第52回(H29) 作業療法士国家試験 解説【午後問題31~35】

 

31 次の症候のうちGuillain-Barré症候群で最も頻度が高いのはどれか。

1. 聴神経麻痺
2. 視力障害
3. 眼瞼下垂
4. 顔面神経麻痺
5. Babinski徴候陽性

解答4

解説

 Guillain-Barré症候群は、先行感染等による目己免疫的な機序により、多発根ニューロパチーを来す疾患である。運動麻痺を主症状とし、感覚障害、脳神経麻痺をきたす。症状は1か月で完成し、その後3か月~1年で徐々に近位部から遠位部に向けて回復する。

1~2.× 聴神経麻痺・視力障害は起こらない。脳神経の中でも聴・視神経が障害されることはない。
3.× 眼神経障害により、眼瞼下垂は起こりうるが最も頻度が高いとはいえない。
4.〇 正しい。選択肢の中でも顔面神経麻痺が最も頻度が高い。脳神経麻痺の症状としては、顔面神経麻痺球麻痺(構音・嚥下障害)、外眼筋麻痺が起こる。
5.× Babinski徴候陽性は錐体路(上位運動ニューロン)の障害で陽性となる。上位運動ニューロンとは、大脳皮質運動野や脳幹に始まり、運動情報を下位運動ニューロンに伝える経路、またはその神経細胞のことをいう。つまり、Babinski徴候は陰性のままである。

 

 

 

 

 

 

32 糖尿病性ケトアシドーシスに関連する呼吸はどれか。

1. 下顎呼吸
2. 起坐呼吸
3. Biot呼吸
4. Kussmaul呼吸
5. Cheyne-Stokes呼吸

解答4

解説

1.× 下顎呼吸は、死戦期呼吸ともいわれ、全身の低酸素時に起こる呼吸である。下顎が動いてはいるが、十分な肺の酸素化はできていないという特徴を持つ。
2.× 起坐呼吸の原因疾患は、①左心不全、②肺水腫、③喘息の大発作時に起こる。仰臥位では静脈還流量の増加により肺うっ血が助長され呼吸が困難になるため、身体を起こして静脈還流量を減少させ、肺うっ血が軽減されることにより呼吸困難が緩和された状態である。
3.× Biot呼吸(ビオー呼吸)の原因疾患は、①呼吸中枢の障害、②髄膜炎の末期に起こる。深さの一定しない早い呼吸と無呼吸を不規則な周期で繰り返す呼吸である。生命の危機を示唆する。
4.〇 正しい。Kussmaul呼吸(呼吸)の原因疾患は、①糖尿病性ケトアシドーシス、②尿毒症、③重症下痢(特に小児)などに起こる。規則正しく、深く大きな呼吸である。
5.× Cheyne-Stokes呼吸(チェーンストークス呼吸)の原因疾患は、①呼吸中枢の障害(脳卒中など)、②重症心不全、③高齢者(睡眠時)、④Pickwick症候群など起こる。呼吸と無呼吸を周期的に繰り返す呼吸である。

 

 

 

 

 

 

33 排痰法はどれか。2つ選べ。

1. Mendelsohn手技
2. 体位ドレナージ
3. スクイージング
4. 口すぼめ呼吸
5. Jakobson法

解答2/3

解説

1.× Mendelsohn手技(メンデルソン手技)は、嚥下訓練法(喉頭挙上訓練)のひとつである。球麻痺などで咽頭残留が多い場合に、喉頭挙上量と挙上時間を増大することで、輪状咽頭筋部の開大幅を増大させ、それにより開大時間を延長させることを目的としている。唾液嚥下を行わせ、飲み込む際に喉仏が上がっているのを感じたら何秒間かそのままの状態を維持する。
2.〇 正しい。体位ドレナージは、重力を利用して痰の排出を図る方法である。痰貯留部位が上、気管支が下となる体位をとり、痰を排出する。
3.〇 正しい。スクイージング(squeezing)は、痰貯留部の胸郭に手を置いて、呼気に合わせて胸郭を圧迫する方法である最も効果的とされている.
4.× 口すぼめ呼吸は、慢性閉塞性肺疾患患者などに使用する呼吸方法である。呼気時に口をすぼめて抵抗を与えることにより気道内圧を高め、これにより末梢気道の閉塞を防いで肺胞中の空気を出しやすくする。
5.× Jakobson法(ジェイコブソン法:漸進性筋弛緩法)は、リラクゼーション法である。精神緊張時に意識的に筋肉に力を入れ、その後、一気に緩めることを繰り返す。

 

 

 

 

 

 

34 感覚受容器の刺激の対象が主に皮膚である促通法はどれか。

1. Brunnstrom法
2. Bobath法
3. Rood法
4. Fay法
5. PNF

解答3

解説

1.× Brunnstrom法(ブルンストローム法)は、その段階に合わせて、あるいは利用して訓練を進めていこうとする片麻痺へのアプローチである。反射を利用、誘発を行いながら運動負荷を行っていくものである。
2.× Bobath法(ボバース法)は、運動療法の神経発達的アプローチである。反射抑制をごく初期より導入し、発達的見地のもと随意運動の再獲得を目指すものである。
3.〇 正しい。Rood法(ルード法)は、感覚運動アプローチである。皮膚の摩擦、圧迫、brushing(ブラッシング)、tapping(タッピング)、icing(アイシング)などで、感覚受容器を刺激し、筋活動の促進と抑制を図る方法である。
4.× Fay法(フェイ法)は、神経筋反射療法である。系統発生学的な運動様式の過程を小児に応用し、同側性腹這い運動、反対側性腹這い運動、四つ這い運動、直立歩行へと訓練を進める。
5.× PNF(proprioceptive neuromuscular facilitation:固有受容性神経筋促通法)は、固有受容器の刺激により神経筋機構の反応を促進する方法である。①促進要素、②特殊テクニック、③促進パターンの3つから構成される。固有受容器とは、身体の位置や動きに関する情報をもたらす受容器(筋紡錘,ゴルジの腱器官,関節の受容器,前庭迷路受容器)のことをいう。

 

 

 

 

 

 

35 頸椎に不安定性のある急性期頸髄損傷の関節可動域訓練で角度を制限する関節はどれか。

1. 肩関節
2. 手関節
3. 股関節
4. 膝関節
5. 足関節

解答1

解説

(※写真:フィラデルフィアカラー)

 急性期頸髄損傷で頸椎に不安定性のある場合には、体位交換などで麻痺の悪化の可能性があるので、フィラデルフィアカラーやSOMI装具などで固定を行う。また、リハビリテーションにおいても頭部の不安定性への配慮は必要となる。頸部に近い肩関節の可動域訓練では、僧帽筋や胸鎖乳突筋、肩甲挙筋などの筋を介して頸椎を動かすと、脊髄をさらに損傷する可能性がある。よって、選択肢1.肩関節の角度を制限する。

 

 

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