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第52回(H29) 理学療法士国家試験 解説【午前問題11~15】

11 35歳の女性。橈骨遠位端骨折後に右上肢にCRPS(複合性局所疼痛症候群)を生じた。この患者にみられる所見に合致しないのはどれか。

1. 浮腫

2. 痛覚鈍麻

3. 発汗異常

4. アロディニア

5. 皮膚温の変化

 

解答:2

解説

CRPSに特徴的とされる症状は様々。灼熱痛、感覚過敏・感覚低下、皮膚の色の変化(発赤、チアノーゼなど)、発汗異常(過剰、過少)、皮膚温度の異常(温度の上昇、低下)、皮膚の浮腫み・萎縮・色素沈着、骨の萎縮、筋肉の萎縮など、相反する症状が含まれる。また、しびれ感、不快感として表現されることもある。慢性化すると関節拘縮をきたす。

1.3.5.✖ 上記解説通り。

2.〇 痛覚過敏が主症状である。よって2が合致しない。

4.✖ アロディニア(英: allodynia)とは、通常では疼痛をもたらさない微小刺激が、すべて疼痛としてとても痛く認識される感覚異常のことである。 異痛症とも呼ばれる。

 

 

 

12 嚥下障害がある患者の胸部エックス線写真を別に示す。予想される理学所見はどれか。

1.胸痛

2.乾性咳嗽

3.頸静脈怒張

4.右胸部打診で鼓音

5.右胸部聴診で水疱音

 

解答:5

解説

1.✖ 胸痛は、胸膜炎や気胸が疑われるが、そのような所見は見当たらない。胸膜炎の場合CP angleが鈍化していると胸水があるなど。

2.4✖ 痰を伴わない咳で胸膜・間質病変に多い。間質性肺炎、胸膜炎、マイコプラズマ肺炎など。

3.✖ 頸静脈怒張は、息切れの原因が心臓もしくは肺かを見極めるための指標としても使われる。半坐位よりも高い姿勢で頸静脈怒張がみられれば心不全が疑われる。

5.〇 正しい。右下肺部に異常影を認め、嚥下障害があるという点が注目できる。したがって、痰が貯留し右胸部に水泡音が認められると考える。

 

 

13 56歳の男性。閉塞性動脈硬化症。半年前から左下腿から足部にかけて冷感と痛みが発現し、歩行距離も低下している。検査法と結果の組合せで正しいのはどれか。

1. 立位体前屈——痛みの軽減

2. 足背動脈の触診——リズムの不整

3. 足関節上腕血圧比——1.2 以上

4. 両下肢の下垂試験——感覚異常の出現

5. トレッドミル歩行——間欠性跛行の出現

 

解答:5

解説

閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気。

病期はⅠ~Ⅳ期に分けられています。

Ⅰ期:「しびれ」「冷感」。

Ⅱ期:「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」。一定距離を歩くと脚が傷み、休むとまた歩けるようになる。

Ⅲ期:「安静時疼痛」。安静にしていても脚に痛みが生じる。

Ⅳ期:「潰瘍」「壊疽」。血液が足の先に行かないので、足に潰瘍ができ、ついには足が腐ってしまう。

 

1.✖ 立位体前屈を行うと痛みが増強する。

2.✖ 足背動脈の触診するとリズムの不整だったり、末梢動脈の拍動が消失するのは、バージャー病である。バージャー病は末梢の動脈が閉塞する。比較して覚えておく。

3.✖ 閉塞性動脈硬化症において、下肢動脈狭窄や閉塞の程度を表す指標。ABIは通常1.0以上、1.2程度を示し、0.9未満で下肢の閉塞性動脈硬化症を疑います。

4.✖ 下肢の血流不全を確認する最初の簡便な手段として用いられる診断が、「挙上試験」「下垂試験」。感覚異常の出現を観察するのは、「挙上試験」である。やり方:仰向けに寝て足を60度くらい挙げ、約30秒~1分間、足の関節を曲げたり伸ばしたりする。血流が悪い方の足が蒼白になったり、疼くような痛みが出るか観察する。

5.〇 正しい。

 

 

14 39歳の男性。野球の試合中にジャンプしてボールをキャッチした着地時に、踵に疼痛と違和感とを訴えた。その直後から歩行困難となったために、応急処置の後に緊急搬送された。搬送先の病院で撮影された足部MRIを別に示す。矢印は損傷部位を示す。受傷直後の処置として適切なのはどれか。

1. 足底板による固定

2. 足関節周辺の保温

3. 足関節底屈位での固定

4. 強擦法による下腿部のマッサージ

5. 端座位による下腿下垂位での安静

 

解答:3

解説

1.✖ 足底板は、足や膝に痛みがある場合や、歩きにくさがある場合に適応となる。主に扁平足、足底筋膜炎、外反母趾、アキレス腱炎、シンスプリント、靭帯損傷、変形性膝関節症、前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、半月板損傷など。アキレス腱断裂の応急処置としては適さない。

2.4.✖ 外傷を受けたときなどの緊急処置は、患部の出血や腫脹、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)が基本。

3.〇 正しい。

5.✖ 下腿下垂位ではなく、できれば背臥位で挙上(Elevation)すること。

 

 

 

15 52歳の女性。7年前に右の乳癌に対して腋窩リンパ節郭清を伴う乳房部分切除術が行われ、術後に化学療法と放射線療法が行われた。5年前から右上肢リンパ浮腫が出現したため日常生活においては弾性スリーブを装着していた。リンパ浮腫が悪化してきたため受診し、リンパ浮腫重症度分類ステージⅡと診断された。日常生活指導として適切なのはどれか。

1. むだ毛を処理する。

2. 皮膚の保湿をする。

3. 水分摂取を制限する。

4. 入浴は熱い温度で長湯をする。

5. 腕を締め付けるような服を着る。

 

解答:2

解説

弾性スリープとは、リンパ節を切除された方の腕を細い状態に保つという目的で利用する。

 

国際リンパ学会によるリンパ浮腫の重症度分類

Stage 0(潜在性):リンパ循環不全はあるが、臨床的に症状のないもの

StageⅠ(可逆性):タンパク濃度の比較的高い(静脈などに比較して)浮腫液の早期の貯留で、患肢挙上で改善する圧窩性(押すとへこむ)浮腫。

StageⅡ(非可逆性):患肢挙上のみでは腫脹が改善しない、皮膚の硬い非圧窩性の浮腫。

StageⅢ(象皮病):象皮病で非圧窩性。皮膚の肥厚、脂肪の沈着、疣贅(いぼ)の増殖などの皮膚変化を認める。

 

リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法といわれ、以下の4つの治療を組み合わせたもの。①リンパドレナージ②圧迫療法③圧迫下における運動療法④スキンケアが大切。リンパ液を流してあげることで突っ張った皮膚を緩め、硬くなった皮膚を柔らかくする。この状態で弾性包帯を巻いたり、スリーブといわれるサポーターのようなものや、弾性ストッキングを着用し、リンパの流れの良い状態を保ち、さらにむくみを引かせて腕や脚の細くなった状態を保つ。そして、圧迫した状態でむくんだ腕や脚を挙上する、動かすことでさらにむくみを引かせる。

1.3.4.✖ そのような指導はしない。

2.〇 正しい。

5.✖ 服より弾性スリーブのようなものが適当である。

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