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81 語の流暢性課題を含む検査はどれか。
1. MMPI
2. MMSE
3. WCST
4. HDS-R
5. Rorschachテスト
解答:4
解説
選択肢4.HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)の内容は、①見当識、②言葉の記銘、③計算、④逆唱、⑤言葉の遅延再生、⑥物品再生、⑦言葉の流暢性である。ちなみに、言葉の流暢性を調べる項目は、『知っている野菜の名前をできるだけ多くいってください』と検査する。
1.× MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の項目にyes/noで答えさせ(自己記入式)、10の臨床尺度および4の妥当性尺度により被験者の人格プロフィールを表す。
2.× MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知障害(認知症、せん妄、健忘性障害)の検査である。図形を模写させる構成課題がある。
3.× WCST(Wisconsin Card Sorting Test:ウィスコンシンカード分類テスト)は、前頭葉の機能を調べる検査であり、主に高次脳機能障害の評価に用いられる。4つの色と形が描かれた4枚のカードがあらかじめ並べられていて、被験者が手元にあるカードを分類カテゴリーに従って順次並べていくものである。
5.× Rorschachテスト(ロールシャッハテスト)は、10枚の図版(いわゆるインクのシミ)を被験者に見せて、どのように見えるかを答えさせ、そこから患者の人格面を調べる検査である。
82 中心性脊髄損傷について正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 高齢者に多い。
2. 骨傷に伴って生じることが多い。
3. 頸椎の過屈曲によって発生することが多い。
4. 肛門括約筋の収縮が障害されることが多い。
5. 下肢より上肢機能が強く障害されることが多い。
解答:1,5
解説
中心性脊髄損傷は、頸椎の過伸展により頚髄中心部の灰白質が主として障害される。交通事故や高所からの転落による脊髄損傷と異なり、転倒など比較的軽微な外傷でも生じ、明らかな骨折や脱臼を伴わない例も少なくない。高齢者に多く、男女で比べると男性に多い。また、多くの場合基礎疾患として、後縦靭帯硬化症や脊柱管狭窄症を有している。下肢より上肢に運動障害が強く、受傷後の回復も下肢が早い。知覚障害は正常かあっても軽度であるが、上肢の痙縮は強いことが多く、手指の巧緻性低下により更衣動作や整容動作といったADLに影響が及ぶ。よって、選択肢1.5.高齢者に多い。/下肢より上肢機能が強く障害されることが多い。が正しい。
2.× 骨傷に伴って生じることよりも、外力が比較的小さいことや脊柱管狭窄が合併していることからの脊髄損傷であることが多い。
3.× 頸椎の「過屈曲」ではなく過伸展によって発生することが多い。
4.× 肛門括約筋の収縮が障害されることは、少なく比較的保たれる。障害レベル以下で感覚機能や運動機能が障害される一方で、肛門知覚・運動機能(仙髄領域の機能)は比較的保たれる。
83 運動障害と評価方法の組合せで正しいのはどれか。
1. 運動失調:指鼻試験
2. 筋力低下:Brunnstrom法ステージ
3. 持久力低下:徒手筋力テスト
4. 錐体外路障害:Babinski反射
5. 錐体路障害:Romberg試験
解答:1
解説
1.〇 正しい。運動失調は、指鼻試験で評価する。ちなみに他にも、手回内・回外試験、指鼻試験、踵膝試験などがある。
2.× Brunnstrom法ステージは、「筋力低下」ではなく片麻痺に対して行う。片麻痺の運動回復過程に沿った連合反応や共同運動の分離度合いを中心とした運動機能検査である。
3.× 徒手筋力テストは、「持久力低下」ではなく筋力低下に対して行う。
4.× Babinski反射(バビンスキー反射)は、「錐体外路障害」ではなく錐体路障害に対して行う。錐体外路症状の検査として、筋トーヌスの評価や姿勢保持反射障害の評価を行う。
5.× Romberg試験(ロンベルグ徴候)は、「錐体路障害」ではなく脊髄性障害(深部感覚の検査)に対して行う。Romberg試験(ロンベルグ徴候)は、①はじめは開眼にて、患者に直立不動の姿勢をとらせ、安定した姿勢保持が可能であることを確かめる。②次に、閉眼させ、体幹の動揺が生じたり、動揺が明らかに増悪、あるいは転倒した場合を陽性とする。
84 観念運動失行の検査はどれか。
1. 「今、何時ですか」
2. 「右手の薬指はどれですか」
3. 「歯を磨くまねをしてください」
4. 「紙を折って封筒に入れてください」
5. 「このカードに描いてある絵を覚えてください」
解答:3
解説
観念運動失行とは、命令を理解し、行為する意思を持っていながら、指示された単純な動作の遂行が不能となる状態である。
よって、選択肢3.「歯を磨くまねをしてください」が正しい。ちなみに、観念失行とは、運動の企画ができなくなり、行為の手順が分からなくなった状態である。ここの動作は可能であるのに、目的にかなった行為はできない。今回の問題では選択肢4. 「紙を折って封筒に入れてください」である。
1.× 「今、何時ですか」は、見当識障害の検査である。
2.× 「右手の薬指はどれですか」は、手指失認の検査である。
5.× 「このカードに描いてある絵を覚えてください」は、近時記憶の検査である。
85 上腕骨外側上顆炎について正しいのはどれか。
1. 男性に多い。
2. 高齢者に多い。
3. 自発痛はない。
4. 手関節伸筋腱の付着部の炎症である。
5. 物を持ち上げる際は前腕回内位で行うようにする。
解答:4
解説
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現する。主に短橈側手根伸筋の付着部の肘外側が障害されて生じる。
1.✖ 男女比は明らかではないが、やや女性の方が多い(特に40~50歳代)と言われている。
2.✖ テニス肘と言われている通り、何度も反復動作をするスポーツ選手もしくは、40~50歳代女性に多い。
3.✖ 自発痛とは、何も刺激を加えていないのに感じる痛みである。上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は、安静時痛(自発痛)は、ないことが多いが、必ずしもないと断定はできない。上腕骨外側上顆周辺の疼痛及び圧痛、手関節背屈時の抵抗痛、握力低下がみられる。
4.〇 正しい。手関節伸筋腱の付着部(主に短橈側手根伸筋の付着部)の炎症である。上腕骨外側上顆には、回外筋、長・短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋など付着する。
5.✖ 物を持ち上げる際は前腕回外位で行うようにする。なぜなら、回内位は痛みを助長する。同時に手・肘関節を同時に伸展する動作を避ける。