第52回(H29) 理学療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

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26 医療面接における自由質問法はどれか。

1. 「ご家族は何人ですか」
2. 「お名前を教えてください」
3. 「いつ頃から痛み出しましたか」
4. 「どのようなことでお困りですか」
5. 「痛いところは右ですか。左ですか」

解答:

解説

自由質問法(開かれた質問、開放的な質問)とは、質問された者が自由に答えることのできる質問法のことである。

 

1.×  「ご家族は何人ですか」は、「○人です」と答える形となる。そのため、中立的な質問である。
2.× 「お名前を教えてください」は、「名前」を答える形となる。そのため、中立的な質問である。
3.× 「いつ頃から痛み出しましたか」は、「~からです」と答える形となる。そのため、焦点型質問である。
4.〇 正しい。「どのようなことでお困りですか」は、自由質問法(開放的な質問)である。
5.× 「痛いところは右ですか。左ですか」は、「右 or 左」えお答えるかった地となる。そのため、中立的な質問である。

質問の種類と特徴
  1. 開かれた質問
    患者の自由な答えを求める質問
    例:「他に気になるところはありますか?」
  2. 閉じられた質問
    「はい・いいえ」で答えられる質問
    例:「吐き気はありますか?」

  3. 中立的な質問
    1つの答えしか求めない質問法
    例:「水分はいつからとれていないですか?」
  4. 焦点型質問
    1つの事柄を深く掘り下げる質問法
    例:「頭痛についてもう少し詳しく教えてください。」

 

 

 

 

 

27 延髄の障害でみられやすい症状はどれか。

1. 兎眼
2. 眼瞼下垂
3. 共同偏視
4. 舌の運動障害
5. 対光反射の障害

解答:

解説

 延髄の神経核は、Ⅸ:舌咽神経、Ⅹ:迷走神経、Ⅺ:副神経、Ⅻ:舌下神経が存在する。運動神経核(Ⅸ、Ⅹ、Ⅻ)の障害を球麻痺という。症状として、①嚥下障害、②舌の運動障害、③構音障害などが生じる。

1.× 兎眼は、顔面神経の麻痺で起こる。その支配下にある眼輪筋が麻痺し、目を閉じることができなくなると、常に目を開いた状態になる。この状態を兎眼(とがん)という。ちなみに、顔面神経核は、橋に存在する。
2.△ 眼瞼下垂は、重症筋無力症動眼神経核の障害で生じる。動眼神経核は中脳に存在する。ただ、延髄の障害であるワレンベルグ症候群(Wallenberg症候群)のように、ホルナー症候群(Horner症候群)の1症状である球麻痺として、選択肢4.舌の運動障害も起こり得る。ホルナー症候群は、頸部交感神経の出力機能障害により眼瞼下垂、縮瞳、および無汗症が生じる病態である。
3.× 共同偏視は、被殻出血(病側への共同偏視)小脳出血(健側への共同偏視)で生じる。共同偏視は、PPRF(水平方向の眼球運動の中枢)の機能障害で起こる。
4.〇 正しい。舌の運動障害は、延髄(舌下神経)の障害でみられやすい。
5.× 対光反射の障害は、動眼神経障害または視神経障害などでみられる。

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)とは?

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。

(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

28 関節を他動的に動かしたときの正常な最終域感と関節運動の組合せで正しいのはどれか。

1. 骨性:手指中手指節(MP)関節伸展
2. 靱帯の伸張:下肢伸展挙上(SLR)
3. 軟部組織の接近:膝関節屈曲
4. 筋の伸張感:肘関節伸展
5. 関節包の伸張:前腕回外

解答:3

解説

1.✖ 手指中手指節(MP)関節伸展は、関節包の伸張である。
2.✖ 下肢伸展挙上(SLR)は、軟部組織の伸張である。ハムストリングスの伸張である。
3.〇 正しい。膝関節屈曲は、軟部組織の接近である。大腿・下腿後面の軟部組織の接近である。
4.✖ 肘関節伸展は、骨性である。尺骨肘頭と上腕骨肘頭窩が接触する。
5.✖ 前腕回外は、靭帯の緊張である。下橈尺関節の掌側橈尺靭帯などの緊張である。

正常な最終域感(end feel)
  1. 軟部組織の接近
  2. 筋の伸張感
  3. 関節包・靭帯の伸張
  4. 骨性

 

 

 

 

29 注意機能の評価はどれか。

1. SCT
2. MMPI
3. バウムテスト
4. TMT(trail making test)
5. Kohs 立方体組合せテスト

解答:

解説

1.× SCT(精研式文章完成法テスト)で、短い刺激文を提示し、その後に思いつくことを自由に記述させるという投影法検査である。個人の性格特性を幅広く把握できる人格検査である。
2.× MMPI(ミネソタ多面的人格目録)で、たくさんの質問に対して「そう」「ちがう」で回答してもらい、その結果を総合的に解釈して人格を多面的に測定する検査である。
3.× バウムテストは、投影法で行う心理検査である。検査方法は、1本の実がなる木を書いてもらい専門家が読み解く。
4.〇 正しい。TMT(trail making test)は、AとBがあり、Aは1~25までの数値を順番に結んでもらう。注意機能(集中性や選択性など)の評価である。
5.× Kohs 立方体組合せテストは、「赤,白,青,黄」の4色に塗り分けられた立方体のブロックを用いた検査で認知機能障害に対する検査である。視空間失認や構成障害の場合、低値となる。

 

 

 

 

 

30 静的立位で下腿義足の足部内側が床から浮き上がった。原因はどれか。

1. toe-out角が大きすぎる。
2. 初期内転角が不足している。
3. ソケットの外壁が高すぎる。
4. 足部が外側に位置しすぎている。
5. ソケットが内側に位置しすぎている。

解答:2

解説

1.× toe-out角が大きすぎる(義足のつま先が外側に向きすぎている状態である)と、歩行時に立脚立位からつま先離地期に上体が内側へ倒れたり、内側ホイップの原因となる。立位時の足部はどちら側へとも浮き上がらないことが多い。
2.〇 正しい。初期内転角が不足していると、ソケットが外側に傾き足底の内側が床面から浮き上がる。言い換えると、ソケットの外壁にゆるみが生じている。そのため、5°程度の生理的な内転角をつける。
3.ソケットの外壁が高すぎたり低すぎたり、もしくは内壁が高すぎたり低すぎたり(いわゆるソケットの内・外壁の不適合)しても、ソケットと断端のフィッティングが良ければ、立位の足部はどちら側へとも浮き上がることは少ない。静的アライメントには影響しないことが多い。
4~5.×  足部が外側に位置しすぎている・ソケットが内側に位置しすぎていると、「足部内側」ではなく外側が床から浮き上がる。なぜなら、ソケットの外側近位部と内側遠位部に圧迫があり、ソケットの内側近位部に緩みがでるため。

 

2 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
再度考えまして、解説を見直させていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。

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