験をすることができ、それによって喜びを得ることで自尊心の回復が期待できる。「誤りなし学習」というものもあり、それは誤りを経験させないように初めから正解を提示して正反応を反復することにより学習を成立させる方法である。記憶障害や認知症に対して有効性が報告されている。できない課題を助けてできるように促していくよりも、できる課題を数多く行い、少しずつレベルアップしていく方が効果的とされる。
2~4.× 見当識の改善・遂行機能の改善・空間認知力の改善は、Alzheimer型認知症患者には望めないため、自尊心の回復を目指すことはできず、より自信喪失につながる恐れがある。
5.× 短期記憶力の向上は望めない。Alzheimer型認知症患者は、長期記憶は比較的保たれやすい特徴をいかし回想法を用いた訓練を行う。長期記憶を題材に働きかけを行い、結果、気分や意欲を高揚させることができる。

 

 

 

 

 

 

44 急性期を脱した後、まだ外的刺激への敏感さが残る統合失調症患者の作業療法導入時の対応で適切なのはどれか。

1. 役割を付与する。
2. 対人交流を促す。
3. 定期的な実施を心がける。
4. 複数の作業療法士で対応する。
5. 退行的行動に対しては関与を控える。

解答3

解説

 急性期を脱したもののまだ外的刺激への敏感さが残る統合失調症患者への対応では、外的刺激がなるべく少なくなるような対応を心がけるべきである。

1.× 役割を付与することは、現段階では刺激が強い。社会復帰の段階(回復後期)で行うべきである。
2.× 対人交流を促すのは、時期尚早である。対人刺激は最小限に設定すべきである。
3.〇 正しい。定期的な実施を心がける。刺激の少ない定期的な作業療法の実施を心がけることで生活リズムの回復を図る
4.× 複数の作業療法士で対応するのは、現段階では刺激が強い、対人刺激は最小限に設定すべきであるため、作業療法士は複数でない方がよい。
5.× 退行的行動に対しては関与を控えるのは不適切である。退行的行動とは、防衛機制のひとつであり、許容できない衝動をより適切な方法で処理するのではなく、自我を一時的または長期的に、発達段階の初期に戻してしまう事である。退行的行動に対しては、「どうしてそのような行動をするのか尋ねる」、「必要に応じてそのような行動をしないよう指示する」などして関与を図るべきである。これは、どの時期の作業療法においても同様である。

 

 

 

 

 

 

45 うつ病患者の作業療法で適切な作業活動はどれか。

1. 中断が容易なもの
2. 疲労感を自覚しにくいもの
3. 他者との優劣が分かりやすいもの
4. 複雑で完成すると達成感が得られるもの
5. 病前に到達していた水準と現在を比較できるもの

解答1

解説

 うつ病では、自己評価の低下意欲の低下精神運動の抑制の症状がみられる。よって負担が少なく、患者の自信を回復させるような作業を行う。また病前のようには作業できないことへの配慮も必要である。

1.〇 正しい。中断が容易なものを行う。うつ病患者は、疲労感を強く感じていることが多く、長時間の作業は負担になる。そのため、中断が容易な作業でこまめに休憩をとる必要がある。
2.× 疲労感を自覚しにくいものは不適切である。うつ病の病前性格は、責任感が強く仕事熱心なあまり、どうしても無理をしがちである。疲労感を自覚しにくいと適度に休むことができないため、気づかないうちに疲労困憊してしまうおそれがある。
3.× 他者との優劣が分かりやすいものは不適切である。他人と容易に比較ができ、劣等感を抱き自信喪失につながるため、避けるべきである。
4.× 複雑で完成すると達成感が得られるものは不適切である。達成感が得られるものはよいが、複雑であるものは疲労しやすく、責任感が強く途中中断することが難しいため、避けるべきである.
5.× 病前に到達していた水準と現在を比較できるものは不適切である。なぜなら、以前のように作業できないことから、うまくできない場合に自信を喪失しやすいため。避けるべきである。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)