第52回(H29) 作業療法士国家試験 解説【午後問題26~30】

 

26 上肢切断はどれか。

1. Boyd切断
2. Syme 切断
3. Pirogoff切断
4. Chopart 切断
5. フォークォーター切断

解答5

解説

1.× Boyd切断(ボイド切断)は、足関節部の切断であり、踵骨を残し、脛骨下面で骨癒合を起こさせようとする切断方法である。
2.× Syme 切断(サイム切断)は、足関節部の切断であり、内果・外果ともに骨隆起部の一部をトリミングする切断方法である。
3.× Pirogoff切断(ピロゴフ切断)は、足関節部の切断であり、踵骨の踵部を残して脛骨に取り付け、この間に骨癒合を起こさせようとする切断方法である。
4.× Chopart 切断(ショパール切断)は、足根骨部の切断であり、ショパール関節部における切断方法である。
5.〇 正しい。フォークォーター切断(forequarter切断)は、肩甲胸郭間切断である。つまり、上肢切断であり、機能的損失は肩甲帯運動を欠くという特徴を持つ。

 

 

 

 

 

 

27 評価法の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

1. EuroQolは2つの項目で評価される。
2. PGC モラール・スケールは2件法である。
3. SF-36 は健康関連QOL を測定する評価である。
4. 役割チェックリストは20 の役割の有無と価値を評価する。
5. 老研式活動能力指標は手段的自立と知的能動性の2因子で構成されている。

解答2/3

解説

1.× EuroQolは2つの項目で評価されるのではなく、3段階選択式回答法とVAS (Visual Analogue Scale)による患者の健康状態の自己評価により構成されている。詳しく説明する。EuroQolは、医療従事者でなくとも簡易に測定できる健康関連QOL (HRQOL)の尺度として幅広く用いられている調査票である。欧州で開発され、わが国では翻訳された「日本語版EQ-5D」がある。調査票は5項目(移動の程度、身の回りの管理、普段の活動、痛み・不快感、不安・ふさぎ込み)からなる3段階選択式回答法とVAS (Visual Analogue Scale)による患者の健康状態の自己評価により構成されている。
2.〇 正しい。PGC モラール・スケールは2件法である。PGCモラール・スケールは、高齢者のQOL評価尺度であり、「主観的幸福感」を評価する。回答は「はい」「いいえ」の2件法である.
3.〇 正しい。SF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)は健康関連QOLを測定する評価である。質問紙法により、対象者の健康関連QOLを包括的に評価する尺度である。8つの健康概念(①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康)を測定する。

4.× 役割チェックリストは20の役割ではなく、10の役割の有無と価値を評価する。役割チェックリストは、学生・勤労者・ボランティア・養育者・家庭維持者・友人・家族の一員・宗教の参加者・趣味人/アマチュア・組織の参加者の10の役割について過去や現在・将来に「行った・行うか」また、「それらの価値」についてチェックするものである。
5.× 老研式活動能力指標は手段的自立と知的能動性の2因子ではなく、手段的自立・知的能動性・社会的役割の3因子をもつ手段的日常生活動作能力(Instrumental ADL:IADL) 13項目を「はい」または「いいえ」で答えてもらう指標である。

 

 

 

 

 

 

28 地域包括ケアシステムに関する説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

1. 2020年を目途に整備を進めている。
2. 地域差をなくし、画一的なシステムを構築することを目的としている。
3. 障害者福祉センターはこのシステムの中核的機関として設置されている。
4. 住まい・医療・介護・予防・生活支援の一体的な提供を目的としている。
5. NPO、ボランティア、民間企業等の多様な事業主体が参画するシステムである。

解答4/5

解説

地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築とは?

厚生労働省は、2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることを目指している。

1.× 2020年ではなく、2025年(団塊の世代が75歳以上となる)を目途に整備を進めている。

2.× 地域差をなくし、画一的なシステムを構築することを目的としているのは間違いである。保険者である市町村や都道府県が地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて構成することを目的としている。
3.× 障害者福祉センターではなく、地域包括支援センターはこのシステムの中核的機関として設置されている。障害者福祉センターは、身体障害者や家族に対し、無料、または低額な料金で各種の相談に応じたり、機能訓練や教養の向上、社会との交流の促進、レクリエーションのための便宜を総合的に供与する機関である。地域包括支援センターは、介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関である。略称は「包括」。
4.〇 正しい。住まい・医療・介護・予防・生活支援の一体的な提供(地域包括ケアシステムの構築の実現)を目的としている。
5.〇 正しい。NPO、ボランティア、民間企業等の多様な事業主体が参画するシステムである。行政サービスのみならず、多様な事業主体による重層的な支援体制を構築することが求められている。

 

 

 

 

 

 

29 道具の把握形態において、編み棒と同じ手の構えをとる道具はどれか。

1.スプーン
2.千枚通し
3.つまようじ
4.筆
5.包丁

解答2

解説

 編み棒は、母指と中指でつまみ、右利きでは左の示指に毛糸をかけ、右の母指と示指で編み目を押さえ、中指を添え作業をする。つまり、指腹つまみ(pulp pinch)である。

1.× スプーンは、中指の側腹で支え母指で固定する。つまり、側腹つまみ (lateral pinch) の変形である。
2.〇 正しい。千枚通しは、目打ちともよばれ、籐細工で藤を編み込む際に、細かい隙間に藤の先を通すために使用する道具である。作業方法は、母指と示指でつまみ中指を添えて行う。つまり、腹つまみ(pulp pinch) である。「千枚通しを使う」他にも、「フォークを使う」などがこの指腹つまみ(pulp pinch)に当たる。
3.× つまようじは、母指と示指で把持する。つまり、指尖つまみ (tip pinch)である。
4.× 筆筆は、母指・示指・中指の3指で持ち環指を添える。つまり、3点つまみ (three point pinch, chuck pinch)である。
5.× 包丁は、すべてを使った握り(grip)である。

 

 

 

 

 

 

30 脳性麻痺児の粗大運動能力を評価する尺度はどれか。

1. PEDI
2. GMFM
3. K-ABC
4. WeeFIM
5. MACS(Manual ability classification system for children with cerebral palsy)

解答2

解説

1.× PEDI(Pediatric Evaluation of Disability Inventory:リハビリテーションのための子どもの能力低下評価法)は、セルフケア・移動・社会的機能の3つの領域の機能的スキルを評価するもので、生後6ヵ月から7歳6ヵ月までの児と、この年齢相当の機能レベルの年長児が対象の能力低下評価法である。
2.〇 正しい。GMFM(Gross Motor Function Measure:脳性麻痺児の粗大運動能力の尺度) は、治療効果の評価などに用いる。
3.× K-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children)とは、子どもの知的能力を認知処理過程と知識・技能の習得度の両面から評価する。適用年齢は、2歳6ヵ月~12歳11ヵ月までである。学習障害のスクリーニングが可能である.
4.× WeeFIM(Functional Independence Measure for Children)は、6ヵ月~7歳を対象としたFIMの小児版である。 FIMは、日常活動の自立度を測定するものであるが、WeeFIMは特に介護負担度の評価に用いられる。
5.× MACS(Manual ability classification system for children with cerebral palsy:脳性麻痺児の手指操作能力分類システム)は、脳性麻痺児が日常生活活動において物を操作する手指能力の評価法である。4歳~18歳までが対象で、5つのレベルに分類される。

 

 

 

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